
【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。
目次
親子の会話はあるか
生活習慣の基本を身につけるなら「早寝早起き朝ごはん」が一番
子どもの精神を伸ばす基本は、「きちんとした生活習慣」の確立と「親子のコミュニケーション」の充実、この2つに尽きます。この2つは素直な子に育てる第一歩でもあります。「きちんとした生活習慣」とは、代表的なもので言えば「早寝早起き朝ごはん」です。
小学生であれば、8時間程度の睡眠をとらせ、朝ごはんもしっかり食べさせることです。
ダメ親は、親自らが受験生時代からどっぷり浸っている夜型生活から抜け切れず、朝ごはんもパン1枚とか、場合によっては朝ごはん抜きで出社します。子どももそれにならい、夜ふかしと朝食抜きが当たり前の不健康な循環に入っていきます。
それが常態化すると、日中、ボーっと過ごすことが増え、授業に身が入らないばかりか、イライラしてキレやすくなったり、うっかりによるケガまで多くなってしまいます。
子どもを伸ばしたいと思えば、まずお父さんやお母さんができる限り朝型の生活に切り替え、朝ごはんをもりもり食べることを習慣化することが大切です。
素直な子になるかは、親子の会話の有無にかかっている
親によってできるできないの差が大きく分かれるのが「親子のコミュニケーション」です。最近は共働きのケースが増えているので、お父さんだけでなくお母さんも、子どもと十分に触れ合えないという家庭も増えています。
だからといって、そのままの状態に甘んじているのはダメ親です。子どもは両親とのコミュニケーションの中で、さまざまな知識を得ます。社会のルール、世の中の動きなど、初めて聞く情報がたくさんあります。お父さんやお母さんとの会話は子どもにとって「気づき」の連続なのです。
また、言葉を交わす中で、相手に理解してもらうための話し方も身につけていきます。「順を追って話す」や「理由や根拠をあげて話す」、あるいは「相手の顔を見て意見をはっきり言う」という習慣は家族間での会話で身につくものです。
次のデータを見てください。これは、シチズンが小学生の子どもを持つ親を対象に実施した「親子のふれあい時間」調査(2012年6月発表)の結果です。
▽お子さんと会話する時間は1日平均どれくらいありますか?
- 父親(平日)2007年=48分 2012年=54分
- 母親(平日)同=108分 同=115分
皆さんの家庭はいかがでしょうか。「うちはこれより少ない」と思ったなら、まず、会話の時間を意識的に増やすことから始め、「へえ」「なるほど」「それはすごい」といった相槌を打ちながら、子どもの話を最後まで聞くという姿勢を見せてください。家で仕事の続きをしていても、家事の最中であっても、少しの間手を止めて耳を傾けていただけたらと思います。それができれば及第点です。
よい親は、子どもの話の中で「○」の部分(いい部分)をとらえ、「お友だちに優しくしてあげられたのはえらいね」「言い訳をしないで先生にちゃんと謝ることができたのは立派だよ」などと前向きに評価します。
そうすれば、子どもは何でも話すようになります。自分の話を受け止めてくれる両親の姿勢に「愛されている」と実感し、その言葉も素直に受け入れるようになります。
「あいさつ」をするとき
親のこんな習慣が、あいさつのできない子どもを生む
素直な子どもに育てるには、日常生活の中で、お父さんやお母さんが、明るく大きな声であいさつをする習慣が大切になります。
あいさつは、相手の存在を認め、尊重し、仲よくしたいというサインで、親子の関係で言えば、愛情の証であり、絆を強くし確認し合う気持ちの表明だからです。
ダメ親は、子どもに「あいさつぐらいちゃんとしなさい」などと言いつつ、自分自身は案外できていなかったりします。
「パパ、おはよう」
このように、子どもに声をかけられたにもかかわらず、「おう」のひと言で済ませたり、
「ママ、おやすみなさい」
と言われたのに、それには直接答えず、「宿題、全部やったんでしょうね」とか「何時まで起きているの?早く寝なさい」と叱ったりしていませんか? まず、「おはよう」には「おはよう」で返し、「おやすみなさい」には「はい、おやすみ」と答えることが重要です。
社会学的に言えば、家族という単位は、ゲマインシャフト(信頼に満ちた親密な水入らずの共同生活)で、情緒安定機能という働きを持つとされています。
簡単に言うと、親子で明るくあいさつを交わす習慣があれば、子どもも「自分は家族の一員」「僕(私)は大事にされている」と実感し、気持ちが安定するということになります。
「おおいた弁」が、いいあいさつをできる子どもに育てる
筆者は、講演会などで日頃のあいさつについて話をする際、「おおいた弁を大切に」と述べています。この「おおいた弁」とは大分県の方言ではありません。「お」や「い」、それに「た」で始まるフレーズのことです。
- 「お」=おはよう、おかえり、おやすみ
- 「い」=行ってきます、行ってらっしゃい、いただきます
- 「た」=ただいま
これらの言葉は、「こんにちは」や「こんばんは」などと合わせ、あいさつの代表選手です。家族間だけなら、これでほとんど事が足りる言葉です。
ふつうの親であれば、「そんなの、うちではとっくにやっているよ」という話かもしれませんが、明るく大きな声で声をかけているか、がポイントになります。
前夜に親子げんかをしたときなど、翌朝まで嫌なムードが残り、明るくあいさつする気分になれない日もあります。そんなときでも、あなたから努めて明るく、相手の顔を見ながら声をかけてみてください。そうすれば、子どもは晴れ晴れとした気持ちになり、学校での授業にも身が入りやすくなります。
あいさつの効用は、相手の心身の状態をうかがい知るという点にもあります。特に子どもの場合、気持ちの浮き沈みが表情や声のトーンに出やすいので、表情が暗かったり声が小さかったりすると、「何か学校であったかな?」と察知できます。
あいさつで言えば、「親が第三者へのあいさつを明るい声でする」というのも非常に大切で、親が誰とでも気持ちのいいあいさつができていると、子どももそれにならい、近所の人と会った際、躊躇せず「こんにちは」と言える子に育っていくことでしょう。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます
【著者】清水克彦(しみず・かつひこ)
1962年愛媛県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院公共経営研究科(現・政治学研究科)修了。文化放送入社後、政治記者を経て米国留学。帰国後、キャスター、情報ワイド番組プロデューサー、江戸川大学講師などを歴任。現在は、報道部デスクとして政治と教育問題をテーマにした取材や特別番組を手がけるかたわら、育英短期大学現代コミュニケーション学科講師、南海放送「木藤たかおの日曜プレスクラブ」コメンテーターとしても活動中。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』『頭のいい子が育つ祖父母の習慣』(ともにPHP文庫)をはじめ、『子どもの才能を伸ばすママとパパの習慣』(講談社)、『勉強好きな子が育つパパの習慣』(朝日文庫)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『「政治主導」の落とし穴』(平凡社新書)など多数。