養育費保証とは、一般的には養育費の不払い問題を解決する方法のひとつとして知られています。本記事では、養育費保証サービスの仕組みやメリット・デメリット、利用する際の注意点などを紹介します。この記事を読めば、保証会社選びのポイントを押さえられ、不払いが起きたときのために備えておくことができるでしょう。

たった4年で80%が養育費を受け取れなくなります。

しっかり決めても受取れていない現状があります。

養育費を確実に受取る方法に養育費保証があります。

 

養育費保証の仕組みとは?

養育費保証とは、元配偶者からの養育費の支払いが滞ってしまった場合に、元配偶者に代わって保証会社がその月の養育費を立て替えて支払ってくれるサービスをさします。養育費を立て替えた保証会社は、本来の養育費の支払者である元配偶者に立て替え金を請求します。

このサービスを利用するためには、養育費の受取者は保証会社と契約し保証料を支払う必要がありますが、元配偶者に自ら請求を行ったり連絡をしたりする必要がないため、精神的負担の軽減を期待することができます。

養育費保証を利用するメリット

養育費保証を利用するとどのようなメリットがあるのか、確認していきましょう。

1. 養育費の不払いのリスクを抑えられる

離婚する際に養育費の支払いについて取り決めをしているにもかかわらず、元配偶者が途中から支払ってくれなくなるだけでなく、支払者へ請求しても応じてくれずに泣き寝入りせざるを得ないようなケースが存在します。

また、不払いの原因が外部にあることもあり、支払者が勤めている会社が倒産した、リストラで退職したといった理由で、支払いたくても支払えない状況になっている可能性もあります。このように、突然未払いが発生してしまうケースも考えておかなければなりません。

養育費保証サービスを利用することで、上記のようなケースにおいて保証会社が代わりに養育費を支払ってくれるうえに、突然の未払いにも対応してもらえるので、安心して生活を送ることができます。「今月はきちんと支払ってくれるか心配…」といった不安も緩和されるでしょう。

ちなみに、弁護士へ依頼して養育費の督促を行うことはできますが、必ず回収できるとは限らず、お金を受け取ることができない可能性もあります。その点、養育費保証サービスならば支払者からの回収の有無かかわらず自分の手元にお金が入るため、これは大きなメリットといえます。

2. 法的手続や費用が発生しない

養育費保証サービスを利用することで、不払いによる差し押さえなどの法的手続きを行う必要がなくなるため、その手間や時間、費用をかけずに養育費を受け取ることができるのもメリットです。

弁護士へ依頼し元配偶者の給料などを差し押さえて養育費を取り立てることもできますが、差し押さえの申し立てに必要な書類を用意する手間や、弁護士費用や収入印紙代といった費用、養育費が入るまで時間がかかる点などには注意が必要です。

またその場合、全額を差し押さえることはできず、差し押さえができるのは収入から税金や社会保険料、通勤手当などを差し引いた金額の2分の1が上限と決められています。元配偶者にも生活があるため、このような上限額が設けられているのです。

その点、養育費保証サービスを利用していれば、このような手続きの負担や弁護士への費用が一切発生せず、毎月決まった金額を受け取ることができます。

3. 元配偶者への連絡は一切不要


養育費の支払いが滞った場合に、多くの受取者が悩むことは、支払者へ連絡をしたり請求をしたりしなければならないということです。しかし、養育費保証サービスを利用することで、保証会社が受取者の代わりに支払者へ連絡をしてくれるため、受取者は支払者である元配偶者といっさい連絡を取る必要がありません。それに加え、第三者からの継続的な催促を支払者へ行うことによって、未払いを防ぐ効果も期待できます。

養育費保証を利用する際の注意点

養育費保証サービスは、利用者にとってはメリットのあるサービスといえますが、一方で以下のような注意点もあります。

養育費を取り決めた書類が必要

養育費保証サービスを利用する場合、下記のうちいずれかの書類の提出を求められることが多いです。

離婚協議書・合意書 離婚する際に夫婦間で話し合い、合意した内容について書面で残したもの。主に、離婚する旨、子どもの親権や養育費・面接交渉について、財産分与・慰謝料などについて記載する。
公正証書 離婚に際して金銭の支払い約束を契約書として作成したもの。夫婦が協議離婚することを確認し、原則的にはふたりで公証役場に出向き公正証書で契約を交わす。
調停調書 離婚調停成立時に作成されるもので、判決と同じ効力を持つ。当事者同士が話し合い、合意した内容について記載されている。
審判書 夫婦間で離婚に合意しているにもかかわらず、些細な点で食い違いが生じ離婚が成立できない場合に、裁判官が離婚することや離婚条件を決める「審判離婚」が行われたときの内容を記載したもの。

