離婚を考えている専業主婦には、離婚後の生活費や子どものこと、住居のこと、仕事のことなどさまざまな悩みがつきまといますが、不安を解消するには計画的に準備をすすめていくことが大切です。この記事では、専業主婦が離婚を決めたら準備しておきたいことや知っておきたいことを詳しく解説していきます。
監修:弁護士 白谷 英恵
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目次
離婚する時に専業主婦が不安に感じること
専業主婦が離婚を考えるとき、不安に感じることや心配になることはいくつかあります。
小さい子どもがいる人の場合は、子どもを育てながら仕事をしていけるのか、そもそも条件に合った仕事を見つけられるのか、保育園に入れることはできるのかといった不安があるでしょう。また、ずっと専業主婦として生活してきて熟年離婚をするという人の場合、これからできる仕事があるかどうかや年金のことなど心配ごとは尽きません。
その人の置かれている状況によって不安や心配に感じることの内容は異なりますが、これから離婚を考えている専業主婦の悩みは大きく次の4つに分かれると考えられます。
・お金のこと
・子どものこと
・住居のこと
・仕事のこと
この4つは離婚後の生活に大きな影響を与えることですので、離婚を考え始めたら優先的に検討するべきといえます。では、それぞれの内容について次章から詳しく確認していきましょう。
専業主婦の離婚時の不安①:お金
専業主婦が離婚を考えるとき、まず不安になるのがお金のことでしょう。専業主婦は家のことを守ってきた人ではあるものの、家事・育児などに対して報酬が発生していたわけではないため、これから社会へ出てひとりで生活費を稼ぐ必要があることに対して不安になってしまうかもしれません。
離婚するときに必要なお金には「離婚時に必要なお金」と「離婚後に必要なお金」があります。離婚時に必要なお金は離婚前に準備しておく必要があります。また、離婚後は自分で働いて収入を得ていくことになりますが、生活に必要なお金は働いてお給料をもらうほかにも、離婚時に配偶者からもらえる財産分与などのお金や、公的な助成金・サポートで給付を受けられることがあります。
では、離婚のどのタイミングでどのような費用が必要になるのか、また配偶者からもらえる可能性があるお金にはどのようなものがあるのか、そして離婚後に活用できる公的助成金の種類や内容には何があるのか、詳しく確認していきましょう。
離婚時に必要なお金
離婚については、まず夫婦で話し合いをすることから始めますが、話し合いだけでは離婚の合意に至らないケースがあり、その場合は「離婚調停」を申立てる必要が出てきます。離婚調停をする際には調停の申立て費用がかかり、調停でも離婚の合意が得られなければ「離婚訴訟」へと発展せざるを得ず、さらに裁判費用が発生します。
通常、調停や訴訟になると弁護士へ依頼する人は多いですが、依頼する場合は弁護士への報酬を支払わなければなりません。弁護士への報酬は依頼期間が長引くほど高額になることが一般的です。
また、離婚の合意が得られる前に別居するケースがありますが、その場合は別居期間中の生活費や住居費などを準備しておく必要があります。実家に戻れる人は家賃などの出費がかからずに済むかもしれませんが、アパートなどの賃貸物件を探す場合は敷金や礼金などの費用が必要です。ほかにも、必要最低限の家電や家具をそろえたり、当面の生活費を確保しておいたりする必要があるでしょう。
このように、離婚時に必要なお金には、調停・訴訟費用、弁護士への報酬、新生活への準備費用といったものがあります。
こうしてみると、離婚前にはかなり多くのお金が必要になることがお分かりになるでしょう。しかし、別居後、離婚前であれば、夫婦の一方から他方に対して、婚姻費用の請求が可能な場合があります。
(婚姻費用の分担)
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
出典:e-Gov法令検索
婚姻費用とは、夫婦生活を営むにあたりかかる費用(要は生活費)のことをいいます。具体的にどの程度もらえるかについては、裁判所ホームページで閲覧できる「婚姻費用算定表」が参考になります。夫と妻の収入等をもとに一定の幅をもって金額が定められています。この婚姻費用の支払いを受けることで、離婚成立までの間の別居生活を支える収入源となります。
しかし、この婚姻費用を支払うように請求しても支払いを受けられない場合には、やはり調停などの手続を踏むことになります。
離婚後に必要なお金
