離婚した後に新しいパートナーと再婚する場合、元パートナーから養育費をもらい続けることはできるのでしょうか。もらえなくなるのはどのような場合なのか、事前に把握しておくと安心です。この記事では、再婚後に元パートナーから養育費を受け取ることについて、また減額される可能性がある要因などについて解説します。

養育費が継続的に支払われている人はたったの24%。書面を交わしても支払われていない現状があります。

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養育費とは

養育費とは、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用のことをいい、主に生活費や教育費、医療費などが当てはまります。一般的に、子どもと一緒に暮らしている親(監護親)が、別れて暮らしている親(非監護親)に対して請求します。

養育費は、生活を維持できる最低限の金額を支払えば良いというものではなく、非監護親と同程度の生活水準を送れるような金額を支払うものとされています(「生活保持義務」といいます)。また、「生活が苦しいから支払えない」といったことは認められず、非監護親は収入のなかでやりくりをしてでも支払う義務があります。

養育費の取り決めは、夫婦間でしっかりと話し合うことが原則です。金額や支払日、支払方法、いつまで支払うのかなどについて話し合います。しかし、養育費を支払う側は「できるだけ安く済ませたい」、受け取る側は「できるだけ高額を受け取りたい」と思っていることが多いため、スムーズに合意できないケースも少なくありません。

夫婦間の話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立て、調停委員に間に入ってもらい合意を目指します。調停でも合意が得られない場合は、自動的に審判手続きに移行し、裁判官が金額等を決定します。

なお、離婚時に養育費の取り決めをしなかった場合は、離婚後でも取り決めをすることができます。相手との話し合いで決めるのが原則ですが、合意が得られない場合は家庭裁判所に調停の申し立てをします。

再婚しても養育費はもらい続けることができる

離婚後、新しいパートナーと再婚をするケースがあります。その場合、元パートナーから受け取っていた養育費はこれからも受け取れるのか不安になるのではないでしょうか。

結論からいえば、子どもと一緒に暮らす親が再婚しても、原則として元パートナーは養育費を支払う義務があります。養育費とはそもそも、子どもに対する扶養義務に基づいて支払われるものなので、ただ単に再婚しただけでは支払い義務はなくなりません。

ただし、再婚相手と子どもとの間で「養子縁組」をするかどうかで扶養義務に対する位置づけが変わり、養育費が受け取れなくなることがあります。では、再婚相手と子どもの養子縁組が養育費の受け取りにどのように関係してくるのか、次章で詳しく解説していきます。

再婚相手と子どもの養子縁組について

子どもを連れて再婚する場合、新しいパートナーと子どもを養子縁組させるかどうかで悩むことがあります。養子縁組をすると、子どもと新しいパートナーとの間にどのような関係が形成されるのか、実親との親子関係はどうなるのか、また、養育費の支払い義務者が誰になるのか気になるのではないでしょうか。

子どもと養親の養子縁組をどうするか検討する前に、養子縁組とはどのようなものなのか、養育費の支払いにどのような影響があるのかなどを確認しておきましょう。

そもそも養子縁組とは?

養子縁組とは、血縁関係のない人同士が法律上の親子関係を結ぶための手続きのことをいい、大きく分けて「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つの方法があります。

普通養子縁組とは、子どもは実親との親子関係を続けたまま、養親とも新しい親子関係を作る方法です。子どもから見ると、実親(生みの親)と養親(育ての親)の2人の親を持つことになります。

普通養子縁組を結べる養子に年齢制限はなく(ただし養子が養親より年上の場合は不可)、離縁(養子縁組を解消すること)も可能です。養子縁組後は実親と養親の双方が子どもに対する扶養家族を負い、子どもは養親と実親のいずれの親に対しても相続権を持ちます。戸籍上の記載は養子/養女となります。

一方、特別養子縁組の場合は、新しい親と養子縁組を結ぶと、子どもと実親との親子関係は消滅し、新しい親との間に親子関係が成立します。子どもが実親から虐待を受けている場合などは、特別養子縁組を結んで子どもを守るケースもあります。

特別養子縁組を結べる養子は15歳未満で、離縁することは原則不可です。戸籍上の記載は長男/長女、次男/次女などとなります。

再婚相手と子どもが養子縁組する場合

子どもと一緒に暮らす親が再婚して、新しい親と子どもが養子縁組をする場合、普通養子縁組なのか特別養子縁組なのかによって養育費の支払い義務者が異なります。

普通養子縁組をすると、子どもと新しい親の間に新しい親子関係が形成されますが、実親との親子関係も継続しているため、実親の子どもに対する養育費を支払う義務は消滅しません。そのため、これまでと同様に養育費を支払う義務があるとされています。

ただし、養育費の支払い義務は一次的には養親が負い、実親は二次的な責任を負うとされているため、養育費の減額請求を受ける可能性があります。

一方、特別養子縁組をすると、子どもと新しい親との間に新しい親子関係が形成されるとともに、実親との親子関係は消滅します。そのため、実親の子どもに対する養育費の支払い義務も消滅するとされています。つまり、子どもの養育費の支払い義務を負うのは養父だけになるということです。

