養育費は、子どもの成長に欠かせないお金です。子と離れて暮らすことになった親から、引き取り育てていく側の親に対して、支払う義務があります。確実に受け取りたいところですが、「連帯保証人」をつけることはできるでしょうか。

たった4年で80%が養育費を受け取れなくなります。

しっかり決めても受取れていない現状があります。

養育費を確実に受取る方法に養育費保証があります。

 

「連帯保証人」とは

(画像=zoteva87/stock.adobe.com)

連帯保証人とは、本人がお金を払えないときに代わりに支払いをする人です。借金や不動産の賃貸契約などの際、貸主側がお金を確実に回収するために設定されています。

単なる「保証人」と違って、「連帯保証人」には「自分より先に本人に請求してほしい」と主張する権利がありません。このため、本人に支払えるだけのお金を持っていても、連帯保証人が支払わなくてはならないこともあるなど、より重い責任を負うことになっています。

養育費にもこうした連帯保証人をつけることは可能です。

たとえば、別れた元パートナーの親に連帯保証人になってもらい、元パートナーが約束通りの養育費を支払ってくれない場合には、その親に請求することでお金を確保する、といった使い方ができます。

 

養育費に連帯保証人を設定する方法

連帯保証人の設定には、まず夫婦で話し合って合意する必要があります。もちろん、連帯保証人となる人の同意も必要です。

離婚前にきちんと話し合って取り決めをしておくこと、その内容を口約束ではなく「離婚協議書」といった書面に残しておくことが大切です。書面には、夫婦双方、そして連帯保証人となる人にも署名捺印してもらいましょう。

連帯保証人を設定するメリットと注意点

養育費に関して連帯保証人をつけることのメリットは、お金をきちんと受け取れる確率が上がるということです。

養育費の支払いは義務とされていますが、厚生労働省の調査によれば、養育費を継続して受け取っている人は4人に1人もいません。

ひとり親として子どもを育てていくのは大変なことです。約束どおりのお金を受け取れないと、子どもの生活において、不安な思いをさせてしまうかもしれません。

連帯保証人を設定しておけば、そういった心配を軽減できます。離婚に応じる条件として交渉することも可能でしょう。

ただ、先述のとおり、連帯保証人を設定するのは相手方の同意が必要です。連帯保証人は先述のとおり非常に重い責任を負うことになるため、離婚相手やその親族が設定に同意してくれないということも充分考えられます。

頼りにしたい公証人や法律関係者。しかし連帯保証人の設定には否定的

通常なら養育費の支払いについて合意に至らない場合、裁判所で「調停」という手続きが取れるのですが、連帯保証人の設定に関しては否定的な見方をする法律関係者も多く、なかなか成立しにくいのが現状です。

また、合意内容を書面に残すのは当事者だけで作成できる「離婚協議書」よりも、法律の専門家の目を通した公的な文書である「公正証書」の方が法律上の効力があるのですが、これも、公正証書の作成に携わる法律の専門家(公証人)によっては連帯保証人の規定を認めてくれないことがあります。

なぜ養育費に関する連帯保証人の設定が認められにくいかというと、養育費を支払う義務はあくまで子どもを扶養すべき「親」にあると考えられているからです。

連帯保証人として代わりに支払うことになる人は、本来子どもを扶養する義務を負わない人です。もし養育費を支払うことになっていた元パートナーが亡くなった場合は、子の養育費を請求する権利もなくなります。支払い義務が相続されることはありません。

こうした面があるため、連帯保証人を設定することには一定の効果が期待できる一方、そのハードルの高さや法的な実行力の低さから、あまり浸透していません。

養育費をより確実に受け取るためにできること

養育費を受け取れるようにするための方法として、連帯保証人以外の方法を考えてみましょう。

養育費保証サービスを利用する

民間の会社が提供している「養育費保証サービス」を利用するのも1つの方法です。これは、保証料を支払って契約しておくと、もし養育費の支払いが止まった場合、その会社が立て替えて支払ってくれるというものです。会社が連帯保証人になってくれるイメージです。自治体によっては、保証料の負担を軽減する助成金制度がありますので、確認してみましょう。

公正証書を作成する

夫婦の話し合いができる状態であれば、公正証書を作成しておくのが理想的です。連帯保証人の設定はできないかもしれませんが、これを作っておけば、もし支払いが滞った場合でも法的な根拠を持って、相手の給与や財産を差し押さえる手続きができるようになります。

裁判所に申し立てる

話し合いができない、お互いが納得できる結論が出ないという場合は裁判所で「調停」を申し立てることができます。これは、夫婦双方の主張を第3者が聞き、合意できるよう内容を調整してくれるというものです。裁判より手続きも簡単で費用も安く、相手に会ったり直接話したりしなくても進められます。

連帯保証人に限らず、養育費を確実に受け取れるよう手立てしよう

養育費は受け取っていないという方も多いですが、子どもは本来お金を受け取る正当な権利を有しています。子どもに金銭的な苦労をかけないためにも、確実に受け取れるよう、親としてできることをしっかり実践しておきたいですね。