お金・養育費特集

養育費の目安とトラブル時の対処法とは?

 

離婚してからも、いままでどおりに子どもを育てていくために「お金」は欠かせないものです。子どもを引き取らなかった側には子育てに必要な費用を「養育費」として渡す義務があります。でも残念ながら、養育費の金額設定でもめてしまったり、あとから「お金を振り込んでもらえない」といったトラブルが発生したりすることも少なくありません。養育費の金額の目安やトラブルを未然に防ぐ方法、そしてトラブルになってからの対処方法について解説します。

著者 馬場愛梨

目次

  1. 養育費とは、子どもを育てていくために必要な費用すべてのこと
  2. 養育費はいくら受け取れる?
    1. 養育費の目安(子1人 0~14歳の場合)
  3. 養育費を受け取れない事態を未然に防ぐ方法
    1. 支払時期
    2. 振込先口座
    3. 支払期間
  4. 公正証書にしておけば、もしものときに「強制執行」に踏み切れる
  5. 保証会社を利用すれば、たとえ支払いが滞っても立て替えてくれる
  6. 養育費で起こりがちなトラブルとその対処法
    1. 話し合いができない、話し合いがまとまらない
    2. 約束どおりに支払ってもらえない
    3. 困ったときは公的機関や弁護士に頼る
  7. 子どもの利益を最優先に、養育費を考えよう

養育費とは、子どもを育てていくために必要な費用すべてのこと

【SEO】養育費の目安とトラブル時の対処法とは?
(画像=PKpix/shutterstock.com)

子どもを育てていくために必要な費用のことを「養育費」といいます。子どもが成長するあいだにかかる生活費、教育費、医療費などが含まれます。

離婚後に子どもを引き取らなかった側も、そこで親としての責任がなくなるわけではありません。親権者でなくても、離れて暮らすことになっても、子どもに自分と同じ水準の暮らしをさせてあげられるようにする義務があるとされています。

その義務を果たすために、子どもを引き取らなかった側から、引き取って育てている側に必要なお金を渡すというのが基本的な養育費の考え方です。

養育費は子どもの権利なので、もし親同士がいったん離婚時に「不要」と決めたとしても、あとから必要になれば請求することができます。

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養育費はいくら受け取れる?

養育費をいくらに設定するかは、法律できっちりと定められているわけではありません。基本的には「2人で話し合って導き出したお互いが納得できる金額」ということになります。

それだけだとなかなか具体的な金額を決めるのが難しいということもあるので、裁判所のホームページでは金額の目安となる「算定表」を公開しています。その表では子どもの人数や年齢、夫婦それぞれの収入などに応じて具体的な金額が示されていますので、話し合いの際の参考にするとよいでしょう。

例えば、子どもの人数が1人で、その子の年齢が0~14歳の場合の目安は以下のように設定されています。

養育費の目安(子1人 0~14歳の場合)

【支払う側の年収】

1,000万円 763万円 12~14万円 8~10万円 8~10万円 6~8万円
500万円 373万円 6~8万円 4~6万円 2~4万円 2~4万円
300万円 218万円 4~6万円 2~4万円 2~4万円 2~4万円
0万円 0万円 0~1万円 0~1万円 0~1万円 0~1万円
自営業 0万円 218万円 373万円 763万円
給与所得者 0万円 300万円 500万円 1,000万円

・受け取る側の年収

※裁判所 養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究 改定標準算定表(令和元年版)をもとに筆者にて作成

この場合、支払う側が会社員で年収300万円、受け取る側が専業主婦(年収なし)なら養育費として月に4万円から6万円ほど受け取るのが妥当ということになります。

支払う側の年収が高い、子どもの人数が多い、年齢が15歳以上などの条件があると目安の金額がさらに大きくなります。自分たちの場合はいくらになるのか、以下のページから一度確認してみましょう。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

2016年に厚生労働省が行った「全国ひとり親世帯等調査」によると、決まった金額の養育費を受け取っている、もしくは受け取っていたことがある世帯の平均受け取り額は母子家庭で43,707円、父子家庭で32,550円でした。

養育費を受け取れない事態を未然に防ぐ方法

すでに述べたとおり、養育費は子どもの成長のために必要なお金で、親の生活に余力がなくても支払義務があるものなのですが、厚生労働省の2016年度の調査によれば、離婚したシングルマザーで父親から継続して養育費を受け取れているのは約2割と少数です。

養育費をいつまでたっても払ってもらえない……などと、あとで困らないために最も重要なのは、事前に決めておくことです。養育費について決めておくべきことは金額だけではありません。次のような点も、忘れず具体的に決めておきたいところです。

支払時期

一括なのか、年ごとなのか、月ごとなのか、どのような頻度でお金を授受するか、さらに「毎月〇日」など具体的に振込日や期限を設定しておくとよいでしょう。

振込先口座

どの口座に振り込んでもらうか、相手が確実に把握できるようにしておきます。

支払期間

養育費をいつまで受け取れるのか、確認しておくことです。これも金額同様に、基本的には話し合いで決めます。成人となっても、大学在学中などお金がかかることもあるかもしれません。子どもが経済的に自立するまでを目安に、「〇〇年〇月まで」など具体的に設定しておきたいところです。

