シングルマザーの中には、将来に向けてどのくらい貯金しておけば安心なのか知っておきたいという人が多いのではないでしょうか。特に子どもの教育資金や自身の老後資金など、できるだけ余裕をもって準備しておきたいものでしょう。そこで、本記事ではシングルマザーの平均貯金額をはじめ、貯金額を考える際のポイント、利用できる公的制度などについて解説していきます。

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シングルマザーの平均貯金額は?

シングルマザーの収入や貯金額は平均どのくらいなのでしょうか?厚生労働省の調査結果をもとに、シングルマザーのリアルなお金にまつわる状況を確認してみましょう。

平均収入は「243万円」

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、シングルマザーの平均年収は243万円で、そのうち仕事で得た収入は平均200万円となっています。残りの43万円は児童扶養手当や元パートナーからの養育費などが該当します。

また、同調査では、シングルマザーの81.8%の人は何らかの仕事に就いており、そのうち正社員が44.2%ともっとも多く、パート・アルバイトが43.8%と2番目に多いことも分かります。1つ前の調査時より正社員の割合は4.8%上昇していますが、それでも半数近いシングルマザーは非正規で働いていることが確認できます。

さらに、業種ごとに見ると、サービス業や事務職に就くシングルマザーが多いことも分かりますが、これらの業種は他業種と比べて年収が低い傾向にあることも調査から見て取れます。専門的な技術職ほど年収は高くなりますが、このような技術職に就いている人は仕事をしているシングルマザーの約20%にとどまっています。

このような調査結果から、シングルマザーのお金に関する現状はとても厳しい状況に置かれているということが分かります。では、この内容をふまえてシングルマザーの貯金額について見ていきましょう。

参考:厚生労働省 – 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

預貯金は「50万円未満」がもっとも多い

シングルマザーの貯金額についても、厚生労働省の同調査をもとに紹介します。シングルマザーの貯金額でもっとも多いのは「50万円未満」となり、約40%を占めています。貯金額ごとの割合を以下にまとめましたので、参考にしてみてください。

預貯金額 割合
50万円未満 39.7%
50万~100万円未満 6.6%
100万~200万円未満 10.6%
200万~300万円未満 4.9%
300万~400万円未満 4.5%
400万~500万円未満 1.7%
500万~700万円未満 3.8%
700万~1,000万円未満 1.4%
1,000万円以上 4.2%
不明 22.6%

なお、厚生労働省の「平成28年度国民生活基礎調査の概況」という資料によると、子どものいる世帯の平均預貯金額は679.9万円となっています。この額と比べると、シングルマザー世帯の預貯金額がいかに少ないかがわかります。

参考:厚生労働省 – 平成28年度国民生活基礎調査の概況

シングルマザーが貯金額を考えるうえで大切な2つのこと

シングルマザーが今後どのくらい貯金すれば良いのかを考える際は、「子どもの教育資金」と「自分の老後のためのお金」のふたつを軸にして考えていく必要があります。

➀教育資金にいくら必要なのか

子どもが幼稚園や保育園に入園してから大学を卒業するまでに、教育資金はどのくらい必要になるのでしょうか?大学は進路によって金額が大きく異なるため、まずは幼稚園から高校までにかかる教育資金について、文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果について」をもとに目安となる金額をまとめます。

学校種別 学費
公立幼稚園(3年間) 670,941円
私立幼稚園( 〃 ) 1,583,748円
公立小学校(6年間) 1,927,686円
私立小学校( 〃 ) 9,592,146円
公立中学校(3年間) 1,465,191円
私立中学校( 〃 ) 4,219,299円
公立高校(3年間) 1,372,140円
私立高校( 〃 ) 2,909,733円

参考:文部科学省 – 平成30年度子供の学習費調査の結果について

続いて、文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」をもとに、大学にかかる費用を学部ごとにまとめます。

国公私立・学部 4年間(医歯薬系は6年間)の学費
国立大学 文系、理系など 2,425,200円
医歯薬系 3,496,800円
公立大学 文系、理系など 2,548,150円
医歯薬系 3,625,416円
私立大学 文系、理系など 3,866,569円
医歯薬系 5,674,861円

参考:文部科学省 – 国公私立大学の授業料等の推移

これらの表より、いくつかのパターンをシミュレーションしてみましょう。

➀幼稚園から大学まですべて公立……7,861,158円
②幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立……9,302,527円
③幼稚園から大学まですべて私立……22,171,495円
(※大学はいずれも「文系、理系など」に該当)

幼稚園から大学まですべて公立の場合でも、約800万円の教育資金が必要になります。また、高校までは公立で大学のみ私立の場合は、約1,000万円が必要になることがわかります。

上表より、たとえば今から高校と大学の教育資金を貯金すると考えると、少なくとも380万円(公立高校約140万円+国立大学約240万円)は貯める必要があります。仮に子どもが現在5歳の場合、毎月3万2,000円(※)程度を貯金しなくてはならない計算になり、シングルマザーにとっては負担の大きい金額といえるかもしれません。

