相手と離婚の話し合いがうまくいかない場合、弁護士を間に入れるのもひとつの方法です。ただし、弁護士に依頼するとなると費用がかかります。本稿では、離婚にかかる弁護士費用についてお伝えします。どのようなことに費用がかかるのか、費用を抑えるコツはないのかなど、弁護士に依頼する前にぜひ知っておきましょう。

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離婚にかかる弁護士費用に含まれるもの

離婚について弁護士を利用すると、以下のような費用がかかります。

・相談料
・着手金
・成功報酬
・日当、実費

それぞれについてみていきましょう。

相談料

相談料とは、弁護士に相談するとかかる費用のことです。自分の状況や疑問点を相談し、弁護士から法的なアドバイスを受けるために必要となります。相談料は、一般的には相談時間によって金額が設定されていますが、中には無料で相談を受け付けている事務所もあります。なお、弁護士に正式に依頼するとその後の相談料は不要です。

着手金

着手金は、弁護士に正式に依頼する際に必要な費用です。依頼に対して支払うものですので、結果が自分の希望と異なっていたとしても返金されることはありません。また、途中で依頼を取り下げる場合も返金を求めることはできません。

協議離婚をしたいと弁護士に依頼した場合であっても、話し合いがまとまらず調停に手続きが移行する場合があります。このような場合、同じ弁護士に引き続き依頼するとしても、調停に進む段階で新たに着手金が必要になることもあります。事務所によって設定されている金額や方法が異なりますので、事前にしっかりと確認しておく必要があるでしょう。

成功報酬

成功報酬とは、依頼内容が解決したときに支払う費用のことです。離婚における「成功」とは、離婚成立や婚姻費用の獲得、親権の獲得といったことが挙げられます。

自分が希望する結果にいたった場合はもちろん、希望する結果にならなかった場合でも、成果に応じて成功報酬が発生します。依頼者側と弁護士側で「どのような結果を成功とみなすのか」の基準が異なっていると、トラブルになることもあるでしょう。成功報酬の考え方や金額については、依頼前に納得できるまで話し合うようにしてください。

日当、実費

弁護士に依頼する場合、日当や実費とよばれる費用も必要になります。日当とは、弁護士が事務所以外の場所で活動した際に必要となる費用のことです。たとえば、裁判所や夫婦の話し合いの場で活動するための費用がこれに該当します。日当は時間の長さに応じて発生するのが一般的です。

いっぽう実費とは、手続きに必要となる実際の費用を意味します。具体的には、調停などの申し立てに必要な手数料や収入印紙代、裁判所に出向くための交通費などのことです。

日当や実費は、依頼時に支払う「着手金」に含まれているケースもありますし、後々別に請求されるケースもあります。依頼前には、日当や実費は後から請求されるのか、どれくらいかかると予想されるかなどを問い合わせておくと安心です。

離婚状況別|弁護士費用の相場

離婚においては、最初、協議(話し合い)での解決をめざします。それでも解決しない場合は調停、調停でも話がまとまらない場合は裁判へと進むのが一般的です。調停や裁判へと手続きが進むと、弁護士費用が高くなることが知られています。

本章では、離婚の状況別に、弁護士費用の相場がどのように変化するのかを紹介します。依頼する弁護士事務所によって弁護士費用は大きく異なりますので、ある程度の目安としてお考えください。

協議離婚(話し合い)が成立した場合

協議離婚を弁護士に依頼した場合、弁護士費用の相場は30万~60万円程度です。慰謝料や養育費、財産分与などについても争点となった場合は、獲得した金額の10~20%が成功報酬として上乗せされます。

ちなみに、離婚時に「離婚協議書」を作成しておくと、後々トラブルになった場合に有用です。離婚協議書には、養育費や財産分与などについて夫婦間で合意したことを記します。自分たちで作成することもできますが、弁護士に依頼して作成してもらうことも可能です。その場合、作成費用として5万~10万円が必要になります。

離婚協議書にさらなる強い執行力をもたせるためには、公正証書にしておくのもひとつの方法です。公正証書は公証役場で公証人に作成してもらうもので、作成には5,000~2万円程度の費用が必要となります。

