【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介

新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

ケース:父子家庭×母子家庭の小林さん一家の場合

小林美千代さん
[家族歴] 5年
[家族構成] 夫 (28歳)、夫実子 (6歳♂、8歳♂)、妻 (32歳)、妻実子 (10歳♂)
[現在の家族の問題点]
・継子ふたりがリビング(ソファ)を占領し、自分がゆっくりする場所や時間がじゃまされストレスになっている。
・声をかけないと継子が水泳道具や学校のプリントを出さず、忘れると私のせいにされる。

障害をもつ子の親どうし助けあえると同居

「夫はいまでも何かあるとすぐに離婚すると口にしますけど、私はこの5年間で強くなってたいへんさを感じなくなっていて、多少のことは見過ごすことができるようになりました」という小林美千代さん。美千代さんとは、私のカウンセリングのクライアントとして5年前に出会いました。当時は離婚をしたいという相談で、夫と別居もして仕事や新しい住まいを探していたので、てっきり離婚されるものだと思っていました。

美千代さんのお子さんには聴覚に障害があり、週に1回、特別支援学校の附属幼稚園に通っていました。そのときに出会ったのが現在の夫と夫の長男です。夫の長男にも軽い聴覚障害があって、同じ学校に通っていたそうです。

「連絡網が、私のつぎが彼だったんです。おたがいにひとり親家庭だから助けあおうねって話をしていました。参観日があって、そのときのうちの子の洋服のお下がりを彼にあげたのがきっかけで仲よくなり、それから頻繁にメールを交換して、最初のデートは水族館に子連れで行きました」と美千代さんは彼との出会いを語ります。

初デートでベビーカーに下の子(7か月)を乗せて、ミルクや紙おむつの入った大きなバッグを下げて現れた彼を見て、たいへんだなと同情したといいます。不慣れな彼の子育てにいろいろとアドバイスをしながら、私なら彼を助けてあげれられるという自信があったとのこと。1回目のデートで美千代さんは「再婚したら、こんなふうにパパとママがいる一般家庭になるのかな」と想像したそうです。

子どもたちの特別支援の幼稚園は、従来は親も手話や聴覚障害時の育て方を学ぶために付き添いの必要があります。でもひとり親家庭だと、子どもを預けて仕事に行かなくてはならず、いつも寂しい思いをしていたといいます。おたがい同じ思いをもっていたので、それを解決するためにもいっしょに暮らそうかという話になりました。

実母との交渉のなかで入籍&養子縁組

このころは事実婚を望んでいた美千代さんは、入籍をしないで彼との同居生活をスタートしました。それから入籍を決意するまでの半年間、いっしょに暮らしてみてはじめて気がつくさまざまな生活習慣の違いや子どものしつけの違いが、美千代さんのストレスを募らせました。

実子とひとつしか年齢の違わない継子兄は、実子にくらべてできないことが多く、いままで夫はまともに子育てしてきていないと感じたそうです。

「4歳になってもきちんと食事ができないんですよ。とにかく汚くて、ミートスパゲッティを食べると、髪の毛までミートソースだらけになるといった感じ。少食だと聞いていたけどそうじゃなくて、食べ方がわからない。教わってないから食べられないという感じでした。面倒くさいからお菓子ばかり与えられて、まるでしつけのされていない野生動物でした」と美千代さんは笑いながら言いました。

しつけができていないのは夫の責任もあるけれど、育児放棄していた実母にも責任はあると思っていた美千代さん。当時、そんな実子と継子たちは定期的に面会交流をしていました。

継子ふたりが面会にいくときに、美千代さんの実子もいっしょに行きたいと言い出したり、面会の約束を急にキャンセルされたり、約束した養育費の未払いが続いたり、新しい家族にとってストレスになることばかりでした。

美千代さんは、夫にかわって元嫁と今後のとり決めをしました。そのときに美千代さんは入籍をしたほうがいいと思ったといいます。「実母というだけで権利を主張する彼女に対して、事実婚だと立ち位置が不安定で不利だなと感じました。継子を苦労して育てているのは私なのに、親の権限や決定権がないのはあんまりだと思ったので、入籍&養子縁組をしました」とのこと。

そして、その後の交渉で実母に面会交流の権利を放棄させました。気まぐれで会いたがったり、ドタキャンしたり、養育費を払わなかったり、子どものためにならない面会交流だったからそれでよかったと彼女は言います。