※(15歳-5歳)×12カ月=120カ月
380万円÷120カ月=31,667円のため、約32,000円。

②自身の老後資金としていくら必要なのか

子どもの教育資金と同じくらいに考えておかなければならないのが、自身の老後資金の準備です。しかし、どのくらいの金額を貯めておけば良いのかという目安がわからないと、計画的に準備していくのは難しいのではないでしょうか。

そこで参考までに、現在の60歳以上ひとり世帯における1カ月の収支(年金受給額や生活費の平均額)を見てみることにしましょう。

収入(うち公的年金) 124,710円(115,558円)
可処分所得 112,649円
支出 139,739円
1カ月の収支 △27,090円

参考:総務省統計局 – 家計調査報告(家計収支編)2019年(令和元年)平均結果の概要

毎月の収入は公的年金を含めて平均約12万5,000円ですが、そこから税金などを差し引いた可処分所得は平均約11万3,000円です。支出は平均約14万円であることから、差し引くと毎月約2万7,000円の赤字となっていることがわかります。

仮に65歳まで働いて、その後90歳まで生存する場合、25年間分の生活費を考える必要があります。毎月2万7,000円が赤字になることを考えると、25年間では合計で810万円が不足する計算となります。

ただし、これはあくまでも健康で過ごせることを前提としています。一般的には高齢になるほどケガや病気になるリスクは高くなるため、医療費や介護費もある程度準備しておくと安心です。こういったことから、最低でも1,000万円ほどを目標額に設定してみると良いでしょう。

シングルマザーが受けられる助成や手当など

シングルマザー世帯は収入が低い傾向にあることは上で紹介したとおりです。そこで検討したいのが、公的な助成金や手当金などです。本章ではシングルマザーが利用できる公的支援などについて紹介していきますので、それぞれの内容を確認し、受給条件に当てはまるものは忘れずに申請しましょう。

高等学校等就学支援金制度

家庭の経済状況により、進学をあきらめざるを得ない子どもに進学の機会を開くことを目的として、国が高校の学費を一部負担してくれる制度です。2020年の制度改正により、私立高校の場合に受けられる支援金の額が増額され、家計の負担が軽減されています。奨学金とは異なり返還する必要がないので、将来子どもに負担をかけることがありません。

支援金を受給するためには、次のふたつの要件を満たしている必要があります。

・日本に在住し、高校等に在学している
・世帯年収が約910万円未満

支給金額は、公立の高校等の場合は年額11万8,800円、私立高校の場合は年額39万6,000円です。これにより、公立高校なら授業料が実質無償になり、私立高校でも無償になるケースもあります。

ただし、高等学校等就学支援金の申請手続きは入学後に学校経由で行うため、入学金や授業料など手続き前に支払うものは一度立て替え払いをする必要があります。支払ったお金は手続き後に返ってきますが、支払う分を最初に準備しておく必要があります。

高校生等奨学給付金

低所得者世帯の子どもが安心して教育を受けられるように、授業料以外の学費を国が一部負担してくれる制度です。授業料以外の学費には、たとえば教科書・教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、修学旅行費などがあります。こちらも返還義務がないのがメリットです。

支給対象となるのは、生活保護受給世帯や住民税非課税世帯といった低所得世帯なので、該当するシングルマザーは問題なく活用することができます。

支給金額は世帯や子どもの人数によって異なり、生活保護受給世帯では、公立高校だと年額3万2,300円、私立高校だと年額5万2,600円が支給されます。住民税非課税世帯では、公立だと年額11万4,100円(第二子以降は14万3,700円)、私立だと年額13万4,600円(第二子以降は15万円2,000円)が支給されます。

母子父子寡婦福祉資金貸付金

20歳未満の子どもを養育しているシングルマザーなどが利用できる貸付制度です。一般的な制度だと借り入れに利息がかかるのが普通ですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金は無利子であるため利息を支払う必要がありません

また、さまざまな用途でお金を借りることができるのもメリットです。たとえば、教育資金関係では以下のものがあります。

【修学資金】
高校や大学などにかかる授業料や書籍代、交通費などが対象で、借入限度額は高校で月額5万2,500円、大学で月額14万6,000です。

【就学支度資金】
入学や就職するために必要な被服購入に必要な資金で、借入限度額は10万円です。通勤のための自動車購入の場合は33万円までです。

シングルマザーが利用できる公的給付金や手当金などは上記以外にもありますので、詳しくはこちらの記事をごらんください。
シングルマザーが使える手当|もらえる額を試算してみよう

シングルマザーの貯金額はいくらあれば安心できる?