法務省のホームページには、決めるべき事項を漏れなく確認して記入できる「子どもの養育に関する合意書」のひな形や、養育費について話し合ううえで知っておきたいポイントについてまとめたパンフレット「合意書作成の手引き」などが用意されています。そういったものを印刷して利用するのもよい方法となるでしょう。

公正証書にしておけば、もしものときに「強制執行」に踏み切れる

養育費について話し合った結果は、口約束だけではなく書面に残しておいたほうが後からもめにくくなります。さらに、自分たちで用意した書面ではなく、「公正証書(こうせいしょうしょ)」という公的な文書にしておくとより確実です。

公正証書の作成や保管は、公証役場(こうしょうやくば)で第三者である法律の専門家が行ってくれるので安心です。取り決め内容を公正証書に残しておけば、約束通りに支払ってくれない場合はすぐに相手の財産の差し押さえといった「強制執行」に踏み切れます。

保証会社を利用すれば、たとえ支払いが滞っても立て替えてくれる

養育費を確実に確保するために、保証会社を活用する方法もあります。保証会社に相手と自分のあいだに入ってもらうことで、別れた相手と直接やり取りすることなく、保証会社を通してお金の引き落としや振り込みが行われるようにできます。

もし相手の支払いが滞っても、その期間は保証会社が立て替えて養育費を支払ってくれます。面倒で気が重くなりがちな相手への督促やお金の回収も、自分の代わりに保証会社が行ってくれるわけです。

近年は、保証会社を利用するための料金(保証料)に対して自治体が補助金を出しているケースもありますので、一度お住まいの自治体の役場窓口やホームページで確認してみるとよいでしょう。

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養育費で起こりがちなトラブルとその対処法

話し合いができない、話し合いがまとまらない

話し合いがどうしてもうまくいかない場合は、家庭裁判所の「家事調停(かじちょうてい)」という手続きを利用することができます。裁判所で行われますが、裁判と違って勝ち負けを決めるようなものではなく、裁判所があいだに入ってお互いの話を聞き、助言やあっせんをしてお互いに納得のいく結論が出せるよう手伝ってくれるイメージです。

お互いに合意できたら、その内容を「調停証書」という書面として受け取ることができます。家事調停でも話がまとまらなければ、裁判に移行して審判を受けることも可能です。

離婚前に取り決めができていなかった場合や「養育費は不要」と伝えていた場合などでも、子育てするうえで必要になった場合には、あとから養育費を請求したり増額を希望したりすることができます。その場合も、基本的には話し合い、難しければ調停、さらにこじれたら裁判という流れになります。

約束どおりに支払ってもらえない

話し合いの結果、養育費を受け取る約束をしていたのにその約束を守ってもらえないということも考えられます。そんなときに取れる手段としては次の3つが考えられます。

  • 手段1:家庭裁判所に調停の申し立てをする 口約束や自分たちで用意した書面による約束だった場合は、まず家庭裁判所の調停を通して法的・公的に認められる形で約束の内容をはっきりさせます。

  • 手段2:家庭裁判所に履行勧告の申し出をする 調停を済ませてもまだ支払ってくれない、調停離婚したときに決めた内容を守ってもらえない、裁判離婚したときに決まった判決のとおりにしてくれないといった場合、家庭裁判所に申し出をすれば、裁判所から相手に対して取り決めを守るよう説得したり勧告したりしてもらうことができます。

  • 手段3:強制執行の手続きをする 約束の内容を記載した公正証書がある、すでに調停や裁判で約束の内容が決まっている、という場合は強制執行という手段を取ることもできます。これは最も威力のある方法で、相手の給与や預貯金、不動産などを差し押さえて強制的に養育費の分を回収することができます。

困ったときは公的機関や弁護士に頼る

公正証書の作成や裁判所への申立てなど、慣れない手続きばかりで悩んでしまうことも多いと思います。そんなときは、ひとりで抱え込まずに相談しましょう。例えば、国の「養育費支援相談センター」では無料の電話相談やメール相談を受け付けています。

各地方自治体にある「母子家庭等就業・自立支援センター」でも、養育費専門の相談員による無料相談のほか、ひとり親のための保育サービスの提供や仕事探しの手伝いなどさまざまな支援が受けられます。

法的手段に出ることを決めているけれど費用面で迷っているなら「法テラス」に頼るという手もあります。法テラスでは、収入が一定額以下などの条件を満たせば無料で弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談できるほか、着手金など依頼にかかる費用をいったん法テラスに立て替えてもらい、あとから分割で支払っていくことのできる制度もあります。

そのほかにも、自治体独自の支援策を打ち出している場合もありますので、一度お住まいの市区町村や都道府県のホームページを確認してみるとよいでしょう。

子どもの利益を最優先に、養育費を考えよう

別れ話のうえにお金や法律の話まで出てきて、精神的に苦しいと感じるかもしれません。「もう相手と関わりたくない」とか「養育費を支払うだけの収入も意思もなさそう」と自己判断してしまい、話を切り出さずに養育費の受け取りをあきらめてしまう人も多いようです。

養育費は子どもの今後のためにとても重要なことですし、「子どもの利益を最優先に考えて協議する」というのは法律でも規定されています。自分では難しいと思ったら、迷わず専門の相談員や弁護士などに相談して味方になってもらいましょう。養育費をきちんと受け取って、親子が離婚後も安心して暮らせるような選択肢を少しでも増やしていけるといいですね。

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