最近、気温の変化が大きいせいか、私の周りでも体調を崩す人が増えているなと感じます。

そんな中、私自身も、最近「エネルギーがみなぎっている状態」と思える時間がとても少なくて、常に体が疲れていたり、なにかとネガティブな気持ちになってしまったり、起きていないことを不安に感じてドキドキしてしまったり…常にそんな状態にあるように感じています。

年齢を重ねて、自分がそういった現実と向き合う時期にきたのかな、などとも思っています。

仕事が忙しいときは余計なことを考えずに集中できるので、できる限り目の前の仕事に夢中になろうと思いつつ、やはり、体を根本から元気にせねば、とも思い立ち、「元気になる食事」と検索したら出てきたにんにくやとろろ芋を連日摂取したり、養命酒を購入してきたり、できることに取り組んでいます。

自分が元気いっぱいでないことそれ自体は仕方ないのですが、やはり、子どものことを思うと、「私に何かあっては大変」という発想になってしまい、自分の体調に対し必要以上に神経過敏になってしまう傾向があるようです。

そんな毎日を送っていますが、ゴールデンウィークが終わり、急に離婚に関するご相談が増えたのを感じています。

内容はそれぞれ全く違うのですが、なぜ今?ということを考えたとき、もしかしたら、新しい年度が始まって1か月、少しずつ新生活が落ち着き、人によっては長めの連休となったゴールデンウィークに、今後について考える時間ができ、現実的に離婚を考え始めたり、相手から離婚を切り出され、それへの対応に迫られたり…そんな事情もあるのかもしれないなと思います。

今年中に何らかの区切りをつけたいとお考えになった方が、そろそろ動き始めなければ、と思い立ってご相談にみえるということもあるかもしれませんね。

お話をうかがっていると、もちろん、それぞれのケースによって何がお悩みのポイントか、というところは全く違うのですが、お子さんがいる場合、離婚を見据えて別居することを近くお考えであると、別居後、お子さんと相手とが会う場をどのように作っていくかという問題に直面することが多いように思います。

今回は、この面会交流の問題について、2つの観点から取り上げてみたいと思います。

1つ目は、面会交流は子どものためのものだということです。

当たり前のように思われるかもしれません。でも、離婚について話し合う過程で、面会交流が夫婦の感情的なもつれを反映し、「子どものためにはどうあるべきか」という視点が忘れられがちになってしまうことがあります。

「子どもと一緒にいられない自分が、養育費の負担はしっかり求められるのに、親子として会いたいときに会うこともできないなんておかしいだろう」という思いも、

「ふだん子どものお世話の一番大変な部分は自分がすべて担うのに子どもと会おうだなんて、あまりにも都合がよすぎるのではないか。」という思いも、

どちらも否定することなんてできないと思っています。実際、離婚の話が持ち上がった経緯や婚姻中の生活などを考えたとき、子どものことだけを考えて面会交流を考えるのはお気持ちとしてしんどいだろうなと感じることもあります。それでも、やはり、子どものための面会交流を考えなければならないのです。

この点は、児童の権利に関する条約においても、「児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する」と定められています。

2つ目は、面会交流の実施と養育費の支払いとは法的に交換条件などではないということ。よく、「養育費を支払わないのだから面会させない」とか「養育費を払っているのになんだかんだと理由をつけて子どもと会わせないのはおかしい」とかいう訴えを聞くことがあります。

でも、法的に、面会交流と養育費の支払いは、どちらかが実施、支払いされない場合は、もう一方を支払い、実施しなくてよいという性質のものではありません。

ただ、「法的にはこうなっているのだから」、と言って強制しようとしても、やはり人の気持ちが関わることですから、それによって、本当に子どものためといえるような面会交流が実施されたり、子どもの養育に十分な養育費の支払いが確保されたりするかというと不安があります。

私自身肝に銘じなくてはいけないなと思っているのは、相手に対して自分が思うような対応を求めても、それをやるかどうかは相手のコントロール下にあるのであって、そこをこちらでコントロールすることはできないのだと認識することです。

そして、まずは、自分の方から先出しできることを先出ししてみようと決めています(もちろん、前提として、最低限の信頼関係は必要になると思います)。自分が、本当は、相手と子どもとの面会に関して複雑な思いはあるけれど、そこは子どものことを考えてぐっと抑え、いかにして気持ちよく子どもと相手が面会できるか、自分自身も気持ちよく送り出せるか作戦を考えてみるのです。

たとえば、面会交流の場を、普段自分一人では子どもを連れて行ってあげられない場所で提案してみるとか、自分が苦手なアクティブなアウトドア遊びに連れて行ってもらうことを提案してみるとか。子どもが嬉しそうに1日を過ごすことができることを嬉しく思えるし、そんな風に子どもを笑顔にしてくれたことに対し相手にも素直に感謝の気持ちを持てる気がしています。

とはいえ、そう簡単にはいかない事情もあると思います。

ただ、少しずつでも気持ちの持ち方を変えてみると、私は、だれよりも私自身が楽になれましたし、相手との関係にも少なからず影響が見えてくるように思います。

ちなみに、子どもが小さくて、自分も一緒に面会に同行しなければいけないという場合、面会交流を始めたばかりのころは、どうやって時間を費やせばいいのかわからないというお声を聞くことがあります。

そんなとき私がお勧めするのが、子どもが好きなものが並べられているビュッフェのお店でのランチ面会です。

普通のレストランだと待ちの時間が長く、その間、いったい何を話せばいいのかわからなくなることもあるかもしれません。でも、この点ビュッフェだと、子どもと相手が一緒に好きなものを取りに行くこと自体を楽しめたりもしますし、子どもも飽きずに楽しい時間を過ごせたりもするんじゃないかなと思うからです。

長々ととりとめもなくお話してきましたが、私は、離婚条件に関する話し合いの中でも、この面会交流については、特に丁寧に取り組んでいきたい問題だと思っています。

普段、お客様との打ち合わせの中では直接登場しないお子さんの姿、生活、将来を想像しながら、どんな面会の時間を持っていくのがお子さんのためにいいのだろう、と真剣に考えなければいけないと思っています。お客様ご自身が前向きにご負担が少なく取り組め、なによりお子さんにとって幸せな時間になるような面会交流の方法を一緒に考えていきたいと思います。

面会交流の実施についてご不安がありましたら、いつでも弁護士にご相談ください。


【著者】高橋麻理
元検察官の経歴。先を見通した戦略プロセスの設計や、依頼者に寄り添い解決に導くことに定評がある。
第二東京弁護士会所属。慶應義塾大学法学部法律学科卒業。
2002年に検察官に任官し、数多くの刑事事件の捜査・公判を担当したのち、検察官退官。
2011年弁護士登録。
刑事事件のみならず、離婚案件の解決実績も豊富。離婚成立のみをゴールと捉えず、依頼者の離婚後の生活を見据えた解決策の提案・交渉に定評がある。
法律のプロフェッショナルとして、依頼者の期待を上回るリーガルサービスを提供することを信条とする。
法律問題を身近なものとして分かりやすく伝えることを目指し、メディア取材に積極的に対応。子どもへの法教育にも意欲を持っている。