離婚に向けてパートナーと協議をしている人の中には、離婚後にどのような手続きをすれば良いのか、あらかじめ知っておきたいという人もいるでしょう。いざというときに慌てないよう、離婚後に必要な手続きの種類や内容、手続きの場所などについて詳しく解説していきます。

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目次

離婚後の手続き一覧表

離婚後に必要な手続きは、主に市区町村役所で行うものと、それ以外のところで行うものに分かれます。離婚したばかりの頃は毎日があわただしいため、市区町村役所でできる手続きはまとめて一気にすすめたいものです。

また、市区町村役所以外でも、家庭裁判所や子どもの学校、税務署などでやるべきことがたくさんあります。

そこで、離婚後に必要になることの多い手続きについて、以下に一覧表にしました。自身が必要となる手続きはどれなのかを確認し、できるだけスムーズにすすめられるよう、まとめて手続きできるものがないかチェックしてみましょう。

手続き場所 手続きの種類 手続きが必要になるとき
市区町村役所 住民票の異動(転居、転入) 住所が変更になる場合
転出届 ほかの市区町村へ引っ越す場合
離婚の際に称していた氏を称する届 離婚後も元夫の姓のままにする場合
世帯主変更届 世帯主を変更するとき
入籍届 旧姓に戻り子どもを自分の籍に入れたいとき
印鑑登録 印鑑・姓・住所を変更するとき
住基カードやマイナンバーカードなど 姓や住所を変更したとき
国民健康保険の加入手続き 元夫の扶養から抜けたとき
国民年金の変更手続き 元夫の扶養から抜けたとき
姓や住所の変更があったとき
児童扶養手当の手続き ひとり親になったとき
児童扶養手当の手続き ひとり親になったとき
ひとり親家庭の医療費助成の手続き
母子家庭のための住宅手当手続き
JR通勤定期券の割引手続き 児童扶養手当受給者が定期券を購入するとき
家庭裁判所 子の氏変更許可の申立て 子どもと自分の姓を同じにしたいとき
学校、教育委員会 小・中学校転校の手続き 子どもの転校が必要になった場合
郵便局 郵便物の転送手続き 引っ越しをしたとき
税務署 所得税・住民税の軽減手続き 所得税や住民税を軽減してもらいたいとき
水道局 水道下水料金の免除手続き 水道(下水道)料金の免除を受けたい場合で児童扶養手当受給者になったとき
口座を開設している金融機関 預金通帳の氏名・住所変更 離婚で姓や住所が変更になったとき
生命保険会社 生命保険や学資保険の名義変更など 加入している生命保険などの名義や受取人を変更するとき
クレジットカード会社 登録情報変更手続 住所・姓・引き落とし口座名義などの情報に変更があったとき
管轄の警察署、運転免許センター 運転免許証の書き換え 本籍・姓・住所の変があったとき
管轄の旅券申請窓口 パスポートの変更手続 本籍地・住所・姓に変更があったとき
年金事務所 年金分割手続き 元夫の年金を分割したいとき
新住所を管轄する運輸支局 普通自動車の名義変更手続き 財産分与で普通自動車を譲り受けたとき
軽自動車協会 軽自動車の名義変更手続き 財産分与で軽自動車を譲り受けたとき
電気会社、ガス会社、電話会社など 電気、ガス、電話など 電気、ガス、電話などの新規申し込みや名義変更をするとき

このように、離婚後の手続きにはさまざまなものがあります。姓は変更するのか、住所は変更になるのか、転校は必要かなどで必要な手続きが異なりますので、計画的になるべく早期に手続きを行えるようにしましょう。

離婚後の手続き|住所や戸籍に関するもの

離婚後の手続きで、まずは住所や戸籍に関するものを解説します。ほとんどのものは市区町村役所で行いますが、一部家庭裁判所で行うものもありますのでご注意ください。

【役所】転入届、転出届、転居届

離婚に伴い住所が変更になる場合は、住民票の異動手続き(転入届、転出届、転居届)が必要になります。引っ越し先によって以下のように必要な届け出が異なります。

引っ越し先 必要な届け出
同じ市区町村 転居届
別の市区町村 今まで住んでいた市区町村役所に「転出届」を提出し「転出証明書」を発行。引っ越し先の市区町村に転居後14日以内に「転入届」を提出(転出証明書が必要)

