お金・養育費特集

払ってもらえないときはどうしたらいい?養育費について徹底解説!

 

離婚は、結婚と同じように法律によって決められています。離婚に際しては、その後の新たな生活のことを考えて、最善の手続きをしておきたいものです。未成年の子どもがいる場合、親は子どもを育てる義務がありますので、離婚して別に住むようになっても、養育費を支払わなければならないとされています。未婚の場合も養育費をもらえる可能性があります。ここでは養育費について徹底解説します。

著者 藤原洋子

目次

  1. 養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでの費用
  2. 実際養育費を受けている割合は、母子世帯で39.8%、父子世帯で8.1%
    1. 子どもの養育費についての相談
    2. 養育費の取り決め
    3. 取り決めをしていない理由
    4. 養育費の受給状況
  3. 養育費は実際にいくらもらえる? 計算方法を確認
  4. いつまでもらえる?トラブルにならない取り決め方法
  5. 養育費の取り決めはすべて書面で残しておく
  6. 払ってもらえないときはどうしたらいい?
    1. 履行確保の手続き
    2. 強制執行の手続き:間接強制
    3. 強制執行の手続き:直接強制
  7. 離婚の際の手続きについてしっかり相談を

養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでの費用

払ってもらえないときはどうしたらいい?養育費について徹底解説!
(画像=metamorworks/shutterstock)

養育費とは、子どもが健やかに育つために必要な、監護や養育のための費用のことを言います。一般的には、経済的・社会的に自立するまでにかかる費用を意味しています。例えば、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれにあたるとされています。

結婚している夫婦の間や、子どもの生活について、扶養者は自分の生活と同じくらいの水準の生活を保障する義務があります。このことを生活保持義務といいます。夫婦が離婚しても、子どもであることに変わりはないので、子どもへの生活保持義務は変わりません。これは、扶養義務の中でも強い義務で、親に余裕がなくても、負わなければならないと考えられています。

離婚する際に養育費について決めていない場合や、「払わない」あるいは「受け取らない」としていても、子どもの受け取る権利が失われることはありません。離婚後の事情によって、あらためて養育費について話し合い、決めることも可能で、親が受け取らないと権利を放棄しても、子どもから請求できる場合もあります。

実際養育費を受けている割合は、母子世帯で39.8%、父子世帯で8.1%

全国の母子世帯、父子世帯では、養育費について取り決めなどをどの程度行っているのでしょうか。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」をもとに養育費の実態をまとめました。※図版はすべて同資料をもとに編集部にて作成

子どもの養育費についての相談

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母子世帯においては、おおよそ半数の世帯で養育費について相談しています。母子世帯の母において、相談相手は「親族」が最も多く47.7%、次は「家庭裁判所」で17.1%となっています。一方の父子世帯では、約66%の世帯で「相談しなかった」となり、父子世帯の父において相談相手は「親族」53.1%、次いで「弁護士」18.8%となっています。

養育費の取り決め

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母子世帯の母で「養育費の取り決めをしている」のは43%程度です。データの詳細を見ると、ひとり親になってからの年数が短いほうが、「取り決めをしている」世帯の割合が高く、また「未婚」は「離婚」と比べて「取り決めをしている」世帯の割合が低くなっています。

取り決めをしていない理由

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養育費の受給状況

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実際に養育費を受けている割合は、母子世帯で39.8%、父子世帯で8.1%です。取り決めをしていないケースも多く、離婚後も父母が協力して子どもを育てることの難しさが感じられます。

離婚という結論を出し、その後の生活を築いていくことは、親にとっても大変なことですが、子どもも乗り越えていかなければなりません。子どもが健やかに成長するためにも、できる限り養育費の取り決めをしておくことが望ましいでしょう。

子どもと暮らす親は、子どもの病気などで費用が多くかかることがあるかもしれません。離れて暮らす親は、再婚して扶養すべき家族が増えることもあるでしょう。その後の状況によって増額の請求をすることができますし、逆に減額の請求を受けることがあるかもしれません。しかし養育費は、子どもの生活を支える大切なお金ですから、支払いは子どもが成長するまで継続していくことが必要です。

養育費は実際にいくらもらえる? 計算方法を確認

養育費はいくらもらえるのでしょうか?計算方法は、次のようになります。

まずは支払う側と受け取る側の双方から、それぞれの基礎収入額を認定します。基礎収入額とは、総収入から所得税や住民税などの公租公課、被服費や交通費などの職業費、住居費などの特別経費を差し引いて求めます。

支払う側の負担能力を確認し、基礎収入額から子どもにあてなければならない生活費を認定します。その後、支払う側と受け取る側の基礎収入額の割合で按分し、支払う側の負担分を認定します。最近では、「養育費・婚姻費用算定表」を参考にして決定されています。