これらの書類に共通していることは、「夫婦間で離婚の合意ができている」という点です。そのため、離婚時に相手が話し合いに応じてくれなかったり、相手の連絡先が分からなかったり、話し合ってもお互いに納得のいく結論が出ず書面が残せていなかったりする場合、基本的に養育費保証サービスを契約することができません。

とはいえ、離婚の際に話し合いがまとまらない場合でも、裁判所で調停手続きをして合意を行えば養育費保証サービスを契約することは可能です。なぜならば、通常、調停で合意に至る場合にはその内容を記載した「調停調書」を受け取ることになるからです。

養育費を立て替えてもらえる期間は決まっている

養育費保証サービスで養育費を立て替えてもらえる期間は無制限ではなく、一般的に期間が設けられている点にも注意が必要です。保証限度を最大12か月分までとしている保証会社は多くみられますが、中には最大3か月分と低額設定のところや、逆に最大36か月分と高額設定のところもあります。

保証限度の手厚さは保証会社によって異なりますが、いずれの場合も子どもが20歳になるまで立て替え払いを保証しているわけではありません。

たとえば、「子どもが20歳になるまで養育費を支払う」という内容で同意を行い、子どもが5歳のときに支払いが完全に止まったとします。養育費を確保できるのは、そこから12か月などといった保証会社によって決められた期間だけで、残りの15年分をすべて受け取れるというわけではありません。

また、保証会社の中には期間満期時に更新料がかかるところも存在します。このような保証会社の場合は、更新料を支払い続けることと保証を受けることのバランスを考えることが大切です。

養育費保証サービスを選ぶポイント

養育費保証サービスを提供している会社はいくつかありますが、その中から自身にとってベストな保証会社を選ぶためには、以下3つのポイントに着目して検討することをおすすめします。

1. 保証期間

養育費保証サービスを選ぶうえでまず確認すべきことは「保証期間」です。

上でも説明しましたが、保証期間として「養育費の12か月分」と設定している保証会社は比較的多いものの、中には3か月分のところや36か月分といったところもあります。自身が安心できる保証期間を設定している保証会社を選ぶことはポイントのひとつです。

また、保証料も各社さまざまな方法で設定されていますので、具体的にどのくらいの費用がかかるのか計算することも大切です。

2. サービスを利用する費用(保証料など)

養育費保証サービスを利用する際、必要な費用は主に以下の3つです。
・初期費用(「初回保証料」ということもある)
・保証料(「月額費用」ということもある。月額〇〇円と決まっているものをさす)
・更新手数料 など

初期費用は、保証契約を結ぶ際に支払うもので、「月額養育費の100%」と設定しているところが多くみられます。中には「養育費月額の30~50%」などとしているところもあります。

毎月支払う保証料の計算方法として、「月額〇〇円」といった定額制にしているところと、「養育費月額の〇%」といった定率制にしているところがあります。同じ保証会社でもプランによって異なる保証料を設定していたり、中には回収した養育費の中から一部を保証会社に支払うことで実質自己負担なしで利用できたりする保証会社もあります。

また、立替送金時の事務手数料が別途必要になる保証会社や、更新の際に手数料を支払う必要のある保証会社もあるため、総費用をできるだけ見積もっておくことがポイントです。

3. 養育費以外のサポート

養育費保証サービスの中には、養育費保証業務のほかにもシングルマザーに役立つサポートを展開しているところがあります。

一例を挙げると、
・子どもの学習支援
・弁護士との連携
・家計相談
・部屋探しサポート
・仕事探しサポート

などのサポートを無料で受けられるところがあります。シングルマザーの中には、子どもの教育、生活費、住居面(部屋を借りづらいなど)、仕事面(仕事が見つからないなど)で悩みをもつ人が少なくありません。

