【連載#1】妊娠がわかったら、いつ報告したらいいの?

妊娠を報告するタイミング

妊娠がわかった時、どのタイミングで会社に報告するか悩みますよね。
「安定期に入ってから報告したい」「家庭の事情をあまり会社の人に知られたくない」と思う方も少なくないでしょう。わたしも、「今日こそ言わなきゃ……」と思いながらもなかなか言い出せず、緊張でお腹が痛くなる日が続きました。
しかし妊娠中は、「つわりがひどくて出社できない」「切迫早産の危険性があって、医師から自宅安静の指示を受けてしまった」など、予測できないような事態が起こり得ます。事情を知らずに急に休まれてしまうことは、会社にとっては大きな痛手。「早く言ってくれれば、こちらも対応できたのに……」と思われてしまうことのほうが、かえってマイナスです。
周りに気をつかう人ほど、「こんな忙しい時期に……」「まだ異動したばかりなのに……」など、いろいろと考えて、言い出すのをためらってしまいがちです。しかし、双方が安心して働ける環境をつくるためにも、妊娠がわかったら早めに伝えるようにしましょう。

印象がよい報告の仕方

報告の順序としては、まず直属の上司に相談するのが一般的でしょう。「転職して間もないので言い出しにくい」「男性の上司で相談しづらい」という場合は、チームの先輩に相談し、上司と話し合う機会をつくってもらうのもひとつの方法です。
わたし自身も同じような状況の時にチームの先輩女性に相談しました。「入社して間もないのに大変言い出しにくいのですが……」と事情を説明したところ、上司へ報告する時期や産休・育休の取得についてアドバイスしてもらうことができ、とても心強かったです(当時、その部門で産休や育休を取っている人がいませんでした)。
 注意したいのは、いろいろな人に相談しているうちに噂が広がり、上司の耳に入ってしまうというケース。その後の働き方についての話し合いにも大きく影響するので、誠実な対応を心がけたいものです。
妊娠中の経過が不安定で安定期までは公にしたくない場合は、上司やチームの先輩など最低限のメンバーにのみ伝えて、全体への通知は時期を遅らせてもらうよう相談してみるとよいでしょう。
また、妊娠を報告する時には、単に「妊娠しました」と伝えるだけではもちろんダメです。「出産予定日はいつで」「いつから産休を取って」「いつ育休から復帰したい」のかといった点をあらかじめ整理しておく必要があります。
さらに、育休から復帰したあとの働き方(復帰後も現在と同じ業務をしたいのか、短時間勤務制度を利用するのか、残業に対応できるのかなど)についても自分の中でイメージをしっかり持っておけば、上司と相談しながら時間をかけて決めていくことができます。

就業規則や制度をチェックする

このように、具体的な話し合いを進めるためにも、勤めている会社にどのような妊娠・出産や育児に関する制度があるのか事前に自分でチェックすることが大切です。
これまで、産休・育休を取得した部下を持った経験がない場合、上司もどのような制度があるのか知らないケースも少なくありません。
「このような制度があるようなので、使わせていただきたいのですが……」と丁寧にお願いすれば、人事部と確認を取りながら、具体的な対応法を検討してくれるでしょう。
産休・育休を取得できるのは、周りの方の協力があってこそ。制度があるから使って当然というのではなく、協力してもらえることへの感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。

もし会社とトラブルが起きたら……

万が一、妊娠を報告した時に退職を迫られたり、降格をほのめかされるようなことがあった場合は、各都道府県にある雇用均等室などの専門機関に相談しましょう。「産休・育休を希望したら、ほかの社員に迷惑がかかるので退職してほしいと言われた」「育休から復帰しようとしたら、復帰できる場所がないと言われた」など、産休や育休に関するトラブルについて、電話や窓口を通して無料で相談することができます(匿名でもOK)。さらに、内容によっては会社とのトラブル解決の援助も行なってくれます。
妊娠・出産を理由とした不当な扱いは法律で禁止されています。不安な点があれば、一人で悩まずこのような専門機関をはじめ、会社の人事、ダイバーシティ推進室などに相談しましょう。

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毛利優子(もうり・ゆうこ)
大学在学時に長男を出産後、大手監査法人に入社。研修運営や海外グループ会社と合同で行なう人事プロジェクトでプロジェクトマネージャーを担当。その後、Webサイトの企画・制作会社に転職し、念願だった働くママを応援するサイト「働くママプラス」を企画し、ライターも兼務する当サイトは月間5万PVの人気サイトとなっている。現在は独立して、本やWebサイトの執筆のほか、個別カウンセリングや女性活躍企業向けの支援などを行っている。著書に『働きたいママの就活マニュアル』(自由国民社)がある。