子育て・教育特集

【連載#5】ペットを飼いたいと言ってきたとき

『よい親 ダメ親 ふつうの親』より一部抜粋

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著者 清水克彦

ペットを飼いたいと言ってきたとき

【連載#5】ペットを飼いたいと言ってきたとき
(画像=famveldman/stock.adobe.com)

「思いやりあるやさしい子」「誰からも好かれる人」にするには

「お子さんにどんなふうに育ってほしいですか?」
講演会などで、集まったお父さんやお母さんにこんな質問をすると、多くの方が、
「思いやりのある子ども」
「やさしい性格の子ども」
といった答えを返してきます。この「思いやり」や「やさしさ」を広辞苑(第六版 新村出編・岩波書店)でひもとくと、「思いやり=自分の身に比べて人の身について思うこと、相手の気持ちや立場を理解しようとする心」「やさしい=周囲や相手に気をつかって控え目である、おだやかである、素直である、おとなしい」ということになります。
言い換えれば、どちらの言葉も、周囲の人間を尊重しいたわる気持ちを表したもので、一朝一夕には身につかず、とはいえ、しっかり体得してしまえば、この先、社会に出ても、誰からも好かれ、誰とでもうまくやっていける素地となるものだと思います。
相手に配慮する気持ちこそ、素直さの原点であり、また、周囲の人間からもかわいがってもらえて「彼を伸ばしてやろう」「彼女にチャンスをやろう」と思ってもらえる重要な要素になります。

他人の幸せを自分のことのように喜べる子の共通の体験とは

では、どのようにすれば、子どもが人をいたわる気持ちが持てるようになるのでしょうか。筆者は、子どもより弱い立場にあるもの、つまりはペットを飼う、もしくは植物を育ててみるといいのでは、と思います。
独立行政法人国立青少年教育振興機構がまとめた興味深い調査結果があります。それは、「青少年の体験活動等と自立に関する実態調査」(2009年度)というものです。

▽「友だちの幸せを知ったら嬉しくなると答えた高校生の割合」

  • 動植物の世話の体験が多かった生徒 77.6%
  • 動植物の世話の体験が少なかった生徒 68.9%

このように、「動植物の世話の体験が多かった生徒」のほうが、他人の幸せを自分のことのように喜べる割合が高いことがわかります。

マンションなど、小動物を飼うことが禁止されているケースもあるかもしれませんが、植物でもいいのです。それを、
「ベランダで草花を育てる? ダメダメ、どうせ枯らしてしまうんだから……」
「犬を飼いたい? 誰が世話をするの? お母さん、面倒はみないわよ」
こんなふうに真っ向から否定するのは、よくありません。
子どもは親に育ててもらっているわけですが、その子どもに、何かを育てる体験をさせるのは、「思いやり」や「やさしさ」、ひいては人をいたわる気持ちを育む大切なことです。
植物は水がなければ枯れてしまいますが、与えすぎてもうまく育ちません。金魚や熱帯 魚は水質の管理が悪いとすぐに尾ぐされ病などにかかってしまいます。小鳥なども水とエサを切らせば死んでしまいますし、種類によっては、冬場に暖を取る工夫も必要になります。犬や猫は「お腹が空いた」「水が飲みたい」「遊んでほしい」を態度で示しますので、ある意味、幼い弟や妹を育てるような感覚が求められます。
つまり、子どもは、そうした動植物の世話を焼くことで、ときに失敗もするでしょうが、いたわりの気持ち、そして責任感までをも体得していくことができるのです。
ですから、動植物の世話をさせる機会を与えないというのはNG。子どもに好きな動植物を選ばせ、購入するだけでも足りず、世話係までやらせることが重要です。
もちろん、動植物を飼育するだけで、子どもが「思いやりのある子」や「やさしい子」になれるわけではありません。それには日頃、お父さんやお母さんが、周囲の人たちに対してどんな態度で接しているのかも問われます。
たとえば、電車の中では高齢者や妊婦に席を譲るなど社会的弱者をいたわる、職場や近所の人たちなどと接する際は相手の気持ちに配慮するなど、日常生活でお父さんやお母さんがしていることを子どもはいつも目にしています。そして、その行動が子どもにも引き継がれていくからです。
子どもを動植物の飼育担当にすることは、自分より弱い立場にいる生き物への気配りを実感として体得できる経験となります。住環境やコストに合わせて、何かを飼育させてみてはいかがでしょうか。

よい親 ダメ親 普通の親
清水克彦
1962年愛媛県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院公共経営研究科(現・政治学研究科)修了。文化放送入社後、政治記者を経て米国留学。帰国後、キャスター、情報ワイド番組プロデューサー、江戸川大学講師などを歴任。現在は、報道部デスクとして政治と教育問題をテーマにした取材や特別番組を手がけるかたわら、育英短期大学現代コミュニケーション学科講師、南海放送「木藤たかおの日曜プレスクラブ」コメンテーターとしても活動中。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』『頭のいい子が育つ祖父母の習慣』(ともにPHP文庫)をはじめ、『子どもの才能を伸ばすママとパパの習慣』(講談社)、『勉強好きな子が育つパパの習慣』(朝日文庫)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『「政治主導」の落とし穴』(平凡社新書)など多数。

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