離婚後も夫婦双方が子どもの親権を持つ「共同親権」制度が、2024年5月17日に参議院本会議で可決し、2026年までに施行されることになりました。本記事では、共同親権が導入された後の養育費への影響と、新しいルールや養育費の未払い対策について解説します。

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「共同親権」に関する改正民法が可決に

「共同親権」とは、父と母の双方が子どもの親権を持つことをいいます。

そもそも「親権」とは、未成年の子どもの利益のために、監護や教育をしたり子どもの財産を管理したりする権利・義務の総称です。婚姻中の父母は二人で共同での親権を持ちますが、離婚後はいずれか一方のみが持つことになります。

父母のいずれか一方が親権を持つことを「単独親権」といい、父母が共同で持つことを「共同親権」といいます。日本では1947年の民法改正により、父母のいずれかが親権を持つ「単独親権」が採択され、現在に至ります。

一方、海外では、アメリカ・カナダ・韓国・中国・イギリス・オランダ・ドイツ・オーストラリアなどの国々では共同親権が採択されています。日本は単独親権のため、親権制度に違いがある国同士の者が離婚する場合は問題が生じる可能性があるとされ、共同親権の必要性が指摘されてきました。

また親権には、子どもと一緒に住んで子どもの世話や教育をする権利(「監護権」という)があり、一般的に親権を持った親がその権利を持ちます。そのため、親権を巡って夫婦が争ったり、子どもの連れ去りが起きたりするケースが少なくありませんでした。

こういった状況の中、2024年3月の衆議院本会議で、共同親権を可能とする改正民法が可決・成立しました。賛成・反対の声がそれぞれあり、それを踏まえると次のようなメリット・デメリットにまとめられるでしょう。

メリット デメリット
・親権争いにおける対立・衝突を緩和できる
・養育費の支払いや面会交流が円滑に行われやすい
・離婚後も両親ともに子育てができる
・子どもへの負担がかかる可能性がある
・DVや虐待から抜け出せない

賛成派も反対派も、さまざまな思いがあることがわかります。

では、共同親権とはどのような仕組みなのか、どのようなルールがあるのか、次章で確認していきましょう。

親権については、こちらの記事も参考にしてください。
離婚のときに親権はどうやって決まる?決め方や手続きのまとめ

【基本】共同親権か単独親権か両親が話し合って決める

共同親権か単独親権にするかは、基本的には父母の協議で決めます。合意を得られない場合は、家庭裁判所に判断をゆだねることになります。

ただし例外として、次の2つのケースでは家庭裁判所は単独親権にしなければならないとされています。

・配偶者へのDVの恐れがある
・子どもへの虐待の恐れがある

また、父母が話し合いできない状態のときも、共同親権は困難と判断され、単独親権になる可能性があるようです。

なお、すでに離婚している場合でも、親や子どもが裁判所に共同親権を申し立てることができます。申し立てを受けた裁判所は、DVの有無や養育費の支払い状況など、これまでの過程を調べたうえで、「子どもの利益」を最優先にして共同親権の必要性を判断します。

共同親権だとどのような場面で両親の合意が必要?

共同親権では、子どもに関して両親の同意が必要なケースと、単独で判断できるケースがあります。法務省が公表している具体的な例を見てみましょう。

両親の同意が必要なこと 単独で判断できること
・幼稚園や学校の選択
・進学や就職の選択
・転居先の決定
・生命に関わる医療行為
・子どもの利益のため急迫の事情
・教育などに関する日常行為

参考:NHK首都圏ナビ – 「「共同親権」同意が必要なこと 養育費や面会のルール 既に離婚の場合の対応など詳しく」

両親の同意が必要なのは、幼稚園や学校を選択するとき、進学か就職かを選択するとき、転居先を決めるとき、生命に関わる医療行為をする場合などです。

一方、子どもの利益のために差し迫った事情があるときや、教育などに関する日常行為は、単独でも判断できます。

「子どもの利益のため急迫の事情」とは、緊急手術や虐待からの避難、期限が迫っている場合の入学手続きなどが該当します。また、「日常行為」とは、子どもの食事や習い事の選択、ワクチン接種などです。

共同親権導入で養育費はどうなる?

