離婚後、別れた相手に子どもを会わせる「面会交流」ですが、できるものなら拒否したいという方もいるのではないでしょうか。この記事では、面会交流を拒否することはできるのか、拒否するとどんなリスクがあるのか、面会させずに養育費を受け取ることは可能か、気になる疑問について解説していきます。

面会交流は拒否できる?

結論から言うと、面会交流を拒否することは基本的にできません。ただし、拒否できる場合もあります。なぜ基本的に拒否できないのかを知るため、まずは面会交流の意味について確認しておきましょう。

面会交流の意味

面会交流は離婚後、普段は離れて暮らしている親と子が定期的に会って、一緒に遊んだり話したりすることを指します。「面会」とついていますが、電話や手紙などでの交流も含まれます。

法務省は、離婚時にはどれくらいの頻度で、どうやって、どこで会うのかなど、面会交流のルールについて話し合って決めておくよう求めています。離婚届にも「面会交流や養育費の分担について」という記載があり、ルールを決めたかどうかチェックを付ける欄があります。

なお、法務省が作成する手引書では、離婚合意の際に以下のようなポイントを取り決めておくよう推奨されています。

・面会交流の内容:宿泊の有無、手紙や電話、LINEやSNSなどのやりとりを認めるかなど
・面会交流の頻度:週1回、月1回などどんなタイミングで何回会うか
・その他、待ち合わせ場所やプレゼントに関する取り決めなど

面会交流は子どものため

面会交流が推奨されているのは、子どもの幸せのためです。

親が離婚して今までとはまったく違う生活を送ることになった子どもは、たとえ表に出さなくても、大きなショックやストレスを抱えていることが多いです。「親が離婚した原因は自分かも」「(離れて暮らす)親に嫌われたのかも」と不安になって悩んでしまう子もいます。

面会交流は、こうした不安定で落ち着かない精神状態の子どもが安心できるようにするためのものです。離れて暮らす親とも定期的に会って話すことは、愛情を感じて不安を解消したり、自己肯定感が身について自信を持てたり、子どもの健やかな成長のためになるとされています。

離婚時の状況によっては、話し合いができるような状況ではなかったり、相手の顔も見たくない、子どもに会ってほしくないと思ったりすることもあるでしょう。ですが、民法766条では以下のように定められています。

“父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない”

子どもが健やかに成長して幸せに暮らしていけるよう、父母は最大限努力する必要があります。

面会交流権(面接交渉権)とは

離婚で子どもと離れて暮らすことになった親には、「面会交流権(面接交渉権)」が認められています。

「面会交流権(面接交渉権)」とは、子どもに会って一緒に時間を過ごすなどして交流する権利です。たとえ離婚して親権がなくなっても、子どもの親であることは変わらないため、面会交流権はなくなりません。

面会交流は基本的に拒否できない

面会交流は子どものためのものです。親同士の仲がいくら険悪だったとしても、そのせいで子どもが面会交流の機会を奪われるということは認められません。

子どもが離婚でつらい思いをせずに済むよう、別れたあとも父と母として子どものために協力していくことが必要になります。

ただ、場合によっては面会交流を拒否できるケースも存在します。具体的にどのような場合なのか、次の章で見ていきましょう。

例外的に面会交流を拒否できる場合

面会交流を拒否できるのは、その面会交流が「子どものためにならない」ときです。たとえば以下のような場合は、面会交流をしても子どものためにならないと判断される可能性が高いです。

・子どもが会うのを嫌がっている
・元配偶者が自分や子どもに危害(暴力や暴言など)を加える可能性がある
・元配偶者が子どもを連れ去ろうとしている
・元配偶者がアルコール依存症や薬物の使用など正常な判断が難しい状態である

離れて暮らす親に面会交流権があったとしても、子どもの健全な成長の方が優先されます。これらのケースにあてはまるときは、子どもに悪影響を及ぼす可能性があるとして面会交流を拒否する理由になりえます。

面会交流を拒否するリスクを知っておこう

「どうしても会わせたくない」と拒み続けた場合、相手が法的な手段を取って面会交流を要求してくる場合もあります。

面会交流調停を申し立てられる可能性

調停(ちょうてい)とは、裁判所で調停委員という第三者を交えて話し合うことで問題解決を図る方法のことです。調停委員が双方の話を聞き、お互いが納得いく結論を出せるよう提案や助言をしてくれます。通常だと話し合いができない、話し合ってもお互いが納得いく結論が出ない場合に利用さすることになります。