子育て観の違いから喧嘩が絶えず、離婚を考える

いちばんストレスだった実母問題はそうして解決しましたが、継子の子育てのストレスは続きます。どんなことがたいへんだったの?という私の質問に、美千代さんは日記を読みかえしながら「いろいろありすぎて、日記を見ないと思い出せないんですけど……」と言って、教えてくれました。

同居してすぐに継子の試し行動がいろいろはじまりました。トイレの壁にウンチを塗ったり、「お母さん!お母さん!」と大声で騒ぐので抱きしめようとしたら、髪の毛を思いっきりひっぱってたたいてきたり。お友達と喧嘩するといつ乱暴で、すぐに手を出して相手の子にケガをさせてしまったり、感情のコントロールができない継子のようすに、当時は発達障害なのではないかと疑っていたそうです。

愛情障害による試し行動だとわかっていても、相談窓口では継母であるということを言えなかったので、わかってもらえずに解決にならなかったといいます。このままではダメだと思い、勇気を出してカミングアウトして相談機関で発達障害の検査をしてもらったけれど、発達障害ではなかったとのこと。

「継子を厳しく怒っていたら、夫に虐待だと言われて、頭にきて夫と5日間、口をきかないこともありました。夫婦喧嘩をして家出をして車のなかで1日寝たこともありました」と美千代さんは言います。

そして夫も美千代さんの実子に苦手感をかかえていました。わが子と同じように息子だと思おうとすると、つい厳しくなってしまいます。それまでの生活習慣の違いを無理に子どもに押しつけようとします。

たとえば、夫家族はお風呂に入ったら、1枚のバスタオルをみんなで使いまわす習慣でした。美千代さんと実子は乾いたタオルを使いたいので、ひとり1枚のバスタオルを使ってきました。夫は美千代さんの実子が新しいバスタオルを使おうとすると、もったいないと言って怒ります。

また、実子はお風呂のまえにはずした名札を洗面所に置いたままにして、翌朝、その名札をつけて学校に行くのが習慣でした。しかし夫はそれを見て、だらしがないから部屋に片付けろと言って怒ります。

「子どもがお父さんとさよならしたいと言ったり、お母さんとふたりだけの生活がいいと言ったり、私もつらかったですね。それで1度は離婚を考えました」と美千代さんはそのため4か月の別居をしています。

ステップファミリーならではの問題点に気づけるか

「うちの夫はただたんに幸せな家庭にあこがれて、何も考えずに再婚したんだと思いますよ。いまでも私の子に対する苦手意識はもっています。というか苦手意識は高まっているように見えますね」と美千代さん。

美千代さんの許可を得て、夫の晃さんにもインタビューさせてもらいました。

「この5年間、子どものことで夫婦喧嘩ばかりでたいへんでした。再婚するまえは、家族になるんだからと、気をつかったりつかわれたりしなくてもいいと思っていました。でも、ステップファミリーだからその気づかいをしなきゃいけないことに気がつきました。妻が言うように、いまでも継子に対する苦手意識はあります。克服の仕方はわかりませんが、がんばりすぎるのをやめたのと、妻がそばにいないときに継子に少しずつでも話しかけるように心がけています」とのこと。

たくさん喧嘩して乗り越えてきたので、再婚するまえと再婚したあとのステップファミリーに対する認識の違いに気づいたり、がんばりすぎてストレスをかかえないようにと自分の気持ちの切り替えができるようになったりなど、5年間の波乱万丈なステップファミリー生活のなかから生まれた成果だなと感じます。

おたがいがひとり親家庭なら、過去に経験した離婚の苦労を教訓にできると思いがちですが、ほんとうに気がつかなくてはならないことは、子連れ再婚ならではの問題点とその克服方法なのです。

日本の子連れ再婚家庭

著者:新川てるえ

作家、家庭問題カウンセラー、NPO法人M-STEP理事長。1964年生まれ。離婚・再婚経験を生かし97年にシングルマザーのための情報サイト「母子家庭共和国」を立ち上げる。家庭問題カウンセラーとして雑誌やテレビなどで活躍。著書に『シングルマザー生活便利帳』(太郎次郎社エディタス)、『子連れ離婚を考えたときに読む本』(日本実業出版)など。

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『日本の子連れ再婚家庭』
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