コロナショックで給与が減って、これからの生活が不安……。そう感じているシングルマザーは多いはず。でも、慌てる必要はありません。国は生活が厳しくなった世帯に向けて、さまざまな公的支援を用意しています。

今回は、シングルマザーが利用できる、さまざまな公的支援を紹介します。子どもが頼れるのはママだけなので、落ち着いて対処し、非常事態を乗り切りましょう。

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コロナショックで受け取れる給付金は?

1人あたり10万円の「特別定額給付金」

1人あたり10万円の特別定額給付金は、コロナショックによる家計の悪化を食い止めるために整えられた公的支援です。

日本に住む人なら、誰でも給付対象者になります。特別な支給要件はありません。受給権があるのは世帯主で、世帯の人数分をまとめて申請できます。たとえば、子ども2人と自分の3人なら、30万円を受給できます。

申請開始時期は自治体によって異なります。自治体のホームページを確認したり、市区町村に電話で問い合わせたりしましょう。申請期限は、各市町村の受付開始日から3ヵ月以内です。

申請方法は、郵送とオンラインの2種類です。郵送の場合は郵送で届いた申請書類を返送します。オンラインの場合、政府運営のマイナンバーを活用したオンラインサービス「マイナポータル」から、マイナンバーカードで申請します。

▽マイナポータル

特別定額給付金

(画像=サービストップ|マイナポータル)

売上の減ったフリーランスが受け取れる「持続化給付金」

個人事業主や中小企業の経営者として働く人が、コロナショックによって売上が減少した場合に受け取れる給付金です。売上が前年同月に比べて50%減となっていることが支給要件です。会社に勤めている場合は対象となりません。

金額は、フリーランスを含む個人事業主は上限100万円、中小企業や小規模事業者は上限200万円です。
申請は中小企業庁が委託・運営するホームページより行います。

▽中小法人・個人事業者のための持続化給付金

仕事を休んで収入が減ったら受け取れる「傷病手当金」

傷病手当金とは、けがや病気で就労不能となり、仕事を休んだ時に受け取れる手当金です。コロナウイルスに限らず、体調が悪く自宅療養した場合も受け取れます。新型コロナウイルスに感染した場合はもちろん、発熱などの症状から感染が疑われ、療養のために仕事を休んだ場合も該当となります。なお、個人事業主やフリーランスの方は対象となりません。

傷病手当金が支給されるかどうかは、加入している健康保険によって変わります。まずは健康保険証を見て、自分が加入している団体を確認しましょう。その後、加入団体のホームページ等で制度があるかどうかを確認します。

協会けんぽの場合、4日以上休み、給与の支払がない場合に受け取れます。支給される金額は、支給される前1年間の給与のおよそ3分の2程度です。給与の支払がある場合、その分を傷病手当金から差し引いた金額が支給されます。

申請方法は健康保険組合に確認しましょう。協会けんぽの場合は、ホームページから申請書をダウンロードできます。

▽全国健康保険協会 協会けんぽ 健康保険傷病手当支給申請書

収入が厳しくなったら申請できる減免や支払猶予の手続き

国民健康保険料の減免

パートタイマーや自営業者で国民健康保険に加入している人は、保険料の減免を受けられる可能性があります。対象となるのは、主たる生計維持者がコロナウイルスに感染し死亡又は重篤な傷病を負った場合と、コロナショックで減収した場合です。

減収について、前年と比べて収入が30%以上落ち込む見込みの人が対象です。その他、合計所得金額が1,000万円以下等の要件を満たす必要があります。条件を満たす場合、以下のような減免を受けられます。

前年の合計所得金額 減免または免除の割合
300万円以下であるとき 全部
400万円以下であるとき 10分の8
550万円以下であるとき 10分の6
750万円以下であるとき 10分の4
1000万円以下であるとき 10分の2

厚労省「通達(「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援の基準について」保国発0501第1号令和2年5月1日)」より

すでに保険料を納めてしまった場合も、対象期間の保険料は減免されるため、後日払い戻しを受けられます。早めに手続きをしておきましょう。

公共料金等の支払猶予

コロナウイルスの影響で公共料金の支払いが困難な場合、支払期限が延長されます。対象となるのは、上下水道代、電気代、ガス代、NHKの料金、固定電話・携帯電話の使用料です。

どのぐらい延長されるかは、電力会社やガス会社、通信会社によって異なるため、各社のホームページ等でチェックしましょう。

コロナの影響を受けた方が活用できる、その他の支援制度

生活福祉資金貸付制度

コロナの影響で生活資金が不足している場合、生活資金を借りられる可能性があります。保証人は不要で、利子も発生しません。申請先は、市区町村の社会福祉協議会または労働金庫(※)です。受け取れる金額は、下記の通りです。
※追記:労働金庫での受付は令和2年9月30日で終了しました。

・休業で収入が減少し生活費が足りないケース:上限20万円
・失業し生活費が足りないケース:二人以上世帯の場合月20万円以内(原則3ヵ月)

▽全国社会福祉協議会

▽都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ

生活困窮者自立支援制度

コロナの影響に限らず、休業や失業で生活苦が続く場合、生活困窮者自立支援制度を利用できます。

制度を利用すると、支援員が支援プランを作り、家計の立て直しや就労を支援してくれます。支援内容としては、一定期間の家賃の支給、宿泊場所や衣食の提供、子どもの学習支援などがあります。

相談窓口は、厚生労働省のホームページで確認できます。まずは相談窓口に連絡し、支援員に相談しましょう。どうしても出向くのが難しい場合、支援員が自宅に訪問してくれるケースもあります。

▽厚生労働省 生活困窮者自立支援制度

▽令和2年度 自立相談支援機関 窓口情報(PDF)

公的支援を利用し焦らず冷静に現状を乗り切ろう

コロナの影響で生活が苦しくなっても、利用できる制度は意外とたくさんあります。1人で抱え込まずに、苦しいときは周りの力を借りることが大切です。制度を賢く活用すれば、家族で支え合いながらきっと乗り越えられるはずです。
窓口によっては、混雑して申請までに時間が掛かるケースや申請まで辿りつけないケースもあるようです。時間に追われているうちに申請時期を逃してしまうと、支援を受けられないかもしれません。要件を確認し、早めに手続きや申請を行いましょう。


 


平沼 夏樹

【監修】平沼 夏樹
弁護士。第二東京弁護士会所属。京都大学総合人間学部卒業、立教大学大学院法務研究科修了。離婚、労働、企業法務分野MGを歴任。横浜オフィス支店長、支店統括としての実績が評価され、現在は、リーガルサポート部GMとして、30名を超えるパラリーガルの業務統括及び、離婚分野MGを兼務する(2020年8月現在)。一般民事(主に離婚事件)に関する解決実績を数多く有する。また、企業法務についても幅広く経験。担当したMBOに関する案件(「会社法判例百選第3版」掲載)をはじめ、企業法務についても幅広い業務実績を持つ。知識、経験に基づく、専門家としての対応のみならず、一人間として、依頼者それぞれの立場・心情を理解し、コミュニケーションを重視した対応を心掛けている。【取扱分野】離婚・男女問題/企業法務・顧問弁護士/遺産相続/労働問題/インターネット問題/債権回収/詐欺被害・消費者被害