【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
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目次
大人同士が子育てに協力しあえる関係が理想
子どもがいる場合の離婚では、夫婦の縁は切れても、元配偶者が子どもの親であることには変わりなく、関係が続きます。離婚後も再婚後も、子どもにかかわるすべての大人たちが「子育て共同体」として良い関係を築き、力を合わせていければ理想的ですが、実際にはさまざまなすれ違いがあって別れた元夫婦です。いまさら良好な関係を築くのは難しく、いっそ再婚を機にかかわりをなくしてしまいたいと思う人が多いのも現実です。
ステップファミリーという存在が社会に浸透しているアメリカでは、離婚した夫婦がそれぞれ再婚し、双方の家族が親しくお付き合いして「拡大家族」のような関係を築いている例もあるようです。日本ではそんな家族はなかなかみられませんが、 「拡大家族」をめざして努力中のステップファミリーも何組か知っています。
元配偶者とのトラブルに再婚相手を巻き込まない
離婚経験のある方にお伝えしたいのは、再婚後、元配偶者とのあいだに起きやすいトラブルについてです。大きくは「1―ルールを守らない面会交流」 「2―別れた相手の悪口を子どもに言う」 「3―再婚相手に対する配慮のない態度」の3つです。このうち1と2に関しては、2章「元の家族との関係」でもふれたように、事前に元配偶者と話し合い、面会交流などのルールをつくっておけるとよいでしょう。
とくに注意しなければならないのは「3―再婚相手に対する配慮のない態度」です。
元配偶者と直接交渉することを避けていると、再婚相手が元配偶者との交渉を引き受けてしまうことがあります。再婚相手は予想以上のストレスを抱え、夫婦の絆まで壊れてしまうこともあります。元配偶者との交渉はあくまでも本人の責任ですべきことです。元配偶者に話が通じない場合もあるかもしれませんが、そんなときは上手に自分でストレス発散しましょう。再婚相手を巻き込んではいけません。
それから、別れた夫婦が連絡を取り合うのは、子どものことでなにか相談をしなくてはならないときだけにしましょう。たまに共依存関係にある元夫婦がいます。一方は「やっぱり自分がいないとダメなんだ」という優越感を抱き、他方は「頼りにすれば助けてくれる」という甘えを抱き、依存しあう関係です。思い当たるふしがある人は注意しましょう。別れた夫や妻と必要以上に交流をもたないことが、再婚相手への配慮でもあります。
すぐに理想的な関係が築けなくても、続ける努力をしていくことで、いつかきっと再婚してよかったなと思える日がきます。根気よくがんばりましょう。
ケース:真紀子さんの場合
〈ステップファミリー歴・事実婚9か月(入籍予定)〉
家族構成…妻・真紀子さん(40歳)、夫(46歳)、夫の子(女10歳)
近所に住む気性の激しい元妻
石本真紀子さんは海外で暮らすステップファミリー予備軍です。40歳には見えない若々しさで、教師という職業柄もあってか、しっかりとした印象の女性でした。現在はシングルファザーである彼と一緒に暮らして9か月になります。
彼の離婚は5年ほどまえのこと。妻の気性が激しく夫婦ゲンカが絶えず、当時5歳半だった子どもの親権を彼がもち離婚しました。離婚後、元妻は彼と子どもの家の徒歩圏内に住み、子どもが1週間交代で両親の家を行き来するかたちの共同養育を続けてきたそうです。
あるとき、子どもがいたずらで実母の靴下をはさみで切ってしまったところ、逆上した実母は「同じ思いをさせてやる!」と言い、子どもの学校の制服をズタズタに切ってしまいました。泣き叫ぶ子どもを、実母は冷たく無視したそうです。その事件からしばらく交流が途絶えていたのですが、忘れたころにまた連絡があり、面会が再開しました。
実親のペースで行なわれる面会交流にストレス
現在は元妻からひんぱんに連絡がきて、お手伝いさんを介して勝手に子どもに会いにきたり、会うたびにおもちゃやお菓子を子どもに買い与えたりすることが続いています。子どもの教育方針として、勝手に物を買い与えないでほしいということや、新しい家庭が安定するまでは面会の頻度を月1回程度にしてほしいことなどを彼から元妻に伝えてもらったところ、 「私はそちらの家庭を壊そうとしてやっているわけでもないし、共同養育をしているパートナーを選んだのは真紀子さんでしょ?」と言われたそうです。
それでも真紀子さんは、10歳になる継子のために、お弁当づくりや学校行事への参加などを、自分の仕事の合間をぬってていねいにこなしています。ところが先日、ハロウィン行事の手紙が学校から届かないのを不審に思い、子どもにたずねたところ、どうやら彼と元妻が話し合って、元妻が行事に参加することになっているのを知りました。
ショックを受けて彼を問いつめたところ、 「元妻から行きたいと連絡があったし、きみは体調もよくないから、配慮してのことだよ」と言われたそうです。これまでに何度も話し合って、学校行事など公の場には元妻を行かせない約束をしていたので、裏切られた気分でした。
真紀子さんがせっかくていねいに築いてきた母親の領域に入り込んでくる実母は、あまりにも身勝手すぎないだろうかと、私も取材をしながら思いました。
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【著者】新川てるえ(しんかわ・てるえ)
作家、家庭問題カウンセラー、NPO法人M-STEP理事長。1964年生まれ。離婚・再婚経験を生かし97年にシングルマザーのための情報サイト「母子家庭共和国」を立ち上げる。家庭問題カウンセラーとして雑誌やテレビなどで活躍。著書に『シングルマザー生活便利帳』(太郎次郎社エディタス)、『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版)など。