両親が離婚すると、引っ越しが発生したり、経済的に変化したり、姓の変更があったり、片方の親と会えなくなったりなど、子供もさまざまな影響を受けます。親としては、こういった環境の変化が子供の精神面にどのような影響をおよぼすのか、心配になるものでしょう。本記事では、離婚による子供への影響や、子供への影響を最小限にとどめるための接し方などを年代別に解説していきます。

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【年代別】離婚が子供に与える影響と子供への接し方

子供がいる夫婦が離婚を決断する場合、「離婚が子供に与える影響」について心配になるかもしれません。両親の離婚はどの年齢の子供にも少なからず影響がありますが、子供の年代によっても特徴的な言動や精神面の動き、親として気を付けたい点があります。子供の精神的な安定を保つためにも、子供の年代ごとの接し方などを確認していきましょう。

子供が0歳・1歳・2歳の場合

同じ離婚をするのであれば、父親との時間や記憶をなるべく持たないように子供が小さいうちに離婚するほうが良いのではないか、と考える人がいます。しかし、0歳~2歳といった乳幼児期であれば子供へのケアが不要というわけではありません。この年齢の子供だからこそ、母親の愛情の不足によって安心して過ごすことができずに、精神的に不安定な状況が続いてしまうことがあるからです。

0歳の子供でも、母親の表情や声色などから「自分が愛されているかどうか」を感じ取ります。十分な愛情を感じ取れれば情緒は安定すると考えられているため、子供には明るく笑顔で接してあげるよう心がけましょう。

1歳の頃になると、さらに母親の表情や声色などで機嫌や様子をうかがうようになります。子供の情緒の安定のためには、一緒に過ごす時間をできるだけ多くするなどわかりやすく愛情を伝えると良いでしょう。

2歳頃の子供は、周りの状況を理解するようになり、自己主張も出てくるようになります。子供が2歳になる頃には仕事を始めるシングルマザーは増える傾向にあり、「置いて行かれる」という状況から情緒が不安定になることもあります。仕事以外の時間はなるべく子供と触れ合えるように時間を作ることを心がけることが大切です。

子供が3歳・4歳・5歳・6歳の場合

子供が3歳・4歳・5歳・6歳の頃は、まだまだ離婚が具体的にどのようなものなのか、よく理解していないことが多いです。しかし、「お友達にはパパがいるのにどうして自分にはいないのか」とまわりと違うことを感じて、寂しい思いをしたりお友達をうらやましく思ったりすることもあります。「どうしてパパがいないの?」と聞いてくるのもこの時期頃からです。

父親がいないことについて聞かれた場合は、嘘をついたりはぐらかしたりせず、わかりやすく話して聞かせ、子供が納得できるまで落ち着いて対応することが大切です。

また、まだ離婚はしていなくても、夫婦喧嘩が絶えないなど家庭環境が落ち着かない場合、子供はその状況を敏感に感じとり、両親がいつか仲直りしてくれることを期待する傾向があります。そのうえ、不仲が解消されないと「自分が悪いのではないか」と感じるようになったり、「自分が捨てられるのではないか」と不安になったりする子供もいます。

そのため、子供には何の責任もないことをしっかりと伝え、気持ちを落ち着かせてあげられるようにしましょう。

子供が小学校低学年の場合

子供が小学生になると、これまでよりも広範囲の人と関わるようになるため、両親の離婚について理解し始めることができるようになります。しかし、理解することと納得することは別物で、離婚について理解できたがために余計に悲しみや寂しさを感じることもあるでしょう。

ひとり親世帯となり毎日忙しくしている親に上手に甘えることができず、イライラしたり暴力的なことをしたりなど反対の行動をとってしまう子供もいます。

親は子供が抱えている悲しみや不安などをまるごと受け止めて、ていねいに時間をかけてサポートすることが大切です。小学校に上がったとはいえ、まだ親に甘えたい時期です。子供からのSOSを見逃さないようにしましょう。

子供が小学校高学年の場合

小学校高学年の頃の子供は、離婚についてイメージすることができるようになり、「うちはいわゆる一般的な家庭ではない」と考え、悩むようになる子供もいます。

また、親自身も子供の学費・生活費などのために仕事に専念することが増えますので、子供と過ごす時間が少なくなってしまう家庭は多いです。「小学校高学年になれば、お友達もさらに増えるから大丈夫だろう」と気が緩みがちですが、多感な時期に差しかかる頃でもあるため、幼児期とはまた異なったサポートが必要になります。

もちろん、ひとり親世帯であっても、お友達と楽しく遊んだり学校外活動や塾などに熱中していたりして、離婚についてあまり悩まないタイプの子供もいます。しかし、一人で抱え込んでしまうタイプの子供もいるため、子供の様子を見ながらていねいに接することが大切です。

