シングルマザーで持病や障害がある人、小さな子どもを育てる必要があり仕事をするのが難しい人などは、生活保護を受給することができます。受給が認められれば、毎月、必要最低限の生活費を確保できるため、生活への不安の軽減につながるでしょう。そこで、生活保護とはどのような制度なのか、受給できる条件や金額、注意点などについてわかりやすく解説していきます。

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シングルマザーは生活保護を受けることができる

生活保護は、受給条件にあてはまれば、シングルマザーに限らず誰でも受給することができます。では、生活保護とはどういった制度なのか、その内容を確認するとともに、シングルマザーで受給している人の割合などを見ていきましょう。

そもそも生活保護とはどういうもの?

生活保護とは、生活に困っている人に対して、その困窮の程度に応じた保護を行うことで、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長することを目的とした制度です。簡単にいえば、病気や障害など、さまざまな理由で働くことができない人や収入が少ない人が、最低限の生活ができるように支援している制度となります。

生活保護は、日本国憲法第25条の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という基本理念を元に定められた「生活保護法」により保障されている権利です。生活保護の受給条件を満たしていれば、性別、年齢、未婚・既婚などを問わず、だれでも受給できるので、シングルマザーなどのひとり親世帯でも受けることができます。

保障される種類と内容

生活保護で扶助される内容には、主に次の8つの種類があります。

➀生活扶助……食費や水道光熱費などの日常生活に必要な費用
②住宅扶助……アパートなど賃貸物件の家賃
③教育扶助……学用品や給食費などの義務教育を受けるために必要な費用
④医療扶助……医療サービスにかかる費用
⑤介護扶助……介護サービスにかかる費用
⑥出産扶助……出産にかかわる費用
⑦生業扶助……就職に必要な技能の修得などに必要な費用
⑧葬祭扶助……葬儀などにかかる費用

このような種類の扶助を、定められた範囲を上限として受給することができます。生活費や家賃、教育費など、シングルマザーにとって大きな負担となる費用も扶助の対象となっています。

生活保護を受給するシングルマザーの割合

では、実際にどのくらいのシングルマザーが生活保護を受給しているのでしょうか。厚生労働省の「被保護者調査(令和2年4月分概数)」によると、被保護世帯の総数1,627,341のうち、その4.7%を占める76,678のシングルマザー世帯が生活保護を受給していることがわかります。

また、厚生労働省の別の調査「国民生活基礎調査の概況」では、「生活意識」に関する調査結果が公表されており、シングルマザー世帯のうち生活が「大変苦しい」と回答した人が45.1%、「やや苦しい」と回答した人が37.6%と、全体の82.7%のシングルマザー世帯が生活に苦しさを感じていることもわかります。経済的に厳しい状況に置かれているシングルマザーにとって、生活にかかる費用を扶助してくれる生活保護は心強い制度といえます。

シングルマザーが生活保護を受けるための条件

シングルマザーが生活保護を受給するためには、資産がない、働けない、だれからも援助を受けられないなどの条件を満たしている必要があります。では主な4つの条件についてそれぞれ確認していきましょう。

資産がない

生活保護を受給するためには、「資産」がないことが条件になります。資産には、預貯金だけでなく、車や土地・持ち家などの不動産も含まれ、そういった資産を持っているとまず売却して生活費に充てることを求められます。資産を売却してもなお、最低生活費(※)を下回った場合に、生活保護を受給することができます。

しかし、仕事で車を使う、障害があるので移動時に必要といったように、どうしても車がないと困るような場合は福祉事務所に相談してみましょう。売却しなくても生活保護を受給できる可能性があります。

※最低生活費とは、「生活扶助」と「住宅扶助」の合計額のことをいい、世帯人数や住んでいる地域によって異なります。

働くことができない

現在の状況で働ける状態にあるのであれば、まず働くことを指導されますが、シングルマザー自身が病気や重度のうつなどで働くことが難しいことがあります。その場合は、医師の診断書などを提出して働けないことを証明できれば生活保護を受給することができます。