新しい「養育費・婚姻費用算定表」が、最高裁判所から2019年12月23日に公表され、新基準に改正されました。いままでは、2003年に作られたものが使われていましたが、その後の消費税の増税や、物価の変動などが反映されています。今回の改正で、1~2万円の増額が見込まれるとされています。今後、新たに養育費の取り決めを行う世帯や、客観的な事情変更により養育費の変更をする世帯において、この新基準が該当することになります。

養育費を現在も受けている世帯、または受けたことがある世帯で、金額が決まっている世帯の割合は、母子世帯で84.4%、父子世帯で80.0%になっています。受け取っている養育費の平均月額は、母子世帯4万3,707円、父子世帯3万2,550円です。

受け取っている世帯の多くは、養育費の金額があらかじめ決まっています。養育費の取り決めをする際には、金額や支払期間、振込先などを具体的に決めて、書面に残しておくとよいでしょう。

いつまでもらえる?トラブルにならない取り決め方法

養育費は子どもが自分で働いて、経済的に自立することが期待できない場合に支払われなければならないものです。支払の期間は、子どもが未成年か成年かで一律には決められません。

例えば、子どもが成年に達していても、大学に在学中であれば、経済的な自立を期待することは難しい場合が多いですから、親は養育費を支払う義務を負うことになります。

養育費の支払期間を取り決める際に、終える時期については、大学などへ進学する可能性もありますので、経済的に自立できると見込まれる時期を考えて、子どもの成長、自立のために必要な期間を十分にとって設定しておきましょう。

成年年齢は、2022年4月1日より、それまでの20歳から18歳へ引き下げられます。養育費の支払を終える時期は、「子どもが成年に達する日まで」という決め方より、のちにトラブルが起こらないように、「○年○月○日まで」や「子どもが22歳に達した後の3月まで」などど、具体的に決めておきましょう。

養育費の取り決めはすべて書面で残しておく

新しい生活が始まる時期には、すぐに養育費の支払が行われるように、養育費について決めておくことが大切です。取り決めを行った事実やその内容は、その後にトラブルが起きないように、口約束だけにせず、書面に残しておきましょう。

その場合は、できるだけ公正証書にしておくのがよいでしょう。一定の条件を満たす公正証書を作成しておくと、支払ってもらえないときにはスムーズに強制執行の手続きを利用することができるからです。

養育費の取り決めが口頭だけであったり、文書に残されていても、それが法律で定められていない文書であったりする場合は、家庭裁判所に家事調停などの申立てをしなければ、すぐに強制執行の手続きを利用することはできません。公正証書は、法務省の管轄となっている最寄りの公証役場で作成できますのでご相談ください。

離婚と同時に養育費の取り決めを行う場合、話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所での離婚についての調停のなかで、あわせて決めておくことができます。また、訴訟の中で判決を求めることもできます。

払ってもらえないときはどうしたらいい?

家庭裁判所で養育費を支払うことが決まったにもかかわらず、支払ってもらえないときは、次の手続きを利用することができます。

履行確保の手続き

家庭裁判所に申し出をすると、家庭裁判所は相手に対して、取り決めの通り養育費を支払うように説得したり、勧告したりする手続きです。手続きに費用はかかりませんが、勧告に応じない場合に支払いを強制することはできないものです。

強制執行の手続き:間接強制

家庭裁判所に申し出をすると、一定の期間内に養育費が支払われない場合は、養育費とは別にペナルティが課されるという警告が家庭裁判所からなされ、支払い義務者に支払いをうながす手続きです。

強制執行の手続き:直接強制

地方裁判所に申し出をすると、地方裁判所は、相手の財産の差し押さえをし、その財産の中から支払いを受ける手続きです。払ってもらえなかった養育費や将来の養育費を、支払い義務者の給与の1/2に相当する金額まで差し押さえられます。

2020年4月1日から民事執行法が改正、施行されます。相手の勤務先や電話番号が変わって連絡が取れず、相手の財産や勤務先を自分で見つけられなくても、判決書などにもとづいて地方裁判所に申し立てると、支払者の情報を金融機関や市町村、年金事務所などから得られるようになります。この改正によって、差し押えがしやすくなるといわれています。

離婚の際の手続きについてしっかり相談を

養育費について、「相談をしなかった」という世帯は、母子世帯の母では45.5%、父子世帯の父では65.9%となっています。また、養育費の取り決めをしていない世帯は、母子世帯の母では54.2%、父子世帯の父では74.4%です。

そもそも日常の会話がうまくいかないなどの間柄であれば、「相手と関わりたくない」という理由で、養育費の交渉をあきらめている場合もあるでしょう。支払う能力がないという場合もあります。しかし、払ってもらえないと、自分で決めつけている場合もあるかもしれません。裁判所に申し立てをすると、支払うことができる人に対しては、「相応の養育費を払いなさい」と判決が下されます。

お住まいの区市町村でも、さまざまな支援を受けられる場合がありますので、まずは聞いてみるとよいでしょう。

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