子供が中学生、高校生の場合

中学生や高校生の頃は、いわゆる思春期となる年代で、両親ともにそろっている家庭でも子供への接し方に悩む時期です。親と仲良く過ごせるタイプの子供もいれば、距離を置くようになるタイプの子供もいます。

離婚についての捉え方もさまざまで、両親の離婚をすんなり受け入れられるタイプ、友達に話すことで悩みを解消するタイプなど、子供により異なります。しかし、中には悩みを打ち明ける相手がいない子供も少なくなく、親が察知してサポートする必要があるケースもあります。

中学生の子供には、落ち着いた雰囲気の中でしっかり話を聞いてあげることが大切です。親と話をしない子供の場合は無理強いせず、「いつでも話を聞くよ」とオープンな環境を作ることを心がけましょう。そして、話し合いの際には決して考え方や価値観を押し付けないように、「聞くこと」に専念すると良いでしょう。

高校生の子供には、高校卒業後の進路や就職などを踏まえた話し合いができると良いでしょう。ひとり親世帯の場合、経済的な面から子供の進学に制限ができてしまうことは多いですが、子供の希望を聞き、できるだけ希望に添えるような進路を選べるよう話します。

進学の費用が不足する場合は、元パートナーに学費の支払いを負担してもらえないか相談するのもひとつの方法です。親の離婚が原因で、子供の将来の夢を断念させることのないように、親としてできることを元パートナーも含め真剣に考えられると良いでしょう。

子供の年齢に関係なく離婚を検討すべきケース

離婚が子供に及ぼす影響や子供への接し方などについて解説しましたが、子供の年齢に関係なく早急に離婚を検討するべきケースがあります。

DVやモラハラの被害がある場合

パートナーからDV(ドメスティックバイオレンス)やモラハラ(モラルハラスメント)などを受けている場合は、子供の年齢にかかわらず早急に離婚を検討すべきといえます。なお、DVには身体的な暴力だけでなく、暴言を吐かれるなどの精神的DV、生活費を入れないなどの経済的なDVも含まれます。

暴力が自分にだけ向けられていて、子供には及んでいないといった場合でも、安心はできません。母親が日常的に父親に暴力を振るわれていたり暴言を吐かれていたりする光景は、子供の精神面に悪影響を与える可能性が大いにあるからです。

また、暴力や暴言が悪いことではなく日常的なことだと認識してしまい、お友達に暴力を振るったり暴言を吐いたりするようになってしまうかもしれません。さらに、誰かに暴力を振るわれるなどの困ったことがあっても、「助けを求める」ということができなくなってしまう可能性があります。

自分の力だけではパートナーに立ち向かえない場合は、行政の窓口や弁護士に相談するなどして専門家の力を借りましょう。

夫婦喧嘩が絶えない場合

子供が一緒にいる空間でも夫婦喧嘩が絶えない場合、早急に離婚を検討するべきケースといえます。子供にとって母親と父親がいつも言い争っている光景は、大きなストレスとなったり心に傷を負ったりする可能性があります。

また、夫婦喧嘩にとどまらず、家庭内別居が長く続いており夫婦の会話が全くない家庭も、子供が伸び伸びと育つ環境とはいえません。そういった状況では、子供は親の様子をうかがって親に気を遣うようになってしまい、自分の気持ちを押し殺して生活するようになってしまうでしょう。子供によっては「自分のせいでママとパパが喧嘩している」と自分を責めてしまうケースもあります。

このようなケースでは、夫婦のためだけでなく子供が安心して暮らせるためにも離婚を検討することが必要ですが、すぐには離婚を決められない場合もあるでしょう。その場合は、まず別居することを検討してみましょう。夫婦それぞれが冷静に気持ちを整理し、子供も気遣いなく生活ができるようになれば、何らかの解決策が見いだせるかもしれません。

▶離婚に向けて別居することについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。
離婚に向けた別居は必要?生活費や手順、子どもはどうする?

離婚を子供に伝える時の注意点

離婚をすることが決まった場合、子供に離婚についてどのように伝えるか悩んでしまう人は多いものです。子供の年代にもよりますが、できるだけ精神的な衝撃を与えないように伝えたいものでしょう。

そこで、離婚を子供に伝える際の注意点について解説していきます。

離婚の原因を子供のせいにしない

まず、離婚の原因を決して子供のせいにしないことです。両親が離婚すると聞いた子供は、程度の差はあれ「自分に何か原因があったのかもしれない」と考えてしまうことが多いです。

あいまいに理由を伝えようとする人もいますが、これだと子供が納得できない場合に「やはり自分が悪い」と思い込んでしまい、子供はこの先苦しみ続ける可能性があります。そのため、「決してあなたのせいではない。原因はママとパパの問題」ということを強調して伝えることが重要です。

