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【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

目次

  1. 親が家に帰ってこない
  2. かれんさんの場合

親が家に帰ってこない

家で、ひとりぼっちですごしている子どもは少なくないよね。お父さん、お母さんが仕事で毎日夜遅くまで家をあけていて、時には帰りが明け方になる。そうなると、子どもだけで留守番をしなければならない。
さみしいよね。ゲームをしていたって、マンガを読んでいたって、心のどこかでは親の帰りを待っているはずだ。なかには、親が帰ってくる明け方まで起きているせいで、学校に行けなくなってしまう子だっている。
ほとんどの子は、なかなか親に「早く帰ってきて」とは言えない。なぜなら、こう考えるからだ。

「お母さんは、僕のために一生けんめいに働いてくれている。もし変なことを言ってこまらせてしまったら、悲しむかもしれない。自分が我慢すれば、何もかもすむことなんだ」

もし君に弟や妹がいたら、君が親の代わりになってめんどうをみなければならない。ごはんを用意したり、おフロに入れてあげたり。君は子どもではなく、おとなのようにふるまわなくてはならない。
だけど、留守番をしているときにトラブルが起こることだってあるよね。見知らぬおとなの人が家にやってきたり、きょうだいが病気になってしまったり。
親にすぐに連絡がつけばいいけど、そうでないケースもあると思う。そんなときのためにも、親せき、近所のおとな、学校の先生など、いつでも相談できる相手を持っておいたほうがいい。警察や市の職員、あるいは塾の先生だっていいと思う。いざとなったら助けを求められるおとながいるのといないのとでは、まったくちがうからね。
でも、なかなかそうはいかない状況もある。そんなときは、24時間子供SOSダイヤルに連絡してほしい。

【参考】24時間子供SOSダイヤル:0120-0-78310

ここでは、二十四時間、どんなトラブルでも相談にのってくれる。本当に一大事だと判断されれば、君の代わりに警察や消防、あるいは児童相談所に連絡を取ってだれかがかけつけてくれることもある。
君のほうからは、なかなか警察などに連絡しづらいと思う。でも、信頼できるおとながきちんと判断して対応してくれれば、物事がうまくいくケースは少なくない。大きなことでも、小さなことでもいい。君からの連絡を待っている人がいるということを知っていてほしい。
とはいえ、こうした生活をしていると、本当に毎日がさびしいはずだ。親自身だって、君にそういう思いをさせてしまっていることを心苦しく思っているかもしれない。
そんなとき、君はスクールカウンセラーに一度相談してみてもいいかもしれない。
「親がいそがしくて家に帰ってこないんです。どうしていいかわからなくて」
そう言ってみるだけでいい。
スクールカウンセラーの仕事の一つは、家庭の問題にまできちんと入りこんで、君がつらい思いをしないようにすることだ。スクールカウンセラーが必要だと感じれば、君の親と話し合いをし、どうすれば一番いいかを考えてくれるだろう。
親の仕事を一部だけズラして夜に働くのを週の半分にしたり、夜の間に親せきが見守りに来てくれたり。あるいは、親が知らない福祉制度があり、それを受けることによって親が働かなくていいようになるかもしれない。スクールカウンセラーはさまざまな解決方法を知っているので、打ち明けてみよう。
また、親子で相談できるところもある。それが「子ども総合センター」だ。
地域によって名称が異なっていて、「子育て支援センター」「子ども家庭支援センター」「子ども支援センター」などとも呼ばれている。
子ども総合センターは、子育てに関する相談を受けている場所だ。親がいそがしくて家事ができない。夜に家に帰ってこられない。そんなときにどうすればいいかということを教えてくれ、時にはサポートしてくれるんだ。
警察ではないので、連絡をしたところで、いきなり君の親をおこったり、つかまえたりすることはない。もちろん、君をどこかに連れていくこともない。
センターによっては、「夜間一時保育(トワイライトステイ)」といって、子どもを夜の間あずかってくれるところもある(何時まであずかってくれるかは、場所による)。
たとえば、お母さんが夜十時まで仕事をしているとしたら、同じような子どもといっしょにその時間まであずかってくれるんだ。そこの職員に、食べ物をもらったり、ベッドで寝かしつけてもらえる。
また、お母さんが仕事で何日も帰ってこない場合は、「ショートステイ」といって、とめてもらうこともできる。親が病気で入院している子どもも、同じように利用している。合宿所みたいにみんなでワイワイ遊びながらすごすんだ。ひとりで家にいるよりはさびしくないし、安全だ。
子どもである君が自身で相談するならスクールカウンセラー、親子で相談に行くなら子ども総合センターということだ。うまくいった子のケースを紹介しよう。

かれんさんの場合

シングルマザーのもとで、かれんさんは育った。お母さんは毎日夜明けまで仕事をしていて、時には帰ってこない日もあった。
かれんさんは妹と二人で夜をすごしていたけど、妹がぜんそくを持っていてよく発作を起こしていた。かれんさんは妹のめんどうをみていたけど、いつか事故が起きてしまうのではないかと気が気でなかった。
ある日、かれんさんはこまって、学校の先生とスクールカウンセラーに相談した。
後日、スクールカウンセラーが、先生、かれんさん、お母さんと話し合った。スクールカウンセラーは言った。
「地元の子ども総合センターでは、夜働いている家庭の子どもをあずかってくれています。週に何度かだけでも、そこにお子さんをあずけたらどうでしょうか」
センターではごはんも食べさせてもらえるし、おフロにも入れるという。
さらに、スクールカウンセラーが調べたところ、お母さんは国からの補助金があるのを知らず、もらっていなかった。そこできちんと申請してもらうことにした。おかげで、お母さんは夜の仕事を半分に減らすことができた。
この結果、かれんさんと妹は週に二回、センターで夜をすごすことになった。お母さんは仕事が終わると、センターへ二人を迎えにきて自宅に帰る。妹がぜんそくの発作を起こしても職員が看病してくれた。
学校の先生も、かれんさんの家庭環境を知ったので、いろいろと気にとめてくれるようになった。ことあるごとに、うまくやっているかと声をかけてくれたし、こまったことがあれば電話していいぞと言われて連絡先を教えてもらった。
やがてお母さんはスクールカウンセラーに助けてもらいながら、条件のいい昼間の仕事を見つけることができた。それ以降、かれんさんは夜に留守番をしないでもすむようになった。

親はなんでも知っているわけじゃない。いそがしくて人に相談できず、もっといい方法があるのを知らないってことがよくあるんだ。
相談窓口に行ってみたら、親もおどろくような提案をしてもらえることもめずらしくない。君のほうからも親に相談に行ってみるように伝えてもいいかもしれないね。


人生の歩きかた図鑑

石井光太(いしい・こうた)
1977年、東京生まれ。『物乞う仏陀』でデビューし、国内外を舞台したノンフィクションを精力的に発表。『レンタルチャイルド』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『漂流児童』など、子どもの問題を扱った作品も多い。児童書に『ぼくたちはなぜ、学校に行くのか。』『みんなのチャンス』『幸せとまずしさの教室』『君が世界を変えるなら(シリーズ)』などがある。他に小説など著書多数。

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