同様に、子どもが病気がちである、障害を持っているという場合も、医師の診断書や障害者手帳を提出することで受給対象になることができます。

また、シングルマザーの中には小さい子どもを養育している場合が多く、思うように働けないという人もいます。こういうケースだと、子どもに手がかかるうちは生活保護を受けられる可能性がありますが、子供が成長して手が離れたときには受給対象から外れるため注意が必要です。仮に働けるようになったことを隠したまま受給し続けると、「減額」や「受給停止」といった措置を取られることになります。

ほかの公的制度を受けても生活費に満たない

生活保護は、ほかのさまざまな公的制度を受けてもなお、生活が困窮している場合に利用できる制度です。そのため、まずは児童手当や児童扶養手当、年金、失業保険、税金の減税措置などを利用し、それでも最低生活費に満たないような場合にはじめて受給ができるようになります。生活保護は「最後の砦」というイメージといえます。

元夫などからの援助を受けられない

生活保護は、生活費を援助してくれる人がいる場合は受給することができません。そのため、元夫から養育費を受けていて生活することができているのであれば、受給対象外となります。しかし、養育費を受け取っていない、または、受け取っていても最低生活費に満たない場合は受給対象になります。

また、同居の有無にかかわらず親や兄弟などの親族がいたり、実家に戻ることができたりする状態だと、まずはそういった部分での援助・協力は可能なのか話し合いすることをすすめられます。話し合いの結果、援助が受けられない場合は生活保護を受給できる可能性があります。

シングルマザーが受給できる生活保護額はいくら?

シングルマザーが生活保護を受給する場合、どのくらいの金額を受け取ることができるのでしょうか。実は生活保護は全国一律ではなく、住んでいる地域によって金額が異なり、世帯人数によっても変わってきます。

また、生活保護にはシングルマザーを優遇する制度として、ひとり親世帯を対象に上乗せされる「母子加算」や、18歳未満の子どもを育てている場合に上乗せされる「児童養育加算」などがあります。

受給できる額は住んでいる地域による

生活保護として受給できる金額は住んでいる地域によって異なり、地域ごとに「1級地-1」から「3級地-2」の6つに等級分けされています。「1級地-1」がもっとも高い等級となります。

なぜ地域によって等級分けする必要があるのかというと、主に物価や生活様式の差を解消することを目的としています。たとえば、同じ間取りの物件を賃貸する場合、東京都と地方とでは家賃が大きく異なります。また、物価も都市部のほうが割高になる傾向があります。こうした地域による差を調整するために、「級地制度」を設けて平等に支給できるようにしているのです。

参考までに、級地の具体例を一部ご紹介します。

1級地-1……東京23区、横浜市、京都市、大阪市など
1級地-2……青梅市、千葉市、横須賀市、宇治市、岸和田市など
2級地-1……あきる野市、野田市、伊勢原市、八幡市、泉佐野市など

お住いの地域がどの等級に該当するのかは、厚生労働省のサイトで確認することができます。
厚生労働省「級地区分」

18歳未満の子どもがいると「児童養育加算」がある

18歳未満の子どもを育てているシングルマザーの場合、生活保護に「児童養育加算」が上乗せ支給されます。以前は対象になる子どもが中学生まででしたが、制度の見直し後は高校生までに拡大されました。受給できる金額は、子どもの年齢や人数によって次のように決められています。

子どもの人数 子どもの年齢 児童養育加算額(月額)
第1子・2子 3歳未満 1万1,820円
3歳以上18歳まで 1万190円
第3子 小学校卒業前 1万1,820円
小学校卒業後から高等学校等卒業前 1万190円

参考:厚生労働省「2020(令和2)年4月1日施行生活保護実施要領等(P33)」

ひとり親世帯だと「母子加算」が上乗せされる

シングルマザー世帯など、ひとり親世帯が生活保護を受給する場合は、「母子加算」も上乗せ支給されます。具体的な加算額は、お住いの地域の「級地」や子どもの人数によって以下のように異なります。

加算額(月額)

級地 子ども1人 子ども2人の場合の加算額 子ども3人目以降の加算額
1級地 2万300円 3,900円 2,300円
2級地 1万8,800円 3,600円 2,200円
3級地 1万7,500円 3,300円 2,000円