転入届は転居後14日以内という期限がありますので、早めに手続きをとりましょう。

【役所】世帯主変更届

世帯主変更届は、世帯主が変更になる場合に必要な届け出です。たとえば、婚姻期間中の世帯主が元夫で離婚後は自分が世帯主になる場合、離婚届を提出してから14日以内に世帯主変更届を提出する必要があります。

【役所、家庭裁判所】姓の変更に関する手続き

離婚すると、戸籍の筆頭者ではない人は戸籍から抜けることになります。婚姻期間中は夫が戸籍の筆頭者であった場合、離婚に伴い妻はその戸籍を抜けるのが一般的です。戸籍を抜けた後は、次の3つのいずれかの方法を選びます。

・自分の戸籍を作って旧姓を使用する
・自分の戸籍を作って元夫の苗字を使用する
・親の戸籍に戻る

離婚後に名乗る姓をどうするかによって手続き方法が異なりますので、順番に確認していきましょう。

【役所】元夫の姓のままでいる場合

離婚後も元夫の姓のままでいる場合は、まず自分を筆頭者とする新しい戸籍を作り、市区町村役所の戸籍課に「婚氏続称届(こんしぞくしょうとどけ)」を提出します。提出期限は離婚成立時から3カ月以内とされており、期限を過ぎてしまうと家庭裁判所で「氏の変更許可審判」手続きをすることになるため早めに提出しましょう。

なお、もしも今後再婚し、ふたたび離婚することになった場合は、独身のときの親の旧姓には戻れなくなるのでご注意ください。

【役所】旧姓に戻る場合

離婚後に旧姓に戻る場合は、自分を筆頭者とする新しい戸籍を作るか、もしくは婚姻前の親の戸籍に戻るかのいずれかになります。

親の戸籍に戻る場合は、離婚届の「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄に、親の本籍と筆頭者の氏名を記載します。新しい戸籍を作る場合は、「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れます。

【家庭裁判所】子どもと同じ姓にしたい場合

離婚に伴い子どもの親権を得て一緒に暮らす場合は、子どもの姓も自分(妻)と同じものに変更したいと思うかもしれません。離婚後に何も手続きをしなければ、基本的に子どもは筆頭者と同じ戸籍に残るため、姓も元夫のままになります。そうなると、子どもの親権者は自分でも、戸籍は元夫のほうに入っているということになります。

子どもと同じ姓にしたい場合、子どもの姓や戸籍を変更するため、まずは家庭裁判所に「子の氏変更許可の申立て」を行い、その後市区町村役所で「入籍届」を提出します。

なお、自分が旧姓に戻り子どもも同じ旧姓にしたい場合や、自分も子どもも元夫の姓のままにする場合でも、子どもと同じ戸籍にしたいときは家庭裁判所へ申立て、許可を得た後に入籍届を提出する必要があります。

離婚後の手続き|社会保険や年金に関するもの

婚姻期間中、元夫の扶養に入っていた人は、社会保険や年金に関することは元夫の勤務先で手続きしていたため、自身で何かを手続きすることはなかったかもしれません。

しかし、離婚すると元夫の扶養から外れるため、社会保険や公的年金に関する届け出も必要になります。手続きが遅れて保障の空白期間ができないよう、忘れずに手続きをとりましょう。

なお、婚姻期間中も働いており、自分で社会保険に加入していた場合でも、姓や住所の変更届けは必要になります。

【役所】国民健康保険の加入・変更

婚姻期間中、元夫の勤務先の健康保険に入っていた人は、離婚が成立したときから加入資格を失ってしまいます。そのため、離婚した日から14日以内に「国民健康保険」への加入手続きをとらなくてはなりません。手続きには元夫の勤務先から発行される「健康保険等資格喪失証明書」が必要です。

なお、婚姻期間中も国民健康保険に加入していて、離婚に伴い姓が変わる場合は、「氏名変更届」の提出が必要です。

【役所】国民年金の変更

国民健康保険と同様、国民年金も元夫の勤務先の厚生年金に加入していた人は、国民年金への加入手続きが必要になります。

元夫の扶養に入っているとき、妻は国民年金の第3号被保険者に該当しますが、離婚などにより扶養を外れたときは第1号被保険者に変更になります。第3号被保険者は保険料の納付はありませんが、第1号被保険者は納付が義務付けられています。

年金に関する手続きは基本的には年金事務所で行いますが、市区町村役所でも対応しているので、他の手続きと併せて役所で手続きをすると良いでしょう。

【勤務先、年金事務所】社会保険、厚生年金の変更

婚姻期間中から会社勤めをしていて、すでに社会保険に加入している人は、姓や住所などの変更届を行います。勤務先の社会保険担当者にその旨相談してみてください。また、婚姻期間中、子どもが元夫の扶養家族として夫の社会保険の扶養に入っていた場合は、自分の社会保険に子どもを扶養家族として加入させるために併せて手続きをとりましょう。

