子どもを連れて再婚した家族を「ステップファミリー」といい、その数は年々増加傾向にあると考えられています。しかし、実際に子どもを連れて再婚した人の中には、ステップファミリーならではの問題や悩みを持っているケースが少なくありません。ステップファミリーで幸せをつかむために、本記事ではステップファミリーが抱えがちな問題と解決策などを解説していきます。

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ステップファミリーとは?

ステップファミリーとは、子連れで再婚をしてできた家族のことをいいます。日本ではまだなじみのない言葉ですが、近年の離婚率や再婚率から、ステップファミリーという選択をする人は増加傾向にあると考えられています。

ステップファミリーの家族形態としては、主に次の3つのパターンがあります。

・シングルマザー(子どもあり)&男性(子どもなし)
・シングルファザー(子どもあり)&女性(子どもなし)
・シングルマザー(子どもあり)&シングルファザー(子どもあり)

このように、どちらか一方、または両方が、元パートナーとの子どもがいる状態で再婚するとステップファミリーになります。一見、同じような家族形態のようでも、元パートナーと離婚した理由が死別なのか離婚なのかによって異なりますし、子どもの性別や年齢などによってもさまざまなステップファミリーの形があります。

日本では、先に紹介した3つのパターンのうち「シングルマザー&男性」の組み合わせが多いという意見が少なくありません。この場合、男性は初婚のため子どもがいないというケースはもちろん、過去に結婚歴があって子どもがいるものの、母親が引き取って生活しているため今は男性とは一緒に生活していない(=子どもがいない)、というケースも含まれます。

子どもと生活していたことがある男性であれば、家族というもののイメージが付きやすいですが、初婚男性にとっては難しいことかもしれません。初婚男性は結婚自体が初めてであるうえ、いきなり子どもと一緒の生活がスタートすることから、戸惑うことが多いと考えられます。そのため、シングルマザーは子どもの精神状態に気を配るだけでなく、新しいパートナーへの気遣いも必要になるでしょう。

次章では、ステップファミリーによくある思い込みや誤解について詳しく見ていきましょう。

ステップファミリーに対するよくある思い込み・誤解

ステップファミリーはまだ認知度が高くないため、実際にどのような生活を送っているのかわからないことがあります。一方的な思い込みや誤解などを抱いている場合、解決するのに時間がかかってしまうことがあるかもしれません。そこで、ステップファミリーを円満に始めるためにも、どういった思い込みや誤解が起こりやすいのか知っておきましょう。

1つ目:「家族になればみんなが幸せになれる」
ステップファミリーに関する研究によると、ステップファミリーがひとつの家族としてまとまるまでに最低4年はかかるとされています。特に年齢の大きな子どもがいる場合はさらに時間がかかる傾向があり、再婚したからといって必ずしも家族全員がすぐに幸せを感じられるとはかぎりません。

2つ目:「相手のことを愛しているから相手の子どもも愛すことができる」
新しいパートナーのことは愛しているけれども、相手の連れ子を同様に愛すことは難しいという意見は少なくありません。連れ子を含めて信頼関係を結ぶには、それなりに時間がかかることを覚悟しておいたほうが良いでしょう。

3つ目:「実子と同じように相手の連れ子に対しても接するべきだ」
お互いに子どもがいる場合、多くの親は自分の子どもと相手の連れ子を同じように接しようと努力するでしょう。また、相手の連れ子に対して「良い親になろう」とさまざまな方法を考えているかもしれません。

イメージしている通りにいくならば良いですが、実子と連れ子を平等に接することは簡単なことではありません。そのため、理想を貫き通そうとせず、毎日の生活をひたすら積み重ねることで信頼関係を築いていくといったスタンスでいるほうが良いときもあります。

4つ目:「再婚したら実親には会わせないほうがいい」
円満なステップファミリーの状態を目指すためには、子どもを元パートナーに会わせないほうが良いと考える人がいます。しかし、本当は子どもが元パートナーに会いたいと思っているのに会えないという状態が続くと、離れて暮らしている本当の親を理想化してしまうことがあります。そうなると、新しい家庭を築いていくことが難しくなる可能性があります。親同士はお別れしていても、子どもにとっては実親であることには変わりません。子どもの意志をできるだけ尊重してあげることが大切です。

