ひとり親家庭にとって、大学や短大への進学費用は大きな負担です。しかし、大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)を利用することで、お子様の進学を叶えられる可能性があります。制度は頻繁に内容が変更されているため、本記事では2025年度の最新情報について解説します。
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目次
大学進学にはどのくらいの費用がかかる?

大学進学にかかる費用は、文系か理系か、国立か私立かによって大きく異なります。文部科学省が発表しているデータによると、大学入学の初年度にかかる費用の目安は以下の通りです。
入学金 | 授業料 | |
---|---|---|
国立大学(※1) | 28万2,000円 | 53万5,800円 |
私立大学(※2) | 24万806円 | 95万9,205円 |
私立短大(※2) | 23万7,122円 | 72万9,069円 |
※1 参考:文部科学省 – 国立大学と私立大学の授業料等の推移
※2 参考:文部科学省 – 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
いずれも入学金は20万円台ですが、授業料は国立大学が約53万円なのに対し、私立大学は100万円弱かかることが多いです。
学費のほかにも、お子様がもしもひとり暮らしをする場合は家賃や生活費もかかり、まとまったお金を用意する必要があります。
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)とは
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)とは、家庭の経済状況に関わらず進学できるよう文部科学省が実施している教育支援制度で、大学、短期大学、専門学校などが対象です。
この制度の対象となるのは、ひとり親家庭などで世帯収入が一定の金額以下であり、お子様に進学して学ぶ意欲があると認められた場合です。所定の要件を満たすことで、返済不要の奨学金が支給されるほか、授業料や入学金の減免も受けられます。
なお、対象者は世帯収入に応じて4区分(第Ⅰ区分~第Ⅳ区分)に分けられ、それぞれ支援を受けられる金額が異なります。最も高額な支援を受けられるのは、第Ⅰ区分の住民税非課税世帯(※)です。
※住民税非課税世帯:1月1日時点で生活保護法による生活扶助を受けている方、ひとり親や障がい者などで前年所得が135万円以下の方などが該当
【2025度から】大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)の変更内容
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は、令和6年度には所得制限が年収600万円(目安)までに緩和され、令和7年度からは多子世帯への支援が拡大されるなど、制度の見直しが頻繁に行われています。
2025年度時点の情報を確認していきましょう。
多子世帯への支援拡大
令和7年度から、子どもが3人以上いる多子世帯の学生に対し、大学や短大などへの入学金・授業料が一定額まで減免されます。これにより、学費の支払いが困難なために、お子様が経済的理由で進学を諦める必要がなくなることが期待されます。
所得による制限はなく、お子様に学ぶ意欲があれば支援の対象です。ただし、対象を受けた場合でも、学習に対する意欲や成績が毎年確認されます。
支援対象の拡大
令和6年度の制度改正により、世帯年収が600万円程度までのご家庭でも、お子様が多子世帯や私立理工農系の学部・学科に進学される場合は、支援の対象となるようになりました。
多子世帯の場合は、全額支援の4分の1の金額が支給されます。私立理工農系の場合は、私立文系の場合にかかる授業料との差額が支給されるため、学部による経済的な負担の差が軽減される形になっています。
ご家庭がこの支援を受けるには、世帯年収が600万円程度までで、以下の要件を満たしている必要があります。
・多⼦世帯:扶養するお子様が3⼈以上いるご家庭
・私立理⼯農系:お子様の学問分野に理学・⼯学・農学のいずれかが含まれている場合(複数分野にまたがる場合も対象)
なお、多子世帯と理工農系の両方に該当する場合は、原則として多子世帯の支援が優先されます。
制度を利用する注意点
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は、学びたい意欲がある学生を支援するための制度なため、やむを得ない理由なく以下の状態になったときは、支援が打ち切りになる可能性があります。
・留年が決定した ・取得単位数が標準単位数の6割以下 ・授業への出席率が6割以下 |
また、多子世帯への拡充については、「子ども」の人数の数え方に注意が必要です。制度に該当するためには、3人の子どもを同時に扶養していることが条件となっています。そのため、第1子が就職などで扶養を外れると、多子世帯には該当せず支援の対象外になります。
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)の種類
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)では、次の2種類の支援を受けられます。
・入学金・授業料の減額・免除
・給付型奨学金
入学金・授業料の減額・免除
入学金や授業料の減額・免除は、進学先の学校の種類や国立・私立によって異なります。例として、第Ⅰ区分(住民税非課税世帯)の場合の具体的な支援金額を確認しましょう。
【第Ⅰ区分の入学金・授業料の減免の上限額】
国立 | 私立 | |||
入学金 | 授業料 | 入学金 | 授業料 | |
大学 | 28万円 | 54万円 | 26万円 | 70万円 |
短大 | 17万円 | 39万円 | 25万円 | 62万円 |
高専4・5年 | 8万円 | 23万円 | 13万円 | 70万円 |
専門学校 | 7万円 | 17万円 | 16万円 | 59万円 |
出典:文部科学省 – 高等教育の修学支援新制度
なお、第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2の金額が、第Ⅲ区分は第Ⅰ区分の3分の1の金額が支給されます。
