年収200万円〜400万円の世帯が、母子家庭の4割以上を占めています。そして、シングルマザーの平均就労収入は200万円であり、300万円はまず目標とする年収といえます。この年収300万円ですが、これで本当に大丈夫なのか、子どもと暮らしていけるのか、などお金の不安を抱える方は多いのではないでしょうか。母子家庭のお金事情や利用できる経済的支援について解説します。

たった4年で80%が養育費を受け取れなくなります。

しっかり決めても受取れていない現状があります。

養育費を確実に受取る方法に養育費保証があります。

 

母子家庭のお金事情

まずは、平均的な母子家庭の収入や支出をチェックしてみましょう。

母子家庭の平均年収は、養育費などを含み348万円

(画像=厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」をもとに筆者作成)

母子家庭の世帯年収の平均は348万円で、年収別の割合は上のグラフのとおりです。「母子家庭で年収300万円」以上という世帯は5割を占め、多いことがわかります。ただし、この数字には、シングルマザーが働いて得た収入だけでなく、生活保護の給付、児童扶養手当などの社会保障給付金、離婚した配偶者からの養育費、親からの仕送り、同居親族の収入などがすべて含まれています。
次に養育費などを含まない、母自身が働いて得た収入だけに絞って見た場合の平均年収を見てみましょう。

(画像=厚生労働省「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」をもとに筆者作成)

先ほどのグラフとは平均の年間収入が大きく変わりますね。シングルマザー自身の年収は、半数以上が200万円未満です。

母子家庭がお金に困らず生きていくためには、自身の収入を上げるだけでなく、養育費をきちんと受け取ること、そして、利用できる支援制度を知って活用することが大切であることがわかります。

 

母子家庭の平均支出

収入だけでなく支出についても見ておきましょう。

費目 支出額
食費(外食費含む) 約5万4,000円
住居 約2万9,000円
水道光熱費 約1万7,000円
家具・家事用品 約7,000円
衣服類 約9,000円
健康・医療費 約5,000円
交通費・自動車代 約1万円
通信費 約1万3,000円
教育費 約3万円
教養娯楽費 約1万8,000円
その他(理美容・小遣い・交際費など) 約2万2,000円
1ヶ月の平均支出:合計 約21万4,000円

(総務省「家計調査」(2020年5月/世帯類型別/母親と20歳未満の子どものみの世帯)より作成)

養育費などを含めた平均の年間収入と平均支出を考えると、年間収入は348万円なので、月で割ると29万円であるのに対し、支出が約21万円となります。そして、母子家庭の40%近くが「貯金額50万円未満」という統計もあります。毎月の暮らしに精一杯でなかなか貯金にまわせず、家計に余裕がないという方も多いのではないでしょうか。

母子家庭と養育費

母子家庭にとって養育費を受け取れるかどうかはとても重要な問題です。養育費は本来、子と離れて暮らすことになった親から、子を引き取る親に支払う義務があるお金です。子どもには養育費を受け取る正当な権利があります。

ただ、養育費についての話し合いをしないまま離婚してしまったというケースも多く、厚生労働省の調査では母子家庭で「今も継続して養育費を受け取っている」と答えた人は約24%しかいませんでした。

一方、受け取っている人の平均受取額は月額4万円以上で、仮に10年に渡って受け取り続けられれば一切受け取れていない人との差が500万円近くになります。

養育費は離婚後でも請求できます。支払いが途絶えるのが不安なら、最近は養育費保証サービスなども登場しています。子どもの成長のために必要なお金ですので、なんとか受け取れるように行動したいところです。

母子家庭が受けられる支援制度

各種支援制度も母子家庭の家計にとって重要なものです。あまり知られていないものも含め、シングルマザーは数多くの支援が受けられます。

▽シングルマザー向けの主な手当・給付金

手当・給付金 内容
児童扶養手当 児童手当とは別に、ひとり親世帯に支給される。子ども1人の場合、最大で月額4万3,160円
母子家庭自立支援給付金 シングルマザーのスキルアップや就業を支援するための給付金。月額10万円以上受け取れるケースも
ひとり親世帯臨時特別給付金 新型コロナウイルスの影響などで収入が激減してしまったひとり親などに5万円を支給

そのほか、無金利または低金利でお金を借りられる「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」、税金の負担が軽くなる「寡婦控除」や「ひとり親控除」、医療費や住宅費の助成などもあります。

基本的に年収が低いほど受けられる支援が多くなります。こうした支援制度は厚生労働省のホームページや市区町村役場の窓口などで確認することができます。

【参考】厚生労働省 子ども・子育て 母子家庭等関係

自治体が独自の支援策を打ち出していることもありますので、住んでいる地域のホームページや広報誌にも目を通して、情報を取りこぼさないようにしましょう。福祉事務所のある自治体では、ひとり親家庭専用の相談窓口も用意されています。

子どもの教育費、これからいくらかかるの?

子どもの教育費はこれから子育てをしていく上で、とても気になる費用です。どのくらいかかるのか、確認しましょう。

学年ごとの教育費の平均値

子どもの教育のためにかかる費用(学費、給食費、課外活動費、塾代など)の1年間の平均額は以下のとおりです。

公立 私立
幼稚園 22万3,647円 52万7,916円
小学校 32万1,281円 159万8,691円
中学校 48万8,397円 140万6,433円
高校 45万7,380円 96万9,911円

(文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査の結果について」をもとに筆者作成)

2019年には幼保無償化、2020年には私立高校無償化、大学・専門学校など高等教育の授業料減免など、教育費の負担を下げる施策が近年続々と打ち出されています。

それでもお金が足りなければ、教育ローンを利用したり子ども自身に奨学金を借りてもらったりすることもできます。「お金が無いから」と進学をあきらめる必要はありません。

年収300万円でも工夫次第で乗り切れる!

母子家庭には年収が低く、金銭的に厳しい家庭が多いのも事実です。でも、たくさん働いて年収を上げる、養育費を確実に請求する、支援制度をフル活用する、家計管理を徹底するなどできることはあります。親子ともに幸せに暮らせるよう、できることから取り組んでみましょう。