シングルマザーとして生活していくためには、毎月いくらあれば安心なのでしょうか。金銭面での不安を解消するために、まずは女手ひとつで子どもを育てていくために必要な金額と、公的支援など受け取れる金額について知っておきましょう。家計管理のポイントもあわせて解説します。

たった4年で80%が養育費を受け取れなくなります。

しっかり決めても受取れていない現状があります。

養育費を確実に受取る方法に養育費保証があります。

 

シングルマザー生活に「かかるお金」

(画像=chinnarach/stock.adobe.com)

総務省が行っている家計調査によると、母子家庭の平均支出額は次のとおりです。

▽シングルマザーの生活費における費目と平均支出額

費目 支出額
食費(外食費含む) 約5万4,000円
住居 約2万9,000円
水道光熱費 約1万7,000円
家具・家事用品 約7,000円
衣服類 約9,000円
健康・医療費 約5,000円
交通費・自動車代 約1万円
通信費 約1万3,000円
教育費 約3万円
教養娯楽費 約1万8,000円
その他(理美容・小遣い・交際費など) 約2万2,000円
合計 約21万4,000円

総務省「家計調査」(2020年5月/世帯類型別/母親と20歳未満の子どものみの世帯)より作成

シングルマザーの生活費は、子どもの数や年齢、住んでいる地域、収入などによっても大きく変わります。子どもが1人の場合、少なくとも月15万円程度は確保しておきたいところです。自分と子どもの場合はいくら必要になりそうかシミュレーションしてみましょう。

 

シングルマザー生活で「もらえるお金」

「支出」だけでなく「収入」も知っておきましょう。

シングルマザーの平均収入

厚生労働省が行った調査によると、母子世帯の母(シングルマザー)の平均収入は「243万円」でした(2015年)。同居の家族全員の収入を足した平均金額は「348万円」となっています。

ちなみに貯金額は「50万円未満」が約4割と最も多い回答でした。母子家庭は、両親がそろっている家庭や、父子家庭と比べても収入が少ないことが多く、金銭的に困難な状況になりやすい傾向があります。

その困難を克服するためには、必死に働いて収入を上げることもひとつですが、次のようなお金を受け取れるチャンスがあることも覚えておきましょう。

養育費

養育費とは、子どもが成長するのに必要な費用のことです。通常は子どもを引き取らなかった親から、引き取って育てていく側に対して支払う義務があるものとされています。

ただ、養育費についての取り決めをしないまま離婚してしまったという方も多く、本来受け取れるはずにもかかわらず「今まで一度も受け取ったことがない」という方が半数以上にのぼります(厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査結果報告」平成28年度)。

一方、母子家庭で養育費を「受け取ったことがある」「現在も継続して受け取っている」と答えた人の平均受取額は、月額4万3,707円です。

この金額は子どもの数や年齢、お互いの収入や話し合いの結果などによっても変わりますが、あるのとないのとでは大違いです。子どものために確実に請求するようにしましょう。

児童扶養手当などの公的制度

児童手当など子どもがいれば全員が対象になる公的制度もありますが、シングルマザーの場合、より手厚い支援が受けられるようになっています。

たとえば児童扶養手当は、シングルマザーで子どもが1人の場合、1万円〜4万円ほど(収入による)が支給されます。

そのほか、住居費、医療費、養育費保証に対する助成など、自治体独自の支援策を用意していることも多いので、市町村役場の窓口やホームページで確認してみましょう。

シングルマザーの家計管理のポイントは「教育費」と「固定費」

支出と収入、公的な助成制度について確認したら、あらためてシングルマザーの家計管理について、考えてみましょう。直近の生活だけでなく、将来にわたるライフプランを立て、管理をしていくことが大切です。とくに中長期にわたり考えておきたい子どもの教育費について、そして生活費の節約効果が大きい固定費の削減方法について、解説します。

子どもの教育費を計画的に貯める

シングルマザーとして生活していくときに、気にかかるのはやはり子どものことでしょう。教育費は進路にもよりますが、幼稚園から大学卒業まで1,000万円かかると言われています。子どもがお金を理由に進学をあきらめるようなことがないよう、計画的に貯金しておきたいところです。

毎月の貯金額を決めておいて、収入が入ったらすぐに「子どものための貯金専用口座」に移すのがおすすめです。給与口座がある銀行で、毎月自動的に一定額を移動するように設定しておくとさらによいでしょう。これはいわゆる「先取り貯蓄」という貯金の王道的な方法です。

また、いざとなったら塾は安くて質の高いオンラインで、進学は教育ローンや奨学金を利用する、など教育費の負担を抑える手立てはいくつもあります。できる範囲でしっかり備え、またさまざまな工夫を楽しみながら、充実した教育環境を整えましょう。

固定費を抑える

「子どものために貯金をがんばろう!」と思って、毎日の買い物やレシピを工夫して節約している方も多いと思います。日々の細かい努力も大切ですが、家計のために目を向けたいのが「固定費」です。

固定費とは、毎月一定の金額を継続して支払う費目のことで、住居費、スマホ代、保険料、水道光熱費の基本料金などがあてはまります。

これらは、多忙な日々の中ではそのままにされがちですが、一度しっかりと見直しておくことで、普段の生活はほぼ同じでもグッと出費を抑えられることがあります。

しかも、一度出費を抑えられれば、そのあとは何もしなくても節約効果が何ヶ月も何年も継続します。家計を改善したいと思ったら、まずは固定費の見直しからはじめましょう。特に「住居費」と「保険料」がポイントとなります。

住居費は手取りの25%程度に抑えるのが理想です。実家に戻るという方もいますし、シングルマザーなら公営住宅に安く住めることも多いので探してみましょう。

保険料は、単に削ればいいというものではないので要注意です。ひとり親の場合、もし自分に何かあっても子どもが困窮することがないよう、死亡保険は夫婦でいるときよりも多めにかけておくべきでしょう。必要な保険には加入しつつ、保険料の安い掛け捨て型を利用するなど工夫して備えましょう。

お金の知識をつけて、シングルマザー生活を乗り切ろう

母子家庭になることにお金の面で不安を感じる方も多いですが、対処法はたくさんあります。自分や子どもを取り巻くお金の状況をまずは正確に把握して、多くの情報を集めて、積極的に利用し、実践していきましょう。