前編ではご自身の離婚や仕事について赤裸々に語ってくれた高橋先生。今回は子育てについて語っていただきます。子育てて苦労したこと、お子様との向き合い方など、共感ポイント満載の内容となっています!
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目次
娘と向き合うために子育てについて学んだ
―離婚後のお仕事が大変だったことを伺いましたが、お子さんのことや子育てで大変だったことはありますか?
お迎えとかで仕事が思うようにできないとかいうのもそうなんですけど、子育てということで考えたときに、私が1番大変だったのは、こどもをあるがままに受け止めるということでした。私はいろんな考え方を許容するのが昔から苦手で、自分の基準でジャッジしちゃう人間なんです。
例えば、夏休みとか、娘が宿題やらないでボケッとしてると、「え、夏休みの宿題って7月中に終わらせるのが常識でしょ?8月までダラダラしているなんて、だらしない人間のやることで、7月中に終わらせて、その後何をプラスアルファでやるかが大事でしょ」などと言って、模造紙を買ってきて、夏休みの計画表なんていうものを勝手に書き上げてそれどおりに管理しようとしたり。
娘は、私と両極端のところにいて、すごい自由人なんですよ。
私がこうしなさい、と言ったことを「え?どうして?どうしてそうしなくちゃいけないの?」って言ってきて、そう言われても、私にとっては「そうするのが常識」としか言えない。私が「常識でしょ」なんて言うと、「え?常識ってなに?」とか言われてカッときちゃう。
本来なら何も問題など存在しなかったところに、私の価値観で「この子がこういう行動をとることは問題だ」と捉えてしまって、自分で作り出したこどもの「問題」に悩む日々。子育てを私が勝手に大変にしてたところがありました。私がその価値観を押し付けて、「こうしなさいああしなさい」「それはダメだ」って言っていたがために、娘には本当に大変な思いをさせてたと思います。
うちの子は、なんで思うようにならないんだろうっていうところが、私の子育ての中で1番苦しかったところでした。自分の中にある、「こうあるべき」に沿わせようとしているのにこどもがそのとおりにならないことが、すごく苦しかったんです。
ただ、こうやって勝手にあれこれ苦しんでいるうちに、うまくいかないのって、もしかして自分に原因があるのかなって思い至ったんです。
そこで、子育てについて学ぶコミュニティに入って、勉強しました。
お恥ずかしいのですが、そこで初めて、私は、こどもの思いをそのまま受け止めたり、自分の価値観と違うものを、「こういう考え方もあるんだな」とそのまま受け止めたりすることが全然できてなかったことに初めて気きました。このことが腹落ちして、少しずつ少しずつ自分を矯正していきました。それに伴って、不思議と、私自身が子育てを当時よりは苦しく思わなくなりました。
―すごい良い話ですね!こどもに幸せになってほしい母親あるあるですよね。自分はこれがいいと思ってるから、やっぱり言っちゃいますよね。
私自身が、親からこうしなさいとか、それはダメとか言われても、「そうなんだ」って思う子だったんですよね。あまり反発を知らないというか、親の敷いたレールだったり、学校のこうすべきみたいな教育に、何にも疑問を思わないこどもだったので、そうではない娘のことをなかなか理解できなかった。もし、娘も私のこども時代みたいな子だったら、私の押し付けをそのまま辿ってきたんだと思うんですけど(笑)
―ところがどっこい(笑)
当時の私はすごく苦しかったけれども、今は、大事なことを学ばせてもらったな、って思っています。自分の「こうあるべき」にがんじがらめになっていた私のもとに、違う世界を見せてくれるために娘が来てくれたんじゃないかと今は本気で思っています。
シングルマザーになってからは、私がなんとかしなくちゃ!という変なプレッシャーも感じていたので、こうしなさい、ああしなさいっていうのが、より激しかったと思うんですよね。
こどもの手を握りながら、無理やり鉛筆を持たせて宿題をさせたりしたこともありました。
けど、今はもう宿題しないって言えば、「しないはしないでもいいよ。それは自分が選ぶことだし。その代わり、先生にちゃんとそれを自分で話しなさい」と言えたりするようになりました。昔の私だったら、絶対できなかったことが、だんだん選択できるようになってきたかなと思っています。まあ、これが正解なのかどうかもまだわからないですけど(笑)
娘が笑って過ごせるように寄り添っていきたい
―お子様に対してこういう大人になってほしいなとか、願うことってありますか?
綺麗事じゃなくて、今はもうとにかく楽しく、毎日元気に健康で、笑っていてくれればそれでいいと思ってます。
当然、そうするためには、自分でちゃんと生活していける経済力とかはつけておく必要はあると思いますが、自分が楽しいと思うことを見つけて、仕事にできて、それをしながら、とにかく毎日楽しいって実感しながら、健康に生活できれば、それがすべてだと思っています。
娘は自由人なところもありますが、繊細で、ちょっとしたことにすぐ不安になってしまったり、くよくよしちゃうことがあるので、「自分は大丈夫なんだ!大丈夫大丈夫!」って自信を持って、何事も、おおらかに、笑顔でスルーできるようになってほしいなと思っています。
娘がそうやってどんと構えられるようになるためには、どんなときでも、根拠がなくても「私は大丈夫」って思える必要があると思うんです。
そして、そうなれるために私ができることは、日々、娘に対して私がいかに娘を大事に思っているか、をそのすべてのふるまいで伝え続けること。そうすることで、娘が、自分は本当に大事な存在だってことを当たり前のこととして実感できるようになるように思うんです。
ちょっとうまく表現できないのですけど、そうやって娘の中に感覚として「私なら大丈夫」というじんわりしたものが出来上がってくれば、この先、どんなことにも力強く立ち向かえるような気がしています。だから、私は、いかに娘を大事に思っているか毎日伝えていますが、伝え方がうるさいようで、最近は、うるさいって嫌がられます(笑)
娘、そして自分の身近な人に全力を尽くしていく
―今後、先生自身がこの先やってみたいことや、こういう自分でいたいなど、何かありますか?
