離婚の理由はさまざま。そして、その後の人生も、選択と決断の毎日です。先行きに不安を覚えたり、失敗して落ち込んだりすることもあるかもしれません。少し詰まってしまったら、この企画に相談にいらっしゃいませんか?自ら5人の子どもを育て上げた日本シングルマザー支援協会代表の江成道子さんが、本音で、真剣に、あなたの悩みに答えます。

第4回目のご相談は、お子さんが反抗期に差し掛かったシングルマザーのお悩みです。子どもの心が荒れてしまったのは、自分の働き方が影響しているのではないかと振り返るママに、江成さんが今月もアドバイスと元気の出るひと言を贈ります。

目次

  1. 今月の相談:子どもが反抗期。収入を減らしてでも子どもと向き合える仕事に変えるべき?
  2. 回答:積み上げてきたキャリアは大切に。子どもとのコミュニケーションの方法を変えましょう
  3. 相談者へのアドバイス1:「否定しない」「決めつけない」「あきらめない」で子どもと向き合う
  4. 相談者へのアドバイス2:問題行動は、家庭内のコミュニケーションから解決できることも
  5. 相談者へのアドバイス3:1日10分でも対等な大人同士として向き合う時間をつくって
  6. まとめ:ここまでやってきた自分を褒めてあげて。足りなかったものは埋めていけばいいのです

今月の相談:子どもが反抗期。収入を減らしてでも子どもと向き合える仕事に変えるべき?

結婚中も離婚後も、ずっと営業職でキャリアを築いてきました。残業や出張もありますが、一部歩合制で頑張った分がボーナスにもなり、仕事にはやりがいを感じています。

ただ、最近は中学生の息子が反抗的で、何を聞いても怒鳴り声で返すようになり、学校の先生からも「普段はおとなしいが、友だちに悪さをしたり、悪さを強要している」と連絡がありました。

自立してほしいと色々な機会を与えてきたつもりです。しかし、自分の働き方では子どもと向き合う時間を確保できていなかったと思うと、今の仕事を続けるべきかわからなくなりました。もっと子どもと向き合うために仕事を変えたほうがよいでしょうか。

▽相談者の情報
・既婚/・現在の職業:営業職/・年齢:43
・子ども(性別・年齢):1人(息子・15歳)
・経緯:長年、大手企業の営業職としてキャリアを築き、現在の年収は800万。貯蓄は1,000万。子どもは幼いころから習い事や塾に通わせ、自立を促すためできることはやってきた

 

回答:積み上げてきたキャリアは大切に。子どもとのコミュニケーションの方法を変えましょう

キャリアを積んで来られた方が、子どもの反抗期のころによく突き当たる問題だと思います。ただ、自分が仕事を変えればよいと考えるのは早計です。

ひとつの企業に長年勤めている方が転職すると、ほとんどの場合、給料はいったん下がります。引き抜かれて転職するのでもなければ、年収を数百万下げてからの再スタートとなることも覚悟したほうがよいでしょう。子どもと向き合うための転職が、逆に子どもと向き合えない現実を生んでしまうかもしれません。

いまの仕事は続けたまま、子どもと向き合う時のコミュニケーションスキルを身につけて、関係を改善する努力をした方がよいと思います。では、その方法について解説していきます。

相談者へのアドバイス1:「否定しない」「決めつけない」「あきらめない」で子どもと向き合う

子どもが9歳ごろまでなら、ほめたり抱きしめたりするコミュニケーションもよいと思いますが、息子さんが中学生となると、なかなかそうもいかないものです。ですから、きちんと向き合う時間を設けましょう。子どもが中学生くらいの年齢だと、母親は生活態度や考え方に対して指摘や否定の言葉をかけてしまいがちですが、それをやめて、子どもの言動をいったんすべて受け入れるよう心がけます。

たとえば、子どもがゲームをしているとしましょう。あなたなら、何て声をかけますか。「またゲームばかりして」と否定的な言葉をかけてしまっていませんか。

理想的なのは、「どんなゲームをやっているの?」と、子ども側の視線に立ったコミュニケーションを心がけることです。子どもの好きなものを理解しようと努める姿勢が大切です。

携帯を例にとっても、親子の世代間のギャップはとても大きいです。たとえば、子どもが携帯をさわっていると親は「遊んでいる」と思ってしまいがちですが、実は情報収集をしているかもしれないし、ひょっとしたら勉強しているかもしれません。生まれた時から携帯がある世代には、私たちとは携帯の存在意義そのものが違います。だから、子どもが夢中になっているものを“悪”だと決めつけないことが大切です。

相談者さんの場合でいうと、「自分の仕事が悪かったのでは」というのも決めつけかもしれません。14~15歳の子どもが親に反発をしながら成長するのは一般的なことですし、息子さんはただ単に反抗期を迎えているだけという可能性もあります。