相手が裁判所に調停を申し立てると、裁判所から調停の日時などが書かれた呼び出し状が届きます。指定された日に指定された裁判所に出向き、自分の主張を調停委員に伝えて話し合いで結論を出すことになります。

調停の中では、子どもが面会交流することでどのような影響を受けるのかなどを家庭裁判所の調査官が調査したり、子どもが離れて暮らす親と会うときの反応を確認するために、「試行的面会交流」として、裁判所内で親子で過ごさせたりすることもあります。

面会交流調停の件数は、増加傾向にあります。ちなみに、離婚の調停で面会交流の取り決めがなされた場合、その頻度は月1回、宿泊を伴う面会はしないという内容で合意することが多いようです。

調停に欠席したために話し合いができない、調停で話し合っても合意できないという場合は、裁判に発展する場合もあります。

裁判になれば、双方の意見を聞いた裁判長の判断によって結論が出されることになります。裁判で「面会交流をさせること」という判決が出れば、その後はそのルールを守って面会交流を行なっていく必要が出てきます。

事前に決めていた面会ルールを破ったら

調停や裁判で面会交流をさせることが決まっていたのに、それを守らなかった場合にはどうなるのでしょうか。

その場合、相手は以下のような行動に出る可能性があります。

・履行の確保
裁判所から、決められたルールを守るように説得されたり勧告されたりします。最終手段の「強制執行」が行われる手前の段階で、なんらかの対応が求められます。

・強制執行
裁判所からの説得や勧告を受けてもまだ取り決めを守らない場合、もしくは相手が履行の確保の手続きなしすぐに強制執行の手続きを行った場合は、一定の期間内に面会交流を行うか「間接強制金」を支払うかどちらかを選択することになります。

間接強制金の金額はケースごとに異なりますが、たとえば面会交流を1回拒否するたびに10万円などのように設定されます。

・慰謝料の請求
子どもに会わせてもらえない精神的苦痛に対する損害賠償として、慰謝料を請求されるケースもあります。過去には、面会交流を拒否した側に500万円を支払うよう命じた判決が出たこともあります。

面会交流を拒否するリスクのまとめ

面会交流の拒否は基本的に認められていません。それでも拒否した場合、先述のような法的措置と合わせ、たとえば以下の事態が起こる可能性があると知っておきましょう。

・子どもが、離れて暮らす親に会えず悲しむ
・別れた相手から何度も話し合いを求められる
・ある日突然、裁判所に呼ばれて行く手間が発生する
・裁判所からの呼び出しを無視することで、法廷での争いが不利になる
・裁判を起こされ「面会交流をさせなければならない」という判決が出る
・慰謝料を請求される

むやみに面会交流を拒否すると、争いが激化して時間も手間も労力もかかり、心身を消耗する事態になりかねません。

このようなリスクがあるため、相手が子どもに危害を加えるなど面会交流しても子どもの利益にならない場合を除いては、ずっと面会交流を拒否し続けることは難しいと言えるでしょう。

面会交流を避けながら養育費を受け取ることは可能?

面会交流とあわせて、離婚前に話し合っておきたいのが「養育費」についてです。養育費は、子どもと離れて暮らす親から、引き取って育てていく親に、子どもの成長のために必要な費用として支払われるお金です。

養育費を受け取ることは子どもの権利であり、支払うのは離れて暮らす親の義務です。面会交流とは別個の問題ですので、「面会交流をさせないと養育費を受け取れない」とか「面会交流をしないから養育費を払わなくていい」といったことにはなりません。

ただ、実際には面会交流を拒否したために、相手が養育費を支払いたくないと言ってくることも考えられます。そんなときは話し合い、難しければ調停を利用するなどして、子どものために養育費を受け取れるよう行動しましょう。

まとめ:面会交流は「子どものためになるか」が判断基準

「子どもに会わせたくない」と思う理由が重要です。面会交流は基本的に拒否できませんが、単に相手が気に食わないからなのか、子どもが嫌がっているのか、DVなどの被害に遭う可能性があるのか、その理由によっては拒否できる場合もあります。

面会交流を拒否した場合、裁判所に呼ばれたり間接強制金の支払いが発生したりすることも考えられます。会わせるのと会わせないのと、どちらが子どものためになるのか冷静に判断しましょう。