子どもを連れて離婚する場合、一番の心配の種となるのが「お金」の問題です。子どもを守り育てていくためには、愛情だけでなくある程度のお金も必要です。今回は、子どもを連れての離婚を考えている人に向けて、養育費や慰謝料など受け取れるお金を紹介します。また、支払われるべきお金が支払われないときにはどこへ相談すればいいのかについても、解説していきます。

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「子連れ離婚」の前に立ちはだかる壁とは

子どものいる夫婦が離婚するときには、離婚に至るまでにさまざまな壁が立ちはだかります。「子どもがいるけれど離婚したい……」そう考えている人へ向けて、子連れ離婚をした人が感じた壁をご紹介しましょう。

お金の壁

子連れ離婚経験者の間でも意見として多かったのが、お金の壁です。兼業主婦であったとしても、離婚すると一馬力で子どもの分も稼いでいかなければいけません。そのうえ、育児も家事もすべて1人でこなすとなると、いままでと同じように働けない可能性もあります。

また、養育費の取り決めを行ってもきちんと支払ってもらえないケースがあるのも事実です。十分な収入と貯金がある人を除いて、子連れ離婚とお金の問題は切っても切り離せない関係にあります。

仕事の壁

離婚するときの子どもの年齢にもよりますが、離婚をすることで働き方にも変化が現れます。近くに頼れる実家がある、またはすでに保育園に入っている場合は同じようなスタイルで働くことができるかもしれません。しかし、それでもお迎え依頼があったときや親子それぞれに体調不良が続いてしまうと、収入減に直結してしまいます。

また、離婚を機に、職を得て社会復帰を果たす場合は、兼業主婦だったケースよりも厳しい道が待ち受けているかもしれません。フルタイムで働きたいけど働けない、子どものことを優先するために希望の職につけないなど、仕事の壁があることも頭に入れておきましょう。

子育ての壁

子連れ離婚を考えていても、親権が自分のものになるかどうかは確実ではありません。子どもを連れて離婚、親権を請求するとなると子どもを育てていくだけの経済力があるかどうかが焦点となります。専業主婦の場合は、子連れ離婚を果たすために収入を安定させることが先決です。

以上に紹介した3つの壁は、結局のところ、収入の問題にかかわってきます。子連れでの離婚を考えるなら、やはり金銭的な準備、見通しはしっかり立てておきたいところです。

離婚する時に受け取れるお金がある

離婚に対して“すべて失う”ようなイメージを持っている人もいますが、実は離婚することで受け取れるお金もあります。金銭面で損しないためにも、離婚で受け取れるお金について確認をしておきましょう。

「財産分与」は主婦も対象になる

「財産分与」とは、結婚している間に夫婦で購入した車や家、一緒にためた貯金など、夫婦で力を合わせて築き上げた財産の分与を指すことが一般的ですが、離婚の場合にはほかにもいくつかあります。3つの財産分与について確認しましょう。

(1)清算的財産分与:結婚生活の間に作り上げた財産の精算
(2)扶養的財産分与:離婚することで困窮すると思われる場合に、元配偶者に扶養してもらうこと
(3)慰謝料的財産分与:傷ついたことに対して支払われる慰謝料

これら3種類の財産分与は、法律で受け取ることが認められている権利です。当てはまるものがあれば、きちんと請求しましょう。

「年金分割」で厚生年金保険料を分割

離婚するときには、婚姻期間中にかけていた厚生年金の年金記録を分割したものが受け取れます。ただ、元配偶者が“第2号被保険者であること”が原則です。夫から妻、妻から夫というルールではなく、「年収の高い人から低い人へ」分割されるルールなので、婚姻期間中に夫の年収を上回っていた場合は、受取の対象になりません。

“元配偶者の年金の半額がもらえる”という単純なルールではありませんが、基準に該当すれば受け取れるお金なので、自分のケースに当てはめて確認しておきましょう。

「慰謝料」は弁護士を通しての請求が鉄則

「慰謝料」は、元配偶者が原因で離婚となった場合に請求できるお金です。浮気やDV、借金など、元配偶者から身体的・精神的苦痛を受けた場合は、確実に請求しておかなければいけません。

慰謝料の金額については、夫婦で話し合って決めるケースが大半ですが、慰謝料の請求については、第三者である弁護士を通しての請求が鉄則です。相場があるわけではないので、相手に言いくるめられて自分が損しないように弁護士を挟んで話し合いを行うようにしましょう。

「子どもの養育費」を受け取るためにも取り決めを徹底する

子連れ離婚をする場合、子どもを育てていく上でかかる養育費も元配偶者に請求できます。支払う側(義務者)ともらう側(権利者)の収入や、子どもの人数、年齢などから養育費は算定されます。裁判所から目安が示されているので、参考にできるでしょう。

【参考】裁判所 – 平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

養育費は、子どもが20歳になるまで受け取れるお金です。請求した月の分からしか養育費の支払い義務が発生しないので、子連れ離婚が決まったらすぐに請求しておいてください。

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子どもの養育費をきちんと払ってもらうにはどうすればいい?

元配偶者に支払いの義務がある養育費ですが、実はきちんと支払われないケースがあるのも事実です。滞りなくきちんと養育費を支払ってもらうためには、どうすればいいのでしょうか。

「公正証書」にて養育費の合意を行う

養育費について、公正証書を取り交わしている場合は、支払いが滞った場合に強制執行の対象となります。元配偶者の給与を差し押さえる方法が一般的で、相手の給与の2分の1の金額までが差し押さえの対象となります。養育費は子どもの生活に関わるお金です。離婚の際には公正証書にて養育費の合意内容を残しておくようにしましょう。

離婚が決まるまでに決まらなかったら「養育費調停」を

夫婦の話し合いで養育費の額が決まらなかったり、離婚した後に養育費を請求したりする場合には、養育費請求調停を行うことでスムーズに支払ってもらえるようになります。双方の合意を目的に開かれる調停ですが、もし合意が得られなかった場合は審判手続きを行います。

最終的には裁判官が養育費の金額を判断することになる仕組みになっているので、どうしても話し合いで決まらない場合には、養育費調停を利用してください。

養育費保証サービスを利用して確実に受け取る方法も

民間の「養育費保証サービス」を利用して、確実に養育費を受け取る方法もあります。もし元配偶者が支払いを滞ったとしても、代わりに養育費保証サービス会社が養育費を立て替えてくれるので、滞りなく養育費を受け取ることが可能となります。この養育費保証制度は、最大12カ月分までなど、保証期間の制限などもあるので、利用する養育費保証サービスの内容をよく確認しておいてください。

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まとめ:子連れ離婚を考えるなら、離婚後のライフプランが大事

子どもを連れて離婚したいけれど、お金のことがネックになって離婚できない…。こんな悩みを抱えて、苦しみながら婚姻生活を続けている人も少なくありません。離婚のときにはどんな壁が立ちはだかるのか、もらえるお金があるのかを知っておくと、子連れ離婚に対するハードルが少し下げられるかもしれません。本記事を参考に、離婚後の収入やライフプランについて考えてみてはいかがでしょうか。