【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。
目次
支援情報の手に入れ方

ひとり親が受けられる支援は子育て支援から就労支援、住宅支援まで様々ですが、黙って待っていても情報が自然に入ってくることはありません。広報が不足していることも原因ですが、それだけではなく支援を受ける側に積極的に情報を取りに行く姿勢が足りないことも原因だと思います。
行政窓口は敷居が高く苦手な人のほうが多いと思います。「できれば用事だけ済ませて早く帰りたい」と思っている人が多いはず。すると、ひとり親が相談窓口を訪れるのは大概は児童扶養手当現況届提出の時期(8月)のみになります。
ですが、その時期は役所は手続きで混雑して、忙しいので丁寧な対応ができません。窓口で冷たい対応をされ、さらに敷居が高くなり、よけいに行きたくなくなるのではないでしょうか?
使える制度はたくさんあるのに、皆さん意外と知らないため生かされていないことをカウンセリングやホームページに寄せられる声を通して感じています。
相談員に相談する
また私は仕事柄、ひとり親家庭の相談員さんとお話しすることも多いのですが、支援したいという思いがなかなか当事者に伝わらずに、どこまで踏み込んだらいいものか困っているというお話も伺います。支援側はどこまでプライベートなことに踏み込んでいいのかわからず、当事者が何を望んでいるのかそっと伺いながら、十分な情報を与えられないことにジレンマを感じていることもあるようです。
情報を手に入れて上手に生かしたいと思ったら、難しいかもしれませんがあまり垣根を自分から作らずに、支援する側が支援しやすいような対応ができるといいと思います。
私もなかなか忙しくて役所に必要もないのに足を運ぶことはできなかったのですが、娘の進学資金の貸付の相談に行った折に貸付以外の様々な制度やひとり親の就労支援の現状など、現場の声を色々と伺うことができて、制度も生かせたし、取材にもなるし、一石二鳥で、たまにはこうしてゆっくりと相談員さんとお話できるのはいいなと感じました。
どこの自治体にも相談員さんが配置されていますので、前もって電話して相談の時間を予約するなどして、余裕をもってお話できる時間を一度設けてみるといいかと思います。予約なしでも話はできますが、余裕をもって話すためには事前に連絡していくことをお奨めします。
民間団体の行なっている支援情報についてはこの章でも触れますが、インターネットや男女共同参画センターにおいてある情報を生かしてアクセスされることをお奨めします。
児童扶養手当の申請
離婚が成立したら、必ず早めに手続きしてほしいのが児童扶養手当の申請です。
児童扶養手当はひとり親家庭などの子どもの福祉の増進を図ることを目的とした国の制度です。両親が離婚して同居を解消した子ども、父または母が死亡した子ども、未婚の母の子どもなどの養育者に対し、子どもが18歳に達する日以降の最初の3月31日まで支給されます。ただし所得制限があります。
申請方法は市区町村窓口に請求に必要な書類を提出して受給資格の認定を受けます。必要書類は人によって異なる場合がありますので、二度手間にならないように必ず事前に窓口相談を受けることをお奨めします(電話による問い合わせも可能です)。
受給資格の認定を受けると支給月にそれぞれ前月分までがまとめて支払われます。申請した口座に自動振込みになります。
毎月支払われるのではないので、申請時期によっては支払いまで少し待つことになります。離婚の翌月から手当を当てにしていると「こんなはずじゃなかった」ということになりかねませんのでご注意を。
また、恋人と共同生活をしていると、それ以外の要素は一切考慮されることなく、事実婚が成立しているものとみなされ手当の支給対象になりません。頻繁に定期的な訪問があり、生活費の援助を受けている場合にも事実婚とみなされますので、気をつけてください。
さらに前年度にもらった養育費の8割が自己申告制で所得として算定されます。同一世帯の収入により審査されるので親と同居の場合は親の収入も合わせて審査対象になります。離婚して実家に戻る人は注意してください。
▽児童扶養手当の計算(平成30年8月現在)
・手当月額=42,500円(〔☆受給者の所得−★所得制限限度額〕×0.0226993+10円)
→下線部分は10円未満を四捨五入
☆受給者の所得額=(年間収入金額−給与所得控除額等+養育費の8割)
★所得制限限度額…子どもの人数によって変わる。1人の場合87万円、2人の場合125万円、3人の場合163万円(以下、1人増えるごとに38万円を加算)
*第二子以降の手当て
第二子…全部支給:10,040 円 一部支給:10,030〜5,020 円
第三子…全部支給:6,020 円 一部支給:6,010〜3,010 円
手当月額の目安(子どもが1人の場合)
所得額 | 87万円未満 | 158万円 | 230万円未満 |
---|---|---|---|
手当月額 | 42,500円(全額) | 26,370円 | 10,030円(最低) |
いざというときにお金を貸してくれる母子父子寡婦福祉資金
