離婚をするなら事前の準備が大切です。子どもがいる場合は特に、離婚後の生活で不憫な思いをさせてしまわないよう、入念に行っておきたいところです。今回は子どもあり夫婦をモデルケースとして、具体的にどんな準備をしておくとよいのか、離婚を考えるうえで必要なお金の知識とあわせて解説します。
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子どものためにも事前の離婚準備は入念に
「離婚したい」と思ったら、勢いですぐ実行してしまうのではなく、事前にしっかりと準備してからにするのがおすすめです。一刻も早く離婚したいという方もいますが、離婚は大きな決断ですし、特に子どもがいる家庭の場合は夫婦間だけの問題ではありません。
DV(家庭内暴力)を受けているなど、早急に対応しないと自分や子どもが危ないような緊急事態でない限りは、子どものこれからを考えて、少しでも困らずに済むよう備えておきたいところです。
離婚前の準備が大切な理由
事前に準備にはどんなメリットがあるのでしょうか。たとえば次の4つが挙げられます。
・離婚後の後悔をなくす
・将来お金で困らないようにする
・スムーズに離婚を済ませる
・子どもにかかる迷惑を軽減する
離婚前に十分な準備をしたかどうかによって、離婚は後悔の始まりにも、「幸せになるための次へのステップ」にもなりえます。相手に離婚を告げる前に、できることは済ませておきましょう。
離婚をすれば子どもも影響を受けます。事前に備えておくことで、精神的にも金銭的にもショックをやわらげてあげることが大切です。
子どもあり夫婦の離婚準備で重要な4つのポイント
では、子どもあり夫婦の離婚前の準備としてどんなことをすればよいのか、押さえておくべき4つのポイントを説明しましょう。
ポイント1:子どもあり夫婦が離婚前に必ず済ませるべき準備を知っておく
離婚するとなると、まず気がかりなのが子どもの将来でしょう。子どもにとって何が一番幸せなのか、をよく考えた上で次の3つは必ず済ませておきましょう。
「親権」と「面会交流」についての話し合い
親権とは「子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限」のことです。離婚前には必ず、離婚後に両親のどちらが子どもを引き取って育てていくのかを考えましょう。どちらが親権を持つかは、夫婦の話し合いで決めることになっています。
離れて暮らすことになった親と子どもが、どんな頻度でいつどんな風に会うのか「面会交流」についてもセットで考え、話し合って決めておくのが理想です。
離婚後の「養育費」の取り決め
養育費は、子どもの成長のために必要なお金です。離婚後に子どもと離れて暮らすことになった親が、子どもを引き取って育てていく親に支払うことになっています。こちらも親権同様、具体的な金額や支払い方法などは夫婦の話し合いで決めるのが原則です。
養育費を受け取るのは親権者ですが、受け取る権利を持っているのは子どもです。子どものためを思うなら、養育費についてしっかりと情報収集をし、取り決めをしておくことが何より重要です。
子どもに離婚のことを話す
離婚を決めたら、いつか子どもに説明しなくてはなりません。年齢によってはまだ理解できないかもしれませんが、子どもにとっても、人生にかかわるとても重要なことです。
今までのような両親との暮らしが失われるだけでなく、場合によっては引っ越したり転校したり名字が変わったりすることもあるでしょう。子どもが抱える不安感をなるべく払拭してあげられるよう、どんな変化が起き、どんな暮らしになっていくのか、ていねいに説明してあげたいところです。
ポイント2:離婚に関するお金について具体的にシミュレーションしておく
離婚とお金は切っても切れない関係にあります。生活に困らないように、離婚後の住まいや仕事はどうするのか考えておき、必要であれば探し始めておきましょう。
離婚に関して、どんなお金が、いくらくらい動くのか事前に知っておけば、金銭的な不安をやわらげられますし対策しておくこともできます。
離婚後にかかるお金やもらえるお金について、詳しくはこのあとの章で解説しますが、できるだけ「自分の場合はどうなるだろう?」と具体的な数字で考えてシミュレーションしておきましょう。
ポイント3:離婚の手続きについて知っておく
離婚について相手と話し合って、お互い納得すれば離婚届に記入して役所に持って行くというのが一般的な流れです。ただ、それがうまくいかなかったときの手続きや、それ以外にもやっておいたほうがよい手続きが存在します。
▽ケース1 ~話し合いができない場合 or もめそうな場合~
離婚についてはお互い納得するまで相手と話し合うのが基本です。もしそれが難しい場合は、裁判所で「調停」という手続きができます。
こじれた場合は裁判になることがあります。相手が浮気やDVなどをしている場合は証拠を押さえておく、離婚成立まで勝手に離婚届を出されないよう役所に「離婚届不受理申出」をしておく、裁判費用を貯めておくといった対策も有効です。
▽ケース2 ~話し合いができた場合~
話し合いの結果は必ず書面に残しましょう。離婚協議書を自分たちで作成することもできますが、おすすめは「公正証書」を作成しておくことです。公正証書は、全国にある公証役場で作成することができ、法律のプロが作成するため強力な法的証拠力があります。
このような手続きができることを知っておくと、あとでトラブルになる事態を防げます。
ポイント4:頼れる人を見つけておく
離婚は重くデリケートな話になりがちなので、親しい友人や親にもなかなか話せず、1人で抱え込んで辛くなってしまう方もいます。誰かひとりでも、話を聞いてくれたりアドバイスをくれたり、離婚前も離婚後も味方になってくれたりする人がいると安心できます。
