お金・養育費

「養育費保証サービス」とは?そのしくみとメリット・デメリットを解説

 

離婚を考えたとき、今後子どもにかかるお金のことが気にかかるという方も多いのではないでしょうか。子どもの成長に欠かせない「養育費」を確実に受け取るための「養育費保証サービス」が近年注目を集めています。どんなサービスなのか、詳しく解説します。

著者 馬場愛梨

目次

  1. みんな受け取れていますか?養育費の現状
    1. 養育費とは、親が支払う義務のあるお金
    2. 養育費、じつは受け取れていない人が7割という現実も
  2. 養育費保証サービスとは?どんなことをしてくれる?
  3. 養育費保証サービスのメリット
    1. 養育費保証サービスのメリット1:養育費を受け取れないリスクを抑えられる
    2. 養育費保証サービスのメリット2:相手に直接連絡せずに済む
    3. 養育費保証サービスのメリット3:支払いが止まってから回収できるまでのスピードが速い
  4. 養育費保証サービスを利用するときに注意したいこと
    1. 養育費保証サービスの注意点1:基本的に事前の養育費の合意が必要
    2. 養育費保証サービスの注意点2:保証には限度がある
  5. ここが重要!養育費保証サービスの選び方
    1. 養育費保証サービスの選び方1:いつまで、いくら保証してくれる?
    2. 養育費保証サービスの選び方2:サービスを利用するための費用は?
    3. 養育費保証サービスの選び方3:養育費以外のサポートが受けられることも
  6. 自治体が養育費保証の費用を助成してくれることも
    1. 明石市(兵庫県):養育費立替パイロット事業
    2. 大阪市(大阪府):養育費の保証促進補助金
    3. 豊島区(東京都):豊島区養育費保証契約促進補助金事業
  7. まとめ:養育費の確保のため、養育費保証サービスを活用しよう

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みんな受け取れていますか?養育費の現状

「養育費保証サービス」とは?そのしくみとメリット・デメリットを解説
(画像=smolaw11/stock.adobe.com)

まずは、養育費とはどんなお金なのか確認しておきましょう。

養育費とは、親が支払う義務のあるお金

養育費とは、子どもが自立するまでに必要なお金のことです。子どもを育てていくにはその子の教育費、生活費、医療費などがかかりますが、離婚して子どもと離れて暮らすことになった親は、引き取って育てる方の親に対し、その費用を支払う義務があります。

養育費を受け取ることは、子どもの権利として法的に認められています。でも実際のところ、きちんと養育費を受け取れている人は少ないというのが現状です。

養育費、じつは受け取れていない人が7割という現実も

厚生労働省が2016年に行った調査では、「養育費を受け取ったことがない」と答えた人が56.0%、「過去に受けたことがある」が15.5%、あわせて約7割の人が、本来継続して受け取れるはずのお金を受け取れていないという回答でした。

同調査によると、母子家庭で養育費を受け取っている人の平均額は月4万円ほどです。これが毎月受け取れるかどうかは、その後の親の働き方や子どもの教育環境にも影響する大きな問題です。

養育費を確実に受け取れるようにするためには、これまでは弁護士に依頼したり裁判所に申し立てたりして法的な手段を取ることが一般的でしたが、近年は「養育費保証」というサービスを提供する民間企業が出てきました。

養育費保証サービスとは?どんなことをしてくれる?

養育費保証サービスとは、保証料を支払って契約しておくと、もしいつか養育費の支払いが止まってしまったとしても、元パートナーに代わってその会社が養育費を立て替えて支払ってくれるサービスです。元パートナーへの養育費の請求も、自分でする必要はなく保証会社が行ってくれます。

比較的新しいサービスですが、このサービスの利用をすすめる地方自治体が増えてきたり、前ZOZO社長の前澤友作さんが新事業として打ち出したりしたことなどから、近年注目が集まっています。

>>>こどもの未来を守る「養育費保証」

養育費保証サービスのメリット

養育費保証サービスを利用すると、次のようなメリットがあります。

養育費保証サービスのメリット1:養育費を受け取れないリスクを抑えられる

養育費を請求しても相手がなかなか払ってくれない、ということも考えられます。実際に泣き寝入りしてしまう方も多いです。

養育費保証サービスが利用できるのであれば、たとえ相手が支払ってくれなくてもそのサービスを提供している会社が代わりに養育費を支払ってくれます。「受け取れるはずの養育費を踏み倒されて、お金が入ってこない」という心配をせずに済みます。

養育費の督促は弁護士に依頼することもできますが、その場合は、相手から回収できなければお金を受け取れません。養育費保証サービスは、相手から回収できたかどうかにかかわらず自分の手元にお金が入ります。

養育費保証サービスのメリット2:相手に直接連絡せずに済む

もし養育費の支払いが止まってしまったら、通常は自分で元パートナーに連絡して、「早く支払って」と催促する必要があります。これはなかなかストレスのかかる作業ではないでしょうか。

養育費保証サービスを使っている場合は、相手と自分のあいだに保証会社が入ってくれるため、その会社に連絡をするだけで済みます。

お金は立て替えて支払ってもらえますし、相手への督促もその保証会社が行うので、相手と直接やり取りする必要がありません。

養育費保証サービスのメリット3:支払いが止まってから回収できるまでのスピードが速い

養育費を支払ってもらえない場合、通常はそれを受け取るために、相手と話し合ったり裁判所に行って申し立て手続きをしたり厄介な手間が発生します。法的手段に訴えて財産の差し押さえをすることなども可能ですが、どうしても手間や時間がかかってしまうのです。