そういった悩みに対して無料でサポートしてもらえる保証会社であれば、養育費のことだけでなく生活全般における心強いパートナーとなるでしょう。

ママの生活費をサポートする「養育費保証PLUS」とは


養育費保証サービスを提供している会社はいくつかありますが、ここでは日本シングルマザー支援協会のママベストパートナーに選ばれた「養育費保証PLUS」を紹介します。

「養育費PLUS」とは、株式会社Casaが運営している、シングルマザーのための養育費保証やお部屋探し、仕事探しの支援サービスです。ママとお子さまが共に自立できる環境を目指しており、主に下記の特徴があります。

最大36か月の保証を受けられる


保証期間を最大12か月とする保証会社は比較的多いということは前述のとおりですが、「養育費保証PLUS」では条件によって最大で36か月の保証を受けることができます。保証期間が長いということは、そのぶん養育費が未払いになったときの立て替え払いに対応してくれる期間が長いということであるため、より手厚いサービス内容であることがわかります。

連帯保証人がいなくても住まいのサポートを受けられる


部屋探しのサポートの具体的な内容として、「保証人がいない」という人のために株式会社Casaが連帯保証人不要で保証人になること、希望条件に合った部屋探しの手伝いをすることなどが該当します。
「母子家庭のため審査に通らなかった」という経験をした人でも安心して相談することができます。

仕事探しなどのサポートが充実

シングルマザーの中には、部屋探しや仕事探しに悩んでいる人もいます。「養育費保証PLUS」を提供している株式会社Casaは、家賃債務保証事業における不動産会社のネットーワークを活かした部屋探しのサポートや、「日本シングルマザー支援協会」と提携した仕事探しのサポートを提供しています。

また、仕事探しのサポートとして、株式会社Casaは「日本シングルマザー支援協会」との提携を行い、仕事相談に対応しています。子どものことやシングルマザーならではの労働条件を理解し、シングルマザーに寄り添うサポートを行っています。また、仕事に役立つ研修も用意されているため、スキルアップに役立てられる点もポイントです。

養育費保証料について補助・助成を行う自治体

自治体によっては、養育費の保証料を補助金・助成金として支援しているところがあります。東京や大阪、その他の自治体別で詳細をまとめましたので、参考にしてください。

東京都(港区、豊島区、杉並区、小金井市など)

東京都で養育費の保証料を補助金、助成金として支援している自治体は以下のとおりです。

【初回保証料に対する補助を行っている自治体】
・港区
・豊島区
・足立区
・府中市
・西東京市

【初回保証料+公正証書等作成にかかる費用の補助を行っている自治体】
・杉並区
・小金井市
・狛江市

大阪府(大阪市、豊中市、堺市、八尾市など)

大阪府で養育費の保証料を補助金、助成金として支援している自治体は以下のとおりです。初回保証料にプラスしてさまざまな補助制度を設けている自治体もあります。

【初回保証料に対する補助を行っている自治体】
・大阪市
・狭山市
・柏原市
・東大阪市

【初回保証料+公正証書等作成にかかる費用の補助を行っている自治体】
・堺市
・富田林市

【初回保証料+公証役場での手数料や家庭裁判所での収入印紙代・郵便切手代の補助を行っている自治体】
・豊中市

【初回保証料+債務名義取得促進補助金の補助を行っている自治体】
・八尾市
・枚方市

【初回保証料+養育費に関する債務名義を有する証書作成費用の補助を行っている自治体】
・茨木市

その他(船橋市、浜松市、明石市、福岡市など)

東京都、大阪府のほか、以下のような主要都市においても養育費の保証料の補助を行っています。

・船橋市:初回保証料+公証役場での手数料や家庭裁判所での収入印紙代・郵便切手代の補助
・浜松市:初回保証料+公正証書等作成にかかる費用の補助
・明石市:調停申立や公正証書の作成等にかかる費用の補助
・福岡市:初回保証料+公正証書等作成にかかる費用の補助

ここで紹介した自治体以外の補助については、養育費保証PLUSのこちらのページから調べることができます。

養育費保証や自治体の助成を活用して、養育費を確実に受け取ろう

養育費保証とは、支払者からの養育費の未払いがあった場合に、立て替えて支払ってくれるサービスをさします。保証会社によってサービス内容・プランはさまざまですが、保証期間、保証料、養育費保証以外のサービス面に注目して選ぶことをおすすめします。また、自治体でも補助金や助成金制度を設けているところがありますので、該当地域にお住まいの人は忘れずに有効活用しましょう。