『ママ起業家 これだけ知っておけば十分 税金+社会保険&経営の便利ブック』より一部抜粋
【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。
あなたの思いをビジネスにする
私が「夢を叶える☆わかやま創業スクール」という中小企業庁の事業を運営するようになって、おかげさまで3年を数えました。実は、当スクールの受講生の50%以上は女性です。3年目は、特に女性に受講してもらいやすいような工夫をし、チラシも女性仕様にさせていただいたので、70%以上が女性になっています。
女性の創業予定者を見ていると、男性に比べても優れているところがたくさんあります。ここでは、そんな女性起業家の特性を4点ほどご紹介いたします。
まず、最大の特長は、「①お客さまのニーズをとらえるのが上手」という点です。女性は、子ども、家族、お友達、高齢者など、普段から接している人たちをよく観察していて、その人たちが困っていることを見つけて解決してあげたいという思いが、ビジネスアイデアを生み、創業を考える方が多いのです。だから、女性起業家のお話を聞いていると、「それってニーズあるよね!」と思うビジネスばかりです。
創業は、ビジネスに喩えてみると誕生のようなものです。実際、「生み出す」という経験があるのは女性ですよね。
ちょっと余談になるかもしれませんが、私の長男(中2)は日本で生まれました。妊婦検診の度に体重が増えていないかを厳しくチェックされました。まるで体重が増えるのは罪であるかのように……。小さく生んで育てることは、赤ちゃんにも母体にも負担が少なく、安全だからだと思います。
一方、次男(小6)はニュージーランドで生まれました。でも、妊婦健診の際に体重を量ることは1度もありませんでした。それどころか、「妊娠中に体重が20キロ増えちゃった」という人に何人も会いました。なぜ違うのだろう?と思ったときに気づいたことは、欧米人のお母さんは体が大きいのです。少々体重が増えても耐えられる骨格と体力があるのかもしれないと…。
ビジネスを生み出す「創業」も、母(ママ起業家)子(ビジネス)の安全を考えると、「②小さく生んで大きく育てる」ほうが、負担やリスクが少なく、成功しやすいのかもしれませんね。
次に、女性は、ゴールに向かう途中の過程を楽しむ傾向があると思います。創業スクールの中でも、お客さまとのコミュニケーションを深めるために「ニュースレターをつくる」という講座がありました。女性起業家は、面倒くさい、細かい作業であっても、受講生仲間との会話と一緒に、作業そのものを楽しんでいました。しかも、「③コツコツ、丁寧に」取り組んでいました。
そして、助け合ったり、協力し合ったり、ネットワークを利用して、コミュニケーションを取るのが上手ですが、特に「④口コミが上手」なのは言うまでもありませんね。ママ起業家は、そんな特性をビジネスに生かすように心がけると、成功の確率も高まると思います。
あなたが目指すのは「どこ?」「なに?」
得意な分野とは逆に、ママ起業家には、不得意な分野もあります。それについてお伝えする前に、「不得意」は「ダメ」だとは絶対に思わないようにしてください、ということを申し上げますね。「不得意」は「どうカバーするか」を考えるようにしましょう。なので、「できない、困った!」と思ったときの合言葉は「…だったら、どうしたらいい?」です。
では、心構えが整ったようですので、不得意な分野についてお話を進めましょう。
まず、「①数字が苦手」なことです。だから、本書を手に取ってくださっているのかもしれませんね?素晴らしいです!「…だったら、どうしたらいい?」を実践してくださっていますね。数字については、最低限の「知識」の勉強は必要ですが、どちらかというと「感性」を磨くことのほうが大事だと思います。ただ、ビジネスには絶対に必要で、避けて通れないことは確かです。
そんなに難しいことではないのですが、コツがあると思います。そのコツが身につくまで、数字に明るい人に、パートナーとして傍にいてもらうようにしましょう。
実は男性でも、数字が得意な人、苦手な人がいます。でも、苦手な人で成功している人は、必ずと言っていいほど数字に関する参謀がいますよ。だから、数字がわからないのは、ダメなことではなくて、それをどうカバーするかということだと思います。
次に、女性は「②謙虚」なところがありますよね。周りの人に対しての謙遜はいいことなのかもしれませんが、自分に対しても謙遜なために、目標が小さすぎて、チャンスを逃がしてしまうことがあるのです。「自分はまだ何もできていないのに、そんな大それたことを…」みたいな、謙遜というか、小さな思考になってしまうことがあるのです。本当にもったいないです。
「ワタシのアイデアは、世界の人のお役に立つことができる可能性を秘めた宝箱かもしれない」
くらいの自信を持って進んでもいいときがあると思います。
そして、今のお話と関連するのですが、物事を「③足元から考える」こと、ということは言い換えれば「ゴールからの逆算で考えない」という点です。
「鳥の目、虫の目、魚の目」という言葉をご存知ですか?