ひとり親の生活の安定と子どもの福祉を支援するために、12種類の貸付制度があります。借りるにあたっては保証人が必要ですが、無利子や低金利で、返済の据え置き期間もあります。生活資金や学費などに困ったら、民間の高金利の貸付を利用する前に行政窓口に相談してください。
〈独立、就労を支援してほしい!〉
・事業開始資金(貸付対象…ひとり親・母子・父子福祉団体)
事業を開始するのに必要な設備、什器、機械などの購入資金。
・事業継続資金(貸付対象…ひとり親・母子・父子福祉団体)
現在営んでいる事業について継続するために必要な商品、材料などを購入する運転資金。
・技能習得資金(貸付対象…ひとり親)
自ら事業を開始し、または会社などに就職するために必要な知識技能を習得するために必要な資金(例/ホームヘルパー、パソコン、栄養士など)。
・就職支度資金(貸付対象…子ども・ひとり親)
就職するために直接必要な被服、履物などおよび通勤用自動車などを購入する資金。
〈生活を支援してほしい!〉
・医療介護資金(貸付対象…子ども・ひとり親)
医療または介護を受けるために必要な資金(期間が1年以内の場合に限る)。
・生活資金(貸付対象…ひとり親)
知識技能を習得している期間や、医療もしくは介護を受けている間などに、生活を安定・継続するための生活補給資金(ひとり親家庭になって7年未満まで)。
・住宅資金 (貸付対象…ひとり親)
住宅を建築、購入、保全、改築、または増築するのに必要な資金。
・転宅資金 (貸付対象…ひとり親)
住居を移転するための住宅の賃借に際し必要な資金。
〈子育てを支援してほしい!〉
・就学支度資金(貸付対象…子ども)
就学・修業するために必要な被服などの購入に必要な資金。
・修学資金(貸付対象…子ども)
高等学校、大学、高等専門学校または専修学校に修学させるための授業料、書籍代、交通費などの必要な資金。
・結婚資金(貸付対象…ひとり親)
ひとり親が扶養する子どもの婚姻に際し必要な資金。
・修業資金(貸付対象…子ども)
事業を開始または就職するために必要な知識技術を習得するために必要な資金。
事業の独立開業に関する貸付については、事業計画書が必要です。中小企業診断士等の審査もあり事業計画が甘いと簡単には借りられない制度です。私も起業するときに相談してみましたが「民間の貸付を受けたほうが楽ですよ」と言われて諦めました。就学支度資金や修学資金など子どもに関する貸付は、比較的早く審査も通りやすい制度なので進学等に上手に利用されることをお奨めします。
無利子や低金利といっても借金であることには変わりありません。返済がルーズな人のために未回収金が増えると貸付予算幅が狭くなってしまい、支援を必要としている人たちに届かなくなります。返済計画に無理がないように考えて利用してください。
忙しいひとり親の子育てをサポートしてくれる制度
シングルマザーは「働くお母さん」というよりも「働かなくてはならないお母さん」です。子育てしながら働かなくてはならないシングルマザーやシングルファザーを応援する子育て支援制度がいくつかあります。上手に利用して仕事との両立をはかりましょう。
〈ファミリーサポート制度〉
アンケートでもたくさんの先輩ひとり親が便利に利用していたサービスです。子育ての手助けをしてほしい人と手助けをしたい人をお互いに会員として登録し、会員同士で地域で相互援助活動を行なっています。
保育園の開始前や終了後の子どもの預かり、保育園の送迎、小学校の放課後の託児、残業や必要な外出の際の子どもの預かりなどをしてくれます。1時間あたり800円程度と民間のベビーシッター会社の半額以下なのもありがたいところ。自治体によっては、ひとり親家庭は利用料の助成を受けられます(児童扶養手当と同じ収入制限あり)。
〈ひとり親家庭ホームヘルパーサービス〉
自治体によっては、義務教育修了前の子どもを養育しているひとり親家庭は、一時的な病気のときなどにホームヘルパーを派遣してもらえます。育児だけではなく家事もサポートしてもらえるのが嬉しい制度です。所得金額により本人負担があります。
〈医療費助成制度〉
子どもが病気をすると看病のため仕事を休んで賃金が削られたりするなど、ただでさえ苦しいのにさらに医療費がかかるのが厳しい現実です。そんなときに頼りになるのが「ひとり親家庭医療費助成制度」です。多くの自治体で実施している支援制度の1つで、ひとり親家庭を対象として、健康保険が適用される医療費の一部を助成してくれるものです。
自治体によって支給の仕方は様々で、事前に「ひとり親家庭医療証」を交付している自治体もあれば、診療後にかかった医療費を申請して、後日戻ってくるところもあります。地域によって様々ですのでお住まいの自治体窓口にて確認してみてください。
〈一時保育・夜間保育〉
子どもが保育園に入っておらず、就労の面接や、親自身の病気などのため平日日中に子どもを一時的に預けたい場合は、一時預かりを行なう保育園を探します。自治体の窓口に、近隣にあるか問い合わせてみましょう。数はまだまだ少ないものの、昼間だけでなく夜間もやっている認可保育園もあります。
