新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校が長引き、家庭学習による学力の維持・向上が求められてきました。学校は再開したものの、休校期間中の学習の遅れを取り戻すには引き続き家庭での地道なフォローが必要といえるでしょう。そこで注目を集めているのが「無料学習支援サイト」です。教育関連を中心に、多様な企業がサービスを開始しています。この無料学習支援サイトは家庭学習に悩むママへのお助けサービスとなるのか、確認していきましょう。
著者 渡辺友絵
目次
多種多様な事業者が無料の学習支援サービスを開始

全国の学校で休校措置がとられたことを受け、3月から多くの企業が家庭学習に向けた無料サービスを開始しました。学習塾や通信教育事業者、出版社などが中心で、自治体の教育委員会や大手ポータルサイト、NPOも参加しています。
教材の範囲は広く、ダウンロードして使える学習ドリルのようにシンプルなものから、動画やオンラインを活用した授業、学年別に時間割を提供しその内容に沿って学校と同じように学ぶものなど、多岐にわたります。
ここで紹介するサイトは現在もサービスを継続しているものの、中には終了時期が明確でないサイトもあります。状況によっては発生しかねない、感染の第2波による再休校の予測が困難なためだと考えられますが、サービス期間については注意が必要です。
手軽で便利な学習ドリルを無料ダウンロードできる
一斉休校が始まった際には、書店で学習ドリルや参考書が売り切れ状態になりました。この点、ダウンロードして使える学習ドリルはとても便利です。学年や科目、習熟度に合わせて入手できるため、手間をかけずに学力の維持や向上につなげることができます。以下、教材のダウンロードサービスを展開する注目サイトを確認していきましょう
ECCジュニア「学習支援サイト」
英会話教室を運営するECCジュニアのサイトでは、幼児から小学生を対象に英語、国語、算数のプリントをダウンロードできます。イラストをたくさん使ったビジュアルデザインが多く、子どもが取り組みやすいように工夫されています。
教育出版「児童生徒用の学習支援コンテンツの紹介」
教育出版では、小学生と中学生の国語、算数、理科、社会、英語などの自宅学習課題やワークシートを提供しています。植物図鑑や昆虫図鑑、言葉の手引きといった参考資料もオンライン上で公開していて、自主学習のサポートにつなげることができます。
ベネッセコーポレーション「春の総復習」
教育通信会社のベネッセコーポレーションは小学生から高校生まで各学年別に、「春の総復習」として国語、算数、英語など主要5教科のドリルをダウンロードできるようにしています。25~80ページとボリュームたっぷりで、高校1年生にはリスニング教材も付いている本格サービスです。
日本財団「ウミドリる」
「ステイホーム」のスペシャル企画として日本財団も学習ドリルを展開しています。小学校4~6年生向けに提供する「ウミドリる」は、国語、算数、理科、社会の4教科と一緒に海のことも学べる学習用ドリルです。 ウミドリ(海鳥)が各教科を楽しく案内する仕組みで、各教科とも15分を目安に解答し、答え合わせもできるようになっています。
東京都教育委員会「東京ベーシック・ドリル」
東京都教育委員会は小学1年生から中学1年生までの主要5教科の基礎知識を身に付けられるように、「東京ベーシック・ドリル」を公開しています。印刷して利用するだけでなく、パソコンやタブレット端末等を使って問題を解いたり採点したりすることもできます。
バラエティに富んだ動画配信のオンライン授業も
動画による学習支援サービスは、自習感が少なく、子どもが自主的に学びやすいことが特徴といえるでしょう。芸能人や個性的な先生が登場するのも動画サービスならではです。こちらもサービスが増えており、テーマも多彩です。
NHK「NHK for School」
NHKが提供する「NHK for School」はEテレの放送番組をネットで視聴できるもので、対象は幼稚園・保育所から高校まで。さらには特別支援学級向け動画もあります。
