養育費を受け取るためには、双方の話し合いによる「取り決め」が必要になりますが、とある調査では養育費の取り決めをしなかったシングルマザーは50%以上にもなることがわかりました。

元パートナーとの関わりを断ちたい、支払い能力がなさそうで諦めた、というママの気持ちが主な理由ですが、養育費の支払いは法律で義務付けられているもの。しっかり受け取って子どもの生活を安定させるために、基本的な情報と取り決めのポイントについて解説します。

養育費の支払いは法律で定められた義務。親は子どもを扶養しなければならない

養育費の支払いは、「扶養義務」として法律で定められているものです。民法第877条第1項には「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と記されており、親は一緒に住む・住まないに関わらず、子どもの扶養義務を負うことになります。たとえ経済的余裕がなく自己破産したとしても、その支払い義務は免れません。

また、扶養義務の内容は「生活保持義務」とされています。これは「子どもが最低限の生活を送れるように」ではなく、「親と同程度の生活水準を保てるように」扶養する義務があるということです。養育費の受け取りは、子どもの正当な権利でもあるのです。

「義務」というと極めて事務的で厳しい印象を受けますが、支払う元パートナーにとっては、形を変えて子どもの成長に関わりを持ち続けられるということでもあります。面会交流の方法と養育費の内容は、セットで話し合うように心がけておきましょう。

養育費を受け取るため、離婚時の取り決めを確実に

法律にもしっかりと義務づけられている養育費の支払いですが、離婚すれば自動的に支払われるものではありません。元パートナーから養育費を受け取るためには、離婚時に内容の決定や約束を交わす「取り決め」をする必要があります。

取り決めをせず離婚したあと、やはり養育費を受け取りたいと思ったタイミングでの請求もできますが、話し合いで決まらなければ家庭裁判所の調停や審判という形をとるケースも出てきます。ちなみに、受け取って来なかった期間の養育費をさかのぼって請求することは原則できないため、やはり離婚時に取り決めをしておくことが大切です。

養育費の取り決め。ポイントは大きく4つ

養育費の取り決めを行ううえでの大まかなポイントを解説していきます。

ポイント1:金額を決める

基本的には話し合いで双方の合意が得られればOKなのですが、裁判所や日本弁護士連合会が作成し、公表している「養育費算定表」を参考にする方法もあります。日頃から家計簿をつけておくと、生活保持のためにどれくらいの金額が必要なのかを判断する際に大切な材料になります。子育てには習い事の発表会や遠征など、イレギュラーな出費も発生しますから、賞与の時期にプラスアルファを加えるかどうかも話し合いましょう。

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ポイント2:支払期間を決める

子どもが成人するまでともいわれますが、明確な期間はありません。民法には「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」(第766条第1項)という一文もあり、子どもが経済的に自立できるまでが目安になります。高校卒業後に就職することが決まっていれば18歳まで、大学進学するなら学費を払い終える22歳までという考え方もあります。

ポイント3:支払時期を決める

元パートナーの給料日に合わせて月に1回受け取るのが一般的ですが、双方の話し合いで年払いや一括払いも可能です。ただし一括払いの場合、額が大きくなると贈与税が課される可能性があるので注意しましょう。

ポイント4:支払い方法を決める

子ども名義の預金口座への振込みが多いようですが、特段の決まりはありません。しかし手渡しだと記録が残らないため、「払った」「払ってない」などのトラブルに発展しないよう、振込にしておいたほうが無難です。色々なケースを想定して、取り決めは慎重に行いましょう。

以上のような項目について取り決めたら、内容をしっかりと書面に残しておきます。支払いが滞った場合、強制執行の手続きをすることができる公正証書を作成しておくと確実です。公正証書の作成は、最寄りの公証役場で相談することができます。

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養育費は子どもの未来を守るためのもの

養育費の支払いは親の義務であり子どもの正当な権利であること、離婚時の取り決めの大切さや、そのポイントなどをご説明してきました。離婚に至るまでにはさまざまな理由や葛藤があると思いますが、取り決めをせず急いで離婚してしまっては、本来受け取れたはずの額が大きく減ってしまうことも。この記事で、着実に手続きを踏んで行くことの大切さが少しでもお伝えできたなら幸いです。

養育費は単なる生活費ではなく、子どもの未来を守り可能性を広げるための資金です。子どもの希望を叶えるためにも、しっかりと受け取るようにしたいですね。