共同親権制度が導入されても、養育費制度がなくなるわけではありません。むしろ、養育費請求に関しては、これまでよりもいっそう厳しくなることが見込まれています。つまり、受け取りやすくなる可能性があるということです。

今回、共同親権が導入された背景はいくつかありますが、その中のひとつに「養育費の支払い確保」があります。

離婚後、離れて暮らすほうの親が子どもに会える機会は、面会交流時です。しかし、子ども家庭庁の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、離婚時に面会交流について取り決めをしているケースはわずか3割ほど。さらに、面会交流の取り決めをしていても、現在も継続して面会交流できているケースは3割ほどで、「面会交流を行ったことがない」というケースも半数弱を占めています。

このように、子どもと会いたくても会えない親からすると、子どもへの責任感がなくなり、養育費の不払いが起こってしまう可能性は十分に考えられるでしょう。

しかし、今回の民法改正で共同親権制度が導入されれば、これまでよりも親としての責任や子どもへの愛情を感じやすくなり、養育費の支払いが円滑に進むことが期待できるのです。

共同親権導入後の養育費に関する新たなルール

では、養育費についてどのようなルールが新設されるのか確認していきましょう。

まず、「先取特権」の付与があります。養育費の不払い問題を解決するため、支払いが滞った場合は、ほかの債権よりも優先して財産の差し押さえができるようになります。

また、父母の負担を軽減するために、以下の手続きが簡略化されます。
・財産の差し押さえ
・収入や資産の情報開示

ほかにも、「法定養育費制度」の新設があります。離婚時に養育費についての取り決めをしなかった場合でも、一定の養育費を請求できる制度です。

共同親権導入後の養育費対策として「養育費保証」を検討しよう

今回の民法改正は2026年までに施行される予定です。本記事の執筆時点で、2年以内の制度化が見込まれていますが、具体的な部分はまだ不明な点もあります(2024年6月時点)。

すでに養育費の不払い問題を抱えている人にとっては、「2026年まで待てない」という状況ではないでしょうか。

確実に養育費の支払いを受けたい場合は、養育費保証サービスを検討することをおすすめします。養育費保証サービスとは、元配偶者が養育費の支払いを滞納した場合に、保証会社が養育費を立て替えてくれるサービスのことをいいます。

具体的にどのようなサービスなのか、株式会社Casaの「養育費保証プラス」を例に見ていきましょう。

養育費保証プラスでは、以下のサービスを行っています。

・養育費が支払われなかった場合、元配偶者に代わって立て替え払いをします
・元配偶者への連絡はCasaが行います
・養育費の未払いが続いたとき、法的な手続きや費用をサポートします
・シングルマザー経験のある相談員が常駐しています
・自治体からの補助金を受けられることがあります

また、Casaではシングルマザーの仕事や物件探しのサポートも行っています。

契約時と毎月かかる費用については、次の通りです。

・初回保証契約料(契約時のみ):月額養育費の1カ月分
・月額保証料:月額養育費の3%(最低保証1,000円)

養育費をはじめ、離婚後の仕事や部屋探しなどに悩んでいる人は、ぜひCasaにご相談ください。

共同親権について理解し養育費を確実に受け取りましょう

共同親権制度が導入されれば、養育費の受け取りはさらに有利になることが考えられます。しかし、制度内容はまだ具体的に決まっていない部分もあり、この先の政府からの発表が待たれるところです。

現在、すでに養育費の不払いに悩んでいる人は、養育費保証サービスの利用を検討してみましょう。相手への連絡をせずに、毎月養育費を受け取ることができます。子どもの将来のために、できるだけのお金の確保を目指しましょう。