次に、怒鳴り声で返してくるというお悩みについて考えてみます。私がいままで見てきた事例から言うと、子どもが感情的になっているときは、先に親の方が感情的に声をかけていることが多いように思います。穏やかに声をかければ、子どもは意外と普通に返してくるものです。

ただ、親子間で感情的なやりとりが普通になってしまっているようなら、相談者さんが「自分は感情的に受け答えしない」と心に決めて、しばらくは辛抱強く実行し続ける必要があります。

親子関係の溝が深く、子どもが何年も不満を溜めていたのだとしたら、それを解消するにはそれなりの時間がかかります。1日や2日でどうにかなる問題ではないですが、何年もかかるわけではありません。親はあきらめずに声をかけ続けるのが大切だと思います。

相談者へのアドバイス2:問題行動は、家庭内のコミュニケーションから解決できることも

友だちとの問題についてできることは、子どもを怒ったりたしなめたりすることではなく、話を聞いて理解しようとすることです。行動の裏にある理由が浅かろうと深かろうと、そこに意味を求めず、しっかりと話を聞いてください。

「相手が嫌なやつだから」と友だちのせいにすることもあるでしょう。そんなときは「そんな風に思ってはダメだ」と否定するのではなく、彼がそう感じている事実を受け止めて「そうなんだ。どんなところが嫌だと感じるの?」というところまで聞きます。すると子どもは、理解してもらえたと感じます。

そこではじめて「お母さんはこう思うよ」と自分の意見を伝えましょう。謝る必要があるのなら、「自分で謝れる?一緒に謝ろうか?」と聞いてみるとよいですね。

この“話を聞く”ということは、子どもを甘やかすことではありません。意見を言わず子どもの言うことを全面的に聞き入れると“甘やかす”ことになりますが、まず相手の話をよく聞いて理解すると、相手もこちらの話に聞く耳を持つようになります。そこから自分の意見を述べる。感情対感情ではなく、意見を言い合えるコミュニケーションを取るのです。

問題行動の根っこに何らかの不満があるのだとしたら、基本は家庭の親子関係だと思います。親子関係の不満が、周囲や社会に対して影響するのはよくあることです。「子どもとの関係を改善したい」と気づいたときから、また関係を構築していけばよいと思います。

相談者へのアドバイス3: 1日10分でも対等な大人同士として向き合う時間をつくって

収入を下げてでも子どもと向き合う時間を取る必要があると感じたなら、その選択肢もよいのかもしれません。もし実際に検討する際には、息子さんをひとりの大人とみなして「私たちのために仕事を変えようかと思う」と相談してみてください。

「2人で過ごす時間が多くなることで不満が解消できるのなら、それも考えたい」と伝え、同時に「収入が減るから、できなくなることも出てくると思う」という話もします。経済的に進路を変更せざるを得ないことがあっても、「それでも一緒にいてほしい」という答えが返ってくるかもしれません。母親ひとりで決めずに、2人で話して決めていけばよいと思います。対等な大人同士という意識をもって向き合いましょう。

シングルマザーですから、日々忙しいとは思います。しかし、向き合う時間は1日10分でも構いません。時間をつくる努力をすることが重要です。それも難しければ、LINEでもよいので2人でやりとりできる時間を確保してください。中学生ですから、はじめは拒否するかもしれません。それでもあきらめずに、「今日は学校どうだった?」と声をかけたりメッセージを送ったり、あなたのことを常に気にかけているよ、ということを伝え続けましょう。

 

まとめ:ここまでやってきた自分を褒めてあげて。足りなかったものは埋めていけばいいのです

相談者さんがここまでのキャリアを築くのは、並大抵の努力ではなかったと思います。仕事を頑張ってきた自分を褒めてあげてください。一生懸命働いてきた反面、子どもにもっとしてあげられたことがあったのではと感じることもあると思いますが、あなたが間違っていたわけではありません。

振り返ってみて、今まで足りなかったと感じるところがあれば、これからはそれを埋めていけばいいんです。それが料理だったとしたら、食卓に出して終わり、ではなくて「今までもしてあげたかったけど、おろそかになっていたのは反省してる。ちゃんと美味しいもの食べようね」と言葉で伝えることも忘れないでください。

一度親子関係を改善できると、その後も良好な状態を保ち続けている家庭は多いですよ。根気よく、向き合うことを続けてみてくださいね。

江成道子

江成道子
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 代表理事。シングルマザーサポート株式会社代表取締役社長、一般社団法人グラミン日本顧問、武蔵野学院大学講師。自らシングルマザーとして5人の姉妹を育てながら、シングルマザーの自立支援活動を続ける。講演多数。
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会

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