【厳選】ママスマ編集部 おすすめ書籍を紹介

新たな生活に踏み出したシングルマザーの私たち。しかし、足元を見ればお金、教育、仕事、養育費などなど、不安と悩みは尽きません。それらの悩みに対し各方面の専門家、そして先輩たちが、書籍を通してたくさんの知恵を提供してくれています。ママスマ編集部では、そんな知恵とアドバイスの詰まった書籍を厳選、内容を抜粋して紹介してまいります。

子育てのイライラを生む3つの悪循環

講師として「こども手帳術」をお伝えしている私は、「いいお母さん」であり、子どもたちと穏やかに暮らしていると思われがちです。でも、残念ながら私は、思い描く理想の母親像には程遠く、子どもたちとの関わり方も上手ではないので、日々試行錯誤しながら過ごしています。

数年前までの私の口癖は「いいお母さんになりたい」でした。周りのママたちはいつも笑顔で、子どもたちと楽しそうに過ごしているのに、どうして私はできないんだろう。どうして隣のあの子はこんなこともできるのに、うちの子はできないんだろう。周りと比べては、ダメな自分を責め続けていました。

そんな私が試行錯誤しながらたどり着いたのが、この「こども手帳術」なのです。

こども手帳術を考えるまでの私と子どもの関わり方は、怒り、怒られの繰り返しで、次の3つのような悪循環に疲れ切っていました。

①朝から晩まで 「指示・指導」の悪循環

「早く起きなさい」からはじまり、「こぼさないで食べなさい」「早くしなさい」「いい加減にして」「これやったら?」「あれは持ったの?」「早く寝なさい!!」……と私は全部勝手に先回り。思い通りに動かない子どもたちにイライラし、子どもたちは、「今やろうと思ってたのに!」「わかってるよー!!」とプンプン怒るの繰り返し……。

②「何からやればいいかわからない」の悪循環

ランドセルの片づけ、宿題、ピアノの練習、おやつ、テレビも見たいし、本も読みたい。学校から帰ってきた子どもには、やること、やりたいことがいっぱい。

娘は「あー、何からやればいいのかわからない!」と毎日パニックになり、私は、「とにかく宿題やっちゃいなさい!」と、またまた指示。「そんなことわかってるけど、ほかにもやりたいことがあるから困ってるの!」と子どもは怒り、「騒いでないでやることやっちゃいなさい!」と私はさらに怒るの繰り返し……。

③「ママのせいで……」 の悪循環

忘れものをすると、娘は決まってこう言いました。「ママがちゃんと言ってくれなかったから、持って行くの忘れたじゃん!」。

自分が使う体操着、絵の具セット、自分が学校に提出するお手紙なのに。「何で私が怒られるの?」とイラッとする私。同時に、「この子、自分のことを人のせいにしてばかりいて大丈夫? 自立できるのかな……」という不安の繰り返し……。

こども手帳で親子のストレスを解消!

この悪循環を断ち切るために、「こども手帳術」を考えました。そして、日々こども手帳と共に子どもたちと生活していくことで、この悪循環は少しずつ解消していっています。

①「言わないでもやれる」子ども、「言わないで待てる」親

「こども手帳術」の基本は、やることが全部手帳に書かれているということ。そのため、娘はそれを見て自分でやることがわかるようになりました。

親に口で指示されると「今やろうと思ってたのに!」と反発したくなるし、やらされている感が強くなります。しかし、娘が自分で手帳を見て、実際にやれたことは、自発的にできたことなので、「自分でできた!」という達成感を感じられます。

私のほうも、先回りしていちいち指示しなくても、手帳があれば大丈夫、と思えるようになり、口うるさく指示することが少なくなりました。

それでも、宿題やピアノの練習など、やってほしいことをやっていないときは、つい、「早くやりなさい!」と言いたくなります。そんなときは、「手帳を見てね!」と、本人がやることを思い出せるよう促すようになったので、確実にガミガミ言う回数は減りました。

②自分で先を見通せる安心感

娘は、「あれもこれもやりたい!」と頭の中で考えてパニックになっていましたが、やりたいこと、やらなくちゃいけないことを、手帳に全部書き出すことで、自分で計画を立てられるようになりました。

計画通りにいかないことも多いですが、計画を立て、やってみて、失敗して、また計画する……ということを繰り返すことで、少しずつやることの優先順位をつけられるようになってきています。何より、「どうしよう!!」 とただパニックになって騒ぐことは減り、困ったときは一緒に手帳を見ながら計画することができるので、会話が柔らかくなりました。

③自分のことは自分で

娘は、持ちもの、提出物などは親が用意し、それを持って行くものだと考えていました。いつも私が用意していたからです。この受動的だった行動が、全部自分の手帳に書いてあることによって、自分で用意するようになりました。自分の手帳に書いてあることは自分のこと、と認識できるようになったため、「ママのせいで」と言わなくなったのです。

下の娘は、3歳から手帳のある生活をはじめました。幼稚園へ行く前のしたく、幼稚園の持ちものなどは手帳を見て順番にやればいい、という方法をずっと実践してきました。だから小学校に上がったとき、やることや、やる時間などが変わっても、「手帳に書いておけば大丈夫」と安心できて、大きなパニックもなく、スムーズに小学校生活をスタートさせることができました。

このように、手帳を活用して、日々繰り返される悪い循環を断ち切ることで、少しずつ親子の怒り、怒られの毎日が解消されていきました。もちろん、日常の中でまた新たな悪循環が生まれることもあります。でも、今は「こども手帳術」によって早い段階で振り返り、解消することができるようになりました。

こども手帳術でこんなにハッピー!