参考:厚生労働省「2020(令和2)年4月1日施行生活保護実施要領等(P35)」

なお、上表の金額は変更されることがあるため、最新の金額についてはケースワーカーなどに確認してください。

生活保護を申請する方法・流れ

ここからは、生活保護を申請する方法や流れについて確認していきましょう。

申請先と必要書類

生活保護の申請先は、お住いの地域を管轄している「福祉事務所」の生活保護担当です。生活保護担当からは、生活保護制度の説明を受けられるとともに、生活福祉資金や社会保障支援制度の活用などについてのアドバイスを受けられます。

必要書類

生活保護の申請に必要な書類は、特別に決められていません。ただし、生活保護を受給する必要があることをきちんと説明できるような書類を持参すると良いでしょう。用意しておくと便利な書類は以下のとおりです。

・預金通帳
・直近の給与明細
・家賃や水道光熱費などの請求書
・離職票や求職中であることを証明できるもの
・住民票や戸籍謄本(離婚したことがわかるように)
・病気の診断書
・障害者手帳 など

こういった書類があればご自身も説明しやすいうえ、生活保護担当者に状況をより理解してもらいやすくなります。

申請する流れ

生活保護を申請すると、まずは「事前相談」が行われ、その後「受給できるかどうかの調査」が行われます。なお、生活保護を受給できるまでは原則として申請日から14日以内とされていますが、調査の進み具合によってはさらに日数がかかることもあります。

では、生活保護の申請の流れを順番に見ていきましょう。

1.事前相談を行う

お住いの地域を管轄する社会福祉事務所で、生活保護申請についての事前相談をします。その際に、生活保護制度についての詳しい説明や、受給条件を満たしているかどうかなどを相談します。

ほかにも、生活保護以外の支援(社会保障制度、手当金など)で最低生活費をクリアできるかどうかなども検討します。生活保護は「最後の砦」なので、ほかの方法で生活費を確保できればそちらが優先されます。

2.受給可能かどうかの調査が行われる

生活保護の申し込みをすると、次のような審査が行われます。

・生活状況を確認するための家庭訪問
・預金や保険、不動産などの資産の調査
・年金や給料などの収入の有無や金額
・親や兄弟などから援助を受けられるか など

このような調査が行われ、生活保護を支給する対象に当てはまるかが判断されます。

3.支給開始

審査の結果、生活保護を受給できることが決定すると、いよいよ受給開始となります。受け取れる金額は、最低生活費から給料などの収入を差し引いた金額となり(最低生活費-収入=受給額)、毎月支給されます。

ただし、受給している間は、ケースワーカーが定期的に調査に来たり、毎月の収入について報告したりするなどやるべきことがあります。仮にこれらの義務を果たさずにいると、生活保護が打ち切られてしまう可能性もあります。

支給日はいつ?

生活保護費は毎月支払われますが、支給日はお住いを管轄している福祉事務所によって異なります。一般的に、月の初め(1日から5日の間)に支給されるところが多く、支給日が土日など金融機関の休業日にあたる場合はその前日に支払われます。

なお、支給方法は口座振込のほか、福祉事務所での手渡しや、入院している施設などへの振り込みといった方法があります。

「臨時特例つなぎ資金貸付制度」の利用もできる

生活保護の申請をしてから実際に受給できるまでの生活費でさえも困ってしまっている場合、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」で借り入れをすることもできます。

臨時特例つなぎ資金貸付制度とは、生活保護などの公的給付制度を申請している人で、給付までの期間の生活が苦しい場合に、その間の生活費を貸し付けている制度です。貸付金額は10万円まで、連帯保証人は不要で無利子です。申請先は社会福祉協議会となっているため、必要な人は相談に行と良いでしょう。

シングルマザーが生活保護を受給する注意点

生活保護を受給すると、最低限とはいえ無事に生活が送れるようになるため、生活が苦しいシングルマザーにとっては心強い制度となるでしょう。しかし、その一方で生活保護の受給にあたり注意すべき点もあります。

貯金ができなくなる

生活保護を受給している人は、貯金ができる余裕があるのであればそれを生活費に回すように指導されることから、自由に貯金ができないのは注意点といえます。しかし、全く貯金できないというわけではなく、次のように特別な目的のためにする貯金であれば認められるケースがあります。

