【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介

新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

「手帳ミーティング」がポイント

連載#2の「日々のサイクル」で紹介した中で、とても重要なのが、⑤「今日の振り返り」から、①「明日の予定確認」 、②「明日の1日の過ごし方の計画」です。

夜にこれをやる時間を、手帳を見ながら振り返る、計画する、会話をするということで、「手帳ミーティング」と呼んでいます。手帳ミーティングを親子で毎日行なうことが、親子の悪い流れを断ち切り、子どもたちの自立、自己管理できる大人への道につながります。「こども手帳術」成功のカギは「手帳ミーティング」です。

計画を意識して生活する

手帳と共に生活することで、自分がやることを計画し、実行して成功や失敗を経験していきます。この経験を繰り返すことで、計画・実行する力を養っていくのです。この経験は、何となく生活していると感じることができません。

たとえば、テレビを見てから宿題をやろうと思っていたけれど、結局できなかった、ということは小学生にはよくあることです。こども手帳のない生活では、次の日も「今日はテレビ見たらちゃんとやるよ!」と言って、結局またやりません。その次の日も、「今日はやる!」と言って、またやらない、を繰り返してしまうのです。

大人は、「やるって言って、昨日も一昨日も結局やらなかったでしょ! 早くやりなさい!」と叱り、「今やろうと思ってたのに!」と子どもはやる気を失うという悪循環になりがちです。

一方、こども手帳のある生活では、手帳ミーティングで、できなかった原因を振り返ります。「どうしてテレビを見てから宿題をできなかったんだろう」「明日はどうすれば宿題ができるかな」を手帳ミーティングの際に考えます。

「時間が遅くなったからやりたくなくなっちゃった」「量が多くてできなかった」 などと振り返って、そのとき感じていることを話します。実際は大きな理由なんてないことも多いとは思いますが、子どもが自分で自分の行動を振り返ることで考えることができます。さらに、次はどうしたらいいか改善する方法を考えることで、繰り返さないようにしようという意識が芽生えます。

子どもは、毎日の生活の中で繰り返し計画し、振り返ることで少しずつ経験を積み重ねながら、時間管理、自己管理を学んでいくのです。

時間管理は、なかなかきちんと教わる機会がありません。大人になると誰もがやらなくてはなりませんが、子どもの頃に教えてくれるところはほとんどないのが現状です。教わる機会がないのであれば、家庭で教えるしかありません。だからといって、「時間管理ってこうやってやるのよ」と論理的に言葉で説明しても、子どもはチンプンカンプンです。

だからこそ、幼い頃から手帳と共に生活し、毎日活用することで、日常生活の中で経験しながら自然と学んでいくことが、自己管理できる大人への近道だと考えています。

親子の会話がスムーズになる

手帳ミーティングは、子どもが自分の生活に意識を向けるためにも、とても重要な時間です。ぜひ、毎日5分でもいいので続けてください。

「月間スケジュールを見て、持ちものを確認して……」と、あまり難しく考えなくても大丈夫です。やることは、振り返り→確認→計画ですが、一言で表現するなら「手帳を見ながら親子で会話する」だけなのです。毎日の手帳ミーティングは、親子のコミュニケーションの時間となります。

何もない状態で、「今日、学校はどうだった?」「明日は何がある日だったかな?」と聞いても、子どもからは、「別にー」とか「ふつー」なんてそっけない返事が返ってくることもあります。

それが、手帳を通じて会話をすれば、「ゲームしてから宿題をやろうと思ったけど、疲れてやるのが大変だった」 というスケジュールの話や、「明日の給食はカレーだ!」という楽しい予定の話題になったり、親からもフセンシートに貼られたフセンを見て、「こんなにお手伝いしてくれてありがとう」 と感謝の気持ちを伝えたり、「今日もしっかり宿題できたね。頑張ったね!」と自然にほめることができたりします。

手帳ミーティングで振り返ったり、計画することで、親子の会話が増え、ガミガミ言う前に子どもが自分で気づきやすくなるため、会話自体がやわらかくもなります。

また、親子で一緒に予定を確認することで、子ども自身の予定だけではなく、家族の予定も確認できます。たとえば、「明日はお母さん、パートがあるから帰ってくるのは3時頃だよ」など、その子自身の予定ではない予定も伝えられます。

そうすることで、「じゃあ、先におやつを食べて、お母さんが帰ってきてから音読の宿題を聞いてもらおう」とか「学校に行くときは鍵を持って行こう」など、子ども自身のやることを計画しやすくなります。

子どもの新たな一面と出会う

予定を確認するだけなら、文字が読める年頃の子ども一人でもできます。手帳を開いて、見るだけでいいからです。でも、この手帳ミーティングを通して、親子で会話をすることがとても大切です。

改めて子どものことを知るきっかけになったり、会話が生まれたりと、かけがえのない親子のコミュニケーションの時間となるからです。

わが家でも娘たちと一緒に毎日手帳ミーティングをやっています。今日やってくれたお手伝いの話をしたり、明日の学校の給食の話をしたりと、そのときによって盛り上がる話題はさまざまです。手帳を見ながら会話をしていると、「あ、そういえば明日、○○を持って行くんだった!」など、忘れていたことを思い出すこともあり、うっかり忘れは少しずつ減ってきました。