離婚後の生活に関わる費用は、働いてご自身で収入を得なくてはなりません。配偶者から子どものための養育費を受け取ることができる場合でも、養育費はあくまでも子どもの教育費や生活費などに利用するものですので、ご自身の生活費はご自身で稼ぐ必要があります。
毎月の生活費としては、食費や住居費、水道光熱費、医療費などさまざまなものがあるため、具体的にいくら必要なのかを計算してみることが大切です。おおよその1カ月の生活費が計算できたら、元配偶者から受け取ることができる養育費や慰謝料などを差し引いて、いくら位の収入を得る必要があるのかを計算してみましょう。
なお、離婚時に元配偶者からもらえる可能性があるお金については、次章で詳しく紹介していきます。
専業主婦が離婚時に相手からもらえる可能性があるお金
離婚時に専業主婦が元配偶者からもらえる可能性があるお金には、財産分与・養育費・慰謝料・年金分割などがあります。相手の経済状況によっては受け取れないこともありますが、今後のご自身や子どもの生活のためにも、きちんと受け取れるように内容を確認しておきましょう。
財産分与
財産分与とは、結婚生活において夫婦で協力して築き上げてきた財産を離婚時に分割することをいい、民法でも認められている正当な権利です。
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
引用:e-Gov法令検索
専業主婦の場合、婚姻期間中は基本的にまったく収入を得ていないこともありますが、こういう場合だと、配偶者から「財産の取り分は自分(夫)のほうを多くするべきだ」と主張される可能性があります。また、ご自身も「自分が築いた財産はない」などと思ってしまいがちですが、実は法的には専業主婦であっても財産分与は原則として半分ずつにする、というのが通例とされています。
というのも、夫が外で働くことができていたのは妻がしっかりと家のことを守ってきたからであり、いわゆる「内助の功」があったためと考えられるからです。
財産分与として認められているものには、現金・生命保険や株式等の金融資産・不動産・車・退職金などがあります。ただし、財産分与の対象となるものはあくまでも婚姻中に築いた財産であり、結婚前にそれぞれが築いた財産や、相続によって取得した財産については対象にはなりませんのでご注意ください。
参考までに、ほかの人は財産分与をどのくらい受け取っているのか、司法統計の結果を紹介します。
財産分与・慰謝料の金額 | 割合 |
---|---|
100万円以下 | 23.0% |
200万円以下 | 11.3% |
400万円以下 | 13.3% |
600万円以下 | 8.1% |
1,000万円以下 | 9.7% |
2,000万円以下 | 8.0% |
2,000万円超 | 3.8% |
算定不能 | 22.8% |
参考:司法統計 – 家事令和2年度 第28表「離婚」の調停成立又は調停に代わる審判事件のうち財産分与の取決め有りの件数 支払額別支払者及び支払内容別 全家庭裁判所
この調査結果には慰謝料も含まれていますが、財産分与と合わせて100万円以下の人が23.0%ともっとも多いことがわかります。ただし、家庭により財産状況は異なりますので、目安のひとつとして参考にしてください。
養育費
離婚する際に子どもがいる場合、子どもの親権をどちらが持つのかを決める必要があり、親権を持つ親は持たない親に養育費を請求することができます。そのため、専業主婦であっても子どもの親権を持ってこれから育てていく場合は、配偶者に養育費を支払ってもらうことで子どもの教育費・生活費・医療費などに充てることができます。
養育費の金額は夫婦の話し合いで決めることが理想ですが、話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に調停や審判を申立てることになります。その際の養育費の目安とされるものに「養育費算定表」があり、夫婦それぞれの年収や子どもの年齢・人数によって妥当な養育費がひと目でわかるようになっています。養育費算定表は誰でも閲覧することができるので、夫婦での話し合いのときに参考にすると良いでしょう。
ほかの人はどのくらいの養育費を受け取っているのか気になる人のために、厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」を紹介すると、母子家庭が受け取っている養育費の平均額は月額43,707円(平成28年)とされています。
なお、養育費は一般的には毎月決まった日に支払われ、支払期間は子どもが独立するまでとされるケースが多いです。