わが家以外にも、手帳の活用で親子に起きたよい変化をたくさんご報告いただいています。

自分でできる子になってもらいたい、怒らないで見守れる親になりたい、そう願う人の強い味方となるのが「こども手帳術」なのです。

子どもに手帳が役立つわけ

子どもは「今」 を生きている

ではなぜ、「こども手帳術」によって親子の関係に変化が訪れたのか、考えてみましょう。

日々繰り返される親子の怒り、怒られの悪循環は、そもそも大人と子どもの特性の違いによって起こっています。本来、子どもは「目の前のことが一番」な生きものなのです。小さければ小さいほど、その日暮らし、というか、その場暮らしです。もしかすると、もっと短いかもしれません。今、その瞬間を生きているのが、子どもなのです。

目の前のことが一番、つまり、目の前にないことは子どもにとっては大切なことではないのです。と言うより、理解できていないと言ってもよいのではないでしょうか。

だから子どもは、

①時間の感覚がない
(時間は目に見えないので、理解できない)
②やることが見えていない
(目の前にない先のことまで配慮できない)
③目先のことに夢中になる
(目の前のことが一番ですから)

それが当たり前の姿なのです。

具体例にこの3つをよくあるシチュエーションに当てはめてみましょう。

家を出る時間が10分後に迫っているのに、まだご飯を食べているとき、子どもの状態は次のようになっています。

①時間の感覚がないから、「あと10分で出かける時間だよ!」と言われても、「10分」がどれぐらいの長さなのかわからない
②次に何をやればいいのか、家を出るまでに何をやらなくちゃならないのか、自分のやることがわからない
③やらなくちゃいけないしたくよりも、自分の好きな本、おもちゃ、テレビのほうに気を取られてしまう

子どもはこのような状態だから、ぼーっとテレビを見ていたり、だらだらご飯を食べたりと、あせらずに気の向くことをやるのです。逆に、「あーどうしよう。 次は何やるんだっけ?どうしよう。何しよう?」と、あっちへ行ったりこっちへ行ったり、あせる気持ちばかり大きくて、パニックになる子もいます。

ほかのシチュエーションでも、この3つに当てはめて子どもの行動を考えてみてください。

お風呂あがりに裸のままで走り回っている、宿題をやっていないのにゲームばっかりやっている、夜寝るのが遅いから朝起きられない、忘れものが多い……というような、「子どもあるある話」は、ほとんど「目の前のことが一番」という性質によることに気がつきます。

大人の特性が勝手にイライラを生む

そんな小学生くらいまでの子どもたちを見て、私たち親や大人は、どう感じるのでしょうか。

「何でぼーっとしていられるのかしら?」「どうしてこのタイミングで遊んでいられるの?」と子どもの行動が理解できず、「何で毎日のことなのに、わからないのだろう?」とイライラしつつも不思議に思います。そして、ぼーっとしている子どもの姿を見ると、「急ぎなさい! 遅れるわよ!!」と言いたくなります。

しかし、私たち大人も数十年前は同じように目の前のことが一番な生きものだったはずです。

人は、長い年月をかけて多くの経験をすることで、時間の感覚や、生活習慣を身につけます。そうすることで、だんだん目の前にないことも理解できるようになり、大人になると先を見通せるようになるため、目の前のことが一番な生きものではなくなっていくのです。

自分の経験値フィルターを通して見ていると、子どもの行動は不安なことが多く、わが子がかわいい、という思いもあって、先回りしたくなってしまうのです。

子どもの特性を活かす方法

先が見通せる大人vsその瞬間を生きている子ども。これが、毎日繰り返される親子のバトル、悪循環のからくりなのです。

しかし、特性が違うのだから仕方ない、子育てしている間はこの悪循環は続くのだと、あきらめるわけにはいきません。その特性を生かして、この悪循環を解消してくれるのが、「こども手帳術」です。

目の前にないことは理解できていない、目の前のことが一番な子どもですから、手帳を使って理解できていない時間や、やることなどを見える形にしてあげればいいのです。手帳を活用して生活をすると、悪循環が解消されるだけでなく、親子のコミュニケーションが増え、子どもに対して優しく、穏やかになります。

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著者:星野けいこ(ほしの・けいこ)
あな吉手帳術認定校講師。自分deカウンセリング講師。自身が2児の母としてストレスフルな生活をすごしていたときに「あな吉手帳」に出会い、生活、気持ちがラクになった経験から、同じように子育てを頑張っているママたちを応援する手帳活用方法を伝えたいと、あな吉手帳の考案者・浅倉ユキに師事。手帳術講師として活動中。 「こども手帳術講座」では、「子どもたちに手帳のある生活をプレゼントしよう!」を合言葉に、自分で考えて実行できる子になるための手帳活用方法&ママの見守り術を考案・発信している。著著に、『親子で楽しく! 自主性、自立心が育つ こども手帳術』(PARCO出版)、『自分で考える子になる「子ども手帳術」』(日本実業出版社)がある。
 

監修:浅倉ユキ(あさくら・ゆき)
あな吉手帳術考案者。ゆるベジ料理&手帳術研究家。おいしくて体にやさしい「ゆるベジ料理」のほか、「あな吉手帳術」「3ステップ時間管理術」「自分deカウンセリング」などの講座を「another〜kitchen」にて主宰。“あな吉”さんの愛称で多くのファンを持つ。「女性のストレス値を下げる」をテーマに多方面で活躍中。著書は、『あな吉さんの主婦のための幸せを呼ぶ!手帳術』(主婦と生活社)、『あな吉さんの「ゆる家事」レッスン』(筑摩書房)など多数。