離婚の理由はさまざま。そして、その後の人生も、選択と決断の毎日です。先行きに不安を覚えたり、失敗して落ち込んだりすることもあるかもしれません。

少し息詰まってしまったら、この企画に相談にいらっしゃいませんか? 自ら5人の子どもを育て上げた日本シングルマザー支援協会代表の江成道子さんが、本音で、真剣に、あなたの悩みに答えます。

今回で最終回を迎えた、シングルマザー相談室。最後のご相談は、自立を果たし子育てもひと段落したとき、ふと寂しさを感じてしまったという方からです。パートナー探しの具体的な方法や、再婚を視野に入れたとき、思春期の子ども達にはどう話を切り出せばいいのでしょうか。自分自身の幸せを手にするため、次のステージへ進もうとしている相談者さんに江成さんがエールを送ります。

今月の相談:自分の未来のために新しいパートナーを探したい。みんなはどうしているの?

離婚して5年のシングルマザーです。子ども2人は上の子が高校生になり、子離れし自分の時間が持てるようになりました。

頼れる人も近くにおらず、サポートが全くない状況で離婚し、生活、仕事、育児に追われ……と目まぐるしい日々を過ごしていましたが、ふと寂しい気持ちになりました。周りの友達は再婚している人や彼がいる人も多く、安心感がありそうと感じます。

みなさん、どうやってパートナーを探しているのか、またパートナーができたら子どもにどんな風に伝えたら良いのか、知りたいです。

▽相談者の情報
・離婚/・現在の職業:会社員/・年齢:45歳
・子どもの数(性別・年齢):2人(息子16歳・14歳)

回答:出会いはリアルからアプリが主流に。何事にも二面性があると心得て上手に活用を

私が理事を務める日本シングルマザー支援協会は、「自立」「共感」「再婚」の3つの柱を掲げています。なぜかというと、まず経済的自立が必要な人、自立を果たし共感の場がほしい人、家庭を築くことが幸せな人、あらゆる状況のシングルマザーが幸せになるために必要な要素が、この3つだと思ったからです。

なかでも再婚は、会員のみなさんの関心が非常に高いところです。以前、再婚活ならぬ「再恋活」パーティーを開催したことがありましたが、受付開始から30分で定員の3倍ほどの申し込みがあり、多くの方がパートナー探しの機会を求めていることを実感しました。

では、パートナーを見つけたいと思った時にどのようなところで出会いを探せるのか、再婚までの道のりで気をつけたい点などについて、お話ししていきましょう。

リアルイベントも活況。安心度の高い自分に合う方法を探してみましょう

最近は初婚、再婚にかかわらず、アプリを利用して知り合い、結婚までたどり着いたという話を多く聞くようになりました。

以前は職場や交友関係の中で自然に出会ったという方が多かったですが、感染症の流行もあったからか、普段の生活では新しい出会いを得る機会が少なくなったのかもしれません。再婚をひとつのゴールとして捉えるのであれば、同じ目的を持っている人が集まる結婚相談所やアプリを活用してみるといいと思います。

サービスに登録することに抵抗があれば、一度だけの婚活イベントもたくさん開催されていますので、探してみるといいでしょう。シングルマザーということに抵抗感を示されると傷ついてしまいそう、と感じるなら、再婚を目指す人限定のイベントがおすすめです。自治体が開催しているものもあります。

より気軽に出会いたいならアプリもいいと思いますが、パートナーができる確率が高いと同時に、詐欺などのトラブルも多いと聞きます。残念ながら、シングルマザーは恋愛詐欺や情報商材(高収入をうたう副業や投資などの情報をダウンロードし閲覧するもの)のターゲットになりやすく、収入や出会いなど「シングルマザーが困っている」と見えるところに悪意を持ってつけ込んでくるケースが絶えません。

アプリを利用する時は、どんな人たちが利用しているのかをチェックしたり、運営元の確認、特定の誘いことばややり取りに気をつけたりするなど、リスクヘッジをしておきましょう。

