『ママ起業家 これだけ知っておけば十分 税金+社会保険&経営の便利ブック』より一部抜粋

【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介

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「計画する」ことにトラウマを持っている人へ

とはいうものの、実は計画することにトラウマを持っている人は多いですね。創業スクールの受講生さんにも、次のようなことを言われたことがあります。例えば…

「計画をきっちり立て、計画どおりにいかないと両親に叱られる、嫌味を言われる…という育てられ方をしたので、計画を立てるのが本当に大嫌いなんです。家族旅行とか、めちゃくちゃつまらなかったんです。計画外の寄り道とかは絶対にしないから…」

多分、同じような経験は、多かれ少なかれ、みなさんしていますよね。わかります、わかります。

私も同じです。

でも、ちょっと待ってください。

まず、ビジネスプランを立てて、そのとおりにいったという人は、ほぼ皆無だと思います。しかも、残念ながら、計画の数値から上振れしたという方もほぼ皆無で、下振れしている人がほとんどです。

じゃあ、達成できない計画をなぜ立てるの?無駄じゃないの?という話になりますね。そこを考えていきましょう。

まず、計画を立てていなかったら、何が悪くて計画どおりにいかなかったのか、改善の方法がわかりません。計画どおりにいかなかったことに対して、支援を求めることもできません。だって、説明できるモノがありませんからね。計画は、達成するためというか、継続して成長するためにあるのだと思いますよ。

そして、あなたは一生懸命やっているのだから、計画どおりにいかなかったということは、失敗ではないというふうに考えてくださいね。失敗に関する私が大好きな名言を2つほど紹介させていただきますね。まず、エジソン。

「失敗ではない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」

本当にそのとおり、素晴らしい姿勢ですよね。次に、松下幸之助氏。

「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければ、それは成功になる」

そうなんです。倒れてもOK、起き上がればいいんですよ。それと、「できていないところ」に集中するのではなく、「できているところ」に集中するようにしてください。そして、できている自分をほめてあげましょう。

もう1つ、計画を実行していく過程を管理する必要があります。その方法に「ガントチャート」というものがあります。何をいつまでにすべきかを書き出すのですが、インターネットでも「みんなでガント.com」「Grid Calendar」などのような、無料のガントチャート作成サービスも活用できます。次ページの図表35は、ガントチャートの例としてご紹介したものです。

ガントチャートも、つくって終わりではなく、定期的に見直して、できていないところをやり直したり、新しく出てきたタスクを追加したりするものです。こちらも、計画と同じで、「できてないところもあるけど、自分はよくやってるよね!」というところに考え方の軸を置いてください。「1歩前に進んだ」ことで、「OK!」なのです。

寄り道してしまったことは仕方ないので、寄り道をしたことで1時間遅れたなら、次から寄り道のために1時間早く出るとか、そういう対策を練りたいところです。そのために「計画」がある、と私は思っています。それともう1つは「ここまでできた!」と自分の成長を計るためでもあります。

棚ぼた状態にもっていく

計画書があると、チャンスをつかみやすくなるという効果もあります。計画を立てているので、自分の事業は「どうなっていくのか」「何が必要なのか」、自分の中で落とし込みができているからでしょうね。「棚からぼた餅」状態が発生することが、驚くほどよくあります。

何のことでしょうか?「棚からぼた餅」とは、「思いがけない好運を得ること。労せずしてよいものを得ること」のたとえですね。もちろん、ここでいう「ぼた餅」は、「ビジネス・チャンス」のことです。その「チャンス」が、棚から落ちてくるわけです。ただ、「労」は、計画を立てるときにかなりしていますよね。

実は、「棚ぼた」のポイントは、あらかじめ計画を立てていたから、「ぼた餅」が落ちてきたのを見逃さずに受け取ることができた、というところにあるのです。計画しているから、「あ、ぼた餅が落ちてきたな。つかもう!」という準備ができていて、ぼた餅を逃しにくい状態をつくっていることにあるのです。