何ヶ月もお金を受け取れないままだと困ってしまいます。でも、養育費保証サービスを使っていれば、滞納が起きても養育費は保証され、すぐに養育費の回収も対応してもらえます。

養育費保証サービスを利用するときに注意したいこと

養育費保証サービスは、ひとり親の不安を軽減するために役立つサービスですが、注意しておきたい点もあります。

養育費保証サービスの注意点1:基本的に事前の養育費の合意が必要

多くの場合、養育費保証サービスを利用するには、養育費について夫婦で合意した離婚協議書や公正証書といった書面が必要です。

そのため養育費について、相手が話し合いに応じてくれない、連絡先が分からない、話し合ってもお互いに納得のいく結論が出ずに書面がない場合は基本的に契約できません。

もし、話し合いがうまくいかない場合は、裁判所で「調停」という手続きをして合意を目指すことになります。そこで合意できればその内容を記載した「調停調書」ができますので、それを使えば養育費保証サービスの契約も可能となります。

養育費保証サービスの注意点2:保証には限度がある

養育費の支払いが止まったら本来受け取れるはずだった金額を受け取れる、というのが保証サービスのメリットですが、これには限度があります。保証限度を最大3ヶ月分としている保証会社もありますが、最大12ヶ月分までとしているところが多いです。

つまり、子どもが20歳になるまで養育費を支払うという内容で同意をしていて、子どもが5歳のときに支払いが完全に止まったとすると、そこから養育費が確保できるのはそこから1年間など一定期間だけで、残り15年分すべてカバーできるわけではありません。

また保証される期間も2年などといった区切りがあって、満期が来たら更新料がかかる会社もあります。

また、これまでは例がありませんが、もし万が一契約している会社が経営破綻するなどした場合は契約が無効になるリスクもあります。

ここが重要!養育費保証サービスの選び方

養育費保証サービスの利用を検討するときは、次のような点に注目してみましょう。

養育費保証サービスの選び方1:いつまで、いくら保証してくれる?

まず、立て替えてもらえる上限額は要チェックです。「取り決めしている養育費の12ヶ月分」などと設定している会社が多いですが、各社さまざまですので、しっかり確認をしましょう。また、契約できる期間もあわせて確認しておきましょう。

養育費保証サービスの選び方2:サービスを利用するための費用は?

養育費保証サービスの利用には「保証料」が必要です。これは、養育費月額の〇%などと決まっていることが多いですが、その割合は保証会社によって違います。「回収できた養育費の中から一部を支払い」として、自己負担なしで実質無料としている会社もあります。

また、保証料以外にも「事務手数料」や「更新手数料」といった費用がかかることもあるので、それらを合計して必要なコストを考えてみましょう。

養育費保証サービスの選び方3:養育費以外のサポートが受けられることも

「養育費の立て替え」だけでなく、なかには弁護士との連携、ひとり親のための悩み相談、子どもの学習支援、役立つ情報の配信などさまざまなサービスがセットになっていることがあります。費用とのバランスを見つつ、利用できる付帯サービスも余さずチェックしておきましょう。

どんなサービスをいくらでいつまで受けられるのか、養育費保証に限らずどんな契約でも必ず確認したい基本的な事項ばかりですが、とても重要なことです。

>>>こどもの未来を守る「養育費保証」

自治体が養育費保証の費用を助成してくれることも

養育費保証サービスを利用するためには保証料が必要ですが、住んでいる市区町村によっては、この費用の負担をなくすための助成金制度を用意しているところもあります。たとえば以下のような自治体です。

明石市(兵庫県):養育費立替パイロット事業

明石市は、子どもの養育費確保について全国でもいち早く取り組み、「養育費立替パイロット事業」として、養育費保証にかかる費用を最大5万円まで市が補助するという支援制度を作った自治体です。

この事業は期間限定でしたが、現在も、市が直接督促や立替を行ってくれる「こどもの養育費緊急支援事業」や「養育費取り決めサポート事業」、専門の相談員が対応する「こども養育専門相談」、「こどもと親の交流ノート(養育手帳)」の支給などさまざまなサポートが受けられます。

大阪市(大阪府):養育費の保証促進補助金

養育費保証サービスを利用する場合「月額養育費と5万円を比較して少ない方の額」を補助金として受け取ることができます。大阪市ではほかにも「公正証書等作成促進補助金」などひとり親のための金銭的な支援制度が充実しています。

豊島区(東京都):豊島区養育費保証契約促進補助金事業

2020年から東京でも養育費保証の支援が始まりました。補助額は、初回保証料額(ただし、月額養育費と5万円を比較して少ない方の額が上限)となっています。豊島区には「ひとり親家庭支援センター」があり、どんなサポートをどうやったら受けられるのか気軽に相談できるようになっています。

こういった支援情報は、市区町村役場の窓口やホームページ、地域の広報誌などで調べられます。自分が住んでいる自治体名のあとに「養育費 補助」や「ひとり親 支援」と入力し検索するとみつけやすいです。確認してみましょう。

「お金がかかるから」と利用をあきらめる前に、自分の自治体でこういった支援制度がないかチェックしてみましょう。近年、導入が急速に広がっているので、いまはまだ制度がなくても近いうちに新設される可能性もあります。

まとめ:養育費の確保のため、養育費保証サービスを活用しよう

養育費保証サービスは、今後ひとりで子どもを育てていくことになる親の強い味方になってくれるでしょう。自治体の助成などもあり、新しくサービスを提供し始める会社も増え、どんどん広がりを見せています。

養育費は、子どもが経済的に困らないようにするための大切なお金です。受け取るための正当な権利が認められているものですから、こういったサービスの利用も含めて検討し、確実に請求するようにしましょう。

>>>こどもの未来を守る「養育費保証」

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