そして危険性はアプリだけではありません。実名制のSNSでも、第三者なら明らかに詐欺ではないかと感じるようなやり取りに夢中になっている人もいました。すべてにおいて、いいところ、悪いところの両面があると心得ておきましょう。

再婚に至るまでの恋愛に、周囲の目を意識し罪悪感を感じる人が多くいます

協会に寄せられる再婚の相談で一番多いのは、「再婚が自分や子どもにとって本当に正しい選択なのかどうか」ということです。そのためらいは、「母親なのに恋愛する」「子どもを置いてまで恋人と会う」という罪悪感から来るものです。日本人女性は働くために子どもを預けることすら罪悪感を感じてしまう人が多いですから、おしゃれをして出かけること、デートとなるとなおさらでしょう。

周囲からの視線も厳しく、特に親御さんが「母親のくせに恋愛なんかして」と苦言を呈すことが多々あるようです。確かに周囲に対する気遣いはできた方がいいですし、家庭を顧みず毎日のようにデートに出かけるような行動は避けた方がいいとは思いますが、シングルマザーは独身女性。恋愛することに後ろめたさを感じる必要はありません。

母親としての役割と、ひとりの女性の日常を過ごすことのメリハリを意識すると、そこに理解を示してくれる人でなければ関係は長続きしませんし、そうした制限の中で半年、1年と一緒に過ごすことができたら絆も深まってくるでしょう。そこで再婚に踏み切ったら、あとは夫婦の意思で周囲に報告をすればいいと思います。

子ども達には再婚を伝えるより前に、パートナーと男同士の輪を築いてもらう

お子さんが女の子であれば、相談者さんの気持ちを素直に伝え、互いの思いを確認しながら信頼関係を築いたうえでお父さんを迎えればいいと思いますが、思春期の男の子2人では難しいかもしれません。お母さんが恋をして女性になっていく姿にも抵抗があるでしょうし、紹介するタイミングで「明日からこの人をお父さんと呼んでね」というのは無理な話です。

一番うまくいくのは、再婚の意志を伝えるより前に男同士の輪をつくってもらうことです。子ども達に信頼がおける年上の男性ができるのは、一緒にお母さんを守れる存在ができることでもあり、とてもいいことだと思います。母親として男の子にしてあげられることには限りがあると感じますし、子ども達も兄弟以外の男同士の関係には飢えているでしょう。

パートナーができたら、子ども達と釣りやキャンプに行ってもらったり、ゲームやスポーツを楽しんでもらったりなど、相談者さんなしで男同士で過ごす時間を意識的につくってみるといいでしょう。無理に父と子という関係を目指す必要はなく、3人がうまく人生のひとときを共有しながら、時には失敗しながらでも、一番いい絆の形を探していけばいいと思います。

まとめ:再婚は幸せのエッセンス。あなたが思い描いた幸せを、手に入れてください

もし恋愛での失敗を防ぎたいと思うなら、自分にとって少し耳が痛いくらいの意見を言ってくれる人を大切にしてください。人はみな、自分が納得できる意見を集める傾向があります。

反対意見をすべて聞き入れる必要はないのですが、自分では気づけないことについて指摘してもらえると失敗は少なくなるはず。恋をすると相手のすべてがよく見える時期がありますが、冷静な第三者からはどう見えているのか、怖いけれども耳を傾ける勇気も持ちましょう。反対意見を聞くことを避けたいと思う人は、何に関しても失敗する可能性が高いと思った方がいいかもしれません。これはぜひ意識してみてください。

仕事に子育て、再婚。悩みは尽きない女性の人生ですが、あなたが幸せでいることを、子どもたちは望んでいます。罪悪感を感じることなく恋愛にも一歩踏み出して、どんどん幸せを手に入れてください。応援しています!

江成道子

江成道子
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 代表理事。シングルマザーサポート株式会社代表取締役社長、一般社団法人グラミン日本顧問、武蔵野学院大学講師。自らシングルマザーとして5人の姉妹を育てながら、シングルマザーの自立支援活動を続ける。講演多数。
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会