この「棚ぼた」、特に人脈に関して多く発生するように思いますよ。計画をつくった「ご褒美」の1つだと思ってくださいね。

ビジネスの目的は、感謝されることだけれども…

ビジネスはお客さまに感謝されるためにある、という言葉を聞くことが多いですよね。確かにそれは事実なのですが、みなさんも経営者になっていくわけですから、押さえておかなければいけないポイントがあると思います。

そもそもお客さまに感謝されているから、ビジネスは継続できるわけです。珍しいとか、流行だからというところで、一時的には伸ばしたとしても、感謝されていないビジネスは長くは続きません。

一方、感謝されているからといって、ビジネスが継続できるわけではありません。例えば、行政であったり、NPOであったりは、もしかしたら感謝されているかもしれません。でも、ビジネスとして成り立っていないから、民営化とか、社会的事業などは「ビジネスの手法を用いて」地域の課題を解決する、などということが叫ばれるわけです。

しかし、よく考えてみてくださいね。特に中小企業の場合は、大企業のような資源もなければ、体力もありません。付加価値、つまり利益を生み出す力が高くなければ、生き残っていけないわけです。自社や自社サービス・製品のファンになってもらって、少しでも多くお金を出してくれるようにする…そういうファンづくりの取組みが欠かせないのです。

感謝をしていただきながら、お金をいただく、いえいえ、お金をいただくから、感謝していただけるサービスを続けることができる、ということです。

あるお母さんたちの事業をご支援させていただいたことがあります。実は、一世代前の地元のお母さんたちが、その地域のおみやげ品を開発し、製造販売していたのですが、高齢になって引退したいので、次世代のお母さんたちに商品を譲ることにしたのでした。そこで、私は、商品の見直しや、製造体制の確立などについて、助言と支援をさせていただいたといういきさつです。

そのとき、「では、いくらで売りましょうか?」という話になりました。実は、これまで1個60円で販売していたのだそうです。でも、「少なくとも倍の1個120円に値上げする」ようにしないと、なかなか採算が取れないとお伝えしました。彼女たちは「そんな値段だったら、お客さまが離れていく」といって心配をしました。当然、心配になる気持ちはよくわかります。

でも、60円ではやっていけないのです。だから、どうしたら120円の価値を感じてもらえるか、値段が倍になったとしても感謝して買ってくれるような方法を考えていかなくてはならないのです。

厳しいかもしれませんが、ビジネスにおける知恵の絞りどころは、ここだと思います。

ちなみに、そのお菓子は、1つひとつ心を込めた手づくりで焼き上げているので、多分120円以上の価値はあると思います。決して暴利を得ようとしているわけではありません。要は、価値をどうやってお客さまに伝えるか、です。NPOなどの活動にかかわっていて、心が優しい人ほど、安い値段設定をする傾向があるという意味です。

値決めの際は、ぜひ私にご相談くださいね(笑)。バシッと値上げして見せますね。もちろん、伝えるべき価値と一緒に…

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『ママ起業家 これだけ知っておけば十分 税金+社会保険&経営の便利ブック』
【連載#1】あなたの思いをビジネスにする
【連載#2】あなたらしさで、周りの人を喜ばせよう
【連載#3】「計画する」ことにトラウマを持っている人へ
【連載#4】愛顧される前に、お客さまを愛顧しよう

著者:岡京子
1965年6月23日、和歌山市生まれ。日本大学法学部政治経済学科卒。在学中は、日本大学新聞において、史上初の女性編集部長として創刊1000号の発行を手がける。卒業後、女性向けの週刊新聞を発行する(株)新代新聞社(東京都港区)編集部に勤務し、「子どもの話題」、「女性関係のニュース」、「国際関係」の分野に関する記事やコラムの企画・執筆に携わる。その後、書籍等の配達サービスを海外在住邦人向けに提供するOCS,London,Ltd.に採用され渡英。その後、NNA(ロンドン)等での経済・金融関連の情報の執筆業務を経て、和歌山に帰省。株式会社岡会計センターの事業を承継、代表取締役となる。唯一の国家資格の経営コンサルタントである中小企業診断士を取得し、2014年3月登録(経済産業省)。
※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。