『これで解決。働くママが必ず悩む36のこと』より一部抜粋

「前例がない=産休・育休が取れない」ではない

働く女性を守る法律や制度は確実に整備されてきています。とは言え、まだ産休・育休の実績がない企業が多いのも事実。これまで、先輩女性がすべて妊娠を機に退職している職場の場合、「妊娠=退職」しかないと考えてしまう人も多いでしょう。
しかし、前例がないからといって諦める必要はありません。産休や育休は法律で定められているものです。たとえ会社の就業規則や制度で定められていなくても、あなたが申し出をすれば取得することができます。
また、仕事と育児の両立は大変なこともありますが、「出産手当金」や「育児休業給付金」など、働くママだからこそ受け取れる経済的なメリットも多くあります。
はじめから諦めてしまわずに、経済的な問題やこれからのキャリアなどをしっかりと考えて、対策を練っていきましょう。
これまで産休や育休の前例がない場合でも、実際に妊娠を伝えると、復帰を前提に話を進めてもらえるというケースも少なくありません。引き継ぎマニュアルなどを完璧につくって、お休み中も電話でフォローしながら産休を取得したというママもいます。まずは一人で悩まずに相談してみることが大切です。

多くの女性がうらやむ制度の整った大企業でも、必ず第1号の産休・育休取得者がいます。出産後も仕事を続けていきたいと考えているなら、ぜひそのための行動を起こしてください。

妊娠の報告&相談の時に大切なこと

産休や育休は法律で定められているものですが、実際上司に相談する時は、謙虚な姿勢でお願いすることが大切です。
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「法律でも決められているので、お休みさせてください」といった一方的な態度では、うまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。
一定期間のお休みを取ることは、会社側にとって負担がかかるのは事実。あなたがお休みを取っている間、誰かにその仕事をお願いしなければなりません。中小企業の場合は、新たに人員を雇う必要が出てくる可能性もあります。

「みなさんがお忙しい中、ご迷惑をおかけして大変申し訳ないのですが、引き継ぎやマニュアルの作成など、最後まで責任を持って対応しますので、お休みをいただけませんか?」といったように、会社側・上司の立場も理解して、誠意を持って話し合いを進めましょう。自分の要望を伝えるだけでなく、会社側はあなたが産休・育休を取得した場合にどのような点が気がかりになっているか、直接聞いてみることも大切です。1年間の育休は難しくても、半年間だったらなんとか体制を整えてもらえるかもしれません。

会社側のメリットをアピール!

厚生労働省は、従業員の仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主に対し、さまざまな助成金制度を設けています。また、平成 26年4月から、産前産後休業期間中の社会保険料は、従業員、事業主ともに支払いが免除されることになりました。
「お休み期間中は、社会保険料もかかりませんし、この助成金を利用すれば、40万円が支給されます」といったように会社側の視点でアピールするのも有効な方法です。

これからの時代は、育児をする人、介護をする人、障害や病気を持つ人など多様な人材を活かした経営が求められます。「会社に迷惑をかけないために辞める」のではなく、「辞めないでも会社が回る仕組みづくり」のきっかけをつくることは、会社にとっても大きなメリットになります。

前例がない中での挑戦は大変ですが、双方にとってメリットになるような形を探してみてください。

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毛利優子(もうり・ゆうこ)
大学在学時に長男を出産後、大手監査法人に入社。研修運営や海外グループ会社と合同で行なう人事プロジェクトでプロジェクトマネージャーを担当。その後、Webサイトの企画・制作会社に転職し、念願だった働くママを応援するサイト「働くママプラス」を企画し、ライターも兼務する当サイトは月間5万PVの人気サイトとなっている。現在は独立して、本やWebサイトの執筆のほか、個別カウンセリングや女性活躍企業向けの支援などを行っている。著書に『働きたいママの就活マニュアル』(自由国民社)がある。