参考:厚生労働省 – 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果
慰謝料
離婚によって精神的な苦痛を受けた場合には、配偶者に慰謝料を請求することができます。離婚においての慰謝料には次のふたつの種類があります。
・離婚の原因になった行為によって精神的苦痛を受けた場合(不倫やDVなど)
・「離婚が決定した」という事実によって精神的苦痛を受けた場合(「配偶者」としての地位を失うこと)
配偶者が不倫(不貞行為)をしていたり配偶者から暴力を受けていたりした場合など、客観的に見て配偶者に非がある場合は慰謝料の請求が認められます。ほかにも、生活費を入れない、結婚生活を維持するための協力が得られないといった場合に慰謝料の請求ができる可能性もあります。反対に、離婚の原因がご自身にある場合は、配偶者から慰謝料を請求されてしまう可能性があります。
なお、配偶者に不貞行為があった場合、配偶者と不貞行為の相手の双方に対して慰謝料を請求することはできますが、慰謝料債務は配偶者と不貞相手が連帯して負担するという考え方であるため、金額的に二重となる慰謝料を請求することはできません。また、配偶者の不貞行為があったとされる期間よりも前からすでに夫婦関係が破綻していた場合なども慰謝料の請求はできないためご注意ください。
年金分割
年金分割は、夫婦関係が長期間続いた末に熟年離婚をする夫婦で請求が発生することが多い制度で、婚姻期間中に積み重ねた夫婦のうち、いっぽうの厚生年金保険料の納付実績を夫婦で分割することをいいます。年金分割には「合意分割」と「3号分割」のふたつがありますので、それぞれ簡単に解説します。
【合意分割】
夫婦のいっぽう、または両方から請求することにより、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦間で分割する制度です。ただし、請求するには以下の3つの条件を満たしている必要があります。
・婚姻期間中に厚生年金記録があること(厚生年金に加入していたことがある)
・分割割合を夫婦間の合意や裁判で決めてあること
・離婚した日の翌日から2年以内に請求すること
【3号分割】
会社員や公務員などに扶養されていた配偶者(国民年金の第3号被保険者)が請求できる年金分割制度です。専業主婦は第3号被保険者に該当することから、もちろん請求することができます。相手の合意を得る必要がなく、ご自身が単独で請求できるという特徴があります。
婚姻期間中、ご自身が第3号被保険者だった期間の配偶者の厚生年金記録のうち半分を分割して受け取ることができますが、次の3つの条件を満たしている必要があります。
・離婚が2008年(平成20年)5月1日以降である
・2008年4月1日以降に第3号被保険者期間がある(※)
・離婚した日の翌日から2年以内である
(※これより前の第3号被保険者期間について年金分割をしたい場合で、合意分割ができない場合は、年金分割調停(不成立なら審判も)を申し立てることになります。)
合意分割の請求をする際に3号分割の対象になる期間も含まれる場合は、合意分割と3号分割の両方の請求があったとみなされます。
なお、年金分割は、最初に述べたとおり、あくまでも厚生年金保険料の納付実績を夫婦で分割する制度ですから、実際にもらえる年金の金額を分割する制度ではないこと、離婚によりただちに支給されるわけではないことに注意が必要です。
ここまで、離婚時に配偶者からもらえる可能性があるお金について細かく見てきましたが、それだけでは今後の生活費が不十分という可能性があります。そのような場合は、次章で解説する公的な助成金・サポートを活用することをおすすめします。
専業主婦が離婚後に利用できる助成金・サポート
専業主婦が離婚後に利用できる助成金やサポートにはいくつかありますが、その中でも代表的なものについて紹介していきます。ご自身から申請しなければ受けられないものもあるので、どのような制度があるのかについて知っておきましょう。
児童扶養手当
離婚などによってひとり親世帯となったシングルマザーなどを対象として、お子さんの安定した生活や自立を促進するための制度が児童扶養手当です。対象となる子どもは「18歳になって最初の3月31日を迎えるまで」の子で、一般的には高校を卒業するまでとされています。
手当金額は、全額支給の場合、子ども1人で4万3,070円、2人目は1万170円が加算、3人目以降は1人につき6,100円が加算されます(令和5年5月現在)。ただし、所得制限があるため、一定金額以上の収入がある人は受給することができません。詳しくは、お住まいの市区町村窓口で確認してください。
児童育成手当
