離婚の理由はさまざま。そして、その後の人生も、選択と決断の毎日です。先行きに不安を覚えたり、失敗して落ち込んだりすることもあるかもしれません。少し煮詰まってしまったら、この企画に相談にいらっしゃいませんか?自ら5人の子どもを育て上げた日本シングルマザー支援協会代表の江成道子さんが、本音で、真剣に、あなたの悩みに答えます。第一回目のご相談は「離婚すべきか、決められない……」。悩めるママさんに江成さんはどんなアドバイスをされるのでしょうか。
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目次
今月の相談:夫が給与明細を見せてくれません。離婚すべきでしょうか……
結婚して7年になりますが、夫が給与明細を見せてくれたことがありません。
娘を妊娠してパートを辞めてから生活費をもらうようになりました。が、食費や教育費がかかるようになっても生活費は据え置きで、「足りなければ自分で稼げ」と言われ、ふたたびパートに出ています。貯金があるのかもわからず離婚が頭をよぎりますが、娘にとっては父親ですし、ひとりで娘を育てる自信がなく迷っています。
ただ、子育てを協力してくれない上に、働けと言う夫と今後一緒に暮らしていける自信もありません。今の私の収入と貯蓄額では娘を育てられないので、離婚するべきかどうか悩んでいます。
▽相談者の情報
・既婚/・現在の職業:パート/・年齢:29
・子ども(性別・年齢): 1人(娘・6歳)
・経緯:パート先で知り合った現夫と結婚。出産と同時に専業主婦になるが、ふたたびパート勤務に
回答:子どものために離婚をしない、という前提はやめましょう
この相談者さんのお悩みは、大きく3つに分けられると思います。順に解説しましょう。
ご相談者のお悩み1:ご主人の素質を見極めよう
ご主人が給与明細を見せてくれないということですが、まずやってみてもらいたいことがあります。それは、結婚当初や付き合っていたころのご主人を思い出してみることです。昔から隠し事やちょっとした意地悪をするような人だったのか、それとも、結婚してからなにか変わってしまったのか、きっと思い当たるところがあると思います。
昔から隠し事をするような人だった場合、これはなかなか大変です。ご主人が人に何かを与えることができない、「自分を守る」ことに固執するタイプであれば、あなたがいくら働いても、足りない生活費を補填するだけで、お金は貯まりません。これからも経済面で夫婦格差が生じるので、たとえ結婚生活を続けたとしても、老後の生活も厳しいと考えた方がいいですね。若いうちに手を打たないと、そこから抜け出す手立てが見つからなくなる可能性もある。結婚を続けるのは離婚するより大変かもしれません。
もし、結婚前はそんな人じゃなかった……という場合、いまの状態は、長年の結婚生活が生んだ結果なのかもしれません。よくあるのが夫婦間のマウント合戦です。わたしは「夫婦戦争」と呼んでいるのですが、「疲れた……」と帰って来たご主人に対して、「わたしも疲れてんの!」と応じていたりしませんか?
マウント合戦って、始まるとどんどんエスカレートするので、圧倒的に優位に立てる「経済力」をご主人が引き合いに出すのは当然の成り行きです。奥さんからしたら死活問題だけど、ご主人はマウント合戦に勝つために強いカードを出しただけなんですよ。
じゃあどうすればいいかというと、奥さんがまずマウントをやめる。それに尽きます。男性はわりと単純だから、「お疲れさま、大変だったね」って言われたらそれだけでうれしい。
それを試してみてご主人が変わらなければ、元からそういう人だったということです。あとは自分勝手な夫を持ってしまった人生の中で、どう自分のお金を貯めていくかを考える。またはそうでない人生を選ぶ、そういうことだと思います。
相談者のお悩み2:「離婚=子どもがかわいそう」という思い込みから離れる
次に「娘にとっては父親」という点を考えてみたいです。離婚すると子どもがかわいそうという気持ちがあるようだけど、そもそも相談者さんが離婚することと、子どもの感情は別の問題です。
いまの日本では、子どもの親権はどちらか一方が持つことになり、片親とのコミュニケーションの量は減ってしまいますが、それで「子どもがかわいそう」というのは違うと思います。「両親がそろわないと不幸」なわけではないし、両親が離婚した結果、救われた子どももいます。
死別などで片親がいなくなることもあるわけだから、現実としてひとり親になったら、そこから子どもにとってどのようによい環境を整えていくのか、これが、一緒に暮らす親が考えるべきことです。
子どものために結婚生活を続けるというなら、ご主人がどんな人でも、一生をかけて夫婦関係を良好に保つ努力をしていくしかないんです。でも相談を見ると、それがすでにできていないですよね。この時点で、「子どものため」とはならなくなっていると思います。自分自身の離婚と子どもの幸せは、別の課題として考えましょう。
相談者のお悩み3:経済的に自立するのかしないのか、あなた自身が決める
最後も離婚問題とは関係なく、自立したいのかしたくないのか、という相談者さん自身の課題ですね。女性の自立は、いま、時代的にも不可欠になりつつあって、「自立できないから結婚する」「離婚するから自立する」という、自立と結婚との結び付き、関連性も薄くなってきています。
あとは「働く」ということの理解が十分でないのかもしれません。あなたはご主人の働きを認めていますか?「働いて子育てもしろ」という人と暮らしていく自信がないと言うけれど、離婚したら経済面もひとりで背負うことになるんですよ。ご主人が主に稼いで、自分に家事育児をする時間があるのと、シングルマザーになって、稼ぎも家事育児も全部自分でやる、というのは全然違います。
外で働く人、家の中にいる人、どちらにも大変な面とラクな面があります。職種が違うだけで、みんなそれぞれ大変な思いをしながら働いていることに想像力を働かせられるといいですね。
まとめ:あなたが思っている以上に、ご主人はあなたを好きなことは覚えておいて
以上3つのお悩み、課題を、別々の軸として考えたときに、どんな選択をしたら自分が笑顔でいられるか、イメージしてみてください。このときに大切なのは、誰かのためではなく自分のために何がよいことなのか、自分本位で考えること。
ひとりでイメージするのが難しければ、いまの自分の境遇とまったく違う友人と話をしてみてください。独身キャリアウーマン、専業主婦、ちょっと気を遣うママ友とか、3パターンくらいあるといいです。
あえて自分が求めていないことを言いそうな人たちから、どのコメントが一番自分の心に響くか、話を聞いてみる。自分も知らなかった自分自身の内面の価値観が引き出される可能性もあるので、選択肢が広がると思います。
最後に1つだけ。「あなたが思っている以上に、ご主人はあなたを好き」ってことは言っておきたいです。夫婦間がギクシャクしたとき、男性は不器用だから、いらないことを言って墓穴を掘っちゃったりするんですが、それでも仲直りしようともがいていたりする(笑)。だから、女性側からコミュニケーションを変えるだけで、離婚まで至らないことも本当に多いです。まずは夫婦のコミュニケーションを見直すといいと思いますよ。
江成道子
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会 代表理事。シングルマザーサポート株式会社代表取締役社長、一般社団法人グラミン日本顧問、武蔵野学院大学講師。自らシングルマザーとして5人の姉妹を育てながら、シングルマザーの自立支援活動を続ける。講演多数。
一般社団法人 日本シングルマザー支援協会