前編では「金融商品や保険商品を売らないFP」としての想いや、お子様との現在の関係について語っていただきました。

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金融商品や保険商品を売らないFPとしての想い

―先ほどご自身で経験されたことが、ほかのひとり親の方の助けになれば、とおっしゃっていましたが、井上さんは金融商品や保険商品を売らないFPとして、中立な立場でお仕事されている思いをお伺いできますでしょうか。

保険や金融商品を販売しないことに対しては、起業当初から強いこだわりを持っていました。独立前に「独立系FPは、金融商品を売らないと食べていけない」と先輩FPの方に言われていました。それでも、中立公正な立場でご相談をお受けすることにこだわり、自分では販売をせず、販売している人とも提携もしないというスタイルで起業しました。

ひとり親の方は、1人で経済的にお子さんを支えようと頑張っています。そのようなお仲間には、本当に必要なことにお金を使ってほしいと願っています。

―信頼が大事になってきますよね。お客様も本当にいろいろな方がいらっしゃると思いますが、お仕事をされてて、心がけていることなどはありますか。

うまく表現できないんですけれど、 通りすがりでも、すごくさわやかで明るい光を感じる方っていらっしゃるじゃないですか。すれ違うときに笑顔で道を譲ってくださるとか、困っていると声をかけてくださる方など。ご縁があってお会いしているので、私に相談したことによって、明るい気持ちになってもらえるような人でありたいなと思っています。

私自身が、相談に行った時に「なんであなたそうしなかったの」とか、時には「そんな旦那を選んだのはあなたでしょ」などと、冷たい対応をされてしまったことも過去にあって。そんな時、肩を落としながら泣きながら帰ったこともありました。なので、私のところへ相談に来てくださる方には、そんな思いはさせたくないです。少しでも明るい気持ちになっていただけるように常に心掛けています。そうできていればよいのですが・・・。

―具体的に解決方法が出るのが1番ですけど、ちょっと相談しただけで、気持ちがスッキリしたとかもすごい大事ですよね。誰にも相談できずに塞ぎ込んでしまっている方もいらっしゃると思うので、ちょっと勇気出して誰かに言うことで、変わることってあるんじゃないのかなって私は思っていて、井上さんに救われてる方がたくさんいると思います。お仕事の話を聞いてきましたが、次はお子様について教えてください。お子様はもう成人されているんでしたっけ?

26歳になります。社会人になって、家を出て1人暮らしをしているので、もう子育ては一応終わりましたね。

―お子様を育て上げて、振り返って、どうですか。何が1番大変だったとか、何かありますか。こういう時期が大変だったとか、悩んだこととか。

私自身が姉妹だったこともあって、男の子の子育てには本当に戸惑いました。息子の考えていることがわからない。息子の小学校で起こるさまざまな出来事にどう対処していいのか。同級生のご両親や担任の先生と接する中で、自分の考えや対応、決断にこれでいいのか自信がもてず悩んだ時期がありました。男親だったらこういうときどうするんだろう?と男親がいない息子を不憫に思う気持ちも出てきて、すべてのことに一人で対応するしんどさを感じていました。

―私自身も子育てしていて悩みが続いているのですが、それが晴れる瞬間ってなんなんだろうってずっと思いながら子育てをしていて。やっぱりお子様の成長ですか。

完全に晴れる瞬間は、私もまだ経験していません。でも、徐々に悩みが少なくなってきているのは確かです。子どもの成長が大きいと思いますが、私自身が子離れしていったことでしょうか。息子が小学生の時は、何事につけても心配で、私が熱くなりすぎていましたね。なにか起こると学校へ行ったり、オロオロして周囲に相談したり。自分しか息子を守れないんだ!とひとり親として妙な力が入っていたと思います。

息子が中学生になると、私の父の介護や自分の転職も重なり、子どもにも家事分担をしてもらうようになりました。それがきっかけで、一歩引いてこどもが自然に起こす行動を見守れるようになったような気がします。任せることで、私の出る幕がどんどん減っていきました。

―ひとり親の方の悩みの1つに「お父さんがいたらどうだったんだろう」って、悩まれている方も多くお見掛けしますね。自分の気持ちで変えてくしかないんですかね。悩んでどうされましたか。

信頼できる方に、相談することで気持ちが変わっていきました。たまたまその時学校に勤めていたので、私が中学生の時の恩師と再会する機会がありました。当時から信頼していた先生でしたので、先生に泣きながら相談したこともあります。男性の先生だったので、こういう時どうしたらいいのか、ほんとに泣きついてましたね。先生もお忙しいのに、丁寧にたくさんアドバイスをくださって。今思い出しても涙が出るくらい助けていただきました。

―学校の先生だと、そもそものこどもへの向き合い方とか、プロですもんね。素敵な恩師に救われたんですね。

息子が背中を押してくれたから、始める決心がついた

―今、悩みについて聞きましたが、節目節目で、嬉しいこともいっぱいあったと思うんですけど印象深かったこととかありますか?

