離婚したいけど子どものことが気がかり、という方は多いでしょう。どちらが子どもを引き取るのか、親権はどうなるのか、養育費は受け取れるのかなど、離婚前に知っておきたいことはたくさんあります。離婚を考えている方や離婚について話し合い中の方に向けて、親権や養育費の基礎知識を解説します。

著者 馬場 愛梨

目次

  1. 「親権」の基礎知識をおさらい
    1. 「親権」は権利であり義務
    2. 離婚したら親権はどちらが持つ?
    3. 親権争いになってしまったら
  2. 必ず「養育費」について話し合いをする
    1. 「養育費」は子どもが自立するまでに必要な費用
    2. 親権と養育費の関係
    3. 養育費の金額の目安は?
    4. 養育費と面会交流はあくまで別問題
  3. 親権や養育費を決めるには、まずは夫婦の話し合いが重要

「親権」の基礎知識をおさらい

(画像=Андрей Яланский/stock.adobe.com)

子どもがいる夫婦が離婚する際に問題になりやすいのが「親権(しんけん)」についてです。親権とはそもそも何なのか、どのようなルールで決まるのか整理しておきましょう。

「親権」は権利であり義務

親権は、「子どもの利益のために、監護や教育を行ったり子の財産を管理したりする権利であり義務」とされています。結婚している間は、父も母も両方が親権を持っていることになりますが、離婚したら親権を持つのはどちらか一方だけです。離婚後、どちらが責任をもって子どもを育てていくのか決めることになります。

離婚したら親権はどちらが持つ?

離婚後に父と母どちらが親権者となるのか、それは法律などで規定されているわけではなく、基本的に父母が話し合って決めることになっています。法務省では、今後の子どもの進学、医療、財産などを考え、どちらが親権を持つのが子どもにとって利益になるのかという観点で話し合うよう推奨しています。

【参考】法務省 離婚を考えている方へ〜離婚をするときに考えておくべきこと〜 > 親権者

親権争いになってしまったら

夫婦の話し合いで決着がつけばよいのですが、そううまくいくとも限りません。どちらも親権を持ちたいと主張して意見を曲げない場合など、なかなか折り合いがつかずにもめてしまう事態もありえます。もし夫婦間の協議だけで結論が出ないときは、次のような方法で裁判所に頼ることになります。

・手段1:調停

「裁判所=裁判をするところ」というイメージがあると思いますが、実は裁判以外の方法で問題を解決してくれることもあります。調停は、法律の専門家など第三者が夫婦双方の主張を聞いて、うまく折り合えるように内容を調整してくれたり助言してくれたりする制度です。

裁判より費用も安く(手数料1,200円)、手続きも簡単ですし、第三者があいだに入るので、相手と直接議論を交わしたりせずに済みます。

調停では親権争いのほか、離婚をするかしないか、養育費の金額、離婚後の子どもとの面会など、離婚に関してもめている他の点も一緒にその場で話し合って調整することができます。

調停での話し合いを経て合意に至ったら、その内容をもとに「調停調書」という書面がつくられます。これは裁判の判決と同じ効力があり、その内容が守られない場合は強制執行など強い手段に出ることができます。

・手段2:裁判

調停でも双方が納得いく結論が出ない、相手が話し合いに出席しないなど、まだうまくいかない場合は裁判を起こして戦うこともできます。この段階になると、夫婦の話し合いではなく、双方の意見を聞いた裁判官のジャッジにより結論が決定します。

必ず「養育費」について話し合いをする

子どもがいる夫婦が離婚する場合に、親権とならんで問題になるのが「養育費」です。

「養育費」は子どもが自立するまでに必要な費用

養育費とは、教育費や衣食住の費用など子どもが自立するまでに必要な費用のことです。子どもと離れて暮らすことになった親が、子どもを監護する親に支払う義務があります。

 

親権と養育費の関係

親権がなくても、養育費を支払う義務はあります。親権がなくなったからといって、その子の親でなくなるわけではないからです。親は、たとえ離れて暮らすことになったとしても、子どもが自分と同じ生活水準で暮らせるよう経済的にサポートする義務があるとされています。

養育費の金額の目安は?

養育費の金額は、親権をどうするかと同じように夫婦の話し合いによって決めるのが基本です。合意さえできればいくらに設定しても構いませんが、金額で迷ったら裁判所が公表している「算定表」を確認するのもひとつの手です。子どもの数や年齢、夫婦双方の収入などに応じて養育費の目安となる金額が提示されています。

【参考】裁判所「養育費・婚姻費用算定表」

ちなみに、厚生労働省が発表している「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、養育費を受けている、あるいは受け取ったことがある母子家庭の平均金額は「月4万3,707円」でした。このお金があるかどうかは、子どもの成長や離婚後の家計にも影響する可能性があります。必ず話し合って決めておきたいポイントです。

合意した内容で公正証書をつくる、養育費保証サービスを利用するなどしておくと、養育費を受け取れない事態を防ぎやすくなります。話し合いがまとまらない場合やそもそも話し合えない場合は、親権争いのとき同様、調停など裁判所を使って折り合いを付けることもできます。

>>あわせて読みたい
払ってもらえないときはどうしたらいい?養育費について徹底解説!

養育費と面会交流はあくまで別問題

面会交流とは、離婚後に子どもが離れて暮らす親と定期的に会ったり連絡を取ったり交流をすることです。子どものためになるよう、面会交流の方法や頻度、回数などをあらかじめ決めておくことが推奨されています。

養育費と面会交流は「離婚前に取り決めておくべき、子どもの成長に欠かせない項目」という点では共通していますが、相互の関連はありません。そのため、「養育費を受け取っているから面会交流させないといけない」というわけではありませんし、「面会交流できないから養育費を支払わない」ということにもなりません。

あくまで別々の問題として、いちばん子どものためになるように決めましょう。ちなみに、養育費と面会交流は、話し合って合意した内容を書面に記録しておくのがおすすめです。下記の法務省が発行している「合意書作成の手引き」で、決めておくべき内容が一覧になっている「合意書のひな形」を確認するとよいでしょう。

【参考】法務省「子どもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」

親権や養育費を決めるには、まずは夫婦の話し合いが重要

繰り返しとなりますが、離婚したら親権を持つのはどちらか一方だけです。親権を確定し、離婚後はどちらが責任をもって子どもを育てていくのか決めることになります。子どものいる夫婦における離婚の重要な決定事項となりますので、子どもの利益を考えて、責任をもって決めていきましょう。

そして、離婚は少なからず子どもに影響を与えます。マイナスの影響を最小限に抑えられるよう、養育費、面会交流など、離婚後の子どもとの暮らしやお金のことをよく知り、理解をしてから話し合いに臨むようにしましょう。

 

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文・馬場愛梨