18歳になって最初の3月31日を迎えるまでの子どもがいるひとり親を対象として、子ども1人につき1万3,500円が受給できる制度です。ただし、こちらも所得制限があるため該当しなければ受給することができません。また、児童育成手当は国により支給される児童扶養手当とは異なり、自治体が支給を行います。主に東京都など限られた自治体でしか行われていないため、お住まいの自治体に制度があるかどうか確認が必要です。
住宅手当
アパートなど賃貸物件に住んでいるひとり親世帯を対象として、所定の条件を満たした場合に家賃補助を受けられる制度です。こちらも制度がない自治体があるほか、制度があっても名称が異なることがあるため、市区町村役所の窓口で確認してください。手当金額は自治体によって異なりますが、月額1万円前後のところが多いです。
生活保護
離婚後に仕事が見つからず収入がなかったり、さまざまな公的助成金などを利用しても生活ができなかったりする場合は、生活保護を申請するという方法があります。生活保護には、生活費のほかにも家賃・医療費・介護費などさまざまな扶助項目があるので、必要に応じて利用できます。
ただし、申請が認められるための審査は甘いものではなく、元配偶者や親などからの援助はいっさい得ることができないなどの条件を満たさなければなりません。また、生活保護を受けている間は貯金が制限される・ケースワーカーによる定期的な家庭訪問があるなどのデメリットもあるので、申請前にはよく検討することをおすすめします。
その他にも、医療費助成制度や公共交通機関の交通費の優遇など、自治体が独自に行っている制度が存在する場合があります。市区町村の役場に問い合わせ、そのような制度があるかを確認すると良いでしょう。
専業主婦の離婚時の不安②:子ども
子どものいる専業主婦が離婚する場合、お金のことと同じくらいに子どものことについても不安になることでしょう。離婚は夫婦にとってストレスのかかる大きな問題ですが、子どもにとっても、親が別れることや環境の変化があることなどは精神的な不安定をもたらす可能性があります。
子どもとのコミュニケーションを密にして心のケアをしながら、離婚に際しての大きな問題である「親権」や「養育費」についてのことも考えておきましょう。
離婚前に決めておきたい子どものこと
離婚する前までに、子どもの親権はどちらが持つのか、養育費はどのくらい支払ってくれるのかを夫婦間でしっかりと決めておくことが大切です。
子どもの親権は夫婦間で揉めることが多いですが、どちらが持つかを決める際にはいくつかのポイントがあります。また、養育費についても、きちんと取り決めておくことはもちろんのこと、確実に受け取れるように公正証書で残しておくなどの対策が必要です。
子どもの親権をとるために必要なポイント
子どもの親権は両親共に譲らないというケースがめずらしくありませんが、一番に考えるべきことは「子どもの利益」です。そのため、以下のような点を総合的に判断して親権者を判断することになります。
・子どもの年齢、性別、生活状況
・子どもの養育状況(夫婦のいずれが子育てを主に担当していたかなど)
・子どもの意志
・子どもへの愛情
・生活力(経済力)
・緊急時に代わりに子どもの世話をしてくれる親などの有無
・学校や住宅環境 など
15歳以上の子どもの親権については子ども本人の意思が尊重され、年齢が大きくなるほど尊重される傾向があります。親権を裁判で争う場合、15歳以上の子どもの場合は必ず子どもの意見を聞かなければなりません。
では、婚姻期間中は専業主婦だった場合でも子どもの親権を取ることはできるのでしょうか。結論からいえば、専業主婦でももちろん親権を取ることはできます。特に、子どもが小さいほど母親が必要であると考えられている傾向にあります。母親自身の経済力ももちろん大事ですが、「母親が健康で、子どもに対する愛情がある」と判断されると、親権を取れる可能性は上がると考えられます。
養育費を確実に得るためのポイント
養育費は、離婚後に子どもをひとりで育てていくうえで大切なお金となるため、離婚する際にはできるだけ受け取れるよう合意したいものです。しかし、現実的には養育費を受け取っているシングルマザーは全体の半数以下に留まっています。厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費の取り決めをしている人は42.9%に留まり、取り決めをしていない人は54.2%と、なんと半数以上となっています。
【離婚前に決めておきたい養育費の項目】
