お金・養育費

離婚を決断する前に必ず理解しておこう。財産分与の考え方とは

 

離婚を考えるときには、離婚後の生活についても考えておく必要があります。財産分与という制度がありますので、ことを性急にせず、お金の事柄についても取り決めをしておきましょう。結婚してからふたりで培った共有の財産ももちろんですが、例えば、結婚している間は専業主婦で、夫が働いて夫名義になっている財産は、どのようになるのでしょうか?離婚を決断する前に財産分与の考え方を理解しておきましょう。

著者 藤原洋子

財産分与とは、離婚の際に相手方に財産の分与を請求できる制度

離婚を決断する前に必ず理解しておこう。財産分与の考え方とは
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)

財産分与とは、離婚した夫婦の一方が、相手に対して財産の分与を請求することができる制度です。夫婦がともに生活を送るなかで築いた財産は、公平に分配することが基本であると考えられているので、離婚の際には自分の財産を請求できると認められています。また、財産分与は、離婚後の生活保障や、離婚の原因を作ったほうへの損害賠償の性質もあるとされています。

離婚を急いでしまうと、夫婦の財産について、きちんと話し合うことなく別れてしまうことになりがちです。財産分与は、法律上認められている権利ですから、離婚時にはしっかりと取り決めをしておくことが大切です。

当事者の間で話し合いができない、まとまらないという場合は、家庭裁判所に調停の申し立てをします。申し立ての費用には、収入印紙1,200円と、連絡用の郵便切手が1,000円分必要です。調停手続きでは、夫婦の財産がどれくらいあるのか、取得や維持に対するお互いの貢献の割合はどれくらいなのかなど、一切の事情について、合意に向けて話し合いが進められます。申し立ては、離婚前から離婚後2年以内に行うことができます。

財産分与の対象となる財産は、夫婦が協力して築いた財産

財産分与の対象となる財産は、婚姻期間中に夫婦が協力して築き、維持してきた財産です。一方の名義になっていても、共有財産とみなされるものは対象となります。

例えば、共同名義で購入した建物や土地、片方の名義になっている預貯金や有価証券、自動車、保険解約返戻金、共同生活を送るために必要な家具や家電製品などの家財が、財産分与の対象になります。借金がある場合は、共有財産から差し引いて、残額を分配することになります。

独身時代に貯めた貯金、婚姻期間中に、親から相続した不動産などは、財産分与の対象には原則なりません。また、厚生年金等の分割は、財産分与ではなく、「年金分割」の手続きによって定めることになります。

財産分与の割合は原則2分の1ずつ

家庭裁判所の調停手続きでも、話し合いがまとまらず、調停が不成立になる場合もあります。そのときには、自動的に審判手続きに移行します。審判手続きでは、裁判官が、双方から聴いた事情や、提出された書類など一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

家庭裁判所の審判では、財産分与の割合は、共働きの場合であっても、夫婦の一方が専業主婦(夫)で、もう一方だけに収入がある場合であっても、2分の1ずつに分けるように命じられることが多いようです。

財産分与には「清算的」「扶養的」「慰謝料的」の3種類がある

財産分与は、大きく分けると、次の3つの種類があります。

清算的財産分与

財産分与のなかで基本になるのが、清算的分与です。婚姻期間中に、夫婦が協力して築き、維持してきた財産は、その名義にかかわらず夫婦の共有財産とし、それぞれの貢献度によって平等に分配する、とされています。離婚原因の有無によって変わることはなく、離婚原因を作った側からの請求も認められます。

扶養的財産分与

離婚した場合、一方が病気や高齢であったり、経済的自立が困難であるなどで、離婚後の生活が困窮するという事情がある場合に認められます。収入が多く経済的に強い立場の配偶者から、収入が少なく経済的に弱い立場の配偶者に、離婚後の生活を手助けする扶養的な意味合いで、財産が多く分配されることがあります。

慰謝料的財産分与

離婚する際に、離婚原因を作ったほうへ慰謝料を請求しても、払おうとしないなど、問題になる場合があります。本来、慰謝料は、財産分与とは別に算定して請求するものですが、明確に区別せず、慰謝料を含むものとして、財産が分配されることがあります。

財産分与の取り決めは、離婚後2年以内なら請求できる

財産分与を行う時期について、注意しておきましょう。離婚の際に、財産分与について取り決めをしなかったとしても、離婚後2年以内なら請求できるとされています。しかし、離婚後の生活を築いていく間に、2年間はすぐに経ってしまうかもしれません。

また、離婚すると、相手の職場や住所、電話番号などが変わり、連絡が取れなくなる場合があります。財産の把握が難しくなりますし、相手が財産を整理して、共有財産が減ってしまうかもしれません。できるだけ離婚時に、財産分与についてきちんと取り決めをしておくことが望ましいでしょう。

日本司法支援センター(法テラス)は、法務省が全国の都道府県に設立したもので、収入が一定額以下などの要件を満たす方は、弁護士による無料相談を受けることができます。不明な点があるときは、そのままにせず、弁護士など法律の専門家に相談してみましょう。