子どもが3人いる場合、どのくらいの養育費を受け取れるのでしょうか?今回は、養育費が決まる仕組みや、子どもが2人、1人の場合と比較した養育費の金額を、事例を用いて解説します。また、養育費が減額されるケースについても紹介するので、養育費について調べている方はぜひ参考にしてみてください。

養育費とは?計算方法を簡単に解説

養育費とは、離婚後に親権者になった方が、親権者にならなかった相手に対して請求できる子どもを育てるためのお金です。

養育費は、離婚時に話し合いの場を設け、金額や期間を決めることが一般的です。養育費は、裁判所が公表する養育費算定表をもとに決めます。

養育費算定表では、子どもの人数や年齢、養育費を受け取る側・支払う側の年収などによって、細かく金額が設定されています。

子どもが3人、2人、1人の時の養育費を事例で紹介

続いて、養育費算定表をもとに、子どもが3人、2人、1人の場合について、養育費の事例を紹介していきます。

養育費は、相手の年収が高く、自分の年収が低いほど金額は高くなります。また、年齢が15歳以上になると、進学費用などが発生することから、養育費も高額になるよう設定されています。さらに、子どもの人数が多いほど、受け取れる養育費は高くなる傾向があります。

以下は、子どもが3人のとき、養育費の支払う側、受け取る側の年収ケース別養育費の試算となります。裁判所のWEBサイトで公開されている「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」から養育費の目安を抽出していますので、参考にしてください。

子どもが3人の時の養育費

<ケース1>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:9、13、16歳
毎月の養育費の金額:8~10万円

<ケース2>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:1、3、6歳
毎月の養育費の金額:6~8万円

<ケース3>
養育費を支払う側の年収:800万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:9、13、16歳
毎月の養育費の金額:12~14万円

子どもが2人の時の養育費

<ケース1>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:13、16歳
毎月の養育費の金額:6~8万円

<ケース2>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:3、6歳
毎月の養育費の金額:6~8万円

<ケース3>
養育費を支払う側の年収:800万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:13、16歳
毎月の養育費の金額:12~14万円

子どもが1人の時の養育費

<ケース1>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:16歳
毎月の養育費の金額:4~6万円

<ケース2>
養育費を支払う側の年収:500万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:6歳
毎月の養育費の金額:4~6万円

<ケース3>
養育費を支払う側の年収:800万円
養育費を受け取る側の年収:225万円
子どもの年齢:16歳
毎月の養育費の金額:8~10万円

【参考】裁判所 – 平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について

養育費が減額されるのはどんな時?

養育費をいつまで支払うかは、養育費について話し合った際の取り決め内容によって違ってきます。一般的には、「20歳まで」と定めているケースが多いです。高校を卒業する「18歳まで」、大学を卒業する「22歳まで」としているケースもあります。

しかし、状況が変わると、養育費が減額されてしまう可能性もあります。続いては、養育費が受け取れなくなったり減額されたりする2つのケースについて解説します。

子どもが就職した場合

1つめは、子どもが高校を卒業してすぐに就職し、自分で生計を立て始めた場合です。養育費は、子どもを育てる費用を負担するという名目です。

そのため、たとえ「20歳まで」と決めていても、子どもが就職すると養育費は受け取れません。こういったケースでは、あらためて話し合いの場を設け、18歳までとすることが一般的です。

再婚して養子縁組をした場合

再婚したとしても、再婚相手と子どもとの間に親子関係はありません。そのため、再婚しただけなら、養育費を受け取ることが可能です。ただし、金額は再婚相手の年収等によって、減額される可能性はあります。

再婚後に養子縁組をした場合、再婚相手が扶養義務者となります。そのため、再婚相手に子どもを扶養できるだけの十分な収入がある場合、離婚相手からは養育費を受け取れなくなります。ただし、再婚相手の収入が少ない場合などは、継続して養育費を受け取れるケースもあります。

子どもの将来のためにも養育費を受け取ることが大切

離婚する時、精神的に消耗していて、養育費について取り決める気力が残っていないという方も多いでしょう。しかし、養育費を受け取ることは、子どもの将来の選択肢を広げることになります。きちんと養育費について離婚相手と話し合い、公正証書などの公的な書類で内容を明示しておくことが大切です。

また、養育費の取り決めをしないまま離婚してしまったとしても、あとからでも養育費についての話し合いを依頼することは可能です。取り決めをしなかったからといって、相手の扶養義務がなくなるわけではありません。気づいた時点で、きちんと養育費を請求しましょう。