養育費を決める際には、「金額」「支払期間」「支払方法」の3つは必ず離婚前に決めておきましょう。金額については「養育費算定表」を目安にして妥当な金額を夫婦間で決められるとベストです。支払期間は、「子どもが独立するまで」といったあいまいな表現ではなく、できれば「〇〇歳まで」や「大学卒業まで」といったように具体的に決めておくと後のトラブルを防げます。支払方法は、一般的には毎月払いと決めるケースが多く、元配偶者の給料日やその後数日のうちに支払われることが多いです。
参考:厚生労働省 – 平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果
【必ず公正証書を作成しよう】
養育費について合意を得た事柄は、言葉だけで終わりにせず、必ず「公正証書」として残しておくことが重要です。仮に養育費の未払いがあった場合でも、公正証書があれば元配偶者の給料や財産を差し押さえることができます。ただし、「執行認諾文言付き」の公正証書でなければ強制執行を行うことはできませんので、ご注意ください。詳しくは以下の記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
【「養育費保証サービス」の利用もおすすめ】
養育費の支払いの取り決めをしていても、元配偶者が徐々に不払いになるケースが少なくありません。このように養育費の支払いが止まる心配がある人は「養育費保証サービス」を利用することがおすすめです。
養育費保証サービスとは、元配偶者から養育費の不払いがあった場合に、元配偶者に代わって養育費保証会社が本来受け取るはずの養育費を支払ってくれるサービスです。相手への連絡は養育費保証会社が行うので、ご自身が直接催促したり連絡をとったりする必要はありません。月々の保証料を支払うことで、養育費の不払いに関する不安を解消することができます。
養育費保証サービス会社はいくつかありますが、中でもシングルマザーに寄り添ったサポートが充実している「養育費保証プラス」がおすすめです。保証期間は業界最長の最大36カ月間(※債務名義がある場合)、月額保証料は1,000円~となっています。スマートフォンから申し込みができるので、気軽に相談してみると良いでしょう。
専業主婦の離婚時の不安③:住居
専業主婦が離婚する際に心配なこととして、住居についての不安もあります。離婚する前に別居期間を設ける場合は、別居期間中の住居費用についても考えなくてはなりません。また、離婚後に家を出る場合は、新しい物件を探したうえで引っ越し費用や住居費などを準備しておく必要があります。
住居費は生活費の中でも大きな割合を占めることが多く、引っ越し時にはまとまったお金が必要になることがほとんどなので、事前に必要なお金を計画的に準備しておきましょう。
住居の問題は離婚前によく話し合う必要がある
離婚に際して、これまで住んでいた住居をどうするのかについては、いくつかのパターンが考えられます。特に、住宅を購入してから現在にいたるまで住宅ローン返済中である場合には、注意が必要なことがあります。
住宅を売却する、または配偶者が引き続き住む場合
住宅を売却する、あるいは配偶者が引き続き住み続ける場合は、ご自身は新しい物件を探して新居に移る必要があります。その際に必要な引っ越し費用や、不動産管理会社などへ支払う敷金・礼金・前払い家賃などは準備しておかなくてはなりません。また、家を出る際には、住宅ローンの「連帯保証人」などになっていないかどうか確認しておきましょう。
ご自身が引き続き住む場合
離婚による財産分与で家をもらうことができれば、ご自身や子どもは引き続き現在の家に住み続けることができます。ただし、家の名義変更や住宅ローン名義の変更手続きが必要になり、費用がかかる可能性があります。また、財産分与の割合を2分の1ずつにする場合は、2分の1を超える部分について配偶者にお金を支払う必要がある場合もあります。
さらに、ローン名義の変更は収入が低い人への変更が難しいことが多く、場合によっては家を手放さなければならないこともあります。ローン名義の変更については金融機関に相談することをおすすめします。
一時的に実家を頼る方法もある
別居するまで、または離婚するまで住居にかかる費用を準備することができない場合などは、実家に頼ることを考えてみましょう。もちろん実家の都合もあるので必ずしも成功するとは限りませんが、事情を説明すれば一時的に実家で生活することができるかもしれません。
実家に住んでいる間に新しい物件を探したり引っ越し費用を貯めたりして、別居や離婚までの準備期間とするのがおすすめです。子どもにとっても、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に生活できれば精神的に安定しやすい可能性はあります。
