子育て・教育特集

【連載#1】不登校

『どうしたらいいかわからない君のための 人生の歩きかた図鑑
本,少女
(画像=Alena Ozerova/stock.adobe.com)


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目次

  1. 学校に行けない、こわい、行きいたくない
  2. なやみごと
  3. どうすればわかってもらえる?親や学校への相談
  4. こう君の場合

学校に行けない、こわい、行きいたくない

 十三万人―。
 これは、不登校の小中学生の数だ。中学校ならば、一クラスに一人、不登校の子がいることになる。それだけ多くの子どもたちが同じ苦しみをかかえているということなんだ。
 不登校の子は、いろんな心配ごとをかかえている。
 高校へ進学できないかもしれない。友だちが一生できないかもしれない。社会で働くことができないかもしれない……。
 でも、そんなことはない。
 不登校の生徒の八〇パーセント以上は、途中で学校へ行けるようになって高校へ進学しているし、この本で紹介するように学校へ行かなくたって、いくらだって人生をきりひらいていく方法はある。
芸能人、スポーツ選手、芸術家、社長、政治家など、有名になった人の中にも不登校だった人はたくさんいる。友だちだってムリヤリつくるものじゃない。人生は長い。たった数年間学校へ行かなくたって、いくらだって友だちを増やすことはできる。
 こう考えてみてはどうかな。
 不登校の期間は、君がいったん立ち止まって、これからの人生のことをしっかりと考え直すことができる時間だって。
 人はずっと走り続けることはできない。どこかで立ち止まることが必要だ。
 これは人生においても同じ。 一度立ち止まって、自分を見つめてみることは、きっといい結果をもたらしてくれる。不登校というのは、そんな時間なんだ。

なやみごと

 不登校になった人なら、こんな質問をされたことがあるにちがいない。

 なんで、学校へ行きたくないの?

 うまく答えられる人もいれば、そうではない人もいるはずだ。なぜなら、不登校にはさまざまな理由があるからだ。
 次ページのグラフを見てほしい。いじめや、進路の不安のほかにも、こんなにたくさんの原因があることがわかるよね。それだけいろんな理由で苦しんでいるということなんだ。

 また、意外によく聞くのが、「自分でも不登校の理由がわからない」っていうもの。
いくつもの原因がこんがらがってしまっていたり、なんとなく学校へ行くのがこわい、不安だ、その気にならない、という理由から休んでいたりするうちに、いつのまにか学校に行けなくなってしまう。
 とはいえ、たったひとりでなやみ続けるのはたいへんだよね。
 君がかかえている問題は、とても大きく重いはずだ。つぶされてしまうギリギリの状態かもしれない。
 それなら、少しでもそれを軽くしてみないか。そうすれば、生きていることが、今よりずっと楽になるはずだから。じゃあ、どうすればいいか。
 ひとりで解決できないなら、力を貸してくれるおとなを見つけだして、相談をすることだ。
 今からその方法を、君に伝えたいと思う。

どうすればわかってもらえる?親や学校への相談

 君のまわりにいるおとなは、親や親せき、それに学校の先生だと思う。彼らは一番の理解者であり、相談をすれば真剣に話を聞いてくれるはずだ。
 おおぜいの子どもたちが親や先生に助けられている。そういう意味では、まっさきに相談してみる相手だろう。
 ふだんは口うるさくても、あんまり話を聞いてくれなくても、君が本気で話をすれば、できるかぎりのことをしてくれるはずだ。親は命をかけて君を産んで育ててくれているわけだし、先生は君を守るのがつとめだ。だれよりも親身になってくれる。
 もし不安だったり、どう言っていいかわからないようなら、ヘタでもいいから、手紙にしてみてほしい。内容は次の四つを忘れずに。

(1)いつから、何に、こまっているのか
(2)それによって、今どんな状況にあるのか
(3)なぜ解決できないでいるのか
(4)これから、どうしてほしいのか

 紙一枚でいい。これらを書いてわたせば、親や先生ならすぐに理解し、力になってくれるはずだ。
 でも、残念ながら、親や先生の一部は、期待にこたえないかもしれない。あるいは、親や先生自身が君のなやみのもとだってことだってある。そういう場合は、なかなか親や先生には打ち明けにくいよね。
 だからといってあきらめないでほしい。君のそばには、なやみごとを解決するプロがいる。それがスクールカウンセラーだ。
 学校にはスクールカウンセラーのほか、スクールソーシャルワーカーと呼ばれる人がいる。
 役割は少しずつちがうし、学校によってどちらがいるかもバラバラなんだけど、子どもたちのなやみごとを解決するプロという意味では同じだ。
 ここではひとまず「スクールカウンセラー」とひとくくりにさせてもらうね。
 もし君が親や先生に相談できなければ、このスクールカウンセラーをたよってみるといい。
 スクールカウンセラーは君がこまっていることを知れば、学校や家などでじっくりと話を聞こうとするはずだ。君がのぞめば、一対一でもいいし、先生を入れても、親に来てもらってもいい。好きな形で話すことができる。
 スクールカウンセラーは「心の専門家」だ。だから、君がどんなことでなやんでいて、それがどれだけプレッシャーやストレスになっていて、どうすれば解決できるかということがわかっている。
 場合によっては、君を保護したり、病院を紹介することもできるし、同級生や親との間に入って君の味方について話し合いをしてくれたりする。
 たとえば、こんな感じだ。

こう君の場合

 こう君は、学校で太っていることとアトピー性皮ふ炎であることを理由にからかわれていた。お父さんもお母さんも仕事でいそがしくて相談にのってくれず、中学一年のときから学校に行かなくなった。
 学校の先生が熱心に家庭訪問してくれたが、体型やアトピーが原因だとはずかしくて言えなかった。それで別の人に相談したいと言ったところ、スクールカウンセラーを紹介された。
 ほかの生徒たちにきちんと指導をするように言った。そしてスクールカウンセラーもくわわってクラス会議が開かれた。生徒たちは自分たちの言葉がいかにこう君を傷つけていたかを知った。
 同時に、スクールカウンセラーは、こう君の親に対してきちんとアトピーの治療を受けるように言った。専門の病院を紹介し、少しでもよくなるよう手助けしたのだ。
 また、親がごはんをつくらず、甘いおかしばかり食べさせていたのが太った原因の一つだったので、食生活も見直してもらうようにした。
 こう君はいきなりクラスメイトに会うのがこわいので、まず別室登校といって別の教室で勉強をすることにした。そしてだんだんとクラスに顔を出せるようになり、中学二年生になったころには、アトピーもよくなり、クラスで授業を受けることもできるようになった。こうして不登校の問題が解決した。

 こんなふうに、スクールカウンセラーは、学校だけでなく、家庭の問題も解決してくれたり、君に病院を紹介してくれたりする。
 何をどうすれば、君が一番楽になるかということをわかっていて手助けしてくれるんだ。

人生の歩きかた図鑑
石井光太(いしい・こうた)
1977年、東京生まれ。『物乞う仏陀』でデビューし、国内外を舞台したノンフィクションを精力的に発表。『レンタルチャイルド』『浮浪児1945–』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『漂流児童』など、子どもの問題を扱った作品も多い。児童書に『ぼくたちはなぜ、学校に行くのか。』『みんなのチャンス』『幸せとまずしさの教室』『君が世界を変えるなら(シリーズ)』などがある。他に小説など著書多数。

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