「母子家庭で無職だと、賃貸契約は結べないよね……」とあきらめていませんか?たしかに契約にハードルはありますが、契約できないというわけではありません。本稿では、母子家庭で無職でも賃貸契約ができるのか、入居審査に通るためにはどうすればよいのかについてお伝えします。離婚後の賃貸契約について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
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目次
母子家庭でも賃貸契約はできるの?
母子家庭でも賃貸契約はできます。たとえ母子家庭で無職の人であっても、その属性のために契約が不利になることはありません。とはいえ、母子家庭の場合は、賃貸契約を結ぶ際の審査に通りにくいことも考えられます。その理由を理解するには、審査で注目されるポイントについて知っておくことが大切です。
審査では、契約者が家賃をきちんと払ってくれる人なのかを判断するために、以下の点が注目されます。
➀家賃の支払い能力があるか ②連帯保証人を立てられるか(もしくは保証会社の審査に通るか) ※連帯保証人:物件を借りた人が家賃を滞納した場合に、代わりに家賃を支払わなければならない人のこと |
この2点を明らかにできれば、母子家庭であろうと問題なく賃貸契約を結ぶことができます。
ただし、母子家庭の場合、収入が不安定だったり連帯保証人を立てられなかったりするケースは比較的多く存在します。そのため、上の2点を示すことが難しく、賃貸契約の締結が難しい可能性があります。特に母子家庭で無職の場合は、賃貸契約を結ぶためにいくつかの方法を検討する必要があります。次章から紹介する方法を参考にしてみてください。
母子家庭で無職でも賃貸契約をしたい場合
母子家庭で無職の場合でも、子どもと安定した生活を営むためには住まいが必要です。事情により、何としても賃貸契約をしたいという人もいるのではないでしょうか。本章では、母子家庭で無職の人が賃貸契約をするための方法として、以下の4つを提案します。
・貯金残高を示す ・両親を連帯保証人にする ・親や親族に契約してもらう ・助成金を利用する |
それぞれくわしく見ていきましょう。
預貯金残高を示す
母子家庭に限らず、無職の人が賃貸契約を結びたいときには、預貯金残高を提示して家賃の支払い能力を示す方法があります。預貯金残高をもとに審査してもらうことを「預貯金審査」といいます。
たとえ現在無職でも、しばらく家賃を支払える程度の預貯金があれば、家賃の支払い能力があるとみなされるため、審査に通る可能性が高まります。審査に通りやすくなる預貯金残高の目安は、家賃の約1~2年分です。預貯金審査をしてもらう場合、たとえば家賃5万円の物件なら、60万~120万円程度の預貯金が必要ということになります。
両親を連帯保証人にする
母子家庭で無職の人が賃貸契約を結びたい場合には、両親に連帯保証人になってもらうのもひとつの方法です。
先ほどお伝えした通り、賃貸契約の審査では、連帯保証人がいるかどうかも大きなポイントとなります。連帯保証人がいると貸す側が安心できるからです。審査に通りやすくするには、できるだけ収入が安定している人を連帯保証人にする必要があります。
なお、賃貸契約において連帯保証人になれるのは3親等以内の親族です。血縁が近いほど審査に通りやすいので、1親等である両親を連帯保証人にするのが理想でしょう。両親に安定した収入がある場合は検討してみてください。
親や親族に契約してもらう
無職の人が物件を借りる際、親や親族に代理で契約してもらう方法があります。これは「代理契約」と呼ばれる方法で、物件の契約者と実際に住む人が異なる契約のことです。賃貸契約の審査は契約者の収入で判断されるため、親や親族に安定した収入があれば審査に通りやすくなります。
ちなみに、代理契約で物件を借りる場合は、入居者の住民票や身分証明書などの書類を用意し手続きをする必要があります。手続きをしないと違反行為になりますので、気を付けましょう。
助成金を利用する
母子家庭の人が賃貸契約をする際、自治体の助成金制度を利用することで生活が安定し、十分家賃を払っていくことができると示せると、審査に通る可能性が高まります。自治体の助成金を受給していることは、定期的な収入を得ているのと同じだからです。
お住まいの自治体によって利用できる助成金が異なります。あらかじめ確認しておきましょう。
以下に、母子家庭が受け取れる助成金や手当の一例を紹介します。
種類 | 受け取れる金額 | 受給条件 |
---|---|---|
住宅手当 | 5,000円~1万円程度 | 20歳未満の子どもを養育しているシングルマザーなど |