〈病児・病後児保育〉
子どもが病気にかかって保育園に預けられないけれど、自分も休みが取れない、という場合は、病児保育や病後児保育が必要になります。病児保育には「施設型」と「訪問型」の2種類があり、託児タイプの「施設型」は安価なのがありがたいですが、施設数が少ないため近隣にあるとは限らず、また予約が取りづらいこともあります。
「訪問型」は料金が高めですが、自宅に保育士さんが来てくれるので子どもは慣れた環境で過ごせるという利点があります。事前に登録が必要なので、いざというとき慌てずに済むよう、時間があるときに申し込みを。
なお首都圏に限られますが、認定NPO法人フローレンスでは、篤志家による寄付を原資に、ひとり親家庭への訪問型病児保育を低価格で提供しています(所得制限あり)。
〈子育て短期支援事業・夜間養護等事業〉
自治体によっては、子どもの養育が一時的に困難になったときに、7日以内まで宿泊付きで子どもを預かる子育て短期支援事業(ショートステイ)や、夜間や休日に預かるトワイライトステイ事業を実施しています。事業実施の有無や利用方法、料金、施設などについては、各自治体に問い合わせてください。
個々の事情に配慮して応援してくれる就労支援制度
現在、国が最も力をいれているのが就労支援です。離婚前から仕事をしている人は問題ありませんが、子持ちの就労事情には厳しいものがあります。上手に支援を生かして職探ししましょう。
〈母子家庭等就業・自立支援センター事業〉
様々な相談窓口がありますが、まずはひとり親を対象にした相談機関に相談されることをお奨めします。母子家庭等就業・自立支援センター事業は、 全国60か所で実施しており、個々の家庭の状況、職業適性、就業経験に応じて相談を受けたり、就業支援講座の開催やハローワークなどの職業紹介機関と連携した情報の提供等を行なっています。お住まいの地域のセンターがどこにあるのか、市役所等に確認して相談に訪れてください。
〈ハローワークとマザーズハローワーク〉
ハローワーク(公共職業安定所)も職探しには欠かせない機関です。ハローワークの求人情報は給与や待遇など最低の基準をクリアしたものばかりで、しかも最新の情報を検索できるので便利です。とくに、ひとり親については雇用促進制度があり、雇用主が助成金制度を活用することができます。「特定求職者者雇用開発助成金」と「トライアル雇用奨励金」です。求職申し込みの際に窓口でひとり親であることを伝えてください。
全国に21か所(平成29年)あるマザーズハローワークは、子育て中の人がスムーズに就労できるように支援している機関で、子連れで職探しができるようにキッズコーナーを設置しています。託児付きの求人や子育てに理解のある企業の求人を紹介しています。ハローワークには、「マザーズコーナー」が設置されていることも多く(全国173か所)、マザーズハローワークと同等の役割を果たす機関となっています。
「マザー」とネーミングされていますが、シングルファザーの利用も可能です。
〈求職者支援制度〉
雇用保険を受給できない求職者の方が職業訓練によるスキルアップを通じて早期の就職を目指すための制度です。ハローワークが受付窓口となっており、一言で「職業訓練」といっても色々な内容があります。資格取得向けの訓練もあれば、スキルを習得するだけのコースもあります。受講料は無料で、受講手当が月額10万円と通所手当(訓練実施期間の交通費)が支給されます。
〈自立支援教育訓練給付金制度〉(窓口…自治体)
ひとり親の主体的な能力開発を支援するもので、雇用保険の教育訓練給付の受給資格を有していない人(「失業中」に当たらない人)が指定教育講座を受講し、修了した場合、経費の60パーセント(1万2千1円以上で20万円上限)が支給されます。
〈高等職業訓練促進給付金制度〉(窓口…自治体)
ひとり親が看護師や介護福祉士等の資格取得のため、1年以上養成機関等で修業する場合に、就業の全期間に対して課税世帯に月額7万5百円、非課税世帯に月額10万円の手当を支給することで、生活の負担の軽減をはかり支援するものです。認められている資格は各自治体によって違いますので、目指している資格が該当しているか自治体窓口で確認してください。審査によって給付金支給の可否が決定されます。
この他、各自治体が就労支援セミナーやパソコン講習など就労に関するセミナーの開催をしています。公報をチェックするか、お住まいの市役所等の窓口でお問い合わせください。
自治体が独自に行なう支援
例えば東京都の場合、所得制限などの条件を満たすひとり親家庭には「児童育成手当」として、月額1万3500円(平成30年4月現在)が支給されます。このほか、条件をクリアするひとり親家庭は、都営地下鉄・都営バス等の無料パスの発行や、上下水道料金の免除などを受けることができます。
このほかにも、就労支援としてパソコン貸出し付きのセミナーを実施している自治体もあります。自分の住んでいる自治体にも、独自のサービスがないか念のため問い合わせてみましょう。

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