給付型奨学金
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)では、返済不要の奨学金が支給されます。入学金や授業料の減免と同様、進学先の学校によって異なるほか、自宅通学か自宅外通学かによっても支給額が異なります。
ここでも、第Ⅰ区分の場合を例にとって見てみましょう。
【第Ⅰ区分の給付型奨学金の支給額】
区分 | 自宅通学 | 自宅外通学 | |
大学・短大など | 国公立 | 35万円 | 80万円 |
私立 | 46万円 | 91万円 | |
高等専門学校 | 国公立 | 21万円 | 41万円 |
私立 | 32万円 | 52万円 |
出典:文部科学省 – 高等教育の修学支援新制度
入学金や授業料の減免と同じく、第Ⅱ区分は第Ⅰ区分の3分の2の金額が、第Ⅲ区分は第Ⅰ区分の3分の1の金額が支給されます。
ひとり親は対象?利用するための条件について
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)は、対象となる条件に該当すればひとり親も支援の対象になります。経済的条件や学生の学習条件など、新制度内容も踏まえて解説していきます。
経済的条件
経済的条件として、支援を受けるお子様と生計維持者の所得と資産が、一定の基準を満たしている必要があります。
所得
以下の計算式で、学生・生計維持者それぞれの「支給額算定基準額」を求め、合計した金額によって、第Ⅰ区分から第3区分に分けられます。
支給額算定基準額=課税標準額×6%-(調整控除の額+税額調整額) (100円未満切り捨て) |
区分 | 収入基準 |
---|---|
第Ⅰ区分 | ・市区町村民税所得割が非課税 ・支給額算定基準額が100円未満 |
第Ⅱ区分 | ・支給額算定基準額の合計が100円以上2万5,600円未満 |
第Ⅲ区分 | ・支給額算定基準額の合計が2万5,600円以上5万1,300円未満 |
参考:JASSO – 【給付奨学生】2024年10月の支援区分見直し(2024年度適格認定(家計))
第Ⅰ区分に該当するのは、住民税非課税世帯か、支給額算定基礎額の合計が100円未満の場合です。
また、2025年度からは多子世帯も支援の対象になり、以下の条件に該当する世帯の学生が該当します。
区分 | 収入基準 |
---|---|
第Ⅳ区分 | ・支給額算定基準額の合計が5万1,300円以上15万4,500円未満 |
参考:JASSO – 【給付奨学生】2024年10月の支援区分見直し(2024年度適格認定(家計))
資産
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)を申し込んだ時点の学生本人と生計維持者の資産の合計が、1,250万円(ひとり親の場合)であることも条件のひとつです。
資産には、主に次のものがあります。
・現金 ・預貯金、有価証券 ・生命保険等から受け取った満期金や解約返戻金(貯蓄型生命保険や学資保険は含まない) |
これらの合計額が1,250万円未満であれば、資産要件を満たします。
学習条件
学生の学習条件は、進学前に申請する場合(予約採用)と、進学後に申請する場合(在学採用)とで異なります。
【進学前(予約採用)】
・高等学校の1学年から申込時までの全科目の評定平均値が、5段階中3.5以上である
・学修意欲があることが文書や面談等で確認できる(※)
※学修意欲の確認は、高等学校による面談やレポートの提出などで行います。
【進学後(在学採用)】
在学中に申請する場合は、1年次と2年次以上で条件が異なります。
①1年次:次の3つのうちいずれかに該当すること
・高等学校での評定平均値が3.5以上、または、入学試験の成績が上位2分の1以内である
・高等学校卒業程度認定試験の合格者である
・学修意欲があることが確認できる
②2年次以上:次のいずれかに該当すること
・平均成績が学部内の上位2分の1以内である
・修得した単位数が標準数以上であり、学修意欲があることが計画書で確認できる
対象となる教育機関
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)の対象になる学校は、国が定めた一定の条件を満たした大学や短大、高等専門学校(4年・5年)、専門学校です。
希望する学校が対象かどうかは、文部科学省の公式サイトで確認できますので、チェックしてみてください。
▶文部科学省 – 学びたい気持ちを応援します 高等教育の修学支援新制度
手続きのスケジュールについて
大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)の申し込みは、予約採用と在学採用とでスケジュールが異なります。それぞれの流れを確認していきましょう。
予約採用
1.高等学校3年生の4月下旬以降に、学校から関係書類を受け取る
2.必要書類を準備のうえ、日本学生支援機構(JASSO)に申し込む
3.秋以降に日本学生支援機構(JASSO)から学校を通して「採用候補者決定通知」が届く
4.入学が決まったら大学に決定通知書を提出し授業料等減免申請をする。日本学生支援機構(JASSO)へ進学届を提出する
5.4月または5月に最初の振込が行われる
在学採用
1.4月から5月頃に、在学中の学校の窓口で申請書類を受け取る
2.学校に必要書類を提出し、インターネットで日本学生支援機構(JASSO)に申請する
3.7月頃に審査結果の通知が届く
4.支援が決定すると4月分からの支援が行われる
なお、予約採用・在学採用共に、学校によりスケジュールが異なるため、詳細は学校の担当窓口に確認してください。
ひとり親は大学無償化制度を申請して子どもの進学に役立てましょう
お子様が大学などへの進学を希望していても、「自分の収入だけでは無理だ」と諦めてしまうひとり親の方も少なくありません。大学無償化制度(高等教育の修学支援新制度)を利用すれば、お子様の進学を諦めずに済みます。入学金や授業料の減免、返済不要の奨学金が受けられるため、経済的な負担が大幅に軽減されます。ただし、利用するには所定の条件に該当する必要があるため、支援対象者の条件を十分に理解し、スケジュールに余裕を持たせて申請手続きを行いましょう。