離婚調停で離婚が成立した場合

調停で離婚を成立させる場合、弁護士費用の相場は40万~70万円程度です。協議離婚よりも手続きが複雑になるため、着手金や成功報酬が高めに設定されていることが多くみられます。また、日当や実費も協議離婚より多くかかりますので、総額も高めになります。

なお、調停は夫婦だけでおこなうこともできます。弁護士に依頼しなければならないというわけではありませんが、手続きの複雑さや主張の難しさを考慮すると、弁護士に依頼するほうがスムーズに解決できる可能性が高いでしょう。

▶離婚調停についてはこちらの記事もご覧ください。
離婚調停の期間はどのくらい?生活費や恋愛などの注意点も

離婚裁判で離婚が成立した場合

裁判で離婚を成立させる場合、弁護士費用の相場は70万~100万円をひとつの目安としておきましょう。裁判となると、調停よりも証拠集めが重要であったり、解決までに時間がかかったりすることも多くみられます。そのため、離婚調停のときよりもさらに高い金額が必要となります。

調停から続いて同じ弁護士に依頼する場合、着手金が無料となるケースもあるようですが、一般的には10万円程度かかります。裁判からはじめて弁護士に依頼する場合、着手金の相場は20万~30万円程度です。これに成功報酬や日当、実費が加わり、70万~100万円程度となります。

▶裁判離婚についての詳細はこちらの記事で紹介しています。
裁判離婚はほかの離婚とどう違う?メリット・デメリット解説

離婚にかかる弁護士費用を抑えるには

ここまでみてきたように、離婚について弁護士に依頼するとまとまったお金が必要です。離婚後の生活を考えると、できるだけ弁護士費用を抑えたいと考えている人もいるのではないでしょうか。

そこで本章では、離婚にかかる弁護士費用を抑えるコツとして、以下の5つを紹介します。

・無料相談を利用する
・着手金が少ない弁護士へ依頼する
・見積もりをもらって比較する
・早い段階で相談する
・分割払いに応じているか確認する

ぜひ参考にしてください。

無料相談を利用する

弁護士費用を抑えるには、無料相談を利用するのもひとつの方法です。通常、弁護士に1時間相談すると5,000~1万円程度必要となります。無料相談を活用すれば、この相談料を節約できます。相談の段階で、弁護士の人柄や考え方、事務所の雰囲気などもわかりますので、弁護士選びの参考にもなるでしょう。

離婚問題においては、初回の相談料を無料に設定している事務所もいくつかあります。事務所や弁護士会のホームページなども参考に探してみてください。

「無料相談を利用すると、その弁護士に依頼しないといけないの?」と不安に感じる人もいるかもしれませんが、そのような心配は無用です。相談だけの利用でもかまいませんので、気軽に相談してみるとよいでしょう。

着手金が少ない弁護士へ依頼する

弁護士費用を抑えるには、着手金が少ない弁護士へ依頼する方法もあります。着手金は依頼する時点で支払うものです。初期段階でまとまった金額が用意できなくても、着手金が少なく設定されている事務所になら依頼しやすいケースもあるでしょう。

ただし、着手金を少なく抑えるかわりに、成功報酬や日当などを高めに設定している事務所もあるようです。初期費用を抑えられる点は魅力ですが、トータルの金額を確認することも忘れないようにしましょう。

見積もりをもらって比較する

複数の弁護士事務所から見積もりをもらって比較・検討することも、弁護士費用を抑えることにつながります。

そもそも弁護士費用について詳しくない人にとって、提示された金額が妥当なものなのかを判断するのは難しいものです。いくつかの金額を比較し検討できれば、弁護士費用の相場を自分でつかむことができ、安心して依頼できるでしょう。結果的に「弁護士費用についてもっと調べておけばよかった……」「離婚できたものの、もっと費用を安く抑えられたのでは?」といった後悔も減らせるはずです。

早い段階で相談する

弁護士費用を抑えるコツは、早い段階で相談することです。すでにお話ししてきたとおり、調停や裁判に移行すると弁護士費用は高くなっていきます。

早い段階で弁護士に相談することで、調停や裁判に移行せずに解決できたり、短期間で決着できたりすることもあるでしょう。争点がいくつもあり複雑になりそうな場合や、相手とスムーズに話し合いができず長期化しそうな場合は、早めに弁護士に相談してみるのがおすすめです。