親族や友人への相談が難しければ、SNSで同じような境遇を乗り越えた人を見つけて勇気をもらったり、地域のひとり親家庭自立支援センターや養育費相談センターの相談員さんに頼るのもよいでしょう。
夫婦関係、子ども、お金、仕事など離婚に際して悩みや課題は多いかもしれませんが、自分ひとりだけで解決する必要はありません。思い詰めすぎないようにしましょう。
離婚後にもらえるお金、かかるお金を整理しよう
ここからは「お金」について見ていきましょう。離婚にまつわるお金についての知識があれば、子どもの今後について考えるときにも、離婚後の生活をシミュレーションするときにも役立ちます。
具体的には次のステップに沿って、計算してみるとよいでしょう。
ステップ1:離婚後にもらえるお金を把握する
離婚後に受け取れる可能性があるお金には、たとえば以下の4つがあります。
もらえるお金1:財産分与
マイホームや預貯金など、今までの夫婦生活のなかで協力して築いてきた財産については、たとえ相手の単独名義になっていても「財産分与」の対象になります。どの財産をどれくらい受け取れるかは夫婦間の話し合いで決めるのが基本です。裁判所では夫婦で2分の1ずつになるよう分けることが多いようです。なお離婚と同時に分与をしなかった場合は、離婚後2年以内に家庭裁判所に財産分与を申し立てる必要があります。
もらえるお金2:慰謝料
離婚の原因が相手にある場合、自分が受けた精神的苦痛に対する損害賠償として請求できるのが「慰謝料」です。慰謝料の金額はその家庭ごとのさまざまな事情を反映して決まりますが、相手が不倫、DV、モラハラなどをしていた場合、50万円~300万円程度のあいだにおさまることが多いようです。
もらえるお金3:養育費 ※子どもを引き取る場合
養育費の金額は話し合いの結果次第ですが、国の調査によると平均額は月額およそ4万4,000円となっています。この金額が毎月あるかないかで、やりくりのしやすさが大きく変わります。子どもには受け取る権利がありますので、必ず請求するようにしましょう。
もらえるお金4:ひとり親が受けられる支援 ※子どもを引き取る場合
ひとり親が生活に困らないよう、公的な支援制度が多数用意されています。たとえば「児童扶養手当」は子どもの数や収入等に応じて月額数万円ほどが支給され、児童手当と両方受け取ることもできます。
ほかにもお金に余裕がなくて苦しいときは、数ヵ月分の家賃相当額が支給されるなど衣食住の確保にも使える「生活困窮者自立支援制度」や、ひとり親が国から低利子、あるいは無利子でお金を借りられる「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」なども利用できます。
自治体によっては、家賃助成や公営住宅など安く住める制度や、法的な手続きや養育費保証の費用補助、医療費補助、子どもの学習支援など独自のサポートを用意している場合もあります。広報誌やホームページをチェックしておきましょう。
ステップ2:離婚後の収入を計算する
国が行った調査によると、シングルマザーの平均年収は約200万円となっています。ちなみに、本人が働いて得た収入だけでなく、ステップ1で計算した児童手当など国から支給されるお金、離婚相手から受け取れる養育費、そのほか同居親族の収入などすべてあわせた平均年収は約350万円でした。
離婚後も今の仕事を同じように続けるなら特に変化はないかもしれません。ですが、「引っ越しをするため続けられない」「今まで専業主婦だった」「子どもがまだ小さくてフルタイム勤務が難しい」という方は、離婚前にステップ1~2で今後の収入の目途をつけておいた方が安心です。
ステップ3:離婚後にかかるお金と比べてみる
ステップ1~2で計算した年収で、離婚後にかかるお金を賄うことができるのか。きちんと計算して知っておくことが大事です。
では、もし母子家庭になったら、毎月いくらくらいお金が必要になるのでしょうか。国の家計調査によると、平均支出は以下のとおりです。
▽表 シングルマザー世帯の1ヵ月間の支出
費目 | 支出額 |
食費(外食費含む) | 約5万4,000円 |
住居 | 約2万9,000円 |
水道光熱費 | 約1万7,000円 |
家具・家事用品 | 約7,000円 |
衣服類 | 約9,000円 |
健康・医療費 | 約5,000円 |
交通費・自動車代 | 約1万円 |
通信費 | 約1万3,000円 |
教育費 | 約3万円 |
教養娯楽費 | 約1万8,000円 |
その他(理美容・小遣い・交際費など) | 約2万2,000円 |
1ヵ月の平均支出:合計 | 約21万4,000円 |
出典:総務省「家計調査」(2020年5月/世帯類型別/母親と20歳未満の子どものみの世帯)
もちろん、生活費は離婚後にどこに住むのかによっても変わってきます。相手に出て行ってもらって今の家に住み続けるのか、引っ越して新しい部屋を借りるのか、実家に身を寄せるのか、さまざまなケースがあり、支出も変わります。住居費は大きな固定費であり、毎月数万円の差は少なからず生活に影響します。
離婚でもらえるお金や離婚後の予想年収も頭に入れつつ、今後どんな暮らしをしていきたいのか理想の暮らしを思い描いてみましょう。
まとめ:離婚に向けて少しずつ準備を始めよう
離婚を本格的に考え始めたら、子どものこと、お金のこと、決めるべきことがたくさんあると気付くでしょう。離婚をスムーズに済ませて新しい生活を難なくスタートできるよう、できることから少しずつ準備を進めていきましょう。