・子どもの学費や大学進学のための費用
・資格を取得するための費用
・将来自立できることを目指すための費用 など

こういった目的を持った貯金であれば認められることが多いですが、不正受給の誤解を与えないためにも、ケースワーカーに相談しながら貯金をすることをおすすめします。

申請却下・減額・打ち切りされることがある

生活保護の申請をしても、すべての人が受給できるわけではなく(申請を却下される)、一度受給できても途中から減額されたり打ち切りされたりする可能性もあります。

申請を却下された場合は再申請や不服申し立てをして審査請求をすることもできますが、「処分があったことを知ってから60日以内」という期限がありますので注意が必要です。

また、収入が増えると最低生活費から差し引かれる金額が大きくなるため、生活保護として受け取れる金額は減額されます。そのほかにも、世の中がデフレ(モノやサービスの価格が下がること)となり物価の価格が下落した場合、生活保護費も減額されることがあります。

そして、気を付けたいのは生活保護が打ち切りになるケースで、主に次のような行為が打ち切りの対象になります。

・就職して生活保護の必要がなくなった
・隠れてアルバイトをして収入を得ていたことが発覚した
・指導にそむき医療機関で定期検診や検査を受けない
・仕事に就くよう勧告されても従わない など

もちろん、これらに該当するとすぐに打ち切りになるわけではありませんが、信用を無くすような行為は避けるようにしましょう。

定期的にケースワーカーと面談する必要がある

生活保護受給中は、定期的にケースワーカーによる家庭訪問を受けなくてはなりません。家庭訪問をする目的としては、収入や資産などの確認、生活状況の把握、健康状態チェック、不正受給が疑われるような違反がないかなどを確認するためです。また、直接会うことで困りごとや悩みについての相談に乗ることも兼ねています。

家庭訪問は、あらかじめ決められた日にちに行われることもあれば、ふいに行われることもあり、受ける立場としてはあまりいい気持ちはしないかもしれません。実際に生活保護を受給している人の中には、この家庭訪問はできれば避けたいと思っている人も存在します。

しかし、生活保護を支給している以上、それが正当なものであることを確認するためにも、ケースワーカーによる家庭訪問は必要なことです。そのため、訪問を受けたときには真摯に対応する必要があります。

生活保護の受給に関するQ&A

最後に、生活保護を受給する際にシングルマザーの人が抱きがちな疑問について回答していきますので、ぜひ参考にしてください。

Q1:再婚しても受給し続けることはできる?

A:再婚する相手によっては受給し続けることができます。

そもそも生活保護費は世帯単位で支給されるものなので、再婚相手が働いていて世帯の収入が最低生活費以上になっている場合は、生活保護の支給はストップされます。

しかし、再婚相手が無収入、または生活保護受給者である場合など、世帯収入が最低生活費に満たないときは、生活保護受給の対象になる可能性があります。その場合の生活保護の金額は、再婚相手が加わった世帯の人数で再計算されます。

なお、再婚相手との間に子どもが生まれた場合も、申請することで生活保護の金額が再計算されますので、早めにケースワーカーに相談してください。

Q2:養育費を受け取りながら生活保護は受給できる?

A:シングルマザー世帯で元夫から養育費を受け取っている場合でも、生活保護を受給することはできます。ただし、養育費として受け取る金額分は最低生活費から差し引かれる可能性があるため、生活保護の金額が減額されることがあります。

まだ幼い子どもをひとりで育てなくてはならないシングルマザーの場合、養育費だけでは生活費全体をまかなうことは難しいケースが多いので、生活保護の活用を検討することをおすすめします。

本当に困っているシングルマザーは迷わずに生活保護を申請しよう

シングルマザー世帯のうち生活に苦しさを感じている割合は高いため、それに比例して生活への不安・悩みを抱えている人は多くいます。生活保護はすべての国民が最低限の生活を送れるように定められた権利ですので、生活が苦しいと感じるシングルマザーは迷わずに利用することをおすすめします。ご自身とお子さんの毎日を穏やかにするためにも、まずは相談することから始めてみましょう。

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