専業主婦の離婚時のリスク④:仕事
ここまで、専業主婦が離婚する際に心配なことについて、お金のこと、子どものこと、住居のことを見てきましたが、忘れてはいけないものに「仕事のこと」があります。離婚後はひとりの収入で生活費を稼がなければなりません。実は、スムーズに仕事を始めるには離婚前から準備しておくことがポイントになります。
本章では生活を安定させるためのコツも紹介していきますので、今後の生活のためにもぜひお役立てください。
離婚前に準備しておきたいこと
離婚することを決めたら、離婚の決定を待たずに早めに準備しておきたいことがあります。特に、子どもが小さい場合は保育園や学童保育などを見つけておく必要があります。また、より条件の良い仕事を見つけるためにもパソコンスキルを身に付けておいたり、こまめに求人情報をチェックしたりしておくこともポイントです。
保育園・学童保育を見つけておく
子どもを預ける保育園や学童保育などを見つけておきましょう。お住まいの地域によっては「待機児童問題」が深刻なところもあるため、早め早めに行動することがポイントです。一般的にシングルマザー世帯は保育園への入園が優先されることが多いですが、必ずしも入園できるわけではなく、無職の場合だと入園できないケースもあります。
保育園への入園よりも仕事を見つけることが先という場合には、子どもを一時保育などで預けられるところを探して、就職活動をスタートすることをおすすめします。もちろん、実家などで一時的に預かってもらえないかお願いしてみるのも良いでしょう。
小さい子どもは急に体調が悪くなったり発熱したりするものです。このようなときに急に仕事を休むことは難しいことがあるので、「病児保育」が可能な保育園を探しておくようにしてみてください。
なお、自治体によっては「ファミリーサポート制度」を取り入れているところもあり、保育園や学童などへの送迎やその後の預かりなど、さまざまなサポートを受けることができます。また、急な用事のときには、料金が割高になりますが「ベビーシッター」を依頼する方法などもあります。
最低限のパソコンスキルは身につけておく
就職するにあたり、最低限のパソコンスキルは身につけておいて損はありません。仮に以前パソコンを使って仕事をしていた人でも、数年のブランクがあると感覚を戻すのに時間がかかったり、新しいバージョンについていけなかったりする可能性があります。そのため、ワードやエクセルを中心に、基本的な操作を難なくこなせるように練習しておくことをおすすめします。
これまでパソコンを使った仕事をしてこなかった人などは、ハローワークのパソコン教室を受講したり、派遣会社に登録してスキルの習得を目指したりする方法などがあります。
職場を探し始めておく
離婚の気持ちが固まったら、就職先を探し始めておくと良いでしょう。ひとつのやり方として、以前働いていた職場に声をかけて再就職できるか打診してみるのもおすすめです。勤めていたところであれば何人かは顔見知りの人がいたり、仕事内容はある程度分かったりすることもあり、まったく新しい職場へ飛び込むよりもストレスは少ないといえます。
一方、まったく別のところで働く場合は、ハローワークに登録したり転職エージェントを使ったりする方法があります。ハローワークでは、子育てをしながら働くママを応援する「マザーズコーナー」を設けているところもあり、子連れで就職相談をすることができます。厚生労働省の公式サイトによると、就職率は90%以上に上ることが発表されています。
転職エージェントとは、就職・転職を希望する人と、人材を探している会社の間に入り、マッチングをしてくれるサービスのことをいいます。専門のアドバイザーが一人ひとりの細かい条件に合った会社を探してくれ、履歴書・職務経歴書の書き方や面接の受け方などのサポートも行うことが一般的です。無料で利用できるところがほとんどなので、登録だけでも済ませておくと良いでしょう。
生活基盤を安定させるためのコツ
離婚後の生活基盤を安定させるためには、資格を取得しスキルアップを目指すことで、より収入を増やせたり希望する仕事に就けたりする可能性が高くなります。また、毎月の収入だけではカバーできない出費があるときなどは、シングルマザー世帯が利用できる国の貸付制度を利用すると良いでしょう。
資格取得を目指す
資格を取得する方法としてまず考えられるのが、通信教育を受ける方法です。通信教育はご自身のペースに合わせて勉強をすすめられるうえ、子どもが寝た後など、空いた時間を有効活用できるというメリットがあります。