再婚相手と子どもが養子縁組しない場合

再婚相手と子どもが養子縁組をしない場合、子どもと養親との間に親子関係が形成されないため、養親の子どもに対する扶養義務は発生しません。そのため、養育費の支払い義務を負うのは、継続して実親のみとなります。

ただし、再婚相手が高収入を得ているなど、生活状況を考慮したうえで養育費の減額請求を受ける可能性があることは留意しておきましょう。

再婚などの事情変更により養育費は減額される可能性がある

養育費について一度合意をしている場合でも、再婚や経済状況の変化などにより減額されることがあります。双方の合意があれば減額などの金額変更は可能で、もし合意できない場合でも裁判所が認めた場合は減額が決定されることもあります。

しかし、突然減額請求を受けた場合は慌ててしまう可能性があります。あらかじめ減額される可能性がある要因について確認しておきましょう。

養育費を受け取る側に要因がある場合

先にも解説したように、養育費を受け取る側が再婚する際に新しいパートナーと子どもが養子縁組をした場合は、新しいパートナーに子どもの扶養義務が生じます。それと同時に元パートナーの養育費支払い義務はなくなるか二次的になるため、減額請求を受ける可能性があります。なお、再婚相手の収入によっては全額免除が認められることもあります。

また、養育費を受け取る側の収入が増えた場合も、減額請求を受ける可能性があります。というのも、養育費は支払う側と受け取る側の収入のバランスによっても決まるものだからです。受け取る側の収入が増えれば、子どもの養育費として回せるお金があると考えられ、減額が認められる要因のひとつとなります。

養育費を支払う側に要因がある場合

養育費を支払う側の収入が大幅に減少した場合も、養育費の減額要因となります。失業や、病気・ケガなどで入院・療養をした場合などは、養育費を支払うことが難しくなる可能性があります。

ただし、自分の都合で退職した場合や、子どもとなかなか面会交流ができないことを理由とする減額請求は認められないことがあります。

また、養育費を支払う側も再婚する可能性があり、新しいパートナーとの間に子どもが誕生する可能性はあります。支払う側に新しく扶養すべき家族ができると経済的負担がこれまでよりも大きくなることから、養育費の減額請求が認められることがあります。

養育費のトラブルを抱えないためには

これから離婚することを検討している人の中には、パートナーと養育費についてのトラブルが起こらないか不安な人もいるでしょう。これからのことは誰にも予測できないため、絶対にトラブルが起こらないようにすることは難しいですが、トラブルが発生しても対処できるように準備しておきたいものです。

養育費のトラブルを回避するためには、養育費の取り決めについて「公正証書」を作成することや、「養育費保証サービス」を検討するといった方法があります。

公正証書を作成する

養育費については離婚時にパートナーと話し合い合意を得られれば支払いをしてもらうことが可能ですが、口約束で終わってしまうとトラブルの原因となることが多いです。そこで、養育費について取り決めた内容を公正証書(執行受諾文言が付されたもの)として残しておくことをおすすめします。

公正証書は、夫婦が公証人の前で養育費について取り決めをした内容を確認しながら作成するため、信用力の高い資料として認められます。そのため、養育費の支払者に「養育費は支払わなければならないもの」という心理的な拘束力を与えることができます。

また、仮に養育費の不払いがあった場合、公正証書に執行受諾文言が付されていれば、裁判を起こすことなく強制執行で財産の差し押さえができます。公正証書は作成する手間や手数料がかかりますが、後のトラブルを回避する効果は大きいといえます。

▶養育費の強制執行については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
養育費の強制執行とは?条件や流れを弁護士がやさしく解説

養育費保証サービスを検討する

養育費のトラブルを回避するためには、「養育費保証サービス」を利用するのもおすすめです。

養育費保証サービスとは、元パートナーから養育費の不払いがあった場合に、養育費保証会社が養育費を立て替えて支払ってくれるサービスのことをいいます。不払いが発生した場合の元パートナーへの催促も養育費保証会社が行うので、自身がストレスを感じながら連絡を取る必要がありません。


具体的なサービスとして、株式会社Casaの「養育費保証PLUS」は、月々1,000円~という手ごろな保証料と、保証上限が業界最長の36カ月保証(※債務名義ありの場合)という特長があります。また、養育費保証サービスのほかにも物件探しや仕事探しのサポートなども行っており、シングルマザーにとって心強いサービスといえます。養育費の不払いに備えたい人は、ぜひ検討してみてください。

再婚しても養育費はもらい続けよう!養子縁組については確認を

元パートナーから養育費を受け取っている場合、再婚しても養育費をもらい続けることはできます。ただし、再婚相手と子どもが養子縁組をした場合は、元パートナーの子どもへの扶養義務が二次的または消滅するため、減額請求をされたり受け取れなくなったりすることもあります。

養育費についてのトラブルを避けるためには、公正証書を作成しておくことや、養育費保証サービスなどを利用するのもひとつの方法です。