
【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。
目次
子どもが失敗したとき
失敗したときの対応を誤るとウソをつく子になる
「10打数3安打と100打数4安打、どっちがえらいと思う?」
これは筆者が、かつて、野球が大好きな娘に問いかけた質問です。皆さんは、どちらが優れていると答えるでしょうか。ふつうに考えれば、「10打数3安打のほうがいい」と答えるはずなのですが、筆者は「100打数4安打のほうがえらい」と教えてきました。
というのも、10回トライするよりも100回挑戦する生き方のほうがはるかにポジティブだから。数多く失敗しても、その中から「成功の芽」を見出し、成長してくれればいいと考えてきたからです。実際、子どもに失敗はつきものです。
「学校で、教室を掃除しているとき、つい花瓶を割ってしまった」
「運動会でリレーの選手になったのに、バトンを落としてしまった」
「テストでうっかりミスによって、できるはずの問題も×になってしまった」
こんなことの繰り返しです。こうした場合、親の対応として最悪なのが、
「次に、ちゃんとやればいいじゃない」
と、子どもの失敗をスルーしてしまうことです。一見、優しくて理解のある親の態度に見えるかもしれませんが、失敗の内容によっては、子どもは「何が悪くてミスをしたのか」がわからず、また同じミスを繰り返してしまいます。ふつうの親は、
「どうして注意しながらやらないの?情けない」
などと叱るケースが多いはずです。実はこれもお勧めできません。
子どもの心に、「まずいことをやってしまった」という思いと「失敗したら厳しく叱られる」という印象が強く残るからです。そうなると、子どもによっては、失敗した際、懸命に言い訳を考えるようになります。叱られたくないばっかりにウソをつくようになる恐れもあります。
失敗イコール「成長の糧」と知っている親の賢い対応
子どもは失敗することで学び、原因を把握することで成長していくものです。野球で言えば、たとえ最初の数回は凡打しても、「なぜ打ち損ねたのか」を考え、よくなかった部分を改善してヒットを打ってくれればいいわけです。
ですから、子どもを素直な子にしたい、いい方向に伸ばしたいと思うなら、「子どもの失敗=すばらしいこと、成長へのステップ」ととらえることが肝要です。
筆者が数々の家庭を取材してきた経験から言えることですが、もともと成績がトップクラスという子ではなかったのに、小学校高学年になって成績が伸び、難関とされる国立や私立の中学に合格したという家庭では、「失敗から学ばせる」ということが徹底されています。
勉強面であれ生活習慣であれ、シンプルに言えば、できなかったことを叱るのではなく、どうしてできなかったのか、どうすればできるようになるのかを子どもと一緒に考えてあげればいいのです。
叱責されるのでなければ、子どもは言い訳やウソを考えることなく、間違いを認めたり、よくない結果でもお父さんお母さんに素直に打ち明けたりするようになります。
先ほどの「100打数4安打のほうがえらい」という話は、脚本家のジェームス三木さんが実践してきたもので、ユニクロで知られるファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長も、「私の人生は失敗の連続でした。でもそこから学び、最後に1勝できればいい」と語っているほどです。
見過ごしたり、叱り飛ばしたりするだけで終わりにせず、
「失敗しちゃったか?そうか。じゃあなぜ失敗したか一緒に考えてみようか?」
打ち明けてくれたことを評価しつつ、前向きに対策を練る親を目指しましょう。さらに言えば、「失敗するのは何の問題もない。ただ、それを放置せず、次に同じミスをしないようにすることは、あなたの人生にとって大きなプラスになる」というメッセージを送ることができる親を目指したいものです。
子どもをほめるとき
難関中学に合格する子の家庭で使われる「ア行のほめ言葉」
「すぐに投げ出したり、あきらめたりするのは、子どもが『自分はできる』というイメージを持てないでいるからです」
これは『子どもの心のコーチング』(PHP文庫)などの著書で知られる人材開発コンサルタントの菅原裕子氏の言葉です。
先の項で、子どもの失敗への対処法について述べましたが、「飽きっぽい」「すぐ投げ出す」「打たれ弱い」「自分から進んで行動できない」といった子どもでも、「自分はできる」とか「両親に認めてもらっている」という気持ちが芽生えれば、ずいぶん改善されます。そのためには、子どものいい点を見つけるようにして、見つけたらすぐにほめることです。
両親にほめられた子どもは、心の中に大きな○(自信)をつけます。心の中にたくさん○がつくと気持ちが安定し、もっと○をもらおうと自然に努力するようになります。
メジャーリーグで活躍するイチロー選手、テニス界の貴公子、錦織圭選手、そしてノルディックスキーのワールドカップジャンプ女子で総合優勝を果たした高梨沙羅選手などは、いずれも、両親、中でもお父さんから「とにかくほめて育てられた」という共通の経験を持っています。これは勉強面でも同じです。
筆者が、難関中学に合格した子どもたちに、「お父さんやお母さんから言われて嬉しかった言葉」を挙げてもらったところ、ア行で始まるほめ言葉が並びました。
・嬉しかったア行の言葉=「ありがとう」「いい子だね」「うまい」「えらい」「面白い」
お父さんの中には、「普段から身内をあまりほめない主義」とか「子どもと向き合うとなぜか照れてしまって、なかなかほめられない」という人がいますが、それはNG。
子どもが何かの分野でがんばったり、いい発想をしたりした際には、ワンフレーズで構わないので、前述したア行のほめ言葉をかけてあげてください。親の「驚き」や「感動」を素直に子どもに伝えることが大事です。
やる気スイッチを入れる上手なほめ方とは
子どもを伸ばすには、次のようなほめ方ができるといいでしょう。
- 具体的にほめる
- 間接的にほめ言葉が子どもに届くようにする
このうち、「具体的にほめる」は、「算数の成績が上がったのは、○○ちゃんが毎日がんばってドリルをやったからだね」「ノートの字が上手になったね」など、「ここがすばらしい」と、いい部分を積極的に見つけてあげて具体的にほめるということです。
また、「間接的に届くようにする」とは、たとえば、「お父さんがね、○○ちゃんが一生懸命、なわ跳びの練習をしていたのをほめていたわよ」「塾の先生がね、『○○さんは記憶力がいい』ってほめてたよ」と、誰かのほめ言葉を、直接ではなく間接的に伝える手法です。
ほめ言葉はどれも、子どもの「やる気」にスイッチを入れるものですが、第三者を通して伝わると、「お父さんって、僕(私)のことをそんなふうに思っていてくれたんだ」「先生は高く評価してくれている」という思いが強くなり、心の中がぽっかぽかになります。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます
【著者】清水克彦(しみず・かつひこ)
1962年愛媛県生まれ。早稲田大学教育学部卒業、同大学院公共経営研究科(現・政治学研究科)修了。文化放送入社後、政治記者を経て米国留学。帰国後、キャスター、情報ワイド番組プロデューサー、江戸川大学講師などを歴任。現在は、報道部デスクとして政治と教育問題をテーマにした取材や特別番組を手がけるかたわら、育英短期大学現代コミュニケーション学科講師、南海放送「木藤たかおの日曜プレスクラブ」コメンテーターとしても活動中。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』『頭のいい子が育つ祖父母の習慣』(ともにPHP文庫)をはじめ、『子どもの才能を伸ばすママとパパの習慣』(講談社)、『勉強好きな子が育つパパの習慣』(朝日文庫)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『「政治主導」の落とし穴』(平凡社新書)など多数。