私の独立を息子が応援してくれた時です。息子が高校2年の時に「独立したい」と周囲に伝えました。両親や妹など、家族がめちゃめちゃ反対したんです。息子がこれから進学でお金が1番かかる時期なのに、って。

―なんでわざわざそんな茨の道へって感じですよね。

その時に、息子がものすごい応援してくれて。「昔からやりたいと思っていて、今、その流れがきてるんだよね?それなのにやらない母さんが僕は不思議でしょうがない。おばあちゃんや、おばちゃんが反対する気持ちもわからないでもないけど、別に部外者だよね。母さんは、教育費を準備したり、貯金もしたうえでやりたいって言ってることだと思う。そこは信頼してるし、独立して全く収入がない状況が続いて貯金がなくなることがあっても、自分が大学生になればバイトもできるし、2人が食べていくことぐらいはきっと協力すればできると思うから、それは大丈夫だよ。」って言ってくれて。しかも、心配している私の母親に説得までしてくれました。

―すごい!泣いちゃいますよね。

ほんとに泣いちゃいました。頑張んなきゃって。

―息子さんには相談してたっていうことですか。

この頃はなんでも相談していました。こういうことやりたいとか、家計のことなどもオープンにしていました。

―息子さんはずっと応援してくれてたってことですよね。周囲の反対は心配してるからこその言葉だったとは思いますが、、、。ちゃんとそうやって子育てしてれば返ってくるものなんですね。

もうとにかく嬉しかったですね。

―成人されてから今はどういう関係ですか。

連絡はあんまりないですし、お盆と年末年始に顔出すくらいで。

―きっと女の子とまた違いますよね。

余分なおしゃべりやマメな近況報告はお互いあまりしないんですけれど、私が仕事を手伝ってほしいとHELPをすると、手伝ってくれるんです。バイト代が欲しいっていうのもあるのかもしれないですが(笑)

―いや、絶対優しさですよ。素敵ですね。

今は、つかず離れずの相棒のような関係です。息子には、お母さんの老後は面倒見ないので、それぞれがそれぞれの生活をして、面倒は見合わないようにしましょうみたいに言われて、あ、わかりました。っていう(笑)

―私も子育てしてて学校からの電話が多くて、毎回ドキドキしちゃうんですが、そんな風に、救ってくれるような日が来るのかって、ちょっと希望がもてました!

親子関係は、この先どうなるのかまだまだわかんないんですけれど。今の段階では、親子っていうよりは、パートナーというか同志のような不思議な関係になってきましたね。ひとり親世帯の親子は、そうなりがちなのかもしれませんね。

―頼りになりますね。井上さんご自身は、この先の目標であったり、こういうのは絶対ずっと続けたいとか、先々の思いってありますか。

私は、今のFPのお仕事が好きです。続けられる限り続けたいと思っています。あとは、やってみたいこと、会いたい人、行きたい場所があれば、すぐに行動できる自分でいたいなと思っています。50代後半にさしかかっているので、今やらなければ、明日にはできなくなることもあると思うようになりました。

―大切ですね。

反対に、「やりたくないことは、しなくていい!」と決められる自分でありたいです。

―人間ってこうやりたいと思ってもなかなか動けないですよね。

それができるようになるには、経済的にも精神的にも自立が必要なんだと思います。しっかり生活していかなきゃなと思っています。今、老後の準備を始めつつあるんですけれど、私の人生の紆余曲折を失敗談も含めて皆さんに包み隠さずに何らかの形で発信していけたらいいなと思っています。

―ありがたいですよ。こういう人もいるから大丈夫なんだと思えて、すごく大事だと思います。ママスマって、離婚前で悩んでる方とか、まさに今シングルマザーで、頑張っている方が見てくださっているんですが、最後に一言、ちょっとメッセージをいただけたら嬉しいです。

離婚は、苦労するためじゃなくて幸せになるために選択するものだと思います。自分が決めたすべての選択は、これがベストで正解なんだと思って、自信をもって前に進んでいってもらいたいなと思っています。正解だと思えば、あとはいいことしかありません。未来は変えられます。

―選択したことに、自信を持ってもう前向いていった方がいいって事ですよね。素敵な言葉をありがとうございました!

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井上さんの大切にしているものをご紹介!

①映画の招待券

気分転換に映画を見に行って、リフレッシュしているそうです♪これを優待でゲットしているところは、さすが井上さんですね。

②自分だけのためだけに購入したピアノ

井上さんが子育てに悩んでいた時期に購入したピアノとの事。

「ひとり親世帯の我が家にとっては高額なため、悩んで悩んで思い切りました。ピアノを弾いているときは、心が無になります。自分にとって貴重なリフレッシュの時間でした。このピアノがあったからこそ乗り切れたことも多かったと思います。」

子育て時期に一緒に過ごしたピアノ、、、素敵ですね♪ 演奏も聴いてみたい♫