通信教育というと、教材が大量に送られてきて溜まる一方……という経験がある人はいるかもしれませんが、最近はスマートフォンやパソコンなどに教材をダウンロードして行うタイプのものもあります。わからないところは繰り返し何度も聞けたり、疑問点をメールなどで問い合わせたりすることもできるので、一人でも計画的に勉強することができます。
ただし、通信教育はお金がかかってしまうという難点があります。費用をできるだけかけずに資格を取得したい場合は、「自立支援教育訓練給付金」や「高等職業訓練促進給付金等事業」といった公的支援制度を利用すると、受講費の一部を負担してもらうことができます。
【自立支援教育訓練給付金】
シングルマザーなどの能力開発を支援することを目的として、対象となる教育訓練を受講して修了した場合に、かかった費用の60%(ただし限度額あり。詳細は厚労省のホームページ参照)が支給される制度です。日商簿記や介護職員初任者研修、Microsoft Office Specialistなどさまざまな資格が対象となっています。
【高等職業訓練促進給付金等事業】
看護師や介護福祉士などの資格を取得するために1年以上養成機関で就業する場合、その間にかかる生活費の負担を軽減するために給付金が支払われる制度です。支給額は原則として住民税非課税世帯で月額10万円、課税世帯で7万500円です。
国の貸付制度を利用する
生活費に困ったときや子どもの教育費が準備できないときなどは、国の貸付制度を利用することも検討してみましょう。「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」は、20歳未満の子どもを扶養しているシングルマザーなどが利用できる貸付制度で、生活資金や住宅資金などを借り入れすることができます。ほかにも、子どもの学費が必要なときは修学資金、就職するために必要な洋服や自動車を購入するときは就職支度資金といったように、さまざまな貸付の種類があります。
そして、母子父子寡婦福祉資金貸付金制度の大きなメリットのひとつに、保証人を付けられれば無利子で借り入れができることがあります。仮に保証人を付けられなくても、年率1.0%と非常に低金利で借り入れできるので、もしものときには検討するのも良いでしょう。
スムーズな離婚には「準備と計画」が欠かせない
「離婚したい」と思ったときに衝動的に離婚の話を切り出してしまうと、何も準備できていない状態で離婚へと臨むことになってしまい、ご自身の立場が苦しくなってしまいます。離婚をスムーズにすすめるためには「準備」と「計画」が欠かせません。離婚話を切り出すタイミングや証拠集めの重要性など、離婚を成功させるためのコツを紹介していきます。
お互いに落ち着いているときに話し合う
離婚話となるとつい感情的になりがちですが、お互いに時間があって気持ちにゆとりがあるときに話し合うことが大切なポイントです。できるだけ攻撃的にならないようにし、相手を非難するだけの話し合いにならないよう心がけましょう。離婚の話し合いでは養育費や慰謝料といったお金の話も重要ですので、お互いに感情的になってしまったら、一度そこで話し合いを切り上げて、時間を置いてから再度話し合う必要がある場合もあります。
DVや子どもへの虐待があるなら証拠集めが重要
離婚の原因がDVや子どもへの虐待という場合は、離婚話を切り出す前に証拠集めをしておくことがなにより重要です。必ず話し合いをする「前」にできるだけの証拠集めをしておきましょう。というのも、いったん離婚話をしてしまうと配偶者は自分に不利な証拠を隠蔽しようと考える可能性があるためです。証拠としては、たとえばDVや虐待で受けたケガの写真や医師の診断書などがあります。
離婚後の生活の見通しが立ってから切り出す
離婚をしたいと決めた場合、すぐにでも話を切り出したい気持ちは理解できますが、別居後や離婚後の生活の見通しが立ってから切り出すほうが賢明です。引っ越し先を決めて必要最低限の家財などをそろえ、仕事や保育園・学童などの見通しが立っていれば、離婚の話し合いが揉めてもいつでも家を出ていくことができます。
このように、離婚をスムーズにすすめるためには、冷静な気持ちと準備や計画が必要不可欠といえます。
専業主婦が離婚を決めたら計画的な準備が必要
専業主婦が離婚を考える際には、お金のこと、子どものこと、住居のこと、仕事のことなど大きな不安がいくつもあります。しかし、いずれも離婚話を切り出す前から計画的に準備しておくことで、不安を解消し離婚をスムーズにすすめることができます。できることからひとつずつ準備を始め、離婚後の生活の不安を解消していくようにしてみてください。