離婚の理由はさまざま。そして、その後の人生も、選択と決断の毎日です。先行きに不安を覚えたり、失敗して落ち込んだりすることもあるかもしれません。少し詰まってしまったら、この企画に相談にいらっしゃいませんか?自ら5人の子どもを育て上げた日本シングルマザー支援協会代表の江成道子さんが、本音で、真剣に、あなたの悩みに答えます。

第5回目は、夫婦喧嘩でご主人がとった行動に不安を感じるママからの相談です。長引く自粛生活のなか、一緒に過ごす時間が増えたことで夫婦関係が悪化してしまった……、という方も必読の回です。

目次

  1. 今月の相談:夫婦ゲンカがエスカレート。いつか娘に手をあげるのではと不安……
  2. 回答:あなた自身が変われば、夫婦関係は変えられます。その努力をご主人が理解しない時は、離婚も考えましょう
  3. 相談者へのアドバイス1:まずは相談者さんからご主人への声かけを見直しましょう
  4. 相談者へのアドバイス2:夫婦一緒に問題解決に取り組んでいけるかどうかを見極める
  5. 相談者へのアドバイス3:ひと呼吸置いて考えることを習慣化。俯瞰力は幸せへの近道
  6. まとめ:きっとあなたは変われるはず。自分にベストな道を見つけてください

今月の相談:夫婦喧嘩がエスカレート。いつか娘に手をあげるのではと不安……

夫が飲食の仕事に就いています。このご時世で仕事と収入が減ったせいか、私に対する暴言がひどく、もともと多かった夫婦ゲンカがさらに増えました。先日、緊急事態宣言が出ている中で酔って帰ってきたので怒って注意したところ、私にむかって携帯を投げつける出来事がありました。私には当たらず、本人は当たらないように投げたといいます……。

今の夫の気持ちもわかるので、辛い時こそ支えてあげたいと思いますし、世の中の状況が戻れば夫も変わると思うのですが、このままでは携帯を投げつけるのにとどまらず、私や娘に手をあげるのでは、と不安も感じます。どうしたらいいでしょうか。

▽相談者の情報
・既婚or離婚:既婚/・現在の職業:事務職/・年齢:28
・子どもの数(性別・年齢): 1人(娘1歳)
・その他の情報(職歴、貯金額など):3年前からパートで配送事務の仕事に就き、出産を機に一度辞めて再び同じ会社に勤務。結婚5年目の夫は飲食店を経営、現在は収入が不安定に

 

回答:あなた自身が変われば、夫婦関係は変えられます。その努力をご主人が理解しないときは、離婚も考えましょう

男性が口喧嘩で追い込まれたとき、自分の優位を示すため暴力という手段に出たり、経済力を引き合いに出すことはよくあります。物を投げたのが口論で追い込まれた末の行動ならば、相談者さんの行動を変えない限り、さらにエスカレートする可能性もあるでしょう。そうならないためにはどうしたらよいか、解説していきましょう。

相談者へのアドバイス1:まずは相談者さんからご主人への声かけを見直しましょう

協会でも、「ご主人が家にいることが多くなって会話も増えたけれど、話せば話すほど夫婦関係にヒビが入る」という相談は非常に多くなっています。話を聞いてみると、相手を“追い詰める”ような会話が多いんです。

今回のケースは「緊急事態宣言下で飲んで帰って来たご主人を怒った」ということですが、相談者さんのその行動に、ご主人は“追い詰められている”と感じます。第一声を改められれば、状況は確実によくなるはずです。

口喧嘩はひとりではできません。感情のままに言いたいことをぶつけ合うのですから、ご主人も「妻の暴言がひどい」と思っているでしょう。解決するにはコミュニケーションの取り方が重要になってきますが、会話は相手からスタートすると考えるのではなく、“自分の声かけから始まっている”と発想を変えてみましょう。そのほうがスムーズに相手を理解でき、コミュニケーションも取りやすくなります。

ご相談の場合なら、帰宅した時の相談者さんの言葉に「心配したよ」「こんな時に飲まなきゃいけないような、辛いことがあったの?」という気づかいがあったら、どうでしょう。きっとご主人の反応は違ったと思います。声かけに対してご主人が発する言葉は、“返事”なんです。自分がかける言葉を意識して変えるだけで、相手の態度や言葉が変わることは十分ありえます。