離婚後に仕事を始めて新たに社会保険へ加入する人は、勤務先を通して社会保険の加入手続きをします。詳しくは勤務先の社会保険担当者に確認してください。

離婚後の手続き|子どもに関するもの

子どもに関する手続きは主に市区町村役所で行いますが、学校関係の手続きはそれぞれの学校や教育委員会で行います。

【役所】児童扶養手当

児童扶養手当とは、離婚などにより父または母と生計を別にしている子どもがいる家庭に支給される手当です。支給対象となるのは、18歳到達日から最初の3月31日までにある子ども(※)(一定の障害を持っている場合は20歳未満の子ども)がいる世帯で、所得が一定金額以下といった条件を満たしている場合です。

支給金額は、子どもの人数や所得などにより最高で月額43,070円、少ない場合で3,050円です(令和4年4月~)。ただし、生活保護を受給している場合は支給対象外となります。

※18歳到達日から最初の3月31日までにある子ども:一般的には高校3年生を卒業するまでの子どもをさす

参考:厚生労働省 – 児童扶養手当について

【役所】ひとり親家庭の医療費助成

ひとり親家庭の医療費助成は、ひとり親世帯の経済的負担を軽減するため、子どもや親(母または父)が病院を受診した際に支払う医療費の一部を自治体が負担してくれる制度です。

利用できるのは、18歳到達日から最初の3月31日までにある子ども(もしくは一定の障害を持つ20歳未満の子ども)がいる世帯で、一定の所得制限を満たしている場合です。ただし、生活保護を受給している場合は支給されません。

助成される金額は、住民税が非課税か課税かによって異なり、非課税世帯だと全額が助成されます。

【役所】就学援助制度

就学援助制度は、小学校や中学校に通う子どもがいる親のうち、経済的に苦しく学校に必要な支出が難しい人に対して費用を援助する制度です。制度を利用できるのは、各自治体で定めている一定の所得基準を満たしている場合に限られます。

補助される学校関係の支出には、学用品、通学用品、学校給食、通学費、遠足などの校外活動費、宿泊学習・修学旅行費、クラブ活動費などがあります。

基本的には学校から配布される「就学援助制度のお知らせ」に必要事項を記入し、学校に提出して申し込みますが、自治体によっては役所で受け付けているところもあります。

【学校】子どもの学校関係

子どもが転校する際の手続きも早めに準備しておく必要があります。公立小・中学校の転校手続きは、まず転校前の小・中学校で「在学証明書」と「教科書給付証明書」を発行してもらいます。

その後、同じ市区町村内での引っ越しの場合は「転居届」を、ほかの市区町村へ引っ越しする場合は「転入届」を提出した後に「入学通知書」を発行してもらいます。転入する小・中学校へ「在学証明書」、「教科書給付証明書」、「入学通知書」をそろえて提出します。

なお、幼稚園や保育園の転園手続きについては、自治体や園によって手続き方法やタイミングが異なります。引っ越し前に転園を希望する園または自治体に、園に空きはあるか、費用はどのくらいかかるか、通園バスの範囲など、気になることを確認しておきましょう。

【各会社、各金融機関】各種保険、銀行などの名義変更

子どもの将来の学費を準備するために学資保険に加入していたり、お年玉などを預金するために子ども名義の銀行口座を開設していたりするケースがあります。

子ども名義となっている学資保険や銀行口座も名義・住所変更が必要になるため、保険会社や銀行窓口に問い合わせて変更手続きをとりましょう。店舗窓口に出向かなくてはならないケースもありますが、インターネットから変更手続きがとれることもありますので、詳しくは窓口やカスタマーセンターなどで確認してください。

離婚後の手続き|生活に関するもの

役所での手続き以外にも、離婚に伴い変更手続きをとらなくてはならないものがあります。旧姓に戻る場合は印鑑を変える必要がありますし、運転免許証やパスポートなど身分証明書代わりになるものはいつ必要になるかわからないため、早めに変更しておくと安心です。

【役所】新しい印鑑、印鑑登録

離婚後に旧姓に戻る場合は、姓が変わるので印鑑も変更になります。印鑑には実印、認印、銀行印がありますので、それぞれ用意する必要があるでしょう。新しい実印が準備できたら印鑑登録も行います。すでに印鑑登録をしている人は、実印のほかに印鑑カードも持参して市区町村役所で登録手続きをします。