分割払いに応じているか確認する

弁護士費用の総額を抑える方法ではありませんが、一度に支払う金額を少なくする方法として分割払いを利用するのもよいでしょう。1回に支払う金額を少なくできれば、金銭的な負担を軽くすることができるからです。

ただし、すべての事務所が分割払いに応じているわけではありません。ホームページで確認したり、相談時にたずねたりしておくと安心です。

離婚にかかる弁護士費用を用意できないなら「法テラス」を利用しよう

弁護士に依頼するにはある程度まとまったお金が必要です。けれども、中には「弁護士費用を用意できない……」と悩んでいる人もいるでしょう。そのような人でも法的な支援を受けられる仕組みが「法テラス」です。国が運営する法テラスは、法的な問題を抱えていながらも、金銭的な理由で弁護士などの専門家に相談できない人のための支援機関です。

法テラスには、弁護士費用などを立て替えてくれる制度があります。まとまった費用がなくても弁護士に依頼できるので、金銭面でお困りの人はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

この制度を利用するには以下の3つの条件を満たしていることが必要です。

・収入が一定額以下であること(収入要件と資産要件を満たすこと)
・勝訴の見込みがないとはいえないこと
・民事法律扶助の趣旨に適していること

立替制度を利用したい人は、源泉徴収票や給与明細などの「資力を証明する書類」や「住民票の写し」、「戸籍謄本」などを提出し、審査を受けます。審査に通れば、法テラスに弁護士費用などを立て替えてもらうことが可能です。立て替えてもらった費用は、その後分割で返済することになります。

なお法テラスでは、収入が一定額以下で、民事法律扶助の趣旨に適している人であれば、無料で法律相談を受けられる制度もあります。

詳しくは法テラスのホームページをご確認ください。
▶法テラス:立替制度について:費用を立て替えてもらいたい
法テラスの公式ホームページはこちら

離婚にかかる弁護士費用を支払う際に気を付けたい点

離婚にかかる弁護士費用を支払うとき、気を付けておきたいことがあります。2点お伝えしますので、頭に入れておいてください。

2回に分けて支払う場合がある

離婚問題を解決する際、弁護士費用は2回に分けて請求されることがあります。これには、弁護士費用を支払うタイミングが関係しています。一般的には、弁護士に依頼する段階で着手金を支払い、問題が解決した段階で成功報酬や日当、実費を支払います。このため、ひとつの依頼に対して、弁護士費用を2回に分けて支払う必要があるのです。

協議から調停、裁判などと移行する場合は、さらに回数が増える可能性があります。手続きが移行する段階それぞれにおいて、着手金や成功報酬を求める方式を採用している弁護士事務所が多いからです。このような場合、新たな手続きに移行する段階で、弁護士費用を追加で請求されますので、請求回数は2回よりも多くなります。

弁護士費用を共有財産から支払わないようにする

弁護士費用を支払えないからといって、夫婦の共有財産から支払うことは避けましょう。共有財産とは、たとえば、生活のために夫婦で共有している銀行口座や、結婚してから契約した保険の解約返戻金など、婚姻中に夫婦で築き上げた財産のことです。

共有財産から弁護士費用を支払うとあとでトラブルになるリスクが高いため、弁護士費用は自分だけの財産(固有財産)から支払うようにしましょう。固有財産だけだと弁護士に依頼できない場合は、先ほど紹介した法テラスの立替制度も検討してみてください。

ちなみに、弁護士費用は弁護士に相談する人自身が負担することになります。たとえその後の離婚裁判で勝訴したとしても、相手に請求できません。また、相手の不貞行為によって離婚する場合でも、相手に請求できる弁護士費用はごく一部です。

このようにほとんどの弁護士費用は、弁護士に相談する人自身が支払うことになります。費用をどのように捻出するのか、あらかじめ検討しておく必要があるでしょう。

離婚にかかる弁護士費用について理解を深めよう

離婚に際し、弁護士に依頼すると費用がかかります。弁護士に依頼すると、どのようなことにどのくらいの費用が必要になるのか、あらかじめ確認しておくことが大切です。とはいえ、具体的な費用については、実際に弁護士に相談してみる必要があります。無料相談なども利用し、弁護士費用についても理解しておきましょう。