どれだけ相手を気づかった言葉をかけられるか。まずは、そこを意識してみてください。

相談者のお悩み2:夫婦一緒に問題解決に取り組んでいけるかどうかを見極める

ご主人は経営者ということですが、こうした社会変化を乗り越えられないようなら、今後の事業の継続も難しいのではないかと思います。感情が揺さぶられやすく、現状のイライラを人にぶつけるという行動からも、「未来を見る力」が弱いのではと推測されます。あえて厳しい言い方をしますが、経営者としての資質に欠けているかもしれません。

経営者としての手腕はご主人の課題ですが、これまでの夫婦関係で仕事の話を一緒にできるような間柄であれば、一度、コンサルタントなど専門家に相談することを提案してみてもよいかもしれませんね。

それから、相談者さんも経済力をつけておくことをおすすめします。ご主人の経営が立ち行かなくなったとき、ご自身の経済力で支えることができるし、万が一離婚になったときにも備えられます。家計という観点からみても、稼ぎは二本柱の方がやはり安心です。

ここで言いたいのは、夫婦でともに問題解決していくことができれば、これまで以上に強固な信頼関係につながるということです。ご相談者さんには、ここまで紹介したような方法を参考に、ぜひ“行動”を起こしてほしいと思います。そんなあなたを、ご主人は「支えようとしてくれている、一緒に解決しよう」と好意的に受け止めてくれるかもしれません。

一方で、奥さんが多く稼ぐようになったことでご主人のプライドが傷つき、残念ながら、うまくいかなくなるケースも散見されます。もしご主人が、変わろうと努力するあなたに対して反対する立場をとったり、目標に向かっているときに引きずり下ろそうという行動に出たなら、もう一緒にいることはプラスになりません。人間の成長の場としても、子どもの置かれる環境としても、ふさわしいかどうか考え直しましょう。

相談者のお悩み3:ひと呼吸置いて考えることを習慣化。俯瞰力は幸せへの近道

相談者さんの場合、ご主人への気づかいを伝えることが第一とお伝えしましたが、それも自分の気持ちに余裕がない状況では難しいでしょう。そんなときは、「ひと呼吸置く」ことを意識してみてください。感情に翻弄される前にひと呼吸して、「私、いまイラっとしたな」と気づくことができると、気持ちを落ち着つかせることができるはずです。

ひと呼吸置いたあとは、「この人がこんな言動をとっているのはどうしてだろう」と相手のことを考えます。この客観的に物事を考えるというクセをつけるだけで、「俯瞰力」がつくんですね。俯瞰力がつけば、周りが見えるようになってイライラしなくなります。

すると自分から相手を攻撃することがなくなるので、相手から攻撃されることも少なくなります。人との調和が取れるようになり、不満が少なくなり、信頼関係も構築しやすくなるので、結局、自分が幸せになるんですよね。

はじめは、もちろん失敗もすることもあると思います。そのとき、「また感情的になっちゃった」と気づくことがスタートでよいのです。諦めずにしつこくやり続けていると、相手の変化を体感できるようになるので、そこに到達すると、あとは自然に変わってきます。ひと呼吸置くこと、考えることの習慣づけは、やってみると思った以上に簡単なので、ぜひ今日から始めてみてください。

 

まとめ:きっとあなたは変われるはず。自分にベストな道を見つけてください

自分が変われば人も変わることを体感するために、簡単にできることがあります。いつも行くコンビニやスーパーで店員さんからおつりを受け取るとき、「ありがとうございます」と声に出して言ってみてください。それだけで、事務的だった店員さんの態度も変わります。「いつもありがとうございます」「お気をつけて」と、ひと声かけてくれるようになるんです。自分の態度ひとつで、これだけ人が変わって、自分にも嬉しいことがあると、すぐに気づくことができると思います。

協会に離婚の相談に来られた方でも、ご主人側に離婚の意思がなければ、奥さんのコミュニケーションを変えるだけで、“ほぼ100%”といっていいほど夫婦仲は改善しています。

いまの状況をなんとかしたいと、相談することで一歩を踏み出しているのだから、あなたならきっと変われるはずです。まずは声かけに気をつけるところから実践して、あなたのベストな道を探してみてください。

江成道子

江成道子
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 代表理事。シングルマザーサポート株式会社代表取締役社長、一般社団法人グラミン日本顧問、武蔵野学院大学講師。自らシングルマザーとして5人の姉妹を育てながら、シングルマザーの自立支援活動を続ける。講演多数。
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会

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