私は皆さんみたいに、壮大な目標とか、社会のためにこれがしたいとか、そういうのが昔から無くて…
こういう場で問われたときに、「一人でも多くの人のために」とか社会貢献とか、目指すべきものとしてお話ししたこともあるし、それは嘘ではないのですが、やっぱり自分の中で「私は本当にそういったものを目指しているのかな?」という思いは残ります。
少し前に人から「もしあなたが明日もういなくなるとしたら、今日何したいか」ということを聞かれた時に、何の迷いもなく「娘に対して、自分が伝えられることを伝える」しかなかったんですよね。
そのとき、ハッとしました。私がしたいのは、まずは娘のために、親としてできることをする。娘が不安なく生活できる経済的な環境を整えることとか、安心して生活できる温かい場所を作るとか、私がいなくなっても幸せに生きていける子に育てるとか、何よりもそこが1番で、そこにしか真実がないことに気付きました。
でも、こうして弁護士として仕事をさせてもらっている以上、やはり、それだけでは終わらないというのも事実。
娘のため、というところから、ほんの少しずつ範囲を広げて、自分の目に見えてる身近な人のために全力を尽くす、ということができればいいなと思っているんです。娘の次に身近っていうと、親や兄弟、そして職場の仲間たち、お仕事を通じて接する方々やクライアントですね。
そういう目の前の人たちのために全力を尽くしていると、そのことがまたその隣のかたに繋がったりして仕事が少しだけ広がる。そして、それが自分にできることだったら、全力でまたやるみたいな。
私はこの分野を極めるぞとか、社会のために力を尽くすぞ、みたいなことは嘘になるけど、こうして身近な人たちのために全力を尽くしたいということだけは真実。そんな気持ちで仕事をしています。
―すごく高橋先生のお人柄が伝わってきます!でも今日お話を聞いていていろんなことが意外でした。こういう考えなんだっていうすごい意外性ありますね。
理想とか抱いてそうですか?(笑)
―抱いてそう!結構高いところをどんどん目指していくような。
そんなこと全然ないんです。
自分の行動で過去の選択を正解にしていく
―最後になりますが、離婚に対して不安になってる、どうしようと悩んでる毎日を送ってる、ちょっとモヤモヤっとされている方に対して、何か先生がかけてあげられる言葉ってありますか?
私は、「離婚したことを後悔はしてないです」と、よく色々なところでも言ってるんです。自分の行動で、過去の選択を正解にするっていうのは、私自身の信条でもあるので、絶対に自分が決意したことを後悔はしないし、あれは正解だったと思えるような行動はしてるけど、客観的に見た時にそれが正解かどうかってわからないですよね。
離婚をするかどうか悩んでいる方に対して、「離婚しても大丈夫、絶対正解にできるよ」って、そういう背中の押し方は絶対にしたくないと思っています。
私はたまたま母の助けもあったり、全然仕事ができていなかったにしても、弁護士としての資格があったことで本当に助けられたところは間違いなくあるのに、そういった前提を無視して、無責任なことは絶対に言うべきじゃないと思っています。また、私は離婚したけど、離婚という選択をしないで修復に向けて何ができるかを考え、それを正解の選択肢にしていく、というかただっていらっしゃるわけです。
自分がどうしたいかと悩んでいる時って、誰かに背中を押してほしい、誰かに「それでいいんだよ」って言ってほしいという想いがすごくあると思うんですね。
それはそれでその時には楽になるのかもしれないけど、私は、色々な意見を聞きつつも、自分で完全に迷いがなくなるまで、とことんモヤモヤする必要があると思っています。その悩んだ時間は絶対無駄にはならないし、どっちを選択するにしても、その悩んだ時間は、後で間違いなく何か意味があることとして生きてくると思うので。
私が離婚を振り返って1番苦しかったのは、離婚するかどうか悩んでた時期だったようにも思うんです。でもそうやってモヤモヤしていること自体に、きっと、後々積極的な意味付けはできると思うので、判断を人任せにしたり、途中で諦めたり、妥協したりとかじゃなくって、苦しくても歯を食いしばって考え尽くしてほしいと思います。
―モヤモヤしている時間も必要な時間ってことですよね。
今回、先生のお話を伺って、自分自身の学びも多く、共感ポイントがたくさんでした!高橋先生、ありがとうございました!
高橋先生の大切にしているものをご紹介!
① お子様が作ってくれた弁護士バッジ
娘さんが作ってくれた弁護士バッジ。今でも宝物として大切に持っているそうです。
② 手帳
その時感じた気持ちとかを書き溜めているそう。改めて読み返して「私はこの時こういうことを思っていたんだ」と振り返るそうです。