【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介

新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

Q. 働くって、そもそもいったい、なんのため?

A. 働けば働くほど、「自分らしく」生きられる

背負った仕事の分だけ自分との距離が近くなる

仕事をしていく上で必ず通過するのが、「修羅場」「土壇場」「正念場」です。

「修羅場」は、論理が通じない場面。「土壇場」は、野球でいったら9回裏の、もう後がない場面。「正念場」は、右か左かの分かれ道で、その結果が大きく変わる場面。

ああ、なんだか聞いただけで冷や汗が出そう……ですよね。要するに、働いていれば日々さまざまな選択を迫られるということです。

そのたびに、向き合わざるを得ないのが「自分」です。働いていれば、日々、不安に揺れる自分自身の心を見せつけられます。大小さまざまなトラブルの中で、ときには「あー、またやっちゃった」と、まだまだ頼りないダメな自分と向き合うこともあるでしょう。仕事とは、この繰り返しなのです。

そう聞くと、「やっぱり働くってつらい」と逃げたくなる人も多いでしょう。でも、こんな経験を重ねるからこそ、逆に楽しいのです。なぜなら、自分と仲良くなれるからです。自分と向き合うたびに知るのは、本当の自分の姿です。

「こんなところで傷つく私」「こんな感じ方をする私」「これを大事だと思う私」など、自分を知ることは、自分との距離を縮めること。

よく、「どうしたら自分らしく生きられますか?」と聞かれますが、自分らしく生きるとは、まさにこうして自分との距離を縮めて、自分と仲良くなることなのです。つまり、仕事の責任が上がるということは、仕事をしながらどんどん自分らしさを磨いていけるということ。自分の力をつかえばつかうほど、周りの人や組織に愛着も湧いてきます。

その上、お給料をいただきながら、自分のスキルも高められるのですからラッキーだと思いませんか?

プライベートで出会っても、長くリーダーを務めてきた先輩たちには素敵な女性が多いとよく感じます。特に虚勢を張るわけでもなく、ときにお茶目でチャーミング。それでいて、自由にやりたいことをやっている印象です。

それは、仕事を通じて自分を知り抜き、いつでも自分らしく、素の自分でいられる訓練をしてきたからではないでしょうか。

迷ったら、やってみるべき

自分を知る作業は、心の筋力を高めること。そして、自分を知れば他の人のことも理解できるようになるので、人間の幅も広がります。仕事をしていて、責任が高まっていけば、迷いや不安も増えていくでしょう。

でも、私の結論は、「責任のある仕事は、やらないよりやったほうが、絶対にいいですよ」ということ。今はまだリーダーじゃない人も、そのときがきたら、ぜひチャレンジしてみてください。きっと、迷ったり不安に感じたりしたぶんをはるかに上回る成長や喜びが、あなたの人生にも降りそそいでくるはずです!

あとがき 成功も幸せも、決め手は「半径3メートル」以内にある

あなたが憧がれるキャリア女性は、どんな人ですか?

頭がよくて、知識豊富。決断力があって、率先して行動する。確かに、そんな人も魅力的です。ただ、人を惹きつけるのは、そうした仕事上のスキルや能力の高い人だけとは限りません。

上司や先輩の中に、こんな女性はいませんか。

オフィスに入ってきただけで、その場が明るくなって、「さぁ、今日も1日、楽しくやりましょう」というムードをつくってしまう人。彼女のためなら、少々の残業も、「みんなでサクサク片付けちゃおう」と、つい協力したくなるような人。

なぜ、そうなるのでしょう。彼女たちは、他の人とは何が違うのでしょう。

その答えは「ヒューマン・スキル」、つまり人間的魅力です。

では、それを説明する前に、まず、一人のビジネスパーソンが持つ能力を、水に浮かぶ氷山にたとえて整理してみましょう。

水面上にあって目に見えているのが、いわゆる「あの人は、仕事ができるね」と評価されるもとになるような、「ビジネス・スキル」です。「ビジネス・スキル」は、営業ならセールストーク、マーケティングならデータ分析能力、サービス業なら接客スキルなど、その職業に必要な専門的技術や能力。

ビジネス・スキルの下にあるのが、「コミュニケーション・スキル」で、職場の人間関係全般を良好に行なえるスキル。本書では第3章で紹介しました。その下にあるのが「問題の構造化のスキル」です。これは物事の本質を捉えて、問題を発見したり課題を解決する能力のことを指します。本書の第6章の部分です。

ただ、これらの3つのスキルは、氷山の上のほうにある、ほんの一角に過ぎません。実は水面下に膨大な体積を持って浮かんでいるのが、その人の人生そのものや『その人らしさ』を構築するさまざまな要素です。

たとえば、それは「人生観」や「人間観」「情熱」「趣味」や「家庭生活」など。その人の人生経験や培われた価値観、大切にしたい思い、日々の生活が詰まっているのです。そして、それらが個性となり、人を惹きつける「ヒューマン・スキル」につながっていくのです。

もちろん、「ヒューマン・スキル」だけがあっても、仕事に関係するスキルがなければビジネス・パーソンとしては失格です。でも逆に、仕事に関係するスキルがどんなに高くても、ヒューマン・スキルという人間的魅力がなければ、人の心は動かせません。「あの人のためなら」と、周りの人を「その気」にさせ、組織全体を知らず知らずのうちに加速させていくような特別な存在にはなれないのです。

毎日を、楽しく丁寧に生きる

今、この本を読んでくださっている皆さんには、ぜひこの「ヒューマン・スキル」を伸ばすことで、仕事も人生も、もっと豊かで実り多いものにしていただけたらと思います。

仕事に直接関係する最初の3つのスキルはある程度はトレーニングできますが、「ヒューマン・スキル」は、研修や勉強会に参加すれば身に着く、というようなものではありません。「ヒューマン・スキル」は、その人の生き方そのもの。日々の生活の積み重ねだからです。

そこで、提案したいのが、半径3メートルを大切にすることです。半径3メートルは、あなたの目で見えて手が届き変えられる場所。ここをどう楽しく快適にするかで、仕事も人生も変わってきます。

目の前にいる家族やパートナー、友人たちと過ごす休日、好きな映画や音楽、読書などから受け取る感性、毎日の食事、空間づくり、健康管理など。110ページの「お風呂の栓」とは、まさにこのことなんですね。

目の前に花を活ただけでも変わります。さっそく、何かひとつ、今日から始めてみませんか。

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著者:永田潤子(ながた・じゅんこ)
大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授。1961年福岡県生まれ。女性に門戸を開放した海上保安大学校に、ただ一人の初女子学生として入学。卒業後は海上保安庁勤務。26歳のとき、最年少で巡視艇まつなみ船長を務める等、パイオニアとしての道を歩くことになる。
霞ヶ関での官庁勤務等、キャリアを積んだ後、埼玉大学大学院政策科学研究科(現:政策研究大学院大学)、大阪市立大学大学院経営学研究科博士後期課程にて、政策分析、意思決定、経営学を研究。その後、海上保安大学校にて人材育成および女子教育にも注力する。2003年より現職。2008年からは、大阪府橋下知事のブレイン(特別顧問)として改革に携わった。女性の活躍、リーダーシップ、個人と組織が本領発揮をする働き方等、その経験を活かした企業研修・講演も多数行なう。
自身が実地で学び、理論で裏付けた「仕事術」を、すべての働く女性に向けてまとめたのが、本書『女子の働き方』である。なお、まつなみ船長までの軌跡を描いた「海をかける風」はウェブサイトで無料公開中。
http://junko-nagata.com/