ちなみに、「あなた(子供)のために離婚する」という理由も言わないよう注意しましょう。解釈の仕方によっては、子供に原因があると取れてしまうからです。

相手の悪口を言わない

パートナーの悪口を言わないことも大切です。自分にとっては共に生活していけないほど憎い相手でも、子供にとって親であることには変わりありません。パートナーを否定するということは子供を否定することにもつながるため、子供が混乱し苦しむことになるでしょう。

パートナーの言動にどんなに怒りを感じても、子供の前では決して悪口を言わないよう気を付けましょう。

また、子供がある程度の年齢になってくると、パートナーの悪口を言い続ける親を疎ましく思ったり、不信感を持ったりする可能性もあります。自分に対する子供からの信頼を損ねることにもなりかねないため、十分に注意しましょう。

嘘をついたりごまかしたりしない

子供に離婚のことを伝える際には、その理由を言うことになります。そのときに、嘘の理由を言ったりごまかしたりしないよう注意してください。「パパは遠い外国に行った」や「パパは亡くなった」なとど言ってしまうと、後でそれが嘘だと発覚したときに子供は母親に強い不信感を抱く可能性があるためです。

一緒に暮らしている親が、長い間嘘をついていたことがわかったときの子供のショックは大きなものです。信じていた親に裏切られた子供は、精神状態が不安定になってしまう可能性もあります。

話をするときはつらいかもしれませんが、のちに子供が嘘に気づいて親子関係が崩れてしまう可能性もあるため、嘘をついたりごまかしたりせず本当のことをていねいに伝えましょう。

離婚による子供への影響を最小限にするポイント

両親の離婚は多少なりとも子供への影響を及ぼすものですが、可能なかぎり最小限にとどめることはできます。そこで、子供への精神的な負担を最小限にとどめるためのポイントを解説していきますので、子供と接する際の参考にしてみてください。

定期的に面会交流を続ける

離婚してからも、離れて暮らすようになった親と定期的に面会交流をする機会を持つようにしましょう。子供を元パートナーに会わせたくないという気持ちを持つ人もいますが、子供にとっては大切なもうひとりの親です。「パパにはいつでも会えるよ」と穏やかに伝えてあげると良いでしょう。

子供は、離れて暮らしている親から「捨てられた」または「愛されていない」と感じてしまうことがあります。「そのようなことは決してない」ということをきちんと伝えるために、離婚の話し合いのときには面会交流についてしっかりと話し合うことが大切です。

離婚するタイミングを考える

子供への離婚のダメージを最小限にとどめるためには、離婚のタイミングを考えることも大切です。もっともダメージが少ないと考えられるのは、子供が成人になるときです。子供自身もひとりの大人として独立するときで、「親にも親の人生がある」と考えられるようになるからです。

しかし、子供がまだ小さいときから夫婦関係が破綻している場合など、成人になるまでは到底待てないこともあります。その場合は、子供の入園・卒園、入学・卒業といったタイミングに合わせられると良いでしょう。

学年の途中で離婚となると、姓が変わったり転園・転校になったりすることがあり、子供の負担が大きくなってしまいます。そのため、進学・進級のタイミングで離婚ができれば、姓の変更などもスムーズに対応できるようになるでしょう。もしも子供が受験する学年の場合は、気持ちを動揺させないように受験が終わってからにすると良いでしょう。

また、小さな子供の場合は、親の記憶が残らないうちに、また愛着がわかないうちに離婚してしまうというのもひとつの方法です。物心ついたときからひとり親世帯であれば、親が言い争ったりする姿も見ずに済むからです。

子供への愛情を変えないようにする

離婚をしても愛情には変わりがないことを子供に対して態度で示していくことも、子供が離婚による精神的な負担を抑えるためには大切なことです。子供と一緒に暮らす親はもちろんですが、別居する親のほうも、離れて暮らすことになっても親であることには変わりがなく、これからも変わらぬ愛情を注ぐことを約束すると、子供は安心するでしょう。

言葉で伝えると同時に、抱きしめるなどスキンシップをとることで、より愛情を伝えやすくなります。子供の不安や悲しみに寄り添って、できるかぎりの愛情を注いでいけると良いでしょう。

離婚による子供への影響は最小限にしましょう

子供に両親の離婚のことを話す際には、精神的な衝撃を最小限に抑えるために、子供の様子を見ながらゆっくりと時間をかけて話しましょう。子供の年齢や環境により離婚の受け入れ方は異なりますが、子供が不安を感じたり悲しんだりしないように、それぞれの親が離婚後も変わらぬ愛情を注ぐことが大切です。