ステップファミリーが抱える悩み・ストレス

すでにステップファミリーという形をとっている人が抱える悩み、ストレスにはどのようなものがあるのでしょうか?一般的な結婚の悩みとはどういった違いがあるのか確認していきましょう。

子どもと継父・継母との関係

ステップファミリーで多い悩みのひとつに、子どもと継父・継母との関係が挙げられます。たとえば、パートナーの連れ子が懐いてくれない、実子がパートナーに懐かないなどです。しかし、これは子どもにとってみれば仕方のないことかもしれません。見知らぬ人と関係を築くのは大人でも難しいことですから、親子関係となればなおさらでしょう。子どもの気持ちを汲み取って、よく理解することが大切です。

子ども自身が抱えるストレス

子どもは、親の離婚によってすでに傷ついている可能性があります。そこに、新しい親や、場合によっては連れ子も一緒に暮らすことになり、大きなストレスを感じているかもしれません。

ほかにも、自分の親を新しい親に取られてしまった気持ちになることもあるでしょう。自分の母親(父親)が父親(母親)以外の男性(女性)と親しくする姿に、嫌悪感を抱いたり軽蔑したりする感情をもつこともあります。これは年齢が上がるにつれて強くなる傾向にあります。

元の家族との関係

離れて暮らしている親と継続して面会することを子どもが希望している場合、子どもの中で実親と育ての親の2人の親が共存することになります。また、自分が継父または継母で、連れ子がなかなか懐いてくれないと感じている場合、実親と会っている連れ子に対して複雑な感情を抱いてしまうかもしれません。

子どもにとって父親(母親)が2人いるという状況が、子ども自身にどのような影響を与えているのか不安になることもあるでしょう。このように、元家族との関係性もステップファミリーが抱える悩みのひとつに挙げられます。

2つの家族が一緒になることの悩み

お互いに子どもがいる親同士が再婚する場合、これまで異なる環境で生活していた2つの家族が一緒に暮らすことになりますので、生活習慣の違いから衝突することがあります。1つひとつはささいなことでも、毎日となるとストレスが溜まりトラブルの原因となることがあります。

初婚同士の結婚生活でもそういった部分は難しいところですから、まして子連れの親同士の再婚ならば子どもに生活習慣の妥協を求めるのはとても難しいでしょう。子どもがこれまでの生活習慣から新しいものへと切り替えるのには、大人以上に時間がかかるものです。無理やり新しいルールを守らせようとするのではなく、時間をかけて取り組んだほうがストレスは少なく済むでしょう。

ステップファミリーが抱える問題の解決策

ステップファミリーが抱える主な問題について見てきましたが、では具体的にどのように解決していけばよいのでしょうか。解決の糸口となる3つのポイントを紹介しますので、パートナーと話し合って取り入れてみてください。

型にはめた家族像を作ろうとしない

ステップファミリーになるとき、「せっかく家族になるのだから、きちんとした家庭を作りたい」などと気負い過ぎてしまうことがあります。新しいパートナーにとって良い妻(夫)になろう、相手の連れ子にとって良い母親(父親)になろうとがんばりすぎると、自分自身を追い詰めてしまい、かえってうまくいかなくなることがあります。

一般的な家族像に無理やり近づけようとはせず、「家族にはいろいろな形があっていい」という気持ちで、自然の流れに任せることも必要です。たとえば、連れ子に「パパ」や「ママ」と無理に呼ばせようとせず、最初はニックネームで呼んでもらうなど、お互いに無理せず、いい意味で期待しすぎずに自然と家族になっていくのを待ってみましょう。

実親と継親の役割を決める

連れ子にとって、実親以外の人からされたり、言われたりしたら嫌なことがあります。継親から注意されたり怒られたりすることに反感を覚える子どももいるでしょう。そこで大事になるのが、実親と継親とで役割分担を決めることです。