こども手帳を使いはじめる前は、予定があるのをすっかり忘れて、お友だちと遊ぶ約束をしてくることもありましたが、手帳ミーティングのおかげで、こちらもだいぶ減りました。

また、娘たちそれぞれの性格の違いも手帳ミーティングを通じて改めて知りました。

学校が午前授業で、帰宅後とくに予定のない日の前日の手帳ミーティングのとき、長女は、「よし、帰ってきてからすぐ宿題を終わらせるぞ!」と計画を立てます。 「やることをやってから、あとで思いっきり好きなことをやる!」が長女流です。宿題をやっていないのに、好きな本を読んでいても、気になって楽しめないのだそうです。

一方、次女は「じゃあ、とりあえず遊んで、おやつを食べてから、ご飯の前に宿題をやる」と計画を立てます。「やりたい遊びがあるのに宿題をやっても、遊びのことが気になって、宿題に集中できないから、先に思いっきり遊んでからやる!」が次女流です。

確かに、自分で考えて計画を立てるので、長女は宿題をさっさと終わらせて、本に読みふける、次女は遊びに満足すると、「よし、宿題でもやるか〜」と机に向かっています。

計画を立ててやってみる。そして、うまくいったり、うまくいかなかったり。これを何度も繰り返すことで、子どもたち自身も自分がやりたいことと、やらなくちゃいけないことのバランス、順番など、自分に合った方法を見つけたのではないかと思います。

とはいえ、この手帳ミーティング、子ども自身の気が乗らないときは、30秒程度で終わってしまうときもあります。

「今日は機嫌が悪いな」「学校から帰ってきてから元気がないな」という状況も、毎日手帳ミーティングをやっているからこそ感じることです。毎日、大人も子どもも忙しいと思いますが、だからこそ、1日5分、手帳を見ながら会話する時間を楽しんでください。

今まで「何度言っても忘れものがなくならない」「何を考えているのかわからない」など、子どものことで悩んでいた方も、この手帳ミーティングで、これまでとは違う角度から子どもの行動を見て、会話し、そして子どもが考えていることを知ることができます。

手帳ミーティングのタイミング

手帳ミーティングは、その日の振り返りと、明日の過ごし方の計画なので、子どもが家に帰ってきてから寝るまでがタイミングとしてはぴったりです。しかし、お仕事をしている、小さい下の子がいる、上の子たちの送迎がある……などいろいろ事情があり、ゆっくり時間を取るのは難しい方も多いでしょう。

そんな中で続けるコツは、今の生活で毎日やっていることとセットにすることです。

たとえば、毎日子どもと一緒に晩ご飯を食べるなら、ご飯を食べる前や食べたあと、一緒にお風呂に入っているなら、入る前や、上がったあと。一緒に布団へ行くなら、その前に……など、毎日当たり前にやっていることに5分間だけ「手帳ミーティング」の時間を足してみてください。

向かい合って話をする時間がなければ、ママは洗いものをしながら子どもに声かけだけして、家事をしつつ会話を楽しむ、という方法でもいいですね。

洗濯ものをたたみながら、アイロンをかけながら、お米をとぎながら……できそうなタイミングを見つけてみてください。そして、どうしても毎日が難しければ、まずは、1週間に一度でもいいです。手帳を見ながら、親子で会話をしてみてください。

トイレに行ったら手を洗う、ご飯を食べたら歯を磨く、と同じように、「寝る前には明日の予定を確認する」を小学生のうちに習慣化できれば、自己管理できる子への大きな一歩になります。

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著者:星野けいこ(ほしの・けいこ)
あな吉手帳術認定校講師。自分deカウンセリング講師。自身が2児の母としてストレスフルな生活をすごしていたときに「あな吉手帳」に出会い、生活、気持ちがラクになった経験から、同じように子育てを頑張っているママたちを応援する手帳活用方法を伝えたいと、あな吉手帳の考案者・浅倉ユキに師事。手帳術講師として活動中。 「こども手帳術講座」では、「子どもたちに手帳のある生活をプレゼントしよう!」を合言葉に、自分で考えて実行できる子になるための手帳活用方法&ママの見守り術を考案・発信している。著著に、『親子で楽しく! 自主性、自立心が育つ こども手帳術』(PARCO出版)、『自分で考える子になる「子ども手帳術」』(日本実業出版社)がある。
 

監修:浅倉ユキ(あさくら・ゆき)
あな吉手帳術考案者。ゆるベジ料理&手帳術研究家。おいしくて体にやさしい「ゆるベジ料理」のほか、「あな吉手帳術」「3ステップ時間管理術」「自分deカウンセリング」などの講座を「another〜kitchen」にて主宰。“あな吉”さんの愛称で多くのファンを持つ。「女性のストレス値を下げる」をテーマに多方面で活躍中。著書は、『あな吉さんの主婦のための幸せを呼ぶ!手帳術』(主婦と生活社)、『あな吉さんの「ゆる家事」レッスン』(筑摩書房)など多数。