離婚における手続きで必要な印鑑は認印がほとんどですが、実印は自動車の名義変更などにも利用するので、忘れずに変更しておきましょう。

【各金融機関】預金通帳

銀行の預金通帳の名義や、住所の変更手続きも必要です。公共料金の支払いやお給料の振込みのために使う通帳であれば、早めに手続きをとると各種振替・振込の手続きがすすめやすいです。

まずは口座を開設した銀行の公式サイトを確認し、インターネット上で変更手続きができるかどうかをチェックしましょう。できない場合は銀行窓口に問い合わせ、必要書類なども確認したうえで窓口にて変更手続きをします。

【警察署】運転免許証

運転免許証を持っている人は、本籍や姓・住所変更の手続きが必要です。日頃から運転をしている人はもちろんのこと、運転免許証を身分証明書として利用している人は、早めに変更手続きをとりましょう。

手続き場所は、居住地を管轄している警察署または運転免許センターです。現在の運転免許証の他に住民票などの必要書類もありますので、あらかじめ確認のうえ出向くと良いでしょう。

【各カード会社】クレジットカード

一般的に、クレジットカードの会員規約には、名前や住所、連絡先などの情報に変更があった場合はすみやかに届け出るよう記載されています。そのため、離婚で姓や住所などが変更になる場合も早めに変更手続きを行う必要があります。

クレジットカードを名義変更する流れは、まず新しい住民票を取得し、運転免許証などの身分証明書を新しい姓のものに変更します。続いて、その身分証明書で銀行口座の名義変更を行い、それからクレジットカードの名義変更手続きを行います。

手続き方法はインターネット上、またはクレジットカード会社に郵送となりますが、詳しくはお手持ちのクレジットカードのお問い合わせセンターへ確認してみてください。なお、名義変更されたクレジットカードが手元に届くまでは約2週間かかります。

【旅券申請窓口】パスポート

パスポートを利用する機会は人によってさまざまですが、パスポートを身分証明書として利用している人などはすぐに必要になることもあるため、早めに変更手続きをしておきましょう。

手続きは近くのパスポートセンターで行いますが、戸籍謄本や住民票など必要な書類がありますので、公式サイト等で確認してから出向くことをおすすめします。

【郵便局】郵便物の転送

離婚後、元夫の家に自分や子ども宛ての郵送物が届かないようにするためには、郵便局に転居届(転送届)を提出します。郵便局の窓口での手続きのほか、「e転居」というサービスを利用するとインターネット上で転居届を提出することもできます。

インターネット上なら引っ越しが決まった時点で手続きができるので、離婚日を待たずに早めに手続きを進められます。一度に6人まで登録することが可能です。

参考:郵便局ホームページ

【各会社】電気・ガス・水道など

財産分与で家を譲り受けて、離婚後も自身が引き続き住む場合は、電気・ガス・水道料金の名義変更や引き落とし口座の変更をする必要があります。それぞれの会社に連絡し、名義や引き落とし口座が変更になることを伝えてください。必要な書類や手続き方法などを教えてもらえます。

また、離婚後に自分が新しい家に引っ越す場合は、住み始める日までに電気・ガス・水道などを新たに契約して、引っ越しの日から利用できるようにしておきます。

【運輸支局または軽自動車協会】車の名義変更

婚姻期間中に乗っていた自動車を離婚後も引き続き乗る場合は、自動車の名義が誰になっているのかを確認することが大切です。もし元夫の名義であれば、自分の名義に変更しましょう。また、離婚により姓が変わる場合も変更届が必要になります。

手続き場所は、普通自動車の場合は居住地を管轄している運輸支局で、軽自動車の場合は軽自動車協会です。必要書類は、氏名変更のみであれば印鑑や戸籍謄本(抄本)などだけで済みますが、名義変更の場合は旧所有者(元夫)の実印や印鑑証明書も必要になります。

中には、元夫の名義のままで乗り続けていて、勝手に廃車にされてしまったというケースもあるようです。このようなことが起こらないよう、忘れずに手続きをとっておきましょう。

【法務局】不動産の名義変更

財産分与で自分が家をもらう場合、法務局で「登記申請」を行い、家の名義変更をする必要があります。離婚の財産分与では贈与税や不動産取得税などの税金はかかりませんが、離婚成立前に財産分与をしてしまうと生前贈与とみなされて贈与税が課されることもあるため注意しましょう。

家の名義変更は、住宅ローンの返済が終わっていれば比較的簡単に手続きができます。しかし、まだローン返済中であったり土地と家の所有者が別だったりする場合は手続きが複雑になるため、弁護士や司法書士などの専門家に相談すると安心です。

▶住宅ローンが残っていても離婚することは可能です。ただし、離婚前に夫婦で話し合っておきたい内容はいくつかあります。こちらの記事で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
住宅ローンがあっても離婚はできる!妻が住む場合の返済は?

