【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。
目次
Q. 職場で起こったトラブルへの、適切な対応法を教えてください!
A.問題が起こったら「そもそも論」で切り分けて考えよう
いきなり「原因」に飛びついていませんか?
日々起こる小さなトラブルから大問題まで。何か問題が起こったとき、どうしたら適切な解決策を見出せるのでしょう。
ここでちょっと問題です。
最近、職場のBさんの遅刻や早退、急な休みが増えています。そのため、Bさんが不在時のお客様からの問い合わせには、他の社員が対応せざるを得ません。しかし、詳細はBさんしか知らないので、要領を得ずに困っています。どうしたらいいでしょう?
多くの人は、このような問題に直面すると、
「この問題を解決するためにどうしたらいいか?」
と考え始めます。それで、
「Bさんに遅刻や早退、休みを取らないように改善を求める」
などの解決策を思いつき、Bさんに対して、働きかけをするかもしれません。
しかし、この対処法は、走り出しからして不十分と言わざるを得ません。というのも、「今、いちばんに対処すべきことは何か」の視点が欠けています。また一方で、「そもそも、どうしてそうなったか」というところも見えていませんね。
問題を総合的に解決するためには、原因を探ること、その原因を取り除くことも大事ですが、まずは目の前の対処すべきことにあたる必要があるのです。
このケースの場合、まずいちばんに対処すべきは、「お客様への対応」です。「Bさんが不在でもお客様への対応ができるように、2人配置の態勢をつくる」「Bさんのファイルは誰でも閲覧できるようにする」などの具体的なプランで、この問題に対処します。
次に、Bさん自身の問題にスポットを当てていきます。なぜBさんの遅刻や早退が増えたのか、原因を探ることです。すると、「Bさんの奥さんがこのところ体調が悪く、Bさんが子どもの幼稚園の送り迎えをしなければならない」という事実が判明しました。これで、Bさんを責めても仕方ない、ということがわかりますね。逆に、Bさんを助けようと思えてくるのではないでしょうか。
「犯人が困っている事柄」に目を向ける
つまり、問題が発生したときにやるべきことは、まず「目の前の不都合を解消すること」。次に、「原因を探ること」。とても簡単ですね。
ただ、突然のトラブル発生でパニックになると、こんな簡単なことさえ吹っ飛んでしまいがちです。何か問題が起こったときに考えるべき次の2つのポイントを、しっかり頭に入れておきましょう。
① 感情に振り回されない
問題が発生して、いきなり問題解決だけに走ると、「誰が悪い?」の犯人捜しになりがちです。この場合なら、「Bさんが悪い」「Bさんは、けしからん」と、Bさんだけを責めるムードが生まれてしまいます。
正しい判断を曇らせるのは、このように余計な感情に振り回されることです。だからこそ、ここでは「原因に立ち戻ろう」という判断が大事。Bさんにも事情があったとわかれば、Bさんに対する仲間の「けしからん」という感情は消えるのです。
② 問題解決の優先順位を考える
事情があるからといって、Bさんが遅刻や早退をしてもいいというわけではありません。やはり、Bさんの遅刻や早退も問題なのです。ですから、この事例のように、Bさんが不在でもお客様へ対応できるような態勢を整えた後は、Bさんの遅刻や早退を少なくするための支援を考える必要があります。
「Bさんの勤務状況」のみが解決すべき問題に見えた今回のケースでも、「Bさん個人の問題」と「お客様への対応をどうするかという会社としての問題」の2つの問題がありました。
このように、仕事で発生する問題の多くは、複数の問題が合わさっていることが大半です。それなのにただ、「問題だ、どうしよう」と闇雲に焦っていては解決の糸口はつかめません。何をいちばん優先すべきなのか。どの順番で考えるのか。その判断をすることも働く人に求められる能力です。
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著者:永田潤子(ながた・じゅんこ)
大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授。1961年福岡県生まれ。女性に門戸を開放した海上保安大学校に、ただ一人の初女子学生として入学。卒業後は海上保安庁勤務。26歳のとき、最年少で巡視艇まつなみ船長を務める等、パイオニアとしての道を歩くことになる。
霞ヶ関での官庁勤務等、キャリアを積んだ後、埼玉大学大学院政策科学研究科(現:政策研究大学院大学)、大阪市立大学大学院経営学研究科博士後期課程にて、政策分析、意思決定、経営学を研究。その後、海上保安大学校にて人材育成および女子教育にも注力する。2003年より現職。2008年からは、大阪府橋下知事のブレイン(特別顧問)として改革に携わった。女性の活躍、リーダーシップ、個人と組織が本領発揮をする働き方等、その経験を活かした企業研修・講演も多数行なう。
自身が実地で学び、理論で裏付けた「仕事術」を、すべての働く女性に向けてまとめたのが、本書『女子の働き方』である。なお、まつなみ船長までの軌跡を描いた「海をかける風」はウェブサイトで無料公開中。
http://junko-nagata.com/