離婚することになったら、どのくらいの養育費を受け取れるのか気になるのではないでしょうか。本記事では、養育費が決まる仕組みや、養育費を支払う側の年収が500万円で、子どもの人数ごとの養育費相場について詳しく紹介します。
目次
養育費が決まる仕組みについて
養育費とは、離婚後に親権者になったほうの親が、親権者にならなかったほうの親に対して請求できる、子どもを育てるためのお金です。
養育費の金額や期間は、離婚時に夫婦間で話し合いの場を設けて決めることが一般的です。とはいえ、養育費はどうしても受け取る側と支払う側の希望がぶつかりやすく、お互いが納得できる金額をスムーズに導き出せるとはかぎりません。そこで便利なのが、裁判所が公表する養育費算定表です。養育費算定表は、子どもの人数や年齢、養育費を受け取る側・支払う側の年収などによって養育費相場が分かるようになっています。
▶養育費の決め方について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
養育費の決め方|協議離婚をスムーズに終わらせるポイント
年収500万円の養育費相場|子どもの人数別に紹介
本記事では養育費を支払う側の年収が500万円というケースに絞り、養育費算定表をもとに、子どもが3人、2人、1人の場合に養育費相場はどのくらいなのか紹介します。
相手の年収が高く自分の年収が低いほど、養育費の金額は高くなります。また、子どもの年齢が15歳以上になると、進学費用などが発生することから養育費も高額になります。そのうえ、子どもの人数が多いほど、受け取れる養育費は高くなる傾向があります。
それでは、まずは養育費を支払う側(「義務者」といいます)の年収が500万円で、子どもが3人という場合の養育費相場をみていきましょう。養育費を受け取る側(「権利者」といいます)の年収別にいくつか紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
子ども3人の養育費相場
ここではケース例として6つ紹介していますが、義務者が給与所得者なのか自営業者なのか、子ども3人の年齢はどのくらいなのか、権利者の給与所得者/自営業者によっても相場は変わります。詳しく調べたい人は、ぜひ養育費算定表を確認してみてください。
【給与所得者のケース(ケース1~3)】
<ケース1>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~50万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:10~12万円
<ケース2>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:75~200万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:8~10万円
<ケース3>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:225~425万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:6~8万円
【自営業者のケース(ケース4~6)】
<ケース4>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~25万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:14~16万円
<ケース5>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:50~150万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:12~14万円
<ケース6>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:350~575万円
子どもの年齢:0~14歳までの3人
毎月の養育費の金額:8~10万円
子ども2人の養育費相場
上で紹介したケース1〜6と権利者の年収をできるだけ近くし、子どもの人数を変えていきます。
【給与所得者のケース(ケース1~3)】
<ケース1>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~75万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:8~10万円
<ケース2>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:100~300万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:6~8万円
<ケース3>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:325~万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:4~6万円
【自営業者のケース(ケース4~6)】
<ケース4>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~25万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:12~14万円
<ケース5>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:50~175万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:10~12万円
<ケース6>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:200~375万円
子どもの年齢:0~14歳までの2人
毎月の養育費の金額:8~10万円
子どもが1人の時の養育費
子どもが1人の場合についても、年収条件をできるだけ近くして、子どもの人数を変えていきます。
【給与所得者のケース(ケース1~3)】
<ケース1>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~25万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:6~8万円
<ケース2>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:50~325万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:4~6万円
<ケース3>
義務者(給与所得者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:350~万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:2~4万円
【自営業者のケース(ケース4~6)】
<ケース4>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:~50万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:8~10万円
<ケース5>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:75~300万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:6~8万円
<ケース6>
義務者(自営業者)の年収:500万円
権利者(給与所得者)の年収:325~万円
子どもの年齢:0~14歳までの1人
毎月の養育費の金額:4~6万円
参考:裁判所 – 平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
養育費が減額されるのはどんな時?
養育費をいつまで支払うかは、養育費について話し合った際の取り決め内容によって違ってきます。一般的には、「20歳まで」と定めているケースが多いです。高校を卒業する「18歳まで」、大学を卒業する「22歳まで」としているケースもあります。
しかし、状況が変わると、養育費が減額されてしまう可能性もあります。続いては、養育費が受け取れなくなったり減額されたりする2つのケースについて解説します。
子どもが就職した場合
1つめは、子どもが高校を卒業してすぐに就職し、自分で生計を立て始めた場合です。養育費は、子どもを育てる費用を負担するという名目です。
そのため、たとえ「20歳まで」と決めていても、子どもが就職すると養育費は受け取れません。こういったケースでは、あらためて話し合いの場を設け、18歳までとすることが一般的です。
再婚して養子縁組をした場合
再婚したとしても、再婚相手と子どもとの間に親子関係はありません。そのため、再婚しただけなら、養育費を受け取ることが可能です。ただし、金額は再婚相手の年収等によって、減額される可能性はあります。
再婚後に養子縁組をした場合、再婚相手が扶養義務者となります。そのため、再婚相手に子どもを扶養できるだけの十分な収入がある場合、離婚相手からは養育費を受け取れなくなります。ただし、再婚相手の収入が少ない場合などは、継続して養育費を受け取れるケースもあります。
年収500万円でも権利者年収によって養育費相場は変わる
離婚は精神的に消耗することですから、養育費について取り決める気力が残っていないという人はいるでしょう。しかし、養育費を受け取ることは、子どもの将来の選択肢を広げることになります。きちんと養育費について相手と話し合い、公正証書などの公的な書類で内容を明示しておくことが大切です。
本記事では、養育費を支払う側の年収が500万円という場合の6ケースを紹介しました。受け取る側の年収や、子どもの人数などによっても養育費相場は変わりますので、どのくらい受け取れるのか知りたい人は養育費算定表で調べてみてください。なお、養育費の取り決めをしなかったからといって、相手の扶養義務がなくなるわけではありません。もしも取り決めしないで離婚したという場合も、気づいた時点できちんと養育費を請求しましょう。