以上、子どもの教育資金、自身の老後資金、助成や手当について紹介してきました。では、シングルマザーはどのくらいの貯金額があれば安心なのか本章で考えてみましょう。

子どもの教育資金は、高校生や大学生など、どの段階からお金を貯めていくのかによって必要な貯金額は異なります。すでに上で紹介しましたが、高校と大学にかかる教育資金は少なく見積もっても380万円です。そこに自身の老後資金1,000万円も貯めることを考えると、約1,400万円は最低でも貯金額として必要なことになります。

では、1,400万円をどのように貯めていくのか、いくつかパターンを見てみましょう。以下の2パターンでは、子どもが高校入学までに老後資金も上乗せして貯めることを想定しています。

【現在子どもが3歳の場合】
高校入学まで12年間あるため、毎月約9万7,000円(1,400万円÷144カ月)を貯金

【現在子どもが6歳の場合】
高校入学まで9年間あるため、毎月約13万円(1,400万円÷108カ月)を貯金

このように、自身が働き盛りとなる若い時期に集中して老後資金も貯めようとすると、毎月の貯金額はかなり高額になることが分かります。そこで現実的になるのが、子どもが大学に入学するまでは教育資金だけを貯金し、その後に自身の老後資金を貯金するケースです。

【現在子どもが5歳の場合】
・教育資金:大学入学まで13年間あるため、毎月約2万6,000円(400万円÷156カ月)を教育資金として貯金
・老後資金:現在35歳(子どもの大学入学時に48歳)のシングルマザーが65歳まで働くと仮定すると、老後資金の貯金期間は17年間あるため、毎月約4万9,000円(1,000万円÷204カ月)を貯金

このように、教育資金と老後資金の時期を分けて貯金すると、毎月の貯金額を少なくすることができます。しかし、この場合は65歳まで貯金し続けることを想定しているので、予想外の出費や、健康状態などにより働けない期間がある可能性も考えると、できるだけ早めに貯金額を増やしておくのが理想です。

毎月の生活費でいっぱいな状況でこれらの金額を貯金するのは難しいといえるため、前章で紹介した貸付金制度を利用したり、子どもの成長に合わせて転職し収入アップをめざしたりして、少しでも効率よく貯金できる方法を考えましょう。

シングルマザーの節約・貯金方法

ここからは、シングルマザーが取り組みやすい節約方法と貯金方法を紹介していきます。

国・自治体からの手当や助成金は貯金する

国や自治体には、シングルマザーなどひとり親世帯が利用できる手当金や助成金があります。それらを生活費の一部として使うのではなく、子どもの教育資金などに貯めておくのもおすすめです。たとえば、「児童扶養手当」や「児童手当」を受給してそのまま貯金したとすると、以下の額になります。

【児童扶養手当】
子どもが1人いて所得要件から「全部支給」に該当する場合、月額4万3,160円が支給されるので、1年で約51万8,000円を貯めることができます。

【児童手当】
3歳未満は1万5,000円、3歳以上中学校修了前までは1万円で、生まれた順番によっても受給額は異なりますが、生まれたときから貯金し続けると総額約200万円を貯めることができます。

このように、受給したお金を「なかったもの」として手を付けずに貯金することで、高校や大学の入学に必要なお金の一部に充てることができます。

財形貯蓄や定期貯金を利用する

財形貯蓄とは、国と会社が共同で従業員の資産形成をサポートしている制度で、勤務先が制度を導入している場合に利用できます。財形貯蓄には、利用目的が自由の「一般財形貯蓄」、住宅購入などのための「財形住宅貯蓄」、老後資金準備のための「財形年金貯蓄」の3つがあります。これらはお給料から自動的に引き落とされるので手間なく貯蓄することができ、利子が非課税になるといったメリットがあります。

勤務先に財形貯蓄制度がない場合は、定期貯金や積立定期貯金などを利用すると良いでしょう。積立定期貯金は、毎月決まった金額を自動的に積み立てることができる商品で、ある程度貯まったら定期貯金としてまとまった金額で預け入れることも可能です。

固定費を見直す

貯金を増やすには上で紹介したような方法がおすすめですが、それと同じくらい固定費を見直し節約を心がけることも大切です。もっとも簡単に始めやすいのは、水道光熱費の節約や見直しです。日々の生活の中でまずは節電や節水を心がけ、そのうえで電力会社やガス会社の変更や契約プランの見直しをしましょう。

また、通信費についても、携帯電話の料金プランやインターネットの回線使用料を見直してみましょう。そのほか、生命保険や家賃の見直しなどもあります。ただし、一度に全部取り掛かると負担が大きくなってしまうため、負担にならないところから始めてみましょう。

シングルマザーは目標額を決めて計画的に貯金していこう

シングルマザー世帯は収入が低い傾向にあり、十分な金額を貯金に回せないケースが多いです。とはいえ、子どもの成長は待ったなしで、教育資金や自身の老後資金は計画的に準備していく必要があります。日々の生活を見直したり、公的な給付金などを活用したりして、少しでも効率的に貯金できるよう心がけましょう。