【年金事務所】年金分割

離婚時の年金分割制度とは、婚姻期間中に納付した保険料に対する厚生年金を分割して、元夫婦それぞれの年金とすることができる制度のことです。年金分割には「合意分割」と「3号分割」のふたつがあります。

合意分割 夫婦双方からの請求により年金を分割する方法。分割割合は双方の合意を基に決まるが、合意できないときは裁判手続きによって決まる
3号分割 専業主婦の人など、国民年金の第3号被保険者だった人からの請求により年金を分割する方法で、分割割合は2分の1ずつ。2008年4月1日以降の婚姻期間が対象

なお、年金分割は請求期限が決められており、原則として離婚成立日の翌日から2年以内に手続きをする必要があります。

離婚後の手続き|ひとり親家庭への支援制度

離婚後は税金や公共料金などを自分ですべて支払っていかなくてはならず、大きな負担となってしまうこともあるでしょう。しかし、所得税や住民税、水道料金など、費用負担の減免措置が取られているものもあります。

また、ひとり親世帯が利用できる割引制度や諸手当もありますので、上手に活用して支払い負担を軽くしていきましょう。

【税務署】所得税、住民税の減免

シングルマザーなどのひとり親の場合、所得税の計算をする際に「ひとり親控除」として一律35万円を控除してもらうことができます。

控除を受けるには、合計所得金額が500万円以下で、生計を一にする子どもがいることが条件となります。なお、この場合の子どもとは、合計所得が48万円以下でほかの人の扶養親族になっていないことが条件ですので、元夫から養育費を受け取っている場合は注意が必要です。

手続き方法は、勤務先の年末調整のときに提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で、「ひとり親」の欄にレ点をチェックするだけです。

また、住民税にも減免措置が設けられており、前年の合計所得が135万円以下の場合は非課税になります。なお、扶養親族(子どもなど)がいる場合は、所得が135万円を超えていても非課税になるケースがあるため、源泉徴収票などの所得がわかる書類を持参して市区町村役所で相談してみましょう。

【水道局】水道料金の減免

ひとり親で児童扶養手当を受給している世帯などでは、水道料金(自治体によっては上下水道料金)が減額または免除される制度があります。たとえば、水道料金の基本料金(2カ月で自治体が定めた一定料金)が減額されるなどです。

水道料金の減額・免除の条件や手続きは各市区町村で異なるため、お住まいの市区町村を管轄する水道局で相談してください。

【役所】JR通勤定期券の割引

シングルマザーのように児童扶養手当を受給している世帯に対し、JR通勤定期券が3割引で購入できる制度があります。

まずは、市区町村役所の福祉関係の窓口で「特定者用定期乗車券購入証明書」、「特定資格者証明書」を発行してもらいます。申請には児童扶養手当証書や写真、印鑑などが必要になりますので、事前に役所へ電話等を行い確認しておきましょう。

JRの窓口で「特定者資格証明書」を提示のうえ、「定期乗車券購入申込書」に必要事項を記入し、「特定者用定期乗車券購入証明書」とともに提出し定期券を購入します。

【役所】住宅手当

住宅手当とは、20歳未満の子どもを養育しているひとり親世帯が、賃貸物件を借りて月額1万円超の家賃を支払っている場合などに、一定金額を補助してもらえる制度です。

ただし、自治体によっては制度がないところもあるため、まずはお住まいの自治体で住宅手当制度があるかどうかを確認してみてください。なお、支給を受けるには所得制限もあるので、併せて確認する必要があります。

支給される手当金は自治体によりますが、一般的に数千円~1万円程度のところが多いです。

離婚後の手続きを整理して計画的にすすめていきましょう

離婚後の手続きにはさまざまなものがありますが、必要な手続きは離婚する状況などにより一人ひとり異なります。しかし、いずれも新生活を始めるうえで大切な手続きなので、もれなく手続きできるよう、できるだけ早期から計画的にすすめていきましょう。