虫の目は、詳細について見る力ですね。「神は細部に宿る(本当に素晴らしい技術やこだわりは目に見えにくいことの例え)」という言葉があるように、ディテールは大事ですし、女性には長けている方が多いですよね。
「魚(さかな)の目」は、時流を見極める力です。これも、女性は結構上手な方が多いかもしれませんね。ファッションに敏感ですし、周りの人のニーズにも敏感です。残りの「鳥の目」は、(高いところから)全体像を把握する力です。
本書を手に取ったとき、もくじから見ましたか?事業であれば、目的や目標であったり、今の自分はどんなステージにいるのかを把握する力であったりします。多分、この3つの目の中では、鳥の目が弱いのかもしれません。だから、ゴールからの逆算ではなく、足元から考えるようになるのですね。
ゴールからの逆算をしないことで困ることがあります。まず、自分の事業が間違った方向へ向かっているのがわからないこと。何をしていいのかがわからないこと、スピードが遅くなったり、無駄が多くなったりすること。
ここで大事な質問です。そうです、「…だったら、どうカバーするか?」を考えることですね。私は、やっぱり伴走者をおくことが一番だと思います。ですので、女性の場合のおすすめな方法は、「弱みはネットワークで解決しよう!」です。専門家はもちろんですが、ママ起業家の仲間や先輩起業家の力を遠慮なく借りましょう。
夢は持ち続けましょう
子どもの頃、「大きくなったら、何になりたい」と聞かれたことがありませんか?
私にもそういう経験がありました。保育園からのお迎えの帰り道、電車の線路沿いの道を歩きながら、母に尋ねられたという映像が、なぜか今でも記憶に残っています。
私は、「学校の先生になろうかな」と言いました。「先生」と言った理由は単純で、その頃の私にとって、身近な大人だったからです。そうしたら、母から「お母さんも先生になりたいと思っていたの」と言われました。「でも、家が貧しくて、大学に行かせてもらうことはできなかった」と言うのです。
家が貧しかった根本の原因は戦争で、家も焼かれ、食べるものも十分になかった中、体が弱かった祖父を助けようと必死に働く祖母を助けながら、母は育ったわけです。結果的には、中小企業を応援できる、やりがいのある仕事についたのでよかったのですが、私は、子ども心に「戦争がない、みんなが自分の夢を叶えることができるような社会を実現したいなぁ」と思ったものでした。
私は、これまでのキャリアの中で、新聞記者として文章を書いたり、銀行員としてお金を扱ったり、会計事務所で中小企業の支援をしたりしてきました。遠くイギリスに住んでいたこともあります。随分と紆余曲折をしてしまいましたが、どこへ行っても、なにをしていても、私が目指していたのは、「みんなの夢が叶う社会に貢献すること」でした。
ちょっと話が横道にそれてしまいましたが、私は本書を通して、1人でも多くのママが起業し、夢を叶えてほしい、そうすることで子どもたちもまた夢を持てるようになると思っています。
ぜひ夢に向かって、走り続けてくださいね。応援しています。
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『ママ起業家 これだけ知っておけば十分 税金+社会保険&経営の便利ブック』
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著者:岡京子
1965年6月23日、和歌山市生まれ。日本大学法学部政治経済学科卒。在学中は、日本大学新聞において、史上初の女性編集部長として創刊1000号の発行を手がける。卒業後、女性向けの週刊新聞を発行する(株)新代新聞社(東京都港区)編集部に勤務し、「子どもの話題」、「女性関係のニュース」、「国際関係」の分野に関する記事やコラムの企画・執筆に携わる。その後、書籍等の配達サービスを海外在住邦人向けに提供するOCS,London,Ltd.に採用され渡英。その後、NNA(ロンドン)等での経済・金融関連の情報の執筆業務を経て、和歌山に帰省。株式会社岡会計センターの事業を承継、代表取締役となる。唯一の国家資格の経営コンサルタントである中小企業診断士を取得し、2014年3月登録(経済産業省)。
※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。