具体的には、「子どもに注意したり怒ったりするのは実親の役割」などと決めます。自分が連れ子に叱りたいことがあったら、まずパートナーに相談し、その後パートナーから連れ子に叱ってもらいます。もしも連れ子が落ち込んだら、そこで継親がフォローする形をとると、連れ子は継親のやさしさに触れることができ、円満にいくことが期待できます。

離れて暮らす実親に会うのを制限しない

親からすると、元パートナーと子どもが会うのはできるだけ避けたいと感じるのも無理はありません。ステップファミリーになって、これから新しい家族を形成していくときならばなおさらです。また、ステップファミリーになると養育費の受け取りが終わるケースが多くなるため、中には、子どもとの面会交流はもう不要なのではないか、と思う人もいるかもしれません。

しかし、子どもからすると離婚も再婚も新しい家族もすべて親の都合です。子どもが元パートナーと会いたがっているのであれば、面会することは子どもの権利ですから親の都合で止めてはいけません。新しい家族の中で戸惑いながらも頑張っている子どもが望むのであれば、元パートナーと会うことは制限せず、希望通りに会えるように調整してあげることが大切です。

養子縁組について

ステップファミリーになると、養子縁組について考える必要が出てきます。入籍するだけでは自分の子どもは新しいパートナーの正式な子どもにはならないため、法律上の親子関係になるには養子縁組の手続きをとることになります。ただし、養子縁組にはメリットもあれば注意すべき点もあります。本章で確認しておきましょう。

養子縁組には2種類ある

養子縁組には、「普通養子縁組」と「特別養子縁組」のふたつの種類があります。それぞれどのような点が違うのか確認していきましょう。

比較項目 普通養子縁組 特別養子縁組
親の要件 成人以上なら、一人でも独身でも可 婚姻関係にある夫婦(いずれかが25歳以上)
養子の年齢 制限なし 原則として申し立て時に15歳未満
実父母の同意 必要(子どもが15歳以上の場合は不要) 必要
手続き 当事者の合意で成立 試験養育期間(6カ月以上)を経て家庭裁判所による審判が必要
元パートナーとの血縁関係 存続 終了
戸籍への記載 養子、養女 長男、長女(実子と同じ)
戸籍の父母欄への記載 実父母と養父母共に記載 養父母のみ記載
離縁 原則として当事者の協議で可 原則できない

ステップファミリーの場合、一般的に普通養子縁組を選択するケースが多く見られます。普通養子縁組は、実親との親子関係も継続したうえで新しい親との養子関係を結ぶ制度なので、取り入れやすい制度といえます。

養子縁組のメリットと注意点

養子縁組のメリットは、実子と同様に扶養義務や相続権が発生する点です。普通養子縁組であれば、実親との法律的な親子関係も継続しているため、両方の相続権を持つことができます。

また、養子縁組をすると、子どもは「養子」、親は「養親」となり、戸籍上本当の家族になります。家族みんなが同じ苗字になるので、ひとつの家族としてのまとまりを感じやすくなる点もメリットといえます。

一方で、元パートナーから養育費を受け取っている場合、養子縁組をすると養育費を減額される可能性が高くなるといった注意点もあります。というのも、養子縁組後は養親が一次的な扶養義務者になるためです。養親の収入に応じて元パートナーから受け取る養育費の金額が減少されたり、場合によっては停止となったりすることがあります。

また、特に男性が初婚というケースの場合、最初から子どもの扶養義務が課されることに抵抗や不安を感じてしまう人がいるかもしれません。その場合はいきなり養子縁組を考えずに、一緒に暮らしていく中で自然とタイミングを見計らって相談するのもひとつの方法です。

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あせらず無理せず幸せなステップファミリーを育みましょう

ステップファミリーは一般的な家族とは違った問題や悩みを抱えやすいため、時として衝突してしまうことがあるかもしれません。しかし、違う環境で暮らしてきた家族がひとつになって暮らしていくためには、ストレスを溜めず、互いに気遣って、ひとつずつ話し合って解決していくことが大切です。あせらずゆっくりとオリジナルな家庭を育んでいきましょう。