児童扶養手当 | 1人目は4万3,070円 2人目は1万170円 3人目以降は6,100円など |
高校を卒業するまでの子ども、もしくは障害のある20歳未満の子どもを養育するシングルマザーなど |
児童手当 | 0歳~3歳未満:1万5,000円 3歳~小学校卒業まで:1万円(3子以降1万5,000円) 中学生:1万円など |
0歳から中学校卒業までの子どもを養育しているすべての家庭 |
児童育成手当 | 子どもひとりにつき1万3,500円 | 高校卒業するまでの子どもを養育しているシングルマザーなど |
ひとり親家庭等医療費助成制度 | 医療費や薬剤費料などの一部金額 | 高校を卒業するまでの子ども、もしくは障害のある20歳未満の子どもを養育するシングルマザーなど |
▶シングルマザーが利用できる助成金や手当については、こちらの記事も参考にしてみてください。
シングルマザーが使える手当|もらえる額を試算してみよう
公営住宅やUR賃貸住宅も検討しよう
母子家庭で無職の人が賃貸物件を借りたい場合、公営住宅やUR賃貸住宅を検討するのもおすすめです。
公営住宅は、自治体が低所得者に向けて提供している物件です。運営する自治体によって「都営住宅」や「県営住宅」、「市営住宅」などと呼ばれています。生活困窮者に住宅を提供することが目的なので、公営住宅の家賃は同じエリアの物件相場よりもかなり安いです。
なお、収入が一定額以下の母子家庭の場合、家賃の減免が受けられることもあります。自治体によって制度が異なりますので、確認してみてください。
いっぽうUR賃貸住宅とは、行政法人や都市再生機構が管理する物件のことです。以前は「公団住宅」と呼ばれていたもので、全国に70万戸以上あります。さまざまなタイプの物件があり、ファミリー向けの物件も多いです。
UR賃貸住宅への入居には、礼金や仲介手数料、連帯保証人が不要です。ただし公営住宅ほど家賃が安いわけではありません。また、申込条件が厳しめに設定されていることもあります。あらかじめ詳細を確認しておきましょう。
UR賃貸住宅では、「子育て割」という子育て世帯にうれしいサービスをおこなっています(2022年11月現在)。これは、最大6年間家賃の20%をサポートしてもらえる制度です。母子家庭でUR賃貸住宅に入居する際は、活用してみてはいかがでしょうか。
公営住宅やUR賃貸住宅は、安い家賃で住めたり、連帯保証人がいなくても借りられたりするため、母子家庭でも入居しやすいです。また同じような母子家庭世帯が近所にいるケースも多く、安心して生活できるといえるでしょう。
いったん実家に戻って内定を先にもらう手も
賃貸契約の審査を通しやすくするためには、ひとまず実家に戻り、安定した仕事を得てから賃貸契約を結ぶのもひとつの方法です。
シングルマザーの場合、就職活動をすること自体、簡単なことではありません。いったん実家に戻って就職活動をおこない、内定をもらってから賃貸契約を結ぶという流れなら、比較的スムーズに物件を借りられるでしょう。
審査の通りやすさを考えると、正社員として働けるのが理想です。しかし小さい子どもをもつシングルマザーの場合、パートやアルバイト、契約社員といった非正規雇用を選ぶ人も多くいます。
非正規雇用でも安定した収入を得られる仕事に就ければ、賃貸契約を結べる可能性は広がりますので、あきらめる必要はありません。実家に頼れる場合は、まず仕事探しに専念し、その後子どもとの住まいを確保するという方法も検討してみてくださいね。
母子家庭で無職の場合に賃貸契約で必要なもの
母子家庭で無職の人が入居審査や賃貸契約の際に必要なものは、以下の通りです。
・住民票(子どもと続柄がわかるもの) ・身分証明書(運転免許証や保険証など) ・子どもの保険証 ・助成金や手当を受給している証拠 ・収入を証明する書類 ・印鑑、印鑑証明書 ・初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・前家賃など/合わせて家賃4~6カ月分相当) ・【預貯金審査の場合】通帳のコピーや残高証明書 ・【連帯保証人が必要な場合】 連帯保証人に関連する書類(住民票や身分証明書、収入証明書のコピーなど) |
公的な書類は発行から3カ月以内のものしか認められません。用意する際は気を付けましょう。
母子家庭で無職でも賃貸契約は結べる!やり方を見つけてみよう
母子家庭で無職でも、賃貸契約は結べます。離婚後の生活を早く安定させるためには、あらかじめ情報を確認したり仕事を探したりしておくことも大切です。「母子家庭だから……」「無職だから……」とあきらめず、本稿で紹介した方法を検討してみてくださいね。