学校の授業で学ぶ内容をわかりやすくコンパクトな形で構成し、1番組が10分程度にまとめられています。2,000本の番組と、番組に関連した7,000本の動画クリップが視聴でき、主要5教科のほかに道徳、生活科、実技などの動画もあります。
教育測定研究所「スタディチャンネル」
YouTubeで展開されている教育測定研究所の「スタディチャンネル」は、小学生と中学生の9学年を対象に国語、社会、算数・数学、理科、英語の5教科について動画で解説します。それぞれ個性的な先生たちがテンポのよい楽しい会話で盛り上げ、親しみやすい授業を展開します。
Yahoo「Stay Home おうち授業」
「Stay Home おうち授業」を開設した大手ポータルサイトのYahooは、漢字や歴史、工作、科学実験、スポーツなどを動画配信しています。講師には芸能人や文化人、アスリートなど多くの著名人を起用しており、クイズ形式なども楽しみながらさまざまな知識が身につくバラエティ豊かな授業が特徴です。
未就学児向には生活習慣学習や絵本の読み聞かせ
ここからは未就学児向けの注目サービスを紹介しましょう。動画サービスが中心で、幼児が学ぶべき生活習慣や基礎的な言語、情操教育に役立つ内容が確認できます。
ベネッセコーポレーション「サマースクール」
ベネッセコーポレーションは園児を対象にオンライン幼稚園「サマースクール」を動画配信しています。人気キャラクターの「しまじろう」やお姉さん先生と一緒に、マスクのつけ方や朝の支度など園生活に向けた生活習慣を学んだり、リトミックでからだを動かしたりなど、生活リズムを整えるのにも役立ちそうです。
学研「学研の絵本 読み聞かせ動画」
「学研の絵本 読み聞かせ動画」では、未就学児向けの月刊絵本や書店の絵本を同社の絵本編集者たちが読み聞かせしてくれます。絵本は年齢別に選ばれていて、自動的にデジタル絵本がめくられるので、本当に読み聞かせを聞いているような体験ができます。
1日の過ごし方まで任せられる。時間割を提案してくれる動画サービス
学校生活においては時間割があり、それにのっとって毎日を過ごします。この規則正しい学習習慣を自宅でも行えるようサポートしてくれるサービスも登場しています。小学生、中学生それぞれ学年別に役立つサービスを紹介しましょう。
学研「あなたの時間割表」
学研は小学生の学年別に、1日の過ごし方のスケジュールとそれぞれの学習内容を提案する「あなたの時間割表」を配信しています。起床から始まり、1時間目から5時間目までの時間割や、読書や家の手伝いといった放課後・帰宅後の過ごし方も提案します。体育では縄跳び、夕食の手伝いではクッキングなど、子どもが喜びそうな動画を視聴することもできます。
eboard「eboardホームスクール」
NPOのeboardも小学生と中学生の各学年向けに、週替わりで国語、算数、理科、社会、体育など時間割形式の映像授業「eboardホームスクール」を配信しています。デジタル白板を使い各単元の基礎から先生が説明するもので、先週の授業で学んだ内容を踏まえながら進めていきます。過去の授業を見逃していても時間割にさかのぼってアーカイブ視聴できるため、授業に追い着くことが可能で復習にも役立ちます。
継続的活用で今後の家庭学習につながる可能性
こうして見てくると、「無料学習支援サイト」にも、さまざまな種類のサービスがあることがわかりました。今回は会員登録不要のサイトを集めましたが、お試しで登録すれば双方向授業を一定期間無料で利用できるサービスもあります。ぜひ探してみてください。
子どもにきちんと家庭学習してもらうことはなかなか難しく、ママにとって大きな悩みではないかと思います。学校は始まりましたが、これらのサイトを継続的に有効活用していけば、今後の家庭学習に役立てることができるかもしれません。これらの新しい学習支援サービスを、ぜひ確認してみてください。
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