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【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介
新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

目次

  1. お父さんとお母さんが別々に住んでいる
  2. たいが君の場合

お父さんとお母さんが別々に住んでいる

お父さんとお母さんの関係がうまくいかず、離婚してしまうことがあるだろう。
離婚は子どもの運命を大きく変えてしまうよね。家が変わったり、生活が厳しくなったり、きょうだいがバラバラになってしまったり、おじいさんやおばあさんに引き取られることになったりする。
離婚した親が別の人と再婚するケースでも同様だ。家に、いきなり見ず知らずのおとながやってきていっしょに暮らすことになる。その人を「お父さん」とか「お母さん」と呼ばなくてはならない。さらに、相手の連れ子ときょうだいとして住まなければならないことだってある。
離婚も再婚も、君の生活を大きく変えることにはちがいない。君は親の決めた生活をしなければならない。でも、新しい生活環境にはなかなかなじめないので、ストレスがどんどんたまってしまう。
僕は、そういう子どもたちをたくさん見てきた。ある子はストレスがたまって不登校になってしまったし、ある子は非行に 走ってしまった。みんな平気そうにふるまいながら、おとなにはわからないほど傷ついていた。
でも、こう言いたい。
「親が離婚・再婚することになったとしても、子どもである君がつらい思いをする必要はない」
離婚・再婚後の生活は、親の都合によって決められてしまう。君からすれば、まったく別の生活環境にほうりこまれることになる。それを押しつけられれば、当然生活はつらいものになってしまう。
でも、君が「こうしてほしい」「ああしてほしくない」と言うことができて、親がそれを少しでも聞き入れてくれたらどうだろう。あるいは、親せきに自分の意志を代弁してもらうという方法もあるだろう。
たとえば、「離婚することになったとしても、高校卒業までは再婚しないでほしい」とか、「家を出ていくことになったとしても、県外へ引っ越すのではなく、近くのおじいさんの家で暮らして同じ中学に通い続けたい」と言って、聞き入れてもらえたとしたら、ずいぶん楽になるんじゃないだろうか。
もし君が親に直接そういうことを言えて、親もそれにきちんと耳をかたむけてくれるのならばいい。でも、こういう状況の中で、親に意見を言うのは勇気がいるし、子どもの言葉をなかなか聞き入れてくれない性格の親もいるだろう。仲のいい親せきがおらず、相談できないこともある。
そんなときに、君がたよりにするべきなのが、スクールカウンセラーだ。スクールカウンセラーは、君の家庭環境をよりよいものにするための方法を知っている。君のなやみや希望を聞いて、家族と話し合って、新しい生活をストレスのないものにすることができるんだ。
ただ、たとえ信頼できるスクールカウンセラーでも、おとなと二人きりで対面すると、話しにくいこともある。とりわけ自分の家庭のことを話すのは、勇気がいることだからね。
そんなときは「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」や「子どもの人権110番(0120-007-110)」に連絡をしてみてほしい。スクールカウンセラーと同じように、君のなやみを聞いてどうするべきか、いっしょになって考えてくれるだろう。
ここで一つ、スクールカウンセラーによって、解決したケースを紹介しよう。

たいが君の場合

お母さんはシングルマザーとして、たいが君と弟の二人を育てていた。たいが君もお母さんが仕事に出ている間は、弟のめんどうをみて家を守っていた。自分が父親の代わりだと思っていた。
中学一年生のとき、お母さんに恋人ができた。お母さんは毎週のように恋人の男性を家に連れてきた。男性は自分の家のように冷蔵庫を勝手に開け、おフロに入り、たいが君たちをしかった。
たいが君はそれがものすごくイヤだった。それでだんだんと家に帰らなくなり、夜遅くまで街をフラフラしてすごした。やがてクラブ活動にも行かなくなった。
ある日、学校の先生が、たいが君が変わったことに気づいて、どうしたのかとたずねた。たいが君が事情を話すと、先生はスクールカウンセラーを紹介してくれた。スクールカウンセラーは言った。
「じゃあ、私が一度お母さんと話をしてみるわね」
スクールカウンセラーは、お母さんと面接をして、たいが君が恋人のことでどれだけつらく、さびしい思いをしているのかを伝えた。
お母さんはそれを聞いて反省した。お母さんは、たいが君が新しい父親ができることをよろこんでいるとかんちがいしていたのだ。
お母さんは、たいが君とスクールカウンセラーにこう約束した。
「本当に結婚することが決まるまで、恋人を家に連れてくることはしない。その代わり、週に一度だけ恋人と外で会うことを許して」
たいが君は「わかった」と答えた。
お母さんは約束を守り、恋人ともいろいろと話し合ったようだ。恋人のほうも反省をし、二人でこう決めた。今すぐに再婚していっしょに住むことはしない。その代わり、子どもたちが無事に高校を卒業できたら、あらためて再婚を考える。
たいが君は弟と安心してすごすことができるようになった。

たいが君のお母さんは、家に恋人を連れてくるのを、子どもたちが「新しいお父さんができた」と思ってよろこんでくれていると思っていた。でも、スクールカウンセラーが間に入って、たいが君の本当の気持ちを説明したことで、家の環境がガラリと変わった。
親だからといって、かならずしも子どもの気持ちをわかっているわけではない。もし君が親に気持ちを伝えられないのならば、別のおとなに言ってもらうことで、状況は大きく変わるかもしれない。だからこそ、人に相談してみることが大切なんだ。


人生の歩きかた図鑑

石井光太(いしい・こうた)
1977年、東京生まれ。『物乞う仏陀』でデビューし、国内外を舞台したノンフィクションを精力的に発表。『レンタルチャイルド』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『漂流児童』など、子どもの問題を扱った作品も多い。児童書に『ぼくたちはなぜ、学校に行くのか。』『みんなのチャンス』『幸せとまずしさの教室』『君が世界を変えるなら(シリーズ)』などがある。他に小